アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -74 //あなたの肌にも/沙羅。いま/にじんでいくよ/白濁の帯びら//03
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
謂く、
好き?海?
海。好き
なぜ?そばにいるから
あなたがいるから
好き?波?
波。好き
なぜ?永遠だから
滅びないから
謂く、
好き?海?
みなもにも
かがやけ!かがっ
凶暴だから
海。好き
太陽は
かってにそこで
しかも
好き?波?
野蛮だから
きらめけ!きらっ
空の底にも
波。好き。まばたかない。沙羅は、笑いかけた口元を、停滞。それは。とはいえなにかためらいがあったわけではなく。羞恥があったわけではなく。凍りつかせざるを得なかった昏い感情がきざしたわけでもなく。ただ唐突で、不用意で、不可解で、だから剥き出しの停滞。幸福。想えばランが
物質など存在したことがない
まるまって
もっともしあわせだったのは
あり得なかった
まるまったこころが
たぶん、あの
須臾さえも。それらは
ふと
むしろ悲痛な記憶にすぎない
赤裸々な事象に、ただ
はじけとび
ハン。ひとり
赤裸々に
ふと
隔離された離れを訪れた、その日前後の一時期だけだったのかもしれない。家屋に向かうバイクの前、背中どころか、ただヘルメットの頭部。ハンドルを握るランの、だから表情など如何にしても見えなかった。日焼け対策のサングラスとマスク、それらがよりわたしたちを引き離す。まさに、至近にふれあいかけながら、そこ。ヘルメットのしろの向こう
あなたなど存在したことがない
のびきって
ひろがっていたはずの
有り得なかった
のびきったこころが
ランが見ていた
須臾さえも。それらは
ふと
風景。なにを?わたしは
赤裸々な事象に、ただ
はじけとび
しかも、鮮明に。普通ではない
赤裸々に
ふと
ランの、おののきにちかい不安にかたむく気配を。なぜ?やがて見えてきた家屋。それが目的地だと、ふいにゆるむ速度。知った。ラン。ふとかかったわたしの体重にあらがい、ふたしかなハンドルを切ったラン。ミー・クアンの店の前に止めた。歩道にまで客の群れ。なにもない。でむかえなど。だれも。こぎれいとは言えないそこ。ただ
…と、わたしはささやき
すべる
客を散らした、だから
わたしなど存在したことがない
ふるえながら
口に啜るひびき。ふれる
有り得なかった
ずれる
それとない喧噪。そして
須臾さえも。それらは
からみながら
それとない静寂。しかも
ゆれる
赤裸々な事象に、ただ
沈黙さえも
赤裸々に
ちぢみながら
存在しない。そこ。稀れな親族の来訪。ランとわたしに歓呼の声をあげたひとなど、だれも。ランが尻をふった。降りろと促した。そのとき、わたしは不穏を感じた。店の人間たちの冷淡に?まさか。いつものこと。その、朝九時すぎ。ダナンの家の前で朝食を食べてきたのだった。ふたたびここで極端に早い昼食を?ラン。ヘルメットを脱ぐのを一瞬、ためらった。なぜ?やがて慎重に素顔をさらしたラン。返り見たわたしにだけ、いきなり素直な笑顔を見せた。文字通り、あふれかえるばかりだったただ幸福な笑み。わたしはまばたくことさえ忘れた。ややあって、せめてぎこちなくにでも笑みをこころみた。ただ、しあわせなランのためだけに。ランのななめ背後、砂にうもれたアスファルトが、砂のしろに色彩をなくす。日射しがそこに、うすく積もった雪じみた綺羅を散乱させ、雪?それは、この亜熱帯のホモサピエンスたちの構築しつづける破壊と穢れを覆い隠すための。せめてもの?ひとびと。それら、散乱をランは素通りした。こっちよ、と。…さあ、
