アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson；流波 rūpa -80 //あなたの肌にも/沙羅。いま/にじんでいくよ/白濁の帯びら//09

以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。

　　　鳴るのだろう。サイレンが

　　　　　　鼻孔が

　　　　前歯が。咬みしめ

　　　　　その形態。その

　　　肉の汚物に、もうすぐ

　　　　　　なぜ？

　　　　咥えた。奧歯を

　　　　　なぜ？

　　　汚物。回収のため

　　　　　　透明な体液を

　　　　瞳孔。開孔

　　　　　顎。複雑な

　　　汚物。廃棄のために

謂く、恥辱でしかない、死者たちをただ、とめどもなくそれら、まな。まな。ぼくたちのまなざしはいつでもまなざし。まな。ぼくたちのまなざしは、死者たちをただ、とめどもなくそれら、とろけ、翳りをとろかしてゆくしかない。いつでも、まな。ぼくたちの恥辱でしかない死者たちを、ただとめどもなくそれら、まな。まな。ぼくたちのまな。ぼくたちのまな。ただ、とめどもなくそれら死者たちを、恥辱でしかないまな。ぼくたちの。いつでも翳りを、とろかしてゆくしかないとろけ。ただ、とめどもなくそれら死者たちを、まなざしはまな。ぼくたちのまなざし。まなざしはいつでもまな。ぼくたちのまな。ただ、とめどもなくそれら、

