アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -89 //沙羅。返り見た/目のまえ。ふいに/扉は、沙羅。いま/ひらかれた。いま//06





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   にじんでいったよ

   波の帯びたち

   無数の砂に

   たぶん、沙羅、いま


   しろく散ったよ

   波の泡だち

   だれかのあしに

   たぶん、沙羅、いま


   不滅のままに

     焦燥していた

    花もないまま

      なにも

   死んだ色ら

     わたしは

    言葉もないまま

      もう

   未生のままに

     なぜ?

    ささぐべき

      なにも

   埋葬しようか


   不滅のままに

   ほろびたにも似

   ほろびほろびて

   死んだいろ。色ら


   未生のままに

   うまれるにも似

   うまれうまれて

   埋葬しようか


   弔っておこうか

   それらの死。いま

   いろなすまぼろし

   いろたちの夢に


   消えたまぼろしに

     まさに

    夢のように

      燃えひろがり

   綺羅ら、綺羅きら

     わたしたちは

    あり得ない

      光暈が

   光りの極みに

     昏んでいった

    夢のように

      燃えひろがり

   綺羅ら、綺羅きら


   まぼろしと消えた

   綺羅ら、綺羅きら

   光りの極みに

   綺羅ら、綺羅きら


   色彩が失せた

   消えた。光りら

   光り。乱反射。綺羅

   色彩が見えた


   なづけようもない

   砂。しろ。雲。なに?

   空。青。海。綺羅

   色彩があふれた


   むこうに、沙羅、ほら

   その翳り。肩に

   褐色の肌。頸

   沙羅。あざやかな


   その洪水

   その奔流

   かいま見た。沙羅。見て

   容赦なく、くれるよ


   屈辱を、くれるよ

     綺羅めきに

    見あげられないほどに

      空は

   凄惨を、くれるよ

     海。すさまじく

    沙羅。もはや

      空。正視に堪えない

   悲惨を、くれるよ

     海は

    見つめられないくらい

      かがやかしい

   残酷を、くれるよ


   あなたにだけ、いま

   ここに、だれもが

   沙羅。いま

   屈辱を、くれるよ


   あなたにだけ、いま

   ここに、だれもが

   沙羅。いま

   凄惨を、くれるよ


   あなたにだけ、いま

   ここに、だれもが

   沙羅。いま

   悲惨を、くれるよ


   あなたにだけ、いま

   ここに、だれもが

   沙羅。いま

   残酷を、くれるよ


   手遅れ。沙羅。もう

      ねじくれそう

    窒息さえ

     やっちゃえば?

   破壊しろ、いま

      はじ。はっ。…じけそう

    ほら

     ね?

   怪物を。もう

      つぶれそう

    窒息さえしそうな

     ね、ね、ね?

   留保なく、いま


   猶予なく、いま

     ね、ね、ね?

    吐き気さえしそうな

      ひん曲がりそう

   怪物を。もう

     ね?

    ほら

      胃が唐突な日影でいきなりへしお

     やっちゃえば?