Đi nào
そんな一言さえかけないまま、たぶんもう、ランは忘れていた。わたしに笑んでいた事実さえも。ラン。わたしたちの周囲。無関心のさざめき。断わりもなく店の奥の、居住者たちのエリアに侵入する。ランのあとを、わたしは追った。いつからだったのだろう。気づいたのは。そこがランの、だから結婚式のまえにはかならず訪問しておくべきだれかの家だったにちがいないと思いついたのは。とまれ、いきなりの
あ。いま
ほどけ、ほどかけ
光りに
ん。いま
ほころび、ほころびあい
さらされた。家屋の昏がりのさき、ふいにひらけた空間。家屋はいやがうえにも昏かったのだった。バイクのうしろで、外光の赤裸々にさらされつづけた眼には。ふいに入り込んだ孔ぐらにも似て。古い家屋。意外に清潔だったのかもしれない。しかし、ただの陰湿なうす闇。冷む翳りのややさきに光点があったのはすでに知りつつも、ふたたびの外光はことさらに目を昏ませて、庭。唐突な林にまわりをかくされた、ささやかな。
すいこんだ
すべて、言語とは
裏庭。
こころ、いっぱいに
いわば形容詞にすぎない
草。
かおりたち
わたしたちは破綻した
つち。
こころ、いっぱいに
いわば形容詞にすぎない
匂い。
すいこんだ
すべて、思考とは
まどっていた。表の車道からは、こんな風景など予測させなかったから。再開発の途上の更地、取り残された家屋のまばら。その一軒の裏。まさか、林なす樹木の群れがあったなど。もちろん、林などと呼ぶべくもない数本にすぎなかった。ただ、須臾、まなざしは濫立と見た。すぐに目が知る。ランの庭の繁茂を想えば、ささやかすぎるということばにさえ、おつりを払う。光源のただなか。離れの小屋。コンクリート。ペンキはうす綠り。開かれっぱなし窓と戸。いずれも木製。青ペンキ。窓のひとつ、右だけはずれかけていた。戸をくくぐり、翳りのなかにランは入ろうとし、背後、わたしはその髪の毛の匂いを
網膜とは
蝶?…あれ?いま
嗅いだ。うっとうしいとさえ
這うための道具であった
垂直に
想いながら。あまりにもゆたかな、だからその野蛮なまでに息づく肉体がそっと、しかも無造作に近づくのをわたしはすでに赦しつつも、臭気。芳香?まだ、やや離れたこころもとない距離。沙羅。濡れた髪。それらの、蒸れたに想えた匂いを
網膜とは
蝶?…あれ?いま
嗅いだ。厭わしく?実は
咀嚼のための道具であった
垂直に
そそられながら?恍惚と?不快に鼻を?その臭気。いまだかつて嗅いだことのない匂い。しかも、なぜかなつかしかった。親しみがあきらかだった。まるで、たとえば、海?潮の匂いをはじめたときに?その床。御影石。磨かれた表面。それはいくらふるびようと、ふるさをはついにさらし得ない。ただ、ひび割れの点在だけが。床のまんなか、あぐらをかいた女。籠る、悲惨な匂い。体臭?ちがう。髪の?まさか。白髪の散乱。床に手をつき、尻と腕で這うような。女。清楚な外貌。見たのはただ、良質にさえ想えた加齢。枯れるということの、うつくしさ。まなざしにすでに、もはや体臭というなまなましいものなど感じさせない。あんなものは未熟に脂ぎる肉体の過失にすぎない、と?澄んだ水にもまして匂いに見放され、しかも匂い。籠り、染め、籠り、ぬりたくり、籠りつづける
花ほど悲惨な
散る。きみの
臭気。花。
悲惨なものは、な
舌にち、なに?