　　　汚物。廃棄するため

　　　　　うわ唇。頬

　　　　瞳孔。開孔

　　　　　　痙攣しつづけ

　　　汚物。回収するため

　　　　　なぜ？

　　　　口蓋。息を？

　　　　　　なぜ？

　　　もうすぐ。肉の

　　　　　すりむかれていた

　　　　ひらかれたまま

　　　　　　鼻孔が

　　　サイレンが鳴るのだろう

謂く、乾く。渇き、乾く

　　　汚物。廃棄のため

　　　汚物。回収のため

　　　もうすぐ。肉の

　　　サイレンが鳴るのだろう

　　　だいじょうぶ

　　　口蓋はひらく

　　　だいじょうぶ

　　　沙羅

　　　だいじょうぶ？

　　　まだ生きてるの？

　　　だいじょうぶ？なぜ

　　　敗残物

　　　だいじょうぶ。その

　　　瑠璃色の目はある

　　　だいじょうぶ

　　　沙羅

　　　だいじょうぶ？

　　　まだ息ができるの？

　　　だいじょうぶ？なぜ

　　　残骸

　　　だいじょうぶ。その

　　　ももはちぎれない

　　　だいじょうぶ

　　　沙羅

　　　だいじょうぶ？

　　　まだ生きていられるの？

　　　だいじょうぶ？なぜ

　　　肉体

　　　だいじょうぶ。そこの

　　　骨は見えない

　　　だいじょうぶ、沙羅

　　　その沙羅を

　　　破損物。それ。残存

　　　残骸。それ

　　　そこに、残されて

　　　逃げ去れなかった

　　　見捨てて？集団

　　　飽きて？

　　　やがて、われにかえって？

　　　逃げ去った

謂く、渇く。わたしは、乾き、わたしは、渇く

　　　波。綺羅ら

　　　　　　いぶっ。臭気

　　　　飛沫

　　　　　うつくしい

　　　だから

　　　　　　見えないいきものたちそれらのあまりの厖大は

　　　　飛沫たち

　　　　　留保もなく、いま

　　　海。綺羅ら

　　　　　　感じられなかった

　　　　際限もなく

　　　　　でしょ？…ね？

　　　綺羅

　　　雲。綺羅ら

　　　　　　速度。過激

　　　　飛沫

　　　　　うつくしい

　　　だから

　　　　　　巨大な、ごごごご。しかもさしのべた手のふたつぶん

　　　　飛沫たち

　　　　　留保なく、いま

　　　みなも。綺羅ら

　　　　　　音速？いま

　　　　靄なしかけて

　　　　　でしょ？…ね？

　　　綺羅

　　　砂。綺羅ら

　　　　　　その傷み

　　　　飛沫

　　　　　うつくしい

　　　だから

　　　　　　爪。しかもゆびのあいだに

　　　　飛沫たち

　　　　　留保なく、いま

　　　空。綺羅ら

　　　　　　からんで

　　　　清潔すぎて

　　　　　でしょ？…ね？

　　　綺羅

　　　肌。綺羅ら

　　　　　　戦慄。その

　　　　飛沫

　　　　　綺羅めきは

　　　だから

　　　　　　絶叫。そして痙攣

　　　　飛沫たち

　　　　　留保もなく、いま

　　　だれもが綺羅ら

　　　　　　とどろきさえ

　　　　ただ、なまなましかった

　　　　　わたしたちを燃や

　　　きらら綺羅

謂く、はじけ、それら死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ？ひらきあヒ、しかもひらき、それら死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ？つぶれあヒ、しかもつぶれ、それら死者たち。孔。ふだらな、孔。だれ？さわぎあヒ、しかもさわぎ、それら死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ？かすれあヒ、しかもかすれ、それら死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ？まじりあヒ、しかもまじり、それら死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ？ふるえあヒ、しかもふるえ、

　　　綺羅きらら

　　　　　わたしたちを燃やしていた

　　　　ただ、なまなましかっ

　　　　　　轟音さえ

　　　だれもが綺羅ら

　　　　　留保なく、いま

　　　　飛沫たち

　　　　　　汗と熱狂

　　　だから

　　　　　綺羅めきが

　　　　飛沫

　　　　　　その臭気

　　　肌。綺羅ら

　　　綺羅

　　　　　でしょ？…ね？

　　　　清潔すぎて

　　　　　　不可解。色彩

　　　空。綺羅ら

　　　　　留保なく、いま

　　　　飛沫たち

　　　　　　こまか、ささい

　　　だから

　　　　　うつくしい

　　　　飛沫

　　　　　　その傷み

　　　砂。綺羅ら

　　　綺羅

　　　　　でしょ？…ね？

　　　　靄なしかけ

　　　　　　目舞いさえ

　　　みなも。綺羅ら

　　　　　留保なく、いま

　　　　飛沫たち

　　　　　　光暈が散り

　　　だから

　　　　　うつくしい

　　　　飛沫

　　　　　　その翳り

　　　雲。綺羅ら

　　　綺羅

　　　　　でしょ？…ね？

　　　　際限もなく

　　　　　　澱みさえ

　　　海。綺羅ら

　　　　　留保なく、いま

　　　　飛沫たち

　　　　　　匂いさえ

　　　だから

　　　　　うつくしい

　　　　飛沫

　　　　　　その臭気

　　　波。綺羅ら

謂く、渇く。わたしは、乾き、わたしは、渇く。

　　　綺羅きらら

　　　だれもが綺羅ら

　　　だから

　　　肌。綺羅ら

　　　綺羅

　　　空。綺羅ら

　　　だから

　　　砂。綺羅ら

　　　綺羅

　　　みなも。綺羅ら

　　　だから

　　　雲。綺羅ら

　　　綺羅

　　　海。綺羅ら

　　　だから

　　　波。綺羅ら

謂く、まなざしに、網膜に、乾ききった、その、ふいに、…ん？

　　　四維。ふさがれて

　　　　　　ひとつ。ただひとつの閃光

　　　　折れた前歯で

　　　　　ぐるり、ぐる

　　　大気さえ穢れ

　　　　　　もう、風景は

　　　　直腸をこすれ

　　　　　　ぐるり。ぐる

　　　無数の情熱に

　　　　　もう、まなざしは

　　　　ひん曲がったこゆび

　　　　　至近のだれかが醒めたまま落ちた失神のよ

　　　漏れ、あふれ返り

謂く、孔を、単にみだらな死者たちが、孔を。孔。ふくらます。死者たちが、孔。突起。孔を、ふしだらな死者たちが、孔を。孔。ふくらます。死者たちが、孔。突起。孔を、瞑想的な死者たちが、孔を。孔。ふくらます。死者たちが、孔。突起。孔を、夢見がちな死者たちが、孔を。孔。ふくらます。死者たちが、孔。突起。孔を、破滅的な死者たちが、孔を。孔。ふくらます。死者たちが、孔。突起。孔を、屈辱的な死者たちが、孔を。孔。ふくらます。死者たちが、孔。突起。孔を、侮辱的な、

