アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -76 //あなたの肌にも/沙羅。いま/にじんでいくよ/白濁の帯びら//05





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   見て。沙羅

   人間たちが

   おののく。あなたに

   惡意を知り、いま


   見て。沙羅

   人間たちが

   わめく。あなたに

   屈辱を知り、いま


   見て。沙羅

   人間たちが

   おびえる。あなたに

   敗北を知り、いま


   見て。沙羅

   人間たちが

   ののしる。あなたに

   自虐を知り


   沙羅。あなたは

   うつくしい

   肌に、褐色に

   その汗が綺羅ら


   沙羅。あなたは

      かれら。気のぬけた

    見て。沙羅

     倦怠。そして

   うつくしい

      情熱。しかも

    わたしたちが

     唐突な失笑

   肌に、褐色に

      散漫な、しかし

    激昂する

     同情。やがては

   その汗が綺羅ら


   見て。沙羅

   人間たちが

   目を剝く。あなたに

   挑発を知り


   虐待されたものたちとして

   まもられるべきものたちとして

   ひとりのあなたに

   敵意をむけて


   かぞうべくもない

   口をさらした

   ひらかれ、ひらく

   昏い孔らを


   沙羅。知ってた?

      血を。いま

    わたしたちは

     波。散った。波

   人間たちが死滅したから

      はいてごらん。血を

    蔓延る。蔓延る

     とおくに冴えた、それが

   沙羅。知ってた?

      いま、汚れる。砂が

    わたしたちが

     靄。海の

   屍さえ腐乱していたから


   見て。沙羅

      むしって。いま

    なに?なにを

     鳥。飛び去ったよ。鳥

   見て。いま

      その眉、むしってごらんよ

    きみは、見て。いま

     ななめまえ、だれかの

   屍のうえで

      くちびるがふと

    あざ笑ったの?

     男のかかとに

   擬態していられた


   見て。沙羅

      膝を。いま

    なに?なにを

     騒音。車の

   見て。いま

      膝間づいてごらん。さかさまに

    きみは、見て、いま

     背後。ふと耳が

   人間のふり

      鼻水が、いま

    まばたきかけたの?

     流れ去る音、…貨物?

   人間たちが死滅したから


   見て。沙羅

      喉が、いま

    なに?なにを

     パラソルが

   見て。いま

      過呼吸になってごらん

    きみは、見て、頬を

     かたむく。灼けた

   屍の上で

      鼻孔のひらき。ふいに

    引き攣らせたの?

     バナナ葉の

   人間たちが踊り狂った


   見て。沙羅

      這う。いま

    なに?なにを

     砂に這う蔦の

   見て。いま

      爪を剝げ

    きみは、なぜ、いま

     花。花。とおくにふみ散らし

   人間たち

      餓えた。樹木が

    見ひらこうとしていたの?目を

     足。こどもたち

   人間の口に罵倒していた


   おびえ、あなたに

      虐待され

    昏んでいたんだ

     蹴られた。波。飛沫

   わめき、あなたに

      虐待されたものたちとして

    いたたまれない

     まもられ

   おののき、あなたに

      走った。どこ?

    情熱に昏み

     せめてまもられてあるべきものたちとして

   その哄笑に

   

   ひとりのあなたに

      唾液が、き

    いらだつ

     口。口。口

   敵意。数かぎりない

      糸ひき

    きみに

     口。罵詈雑言。歯

   口ら。そこらに

      ひき、綺羅

    昏い孔

     その肌に

   とおまきに


   怒号。聞こえた?

      顎に

    そのふとももに

     くるぶしに

   うすい哄笑に

      鼻先に

    その腕に

     股の翳りに

   まなざしが笑んだ

      腰。ふたつの陥没

    かしげた頸に

     そのくちびるに

   昏いままに


   狂暴ないろに

   睫毛。笑った?

   眉。そのかたむき

   怒号。聞こえた?


   沙羅。聞こえた?

   罵声。口。口

   人間。口。口

   罵倒し、なにも


   ためらいなどない

   沙羅に。路上に

   さらされた素肌に

   昏い翳りの繁茂にも


   ためらい?

      さわぎ

    綺羅。ながれ

     繁茂。翳り

   沙羅。なにも

      そこに、その身動き

    散り

     ちぢれあい

   路上。肌には

      股。繁茂

    綺羅。すべり

     ゆれかけ、ゆ。色彩

   ちぢれる翳りの繁茂にさえも


   容赦などない

   沙羅に。まなざしに

   虹彩のむれに

   昏い翳りの繁茂にも


   容赦など

      ゆらぎ

    綺羅。ふるえ

     繁茂。翳り

   沙羅。まして

      そ。すみやかな、そ。微動

    飛び

     もつれあい

   眸のむれにも

      股に、繁茂

    綺羅。とどまり

     かさなり、色彩

   からみあう翳りの繁茂にも


   光りら。沙羅

   ふれ、ふれ

   こすられ、こすれ

   ゆれ、ゆれて


   綺羅ら。翳りら

   わななくように

   散りかうように

   あざけるように


   綺羅ら。翳りら

      好き勝手に

    沙羅は

     野放図に

   わななくように

      いま

    自由だった。そこに、まさに

     すでに

   散りかうように

      おもうがまま

    だから、もう

     はなた!たれた!ときは!はなたれた!