   凌辱しろ、いま

    吐き気さえ

      やぶれそう

   手遅れ。沙羅。もう


   手遅れ。沙羅。もう

   破壊しろ、いま

   怪物を。もう

   留保なく、いま


   猶予なく、いま

   怪物を。もう

   凌辱しろ、いま

   手遅れ。沙羅。もう


   だから充血

      すでに

    いたましい

     感じられたすべてが

   見て、沙羅。波が

      叫び散らし怒鳴り散らしたようにも

    凄惨なまでに

     耳の、目の、鼻の

   忿怒だよ。もう

      もう

    凄惨に

     そのすべて

   綺羅らを撥ねた


   激情だよ。もう

      すでに

    いたましい

     温度の苛烈も

   むこう、とおくに

      救われようがなかった

    いたましいまでに

     視界の傷みも

   ぶちのめせ。沙羅

      もう

    いたましい

     直視の昏みも

   霧れあう飛沫


   靄なす飛沫

     力みあげひと。ひとびと。いぶき

    見て。沙羅

      軋む。骨格

   ぶちこわせ。沙羅

     呼吸。呼吸を。呼吸

    他人たち。狂態

      肉体。肉

   むこう、とおくに

     いぶき

    見て。沙羅

      ねじれ

   激情だよ。もう


   綺羅らを撥ねた

     逃げまどい

    見て。沙羅

      叫び

   忿怒だよ。もう

     嫌惡

    他人たち。情熱

      声

   見て、沙羅。波が

     動揺

    見て。沙羅

      傷められ

   だから充血


   靄なす飛沫

   ぶちこわせ。沙羅

   むこう、とおくに

   激情だよ。もう


   綺羅らを撥ねた

   忿怒だよ。もう

   見て、沙羅。波が

   だから充血


   だから絶叫

      すでに

    うつくしい

     沈黙さえも

   見て、沙羅。空が

      すがりようがなかった

    無慈悲なまでに

     波の轟音も

   つらなるノイズが

      もう

    無慈悲に

     そのひびきも

   光りを落とす


   熱情に噎せる

      すでに

    うつくしい

     惡臭さえも

   綺羅らの帯びに

      遁れようがな

    残酷なまでに

     香りも、臭気も

   見て、沙羅。白目が

      もう

    残酷に

     その匂いも

   雲。波。まばゆく


   雲。波。綺羅ら

     散らされた

    見て。沙羅

      傷。脛

   見て、沙羅。白目が

     汗。くるぶし。汗

    他人たち。激怒

      返り見、踵

   綺羅らの帯びに

     頭髪。匂い

    見て。沙羅

      蹴りあがる

   熱情に噎せる


   光りを落とす

     引き攣ったひと。ひとびと。だからかれらの

    見て。沙羅

      ひじ

   つらなる怒号が

     眉じり。微動

    他人たち。失笑

      砂。顎

   見て、沙羅。空が

     鼻孔。毛

    見て。沙羅

      剝き出し

   絶叫


   雲。波。綺羅ら

   見て、沙羅。白目が

   綺羅らの帯びに

   熱情に噎せる


   光りを落とす

   つらなる怒号が

   見て、沙羅。空が

   だから絶叫


   だから叫喚

      すでに

    うつくしい

     ゆらめきさえも

   見て、沙羅。海が

      なすすべが

    容赦ないまでに

     翳り。それらの明滅も

   昏い情熱が

      もう

    容赦ない

     その翳りも

   綺羅らを散らす


   濁流に籠る

      すでに

    うつくしい

     翳りさえも

   ひらすらな綺羅に

      救いようがなかった

    絶望的なまでに

     色彩の消滅も

   見て、沙羅。喉が

      もう

    絶望的に

     その色彩も

   光りら、横溢


   光りら、氾濫

     ゆすぶられたひと。ひとびと。いぶき

    見て。沙羅

      背すじに汗

   見て、沙羅。喉が

     足。もたげられた足首

    他人たち。警戒

      ふともも。赤斑

   ひらすらな綺羅に

     腰。痙攣の須臾

    見て。沙羅

      のけぞった

   濁流に籠る


   綺羅らを散らす

     ねじられたひと。ひとびと。いぶき

    見て。沙羅

      頸すじ

   昏い情熱が

     静止。ゆびさき

    他人たち。焦燥

      肩。ぶつかりあい

   見て、沙羅。海が

     腕。掻く

    見て。沙羅

      かたむいた

   だから叫喚


   光りら、氾濫

   見て、沙羅。喉が

   ひらすらな綺羅に

   濁流に籠る


   綺羅らを散らす

   昏い情熱が

   見て、沙羅。海が

   だから叫喚


   失笑。おののき

     わなないたひと。ひとびと。いぶき

    見て。沙羅

      まぶた

   しかも羞恥と

     眉。ゆがみ

    他人たち。おののき

      しろ目

   そして警戒

     睫毛。しびれ

    見て。沙羅

      瞳孔。見ひら

   怒号。呼び声と


   気流を乱した

   激怒の熱が

   足元に散って

   傷みの波は


   あるいはむしろかなしみ

   しかも憤懣と

   そしてあわれみ

   殺意。嗜虐と


   その情熱の濁りに

   ひとびとの目に

   狂乱。すでに

   知った。沙羅。知れ


   歓喜。歎き

     さらされた

    見て。沙羅

      口蓋

   しかも忿怒と

     唾液

    他人たち。激怒

      口

   そしてあざけり

     喉

    見て。沙羅

      歯

   罵声。歓声と


   歓喜。歎き

   しかも忿怒と

   そしてあざけり

   罵声。歓声と


   その翳りの群れに

   ひとびとの口に

   轟音。ふいに

   知った。沙羅。知れ










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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