　　　血がにごり

　　　　　ぐるり、ぐ

　　　　涙腺を刺せ

　　　　　　失語した陥没

　　　体液を。その

　　　　　もう、まなざしは

　　　　網膜を灑げ

　　　　　　もう、風景は

　　　汚した。体液が

　　　　　至近。だ。だれかかかの発火のように

　　　　割れた貝殻で

　　　　　　ぐるり。ぐる

　　　四維。ふさがれ、沙羅

謂く、…ん？ふいに、その乾ききった網膜に、まなざしに、

　　　血がにごった

　　　体液を。その

　　　汚した。体液が

　　　四維。ふさがれ、沙羅

　　　もがくすべもなく

　　　見えるなにもなく

　　　沙羅。その筋肉は

　　　引き攣けた？

　　　苦悶の無数に

　　　破綻を撒いた

　　　沙羅。内臓は

　　　しゃくりあげてた？

　　　激痛の無数に

　　　苦悩を散らした

　　　沙羅。肉体は

　　　窒息してた？

謂く、澄まされ切って、耳。聞いた。わたしは、執拗に、わたしは、聞いた。耳。澄まされ切った、

　　　四維。ふさがれ、砂

　　　　　　傷む発光を

　　　　穢い潮で

　　　　　ぐる、ぐる

　　　波も。沙羅。穢れた

　　　　　　もう、風景は

　　　　洗え。血管を

　　　　　もう、まなざしは

　　　その情熱に

　　　　　　ぐるり。ぐる

　　　　すりむき、破れた

　　　　　至近のだれかの絶叫のように

　　　失禁。液体

謂く、ひらき、それら死者たち。つぶれあうつぶれ。それら死者たち。さわぎあうさわぎ。それら死者たち。かすれあうかすれ。それら死者たち。まじりあうまじり。それら死者たち。ふるえあうふるえ。それら死者たち。ゆらぎあうゆらぎそれら死者たち。とろけあうとろけ。それら死者たち。ゆがみあうゆがみ。

　　　あるいは血

　　　　　ぐるり、ぐ

　　　　すりむき破れた

　　　　　　冴えた白濁を

　　　その体液

　　　　　もう、まなざしは

　　　　洗え。血管を

　　　　　　もう、風景は

　　　波も。沙羅。汚す

　　　　　至近。だれかの悲鳴のように

　　　　穢い潮で

　　　　　　ぐるり。ぐる

　　　四維。ふさがれ、砂

謂く、澄まされ切って、耳。聞いた。わたしは、執拗に、わたしは、聞いた。耳。澄まされ切った、

　　　あるいは血

　　　その体液

　　　波も。沙羅。汚す

　　　四維。ふさがれ、砂

　　　逃げ出す道を

　　　救い。せめてもの

　　　沙羅。虹彩は

　　　もとめてた？

　　　拳。無数に

　　　肉を破壊した

　　　沙羅。舌。歯

　　　引き攣ってた？

　　　ゆび。無数に

　　　髪。掻き毟った

　　　沙羅。口蓋は

　　　わめいてた？

　　　足。無数に

　　　かかと。踏みつけた

　　　沙羅。喉は

　　　叫んでた？

謂く、のけぞり、死者たちが、死者ら。死者。まるでくぼむように、と、ぐふっ。

　　　虐待のそば、沙羅

　　　　　廃棄を。処刑。汚物に

　　　　ぶちこわす

　　　　　　苛酷に。もっと

　　　とめどないひびきを

　　　　　処罰を。…的、な

　　　　ひきずりまわす

　　　　　　苛烈に

　　　耳は。潮騒を

　　　　　見せしめ？

　　　　ぶちのめす

　　　　　　もっと、…ね？

　　　聞いていた。沙羅

謂く、耳を執拗に、わたしは。聞いた。

　　　嗜虐のよこで、沙羅

　　　騒音のそばで

　　　砂浜をなぶった

　　　みだれあっていた

　　　とめどないひびきを

　　　猶も潮騒を

　　　めざましく、耳は

　　　聞いていた。沙羅

謂く、のけぞり、死者たちが、死者ら。死者。まるでへこむように、と、ばふっ。

　　　あまりの近さで

　　　　　咆哮

　　　　散った

　　　　　　ささやきさえも

　　　声。炸裂。咆哮が

　　　　　喉にかぎ爪

　　　　至近で、…沙羅

　　　　　　び。ひびび割れ

　　　ノイズ。赤裸々

　　　　　つぶやきさえも

　　　　わななく

　　　　　　咆哮。ほ。ほ。

　　　聞こえていた

謂く、わたしは聞いた。

　　　声の炸裂

　　　赤裸々なノイズ

　　　騒音以外。散る

　　　聞こえない。沙羅

謂く、ぼくたちのまな。ただとめどもなくそれら死者たちを、色彩のないぼくたちのまな。いつでも翳りを、ゆがんでゆくしかないゆがみ、ただとめどもなくそれら死者たちを、まなざしは、ぼくたちのまな。まなざし。まなざしはいつでもぼくたちのまな。まな。ただとめどもなくそれら死者たちを、色彩のないぼくたちのまな。いつでも翳りを、ゆがんでゆくしかないゆがみ。ただとめどもなくそれら死者たちを、まなざしはまな。