   あざけるように


   せせら笑うように

     いいんだよ

    だから、もう

      おもうがままに

   飛びかうように

     肛門に

    解放されていたのだった。そこ。まさに

      好き勝手に

   ささやくように

     焼けた、たとえば鉄柱をぶちこんでも

    沙羅は

      いま

   綺羅ら。翳りら


   焰のように

   やわらかな隆起に

   這う。翳り。翳りいま

   燃えあがっていたかのように


   焰のように

   残酷なくぼみに

   茂る。翳り。翳りいま

   燃えひろがっていたかのように


   焰のように

      茂みが

    性別のない

     あかす

   やわらかな隆起に

      しかも、性別を

    恥毛がそっと

     まなざしに

   這う。翳り。翳りいま

      きざし

    まがり、ちぢれ

     激怒の視野に

   燃え上っていたかのように


   焰のように

      われをわすれさせ

    熱狂。しずかに

     声。けものの

   残酷なくぼみに

      おもわず、昏い

    ただ迅速に

     吼える。おもわず

   茂る。翳り。翳りいま

      翳り。昏ませ

    めまぐるしく

     情熱を咬ませ

   燃えひろがっていたかのように


   燃えひろまっていたかのように

     情熱。咬まっ

    めざましく

      綺羅ら。昏む

   茂る。翳り。翳りあいいま

     ひらく。おもわず

    まよいなく

      容赦なく昏い

   残酷なくぼみに

     喉。けものの

    熱狂が、きわだち

      醒めきった忘我

   焰のように


   燃え上っていたかのように

     激怒の視野に

    冷酷に、かたちを

      きざし

   這う。翳り。翳りいま

     まなざしに

    恥毛がそっと

      しかも、煽情を

   隆起。やわらかな

     あおりつづけていたのだった

    官能のない

      茂みが

   焰のように


   忿怒。けものたち

   わななくように

   散りかうように

   あざけるように


   せせら笑うように

   飛びかうように

   ささやくように

   激怒。家畜たち


   罵声。沙羅

   ふれ、ふれ

   こすられ、こすれ

   ゆれ、ゆれて


   綺羅。ながれ散り

   沙羅。のけぞり

   さわぎ、声。とりかこみ

   繁茂。ゆれて、色彩


   綺羅。ながれ散り

      われをわすれさせ

    激情が、ひとびとに

     息。けもののいっ

   沙羅。のけぞり

      おもわず、昏い

    目から目に

     すすりあげ、綺羅めき

   さわぎ、声。とりかこみ

      翳った。昏ませ

    鼻から鼻に

     閃光に咬まれ

   繁茂。ゆれて、色彩


   繁茂。ゆれて、色彩

   さけび。声。四維に

   沙羅。返り見

   綺羅。ながれ散り


   怒号。沙羅

   ふれ、ふれ

   こすられ、こすれ

   ゆれ、ゆれて


   ない。なにも

   沙羅。その笑みに

   そのまなざしに

   邪気などなにも


   かけらさえ

   匂いさえ、だから

   無垢。むしろ

   赤裸々な素肌に


   無垢。だから

      波。際限もなく、ひびき

    けものたちが

     ほら

   赤裸々な素肌に

      ひびきを

    おれ?

     鳥。——逆光。ふと

   褐色の肌に

      ひび

    白熱したよ

     滑走してゆく

   無垢。だから


   絶叫。だれ?

   ふれ、ふれ

   こすられ、こすれ

   ゆれ、ゆれて


   ない。なにも

   沙羅。その聲に

   そのくびすじに

   嫌悪もなにも


   わずかにさえ

   気配さえ、だから

   無垢。むしろ

   跳ね散る汗に


   無垢。だから

      ひかり。り。帯び

    けものたちが

     波

   跳ね散るに汗に

      雲は、ふいの

    だれ?

     砂。す。足

   白濁の帯びに

      切れ目を。失墜

    白熱したよ

     かさありあった

   無垢。だから


   歓呼?嬌声

   ふれ、ふれ

   こすられ、こすれ

   ゆれ、ゆれて


   ない。なにも

   沙羅。鎖骨のくぼみに

   ながし目に

   せせら笑いにも


   かけらさえも

   よこしまさなど

   わずかにさえも

   沙羅。だから


   無垢。いとわしい

   無垢。むざんなまでに

   無垢。汚らわしい

   無垢。うとましい


   無垢。いとわしい

      靄がかった

    けものたちが

     ほら

   無垢。むざんなまでに

      飛沫は、みなもに

    おまえ?…は?

     鳥。二羽?唐突な

   無垢。汚らわしい

      溶けた

    白熱したよ

     旋回を

   無垢。うとましい


   憎悪を纏った。沙羅

   ふれられもせずに

   いらだちを纏い

   ふれ得もせずに


   だからそこに

   路上の砂に

   アスファルトに舞った

   砂粒をふみ


   沙羅はそこに

   砂浜の砂に

   ぬれた、乾いた

   しら砂に


   無垢。いとわしい

   無垢。むざんなまでに

   無垢。汚らわしい

   無垢。うとましい

   無垢。いとわしい

      ひびわれ

    けものたちが

     ほら

   無垢。むざんなまでに

      ひび入ったに似

    燃える歯ぐきに

     また誰か、ふと

   無垢。汚らわしい

      波。ひびき

    血を飛び散らすんだね

     口をふさいだ

   無垢。うとましい








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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