撒き散らされた、床のうえの、花の
花ほど無謀な
舐められていた頸すじに唐突に
群れ。手づかみに、咀嚼の完了をもまたず、ゆびさきのふれしだいに貪り喰われる花。花。花。だから、屠殺?花々。その花。花。花。屠殺現場?女。彼女の足も、ふくらはぎも尻も、かかとも手のひらもなにも、そこに花を踏み散らしはしなかった。奇蹟的なまでに慎重に。花の、だから、果汁。咀嚼され歯がつぶすかぎりでの花の臭気。そして惨殺の痕跡がつもり、つもりかさなり、飽和しきった堆積のはてに変質した匂い。その空間を
失踪する
燃えるような
支配していた。かならずしも、
まなざしに
藁がわらっと
強烈さもなく。…ママ。
ぼくだけが、ふと
燃えたような
ランの。…マミー。
失踪する
匂いです
ランの。…メ・オイ。
風景に
くずれるような
ランの。…思わず
ぼくだけが、ふと
薪がばきっと
こぼれた笑みのくちびる。わたしだけ。察していた。母、と。だから不埒だった。不遜だった。愚弄だった。侮辱だった。まさに、ランに対する、それら、——すべもなく。とどめようもなく、なぜ?笑み。わたしに。しあわせであるべくして、そのくせただ煩雑なだけの数日。結婚式前の。身もふたもない繁忙の隙き間をこじあけてランが、わたしにさらしものにするべき破綻した人間の残骸。そんなもの、母親以外にはありえない。もっと、ランが咬みつかれているはずの
もう、ね?
でも、ね?
傷みにこそ、わたしは
手遅れだから
きみが優しい
染まるべきだった。そんなことは、
ぼくは優しい
手遅れだから
知っていた。しかし。
でも、ね?
もう、ね?
ランの家屋には、たしかに母親の気配はなかった。父親のそれも。または、ひとりいるといつか言った弟のそれも。仏壇にさえ、それらしき遺影はなかった。だからたんなる不在。タオの母親もそうだった。わたしの眼には、タオ。健康的に見えた褐色の肌。おさないタオ。…十二歳?ハンの弟、カンのむすめ。いまは、ランの祖父の家に住む。タオは実父カンが最初の妻に生ませた子だった。結婚は数年というにさえ至らない。ほんの一年とすこし。そのあと、あたらしく婚姻された女。その女も娘をひとり生んだあと、別の家に住みはじめた。娘とともに。法的に離婚していたのかどうか、わたしは
繁殖。おっと
翳る。急激に
知らない。カンが
突然の、ん?
窓のそとが
死ぬまえと
増殖。おっと
なぜ?
死んだとき、それぞれ一度だけ
不用意な
さわぐ。赤裸々に
見た。タオはランになついていた。ランが母親がわりということだったのか。十五、六歳しかちがわないものの、十二歳にとっては絶対的な年長者だった。ランは、暇があれば祖父の家を尋ねた。わたしを連れて。タオの実父カンはやがて、癌で死んだ。タオが繰り返した家出の、最後。ついにその姿を親族のだれもが見失った十六歳の失踪の直前。はじめてランに、シスター、と。そうささやかれて紹介されたタオは、祖父の家の庭先に、すなおに外国人への繊細な拒絶を見せた。無言。はにかみと、勝手な被害者意識とにひとしい、容赦ない排斥。そのころすでには学校に通っていなかった。タオが放棄したのか、放棄させらたのか。そしてただ、忠実だった。人狎れしないまま、つつましく清楚という、彼女の知る少女のコンセプトに忠実に、そのおさない挙動を制御しようとして。まなざしに、あるいはときにあからさまに感じられた昏さは、あるいは、わたしには知られないまま身の上の苛酷が強いたものだったか。それとも肉体上の見かけにすぎなかったのか。だからその沙羅がもはや至近に近づき、おもわずふれようと?
見ていた
日影に花。花
わたしに?
きみを。そっと
ふんづけて
抱きしめようと?
そこに、滅びてゆく
ふんづけちゃって
わたしを?
きみを。…だれが?