　　　詰まる濁音が

　　　　　狂態

　　　　すぐそばで

　　　　　　肉体

　　　たとえば悲鳴を

　　　　　もはや。狂態。赤裸々な

　　　　そのかたわらに

　　　　　　もはや乱交じみた

　　　喉がならした

　　　　　いぶきら

　　　　すぐちかく

　　　　　　乱交。らんっ

　　　聞いた気がした

謂く、ん？

　　　かたわらで、…沙羅

　　　狂態のちかくで

　　　肉体。さらした

　　　耳は、貪婪な

　　　詰まる濁音を

　　　たとえば悲鳴を

　　　喉。ならした

　　　聞こうと、沙羅

　　　怒号。ひびきだけ

　　　　　　だれもが

　　　　声。声が

　　　　　冴え、ただ澄みきっているしかなかった情熱だけがわたしたちを

　　　すでに骨格が噎せていたから

　　　　　　まさか

　　　　わたしたちの

　　　　　ゆるぎなかった

　　　すでに肌が掻きむしられたから

　　　　　　燃えひろがった恍惚を？

　　　　声が。声が

　　　　　冷淡だった

　　　すでに髪がつかまれたから

　　　すでに指がつかみあげるから

　　　　　昏迷など

　　　　声だけが

　　　　　　だれもが

　　　すでに足が蹴りあげるから

　　　　　あきらかだった

　　　　わたしたちの

　　　　　　まさか

　　　すでに拳がぶちのめすから

　　　　　明晰だった

　　　　声が

　　　　　　われを忘れ？

　　　怒号。ひびきだけ

謂く、はん？

　　　声。可能性などなにもないから

　　　すでに発光の渦しかないから

　　　すでに恐怖を越えていたから

　　　声。肉体がわなないたから

　　　怒号。ひびきを

　　　混乱の、…だれも

　　　肌の翳りなど

　　　あざやかだった。その

　　　男たち。声だけを

　　　うずまいた、…だれも

　　　沙羅の声など

　　　声。きこえい。その

　　　声。傷みを訴えた

　　　すでに骨格が噎せていたから

　　　すでに肌が掻きむしられたから

　　　すでに髪がつかまれたから

　　　すでに指がつかみあげるから

　　　すでに足が蹴りあげるから

　　　すでに拳がぶちのめすから

　　　声。契機だった

　　　停滞をやぶるその

　　　自覚など

　　　たかぶった、…だれも

　　　煽動の声など

　　　鮮烈だったその

　　　記憶など

　　　うわづった、だれも

　　　声。ひくい、しかも

謂く、ん？

　　　わめき。どこに？

　　　　　　消えた

　　　　肌に、色彩

　　　　　あざやかな哄笑

　　　右。だれ？叫び

　　　　　　白濁。散乱。そのゆれ

　　　　消えた

　　　　　頬。その

　　　声。須臾。ひびき

　　　　　　どこ？

　　　　沙羅

　　　　　消えたばっ奪われるようにおしっ押しつぶさなぎっなぎ倒さ

　　　すでに

　　　すでに

　　　　　消えた

　　　　沙羅

　　　　　　どこ？

　　　声。須臾。ひびき

　　　　　眸。その

　　　　消えた

　　　　　　きみ。汗。匂い

　　　右。だれ？叫び

　　　　　綺羅っ。らっ

　　　　褐色の肌

　　　　　　消えた

　　　わめき。ななめ

謂く、

　　　沙羅を嬲った

　　　だれもが飛び込み

　　　嬌声。男たち

　　　狂喜。女たち

　　　汗。男たち

　　　波。蹴られ、飛び

　　　砂。荒れ、散り

　　　雪崩れこむ

　　　わめかれた須臾に

　　　だれかが叫び

　　　嘲笑。瓦解

　　　その距離。崩壊

　　　群衆。倒壊

　　　留保なき

　　　雪崩れのように

　　　とりかこむ