アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -73 //あなたの肌にも/沙羅。いま/にじんでいくよ/白濁の帯びら//02
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
謂く、
好き?海?
海。嫌い
なぜ?くさいから
くさすぎるから
好き?波?
波。嫌い
なぜ?うるさいから
うるさすぎるから
謂く、
好き?海?
空にも
かがやかないでください
凶暴だから
海。嫌い
太陽は
かってにそこで
しかも
好き?波?
野蛮だから
きらめかないでください
水底にも
波。嫌い。物音。そこに。ふと。耳にひびく。返り見る。わたしは。すでにまなざしはなにが見出されるのか了解している。沙羅。それは。勝手にひとり入っていったバスルーム。そこに、わたしがあるいはうつした汗をも…だから沙羅。その腕が抱いていた、あるいはその足がからめていた、それらの消失。洗い流した。名残りの余地もなく、じぶんのにじませた汗の厖大をも。匂い。付着したその成分のむれも。体液も。それに繁殖しかけたかもしれないすばやい細菌をも。沙羅。洗いたての清潔をそこにさらし、いい加減なバスタオルに
海を…ね?
見えない
いまだ肌も
見てたんだ。海を
…ね?そこに
髪もぬらし
…ね?…その
海は、…ね?
だから、まなざしは
海を…ね?
ただ綺羅の散乱
そこに昏んだ。赤裸々な、須臾の痴呆に。窓際に立ったわたしの背後、逆光なす窓の明るさのふいの横溢に、沙羅はしかも、ほんの一秒に満たない刹那の事象。赤裸々だった。そこに、わたしの眼には。沙羅の目の痴呆は。なににかくされるすべもなく素肌をさらし、沙羅は挙動の
海を…ね?
不在?それは
わずかにも、気配の
ひとりで、そこに。海を
…ね?そこに
わずかにも、なにも
…ね?…その
海は、…ね?
なにもかにも、ただ
海を…ね?
ただ翳りの散乱
直射に赤裸々でいるしかなかったから。まばたく沙羅の瞼を見た。すでに消えていた。痴呆の、なにかどうしようもなくあかるい気配、しかもどうしても手のとどかないそれ。とっくに。まなざしはだから、昏い、切実なしかも嘲弄のあらわな
海を…ね?
さらさない。それは
そんな昏い目に、その
見てた。赤裸々な海
…ね?そこに
沙羅は、もうわたしに
…ね?…その
どこにも
見られてはいなかった。ただ
海を…ね?
色彩を、なにも
海を見ていた。わたしも。沙羅も。すでにわたしのひだりのかたわらをとおりすぎ、沙羅。まなざしの狂暴に、聞いた?そこに、波打つとおくの、もはや波打つ波の存在の事実さえも明かしてはいなかったそれら、海。まさに鳴りひびいてあるべき潮騒。ざ、ざ、ざ。と?むしろざらざらと?あるいは、
まなざしの限界は、ただ
そこ。あざやかに
なにを?…その
色彩をしか
見える?
狂暴なままに、ふと
見出さないこと
見えた?
茫然としていたまなざしに、沙羅。知性などなにもない。沙羅。けもの以下のいきもの。沙羅。生物の恥辱。沙羅。そのまなざしに、そこに遠く見いだされていた海はいったい、なんだったのだろう?けだもの以下の沙羅。恥辱。沙羅。その沙羅に知られた赤裸々な海が、わたしの知るそれにおなじとは想えない。あるいは
ぼくらの限界は、ただ
いま、あざやかに
ラン。いとしい
色彩以上のものをしか
見える?
彼女の見た
見出さないこと
見えた?