日影には
ちがう。ぜんぶ。ちがった。彼女はとおりすぎただけだっから。そっと、わたしのかたわらを。窓に、あかるい九月二十一日の朝の、そして背後。とりのこされていたランを返り見た。わたしは。かがみこんでいた。女を。わたしは。そばに近づき、膝をついき、花を喰う女。その頬のちかくにまで、顔。そんな顔をもたげて、ランに。頸をのけぞらせ、ランを。だから、そこ。入口にすがって立っていた、
咀嚼。鼻孔に
一度も
ラン。木戸にもたれ、しかも
咀嚼した。きみは
愛し合わなかった
あやうく、うなだれた
咀嚼。のど越しに
我々は
ラン。苛酷すぎる拷問にうち倒された、凄惨な
咀嚼した。きみが
一度も
犠牲者。…
咀嚼。耳たぶに
憎み合わなかった
ラン。いたましいと、ただそうとしか見えなかった
咀嚼した。きみが
我々は
かたむいた
咀嚼。爪うらに
一度も
ラン。傷み。傷み?いとおしさ。傷みにもはや一致しかけたあやういいとおしさ。そして、怒りも。見ていた。ランのくずおれかけた背後、やさしげな老婆が立っていて、…ひくい。ささやく。ランに、ランよりちいさな老婆。ただわたしをだけ見て茫然と?ちいさな、畸形的に見えたほどのちいささ、こづくりな女。老婆。むしろありふれている。特徴などなにも、特に、ただの老いぼれ。そのくちびる。それだけがささやきつづけ、目は見つめ、ただわたしを、やさしく、やさしく、媚びを欠いてやさしく、片思いで満足した、例外的な恋する少女のあきらめにさえ似せ——花ばかりだよ。…と?聞き取れないベトナム語。わからない。なにも、わからないながらに耳には確かに、…花ばかり、さ。ああやって——あきらかに、
花ばかり
這うんだよ
…なぜ?
花ばかり食べてて、…ね?
むさきいろの
そこにただ
もう、さ
水に沈む虫たちが
音節のみを
どうしようもないのさ…でも
這うんだよ
さらしただけの、
娘だからね…
だから
違うかも。むしろ
しかたないのさ
虫たちは
ぜんぜん、ぜんぜん
まさかね。…こんな
沈没ばかりさ
違うことばを?
こんなふうに、ね
這うんだよ
老婆は、あるいは
こんなふうになるなんて
顎を、いきなり
ののしりを?
花ばかりさ
しゃくりあげ
忿怒を?
一日中、もう
しゃくって、さ
あるいは狂気の、
花だらけなのさ…と戯れ言をでも?もちろんその花喰う女が、本当にハンの母親だったのかどうかなどわたしは実は、知らない。そうとしか想えないというだ狂気のことばを?絶望のことばを?糾弾のことばを?老婆はそこに、…なに?なにを?安堵していた。老婆は。連れこまれたのが外人だから。ベトナム語などわかるはずもない。だから老婆は
花ばかり
ひらくんだよ
いま、もう
見殺しかい?
もう、なんら
花ばかり食べてて、…ね?
頭の上にさ
すぐに、さ
ひとことでも
部外者への憚りも
もう、さ
うえのほうにさ
頸でも、しめて?
かける言葉も
遠慮も
どうしようもないのさ…でも
でっかいのが
殺した方が
ないふりかい?
警戒もなにも
娘だからね…
突起がね
だけれども、さ
だれのせいだい?
だから
しかたないのさ
ひらくのさ
できないから、さ
あんたを、さ
その皴のよる
まさかね。…こんな
そういうもんだろ?
こんな、さ
うんでからだよ
くちびるの荒れ
こんなふうに、ね
しろい花は、さ
見てられないだろ?
殺したんだよ
すさんだ喉。それにあまりに
こんなふうになるなんて
とくに、白けりゃ
一目さえ
あんたが、その
不似合いだった
花ばかりさ
飲み込めないさ
見てられないもの。でも
手づから殺して
つややかな
一日中、もう
でかすぎて、しかも
あんた、わかるだろ?
ぶちこわしたのさ
声のうるおい。その
花だらけなのさ…とでも?その
したたるのさ、…とでも?だから
生きてるのさ…すぐ…とでも?そこに
だからあんたの…とでも?朽ちかけの老婆は。もちろんそれが、本当にハンの母親だったのかどうかなど、私は知らない。ランはなにも言わないままだった。だからあるいは母親の姉妹、たとえば姉のひとりだったのかもしない。とまれわたしはそっと、その媚びのまなざしに向かってほほ笑み、もはやじぶんがすでにせせら笑っていることをさえもひかり。もう
気づきはしなかった。そこに
泣かないで
明けきった朝が、そこに
立ち尽くすような、ふいの
いま
ひろげていた窓のそとの
唐突な絶望じみた、そんな
そこに、もう
綺羅。空を?
