アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -82 //あなたの肌にも/沙羅。いま/にじんでいくよ/白濁の帯びら//11





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   無垢。うとましい

     口をふさいだ

    血を飛び散らすんだね

      波。ひびき

   無垢。汚らわしい

     また誰か、ふと

    燃える歯ぐきに

      ひび入ったに似

   無垢。むざんなまでに

     ほら

    けものたちが

      ひびわれ

   無垢。いとわしい


   無垢。うとましい

   無垢。汚らわしい

   無垢。むざんなまでに

   無垢。いとわしい


   しら砂に

   ぬれた、乾いた

   砂浜の砂に

   沙羅はそこに


   砂粒をふみ

   アスファルトに舞った

   路上の砂に

   だからそこに


   ふれ得もせずに

   いらだちを纏い

   ふれられもせずに

   憎悪を纏った。沙羅


   無垢。うとましい

     旋回を

    白熱したよ

      溶けた

   無垢。汚らわしい

     鳥。二羽?唐突な

    おまえ?…は?

      飛沫は、みなもに

   無垢。むざんなまでに

     ほら

    けものたちが

      靄がかった

   無垢。いとわしい


   無垢。うとましい

   無垢。汚らわしい

   無垢。むざんなまでに

   無垢。いとわしい


   沙羅。だから

   わずかにさえも

   よこしまさなど

   かけらさえも


   せせら笑いにも

   ながし目に

   沙羅。鎖骨のくぼみに

   ない。なにも


   ゆれ、ゆれて

   こすられ、こすれ

   ふれ、ふれ

   歓呼?嬌声


   無垢。だから

     かさありあった

    白熱したよ

      切れ目を。失墜

   白濁の帯びに

     砂。す。足

    だれ?

      雲は、ふいの

   跳ね散るに汗に

     波

    けものたちが

      ひかり。り。帯び

   無垢。だから


   跳ね散る汗に

   無垢。むしろ

   気配さえ、だから

   わずかにさえ


   嫌悪もなにも

   そのくびすじに

   沙羅。その聲に

   ない。なにも


   ゆれ、ゆれて

   こすられ、こすれ

   ふれ、ふれ

   絶叫。だれ?


   無垢。だから

     滑走してゆく

    白熱したよ

      ひび

   褐色の肌に

     鳥。——逆光。ふと

    おれ?

      ひびきを

   赤裸々な素肌に

     ほら

    けものたちが

      波。際限もなく、ひびき

   無垢。だから


   赤裸々な素肌に

   無垢。むしろ

   匂いさえ、だから

   かけらさえ


   邪気などなにも

   そのまなざしに

   沙羅。その笑みに

   ない。なにも


   ゆれ、ゆれて

   こすられ、こすれ

   ふれ、ふれ

   怒号。沙羅


   綺羅。ながれ散り

   沙羅。返り見

   さけび。声。四維に

   繁茂。ゆれて、色彩


   繁茂。ゆれて、色彩

     閃光に咬まれ

    鼻から鼻に

      翳った。昏ませ

   さわぎ、声。とりかこみ

     すすりあげ、綺羅めき

    目から目に

      おもわず、昏い

   沙羅。のけぞり

     息。けもののいっ

    激情が、ひとびとに

      われをわすれさせ

   綺羅。ながれ散り


   繁茂。ゆれて、色彩

   さわぎ、声。とりかこみ

   沙羅。のけぞり

   綺羅。ながれ散り


   ゆれ、ゆれて

   こすられ、こすれ

   ふれ、ふれ

   罵声。沙羅


   激怒。家畜たち

   ささやくように

   飛びかうように

   せせら笑うように


   あざけるように

   散りかうように

   わななくように

   忿怒。けものたち


   焰のように

      茂みが

    官能のない

     あおりつづけていたのだった

   隆起。やわらかな

      しかも、煽情を

    恥毛がそっと

     まなざしに

   這う。翳り。翳りいま

      きざし

    冷酷に、かたちを

     激怒の視野に

   燃え上っていたかのように


   焰のように

      醒めきった忘我

    熱狂が、きわだち

     喉。けものの

   残酷なくぼみに

      容赦なく昏い

    まよいなく

     ひらく。おもわず

   茂る。翳り。翳りあいいま

      綺羅ら。昏む

    めざましく

     情熱。咬まっ

   燃えひろまっていたかのように


   燃えひろがっていたかのように

     情熱を咬ませ

    めまぐるしく

      翳り。昏ませ

   茂る。翳り。翳りいま

     吼える。おもわず

    ただ迅速に

      おもわず、昏い

   残酷なくぼみに

     声。けものの

    熱狂。しずかに

      われをわすれさせ

   焰のように


   燃え上っていたかのように

     激怒の視野に

    まがり、ちぢれ

      きざし

   這う。翳り。翳りいま

     まなざしに

    恥毛がそっと

      しかも、性別を

   やわらかな隆起に

     あかす

    性別のない

      茂みが

   焰のように


   燃えひろがっていたかのように

   茂る。翳り。翳りいま

   残酷なくぼみに

   焰のように


   燃えあがっていたかのように

   這う。翳り。翳りいま

   やわらかな隆起に

   焰のように


   綺羅ら。翳りら

      いま

    沙羅は

     焼けた、たとえば鉄柱をぶちこんでも

   ささやくように

      好き勝手に

    解放されていたのだった。そこ。まさに

     肛門に

   飛びかうように

      おもうがままに

    だから、もう

     いいんだよ

   せせら笑うように


   あざけるように

     はなた!たれた!ときは!はなたれた!