いくつかの海も?海。嫌い。ラン。およげないから。海はそこ。まなざしのなかに綺羅とわずかな翳りの生滅の、すさまじい事象の厖大としのみ見出され、すでに明けた海。東にひろがるそのみなも。ゆらぐ。ゆらぎ、くずれすぐさまに生起する白熱。あたたかみのないそれ。ひかりの帶、あくまで集中力のないそれ。綺羅。翳り。波打ちぎわ。そこまで
きみが笑ってくれるから
とける。砂
近づけば。砂浜にさえ
きみがささえてくれたから
かたむく。砂
おりれば。沙羅。たとえばその素足に砂をふめば、太陽。発光。しろ。しろとそして微細な色彩。光暈の。昏い。まなざしの昏み。閃光に射されみなもにながいひかりの生滅の帯びが、しろ。ひたすらなしろ。もはや、しろいと名指すことさえためらわれた、容赦ないしろ。こがねのきざしさえ撒き散らして波打ち際、ついに、砂。ぬれた翳り。その伸縮。波うつまま。息づかうように。ひかり。ひかりに眼をほそめたランが帰りましょうよ、と、
Anh, đi về
たまらずささやき、耳の
Nhan, đi về
ふれそうな至近、ふと
Anh, nhan, về
爪さきだつラン。ヴィエン。その
Biển
海。ランに愛されはしなかった。いちども。須臾にも。水がこわい。しかも、日射しの直射をなにより厭う。ラン。白い肌をことさらに貴ぶこの国、むしろ誰よりも濃い褐色の肌を、もはや野蛮なばかりに見せつけていたランは、…もう、…ね?わたしの腕を
手遅れだよ
もう、…ね?
汗の潤いをかじさせたその
もう、…ね?
飛んでゆく。鳥
腕に搦め、そっと
なにかも、もう
もう、…ね?
引き、しかもめずらしいほどに
手遅れだよ
飛んでくる。鳥
強く。あくまでも彼女としては。繊細過ぎる、すでに翳りにふれたラン。朝焼けの海にランをさそったのは、わたしだった。理由…翳り。急速に知る。翳り。衰え、翳りに、衰えに、さからう気もなくやつれ、かなしむ。やつれを。かなしみのあまりにより翳りはじめ、ラン。せめて、取り戻したかった。無防備な笑い顔を。ランに…わたし?わたしたちに?日射しのなか、くらぶべくもない若い女たち。遠慮ない、その粉ちらす匂い。…だから、好き放題に妊娠できる、不遜ないきものたち。傷められているだけだった。ランは。わたしさえも。そう、わたしには見えた。そのランも。ランの虹彩のしろい翳りも。だからまなざし。わたしまなざしのなかにランはただ赤裸々に翳る。謂く、
キスを、しようか
これみよがしに
破廉恥に。なぜ?
記憶するために
きみが無きあと
わたし無きあと
泣き声さえつき
恍惚を知るとき
謂く、
キスを、しようか
不安を咬んだ
なんども、ね?
泣いていたら?
これみよがしに
なぜ?
なんっ。な
振り返ったそこ。きみが
破廉恥に。なぜ?
不安が散った
なんども、ね?
泣いていたら?
記憶するために
きみが無きあと
ほほ笑み
せめても、ね?
悲しむべき、なにが?
わたし無きあと
わたしは
せめ。せ
いま、ここに
泣き声さえつき
ほほ笑みだけを
せめても、ね?
なにが?
恍惚を知るとき
散った。周囲に
潮。それら
臭気。赤裸々
匂い。きたない
悲惨だった
鼻。それら
嗅ぎ、赤裸々
おどろき。きたない
みじめだった
目。それら
見出し、ただ
知った。きたなさ
周囲に散った
綺羅ら翳りら
色彩も、赤裸々な
異形。きたない
いびつ。きたない
色彩も、赤裸々な
綺羅ら翳りら
周囲に散った
知った。きたなさ
見出し、ただ
目。それら
みじめだった
おどろき。きたない
嗅ぎ、赤裸々
鼻。それら
悲惨だった
匂い。きたない
臭気。赤裸々
潮。それら
散った。周囲に
やらしく、しようか
これみよがしに
恥知らずに。なぜ?
記憶するために
きみが無きあと
わたし無きあと
涙さえもつき
茫然を知るとき
謂く、
やらしく、しようか
苦悩を咬んだ
なんども、ね?
燃えていたら?
これみよがしに
なぜ?
なんっ。な
振り返ったそこ。肉体が
恥知らずに。なぜ?
苦悩が散った
なんども、ね?
燃えていたら?
記憶するために
きみが無きあと
ほほ笑み
せめても、ね?
弔うべき、なにが?
わたし無きあと
わたしは
せめ。せ
いま、ここに
涙さえもつき
残酷な笑みを
せめても、ね?
なにが?
茫然を知るとき
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