沙羅のその
夜が殺された
海を?
たしかにあまりにも
しかも
その沙羅。
煽情的にもうつくしい
その亡骸さえも
窓際の、沙羅は。
後ろ姿に、なぜ
燒きつくしていた
わたしに
下卑た軽蔑の
光り。綺羅らが
ややななめにかたむく
侮辱の笑みを?
これみよがしにうしろすがたを見せ、翳る。流れ墜ちる直線に近い上半身の繊細に、翳る。貪欲な腰をせせら笑わせた沙羅は、しかも翳る。綺羅めく。ふちどり。綺羅の。だから須臾、そこにあるべくもない光暈が存在したかに錯乱させ。沙羅が匂った。髪が。汗も。その髪に。だからすでに抱きしめられてうしろから、抱きしめられたそのままにひと目も気にせずにおしつけたくちびる。鼻孔。その髪の、かすかに、しかも鮮明に、ラン。汗の沁みた匂い。ランは、あの海。そこに波うつ潮のあやういちかくに匂わせるみだら、と?かたわらに老婆は思っただろうか。ふしだら、と?おもわずささやきを断ち切って、…ね、と。
そのささやきがランのくちびるにもれたとき、…なに?わたしは喉の奥にだけ、…日本語?ランたちの言葉?それとも他の、他人の言語で?なに?あの海の向こうに日本はあるの?…と。いつか、海辺で、それら、言葉。ランの。二度。…三度?…二度。ランは日本へ行った。わたしと。翳りを知るラン。やつれかけた、だから、ランにかならずしも日本は未知の国でなく、地図上の位置関係などすでに熟知しながら、だから、唐突な、不用意な、ことば。頸をのけぞらせた。ラン。かすかな上向きの顎。わたしはくちびるをあてた。夕方。海。まばらな人。ランのまなざしがそのときわたしを見ていたかどうか、わたしはついに見止めなかった。謂く、
喰う。花
はぁ?鼻
鼻をぐ。こすり
花喰う女は
まみれ。ま
花。しる。は
鼻。はなじる。ば
ま。みれま、みれて
聞かせてよ。…と
やや背後。そこ
かたわらの女に
ね?息遣いを
だいじょうぶ。…と
ななめよこ。そこ
ほのめく温度に
だいじょうぶ。…と
あなたじゃない
わたしじゃない
赤の他人じゃない?
だれでもない
謂く、
聞かせてよ。…と
生きてる?
うれい?
見えないけど
やや背後。そこ
まなざしのそと
かたむく
いる?そこ
かたわらの女に
生きてる?
顎。花喰い
見えないけど
ね?息遣いを
喰う。花
はぁ?鼻
鼻をず。すすり
花喰う女は
まみれ。か
ふん。か。ま?
鼻。かふん。は?
ま。みれま、みれて
聞かせてよ。…と
やや背後。そこ
かたわらの女に
ね?これ誰?と
だいじょうぶ。…と
ななめよこ。そこ
ほのめく気配に
だいじょうぶ。…と
人間じゃない
魔物じゃない
ただの莫迦じゃない?
欠損にすぎない
謂く、
聞かせてよ。…と
泣いてる?
嗜虐?
見えないけど
やや背後。そこ
まなざしのそと
ささやかなかった
いる?そこ
かたわらの女に
泣いてる?
言葉。わたし
見えないけど
ね?これ誰?と
喰う。花
はぁ?鼻
鼻をぬ。ならし
花喰う女は
まみれ。ま
だれ。は?よ。ま?
鼻。よだれ。はぁ?
ま。みれま、みれて
謂く、
喰う。花
花喰いのか。顔
自虐としてわたしは
顔しゃぶれ
くらっ花喰いは
なすれ
背後のあなたをひきずって
しゃぶれ
花喰びらっ
顔なすれ
連れて行きたかった
花喰いのか。顔
喰う。花
0コメント