    だから、もう

      おもうがまま

   散りかうように

     すでに

    自由だった。そこに、まさに

      いま

   わななくように

     野放図に

    沙羅は

      好き勝手に

   綺羅ら。翳りら


   あざけるように

   散りかうように

   わななくように

   綺羅ら。翳りら


   ゆれ、ゆれて

   こすられ、こすれ

   ふれ、ふれ

   光りら。沙羅


   からみあう翳りの繁茂にも

     かさなり、色彩

    綺羅。とどまり

      股に、繁茂

   眸のむれにも

     もつれあい

    飛び

      そ。すみやかな、そ。微動

   沙羅。まして

     繁茂。翳り

    綺羅。ふるえ

      ゆらぎ

   容赦など


   昏い翳りの繁茂にも

   虹彩のむれに

   沙羅に。まなざしに

   容赦などない


   ちぢれる翳りの繁茂にさえも

     ゆれかけ、ゆ。色彩

    綺羅。すべり

      股。繁茂

   路上。肌には

     ちぢれあい

    散り

      そこに、その身動き

   沙羅。なにも

     繁茂。翳り

    綺羅。ながれ

      さわぎ

   ためらい?


   昏い翳りの繁茂にも

   さらされた素肌に

   沙羅に。路上に

   ためらいなどない


   罵倒し、なにも

   人間。口。口

   罵声。口。口

   沙羅。聞こえた?


   怒号。聞こえた?

   眉。そのかたむき

   睫毛。笑った?

   狂暴ないろに


   昏いままに

     そのくちびるに

    かしげた頸に

      腰。ふたつの陥没

   まなざしが笑んだ

     股の翳りに

    その腕に

      鼻先に

   うすい哄笑に

     くるぶしに

    そのふとももに

      顎に

   怒号。聞こえた?


   とおまきに

     その肌に

    昏い孔

      ひき、綺羅

   口ら。そこらに

     口。罵詈雑言。歯

    きみに

      糸ひき

   敵意。数かぎりない

     口。口。口

    いらだつ

      唾液が、き

   ひとりのあなたに


   その哄笑に

     せめてまもられてあるべきものたちとして

    情熱に昏み

      走った。どこ?

   おののき、あなたに

     まもられ

    いたたまれない

      虐待されたものたちとして

   わめき、あなたに

     蹴られた。波。飛沫

    昏んでいたんだ

      虐待され

   おびえ、あなたに


   人間の口に罵倒していた

     足。こどもたち

    見ひらこうとしていたの?目を

      餓えた。樹木が

   人間たち

     花。花。とおくにふみ散らし

    きみは、なぜ、いま

      爪を剝げ

   見て。いま

    砂に這う蔦の

    なに?なにを

      這う。いま

   見て。沙羅


   人間たちが踊り狂った

     バナナ葉の

    引き攣らせたの?

      鼻孔のひらき。ふいに

   屍の上で

     かたむく。灼けた

    きみは、見て、頬を

      過呼吸になってごらん

   見て。いま

     パラソルが

    なに?なにを

      喉が、いま

   見て。沙羅


   人間たちが死滅したから

     流れ去る音、…貨物?

    まばたきかけたの?

      鼻水が、いま

   人間のふり

     背後。ふと耳が

    きみは、見て、いま

      膝間づいてごらん。さかさまに

   見て。いま

     騒音。車の

    なに?なにを

      膝を。いま

   見て。沙羅


   擬態していられた

     男のかかとに

    あざ笑ったの?

      くちびるがふと

   屍のうえで

     ななめまえ、だれかの

    きみは、見て。いま

      その眉、むしってごらんよ

   見て。いま

     鳥。飛び去ったよ。鳥

    なに?なにを

      むしって。いま

   見て。沙羅


   屍さえ腐乱していたから

     靄。海の

    わたしたちが

      いま、汚れる。砂が

   沙羅。知ってた?

     とおくに冴えた、それが

    蔓延る。蔓延る

      はいてごらん。血を

   人間たちが死滅したから

     波。散った。波

    わたしたちは

      血を。いま

   沙羅。知ってた?


   昏い孔らを

   ひらかれ、ひらく

   口をさらした

   かぞうべくもない


   敵意をむけて

   ひとりのあなたに

   まもられるべきものたちとして

   虐待されたものたちとして


   挑発を知り

   目を剝く。あなたに

   人間たちが

   見て。沙羅


   その汗が綺羅ら

     同情。やがては

    激昂する

      散漫な、しかし

   肌に、褐色に

     唐突な失笑

    わたしたちが

      情熱。しかも

   うつくしい

     倦怠。そして

    見て。沙羅

      かれら。気のぬけた

   沙羅。あなたは


   その汗が綺羅ら

   肌に、褐色に

   うつくしい

   沙羅。あなたは


   自虐を知り

   ののしる。あなたに

   人間たちが

   見て。沙羅


   敗北を知り、いま

   おびえる。あなたに

   人間たちが

   見て。沙羅


   屈辱を知り、いま

   わめく。あなたに

   人間たちが

   見て。沙羅


   惡意を知り、いま

   おののく。あなたに

   人間たちが

   見て。沙羅








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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