アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -66 //ひらかれた。いま/扉は、沙羅。いま/目のまえ。ふいに/沙羅。返り見た//04
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
謂く、
知ってた?いま
いまおれ知った
まじ?肉体ってさ
機械だぜ。装置
知ってた?いま
いまおれ知った
まじ?精神ってさ
機械だぜ。装置
謂く、
知ってた。もう
ささやきなさい
憎惡などなかった
むごたらしいほど
肉体と精神
飽きるほど
ほんとうは…まじ?
悲惨なほど
それってさ、壊れ得る
ばかばかしいほど
嫌惡などなかった
ささやきなさい
機械だぜ。装置。ためらう。傷みとは言い切るには、しかし傷みというしかないにぶい感覚。膝間付いた骨格。その、だから曲げた膝の彎曲がタイルに感じていたそれ。しかも、わたしを倦ませるでもなく、そもそも明確な意識さえも。ふれていた。くちびる。鼻も。ひたいも。眉も。わたしは眼の前の沙羅。その腹部のふくらみのこころもとないやわらかさにそっと。くちびるに触感。ぬれたそれ。しかも、水分そのものをは、…には?拒絶し、され?た、だから、皮膚の乾き。いまだシャワーの水滴に濡らされたわけでもなかった沙羅が、そこに潤わせていたのは、だから汗?エアコンの冷気に
窓の向こうは
綺羅めきのなかに
支配されない
吐き気がしそうな
まようことなく
隔離に。あるいは
熱気。ひかりの
焦げてみないか?
夜、眠りの中にそっとにじみ、肌の表面に蓄えられてしまっていた、それ?体液。匂い。至近に、だから沙羅の肌の?その肌。褐色。にじませていた
ゆれ、ゆ。ゆ。
陽炎。それは
体液の?
ゆれてゆ。ゆれつづけ
事象であって、実体がなく
なにをどうと
ゆれ、ゆ。ゆ。
故に実体とは事象が見
嗅ぎ取ることもなく、そして眼をとじることもなく、わたしは見ていた。葉子。その閉じられたまぶたを。眼の前に、狂気。彼女はだれ?母と、それでも猶も?もはやそんな疑問をさえ風化させた、赤裸々な狂気の女。十六歳のわたしは、壬生に与えられたそこ、神宮前の
寄生する
這う。獏が
マンションの
ラフレシアのように
吐く。めくるめく
一室の中に、
寄生した、ぼくら
原子雲のなかに
ビラ・ビアンカ。古き良き
もろく儚い
獏が、は
豪奢なアメリカ。…なぜ?西向きのそこ。わたしたちを、最初は代々木の五丁目に押し込んだ。低層マンション。数週間の転居命令。たぶん、クレーム?ときにわめく明け方の声。葉子。ビラ・ビアンカは賃貸されていた。空いて数日が経っていた。正則に連れてこられたとき、十八歳。年下の少年と狂気した女に、不安。不安定な矜持としての不遜をかくせない優等生。青学入学。前の居住者の、残した汚れと傷みがそのままだった。絨毯の日焼け。なぜ、購入するときいちいち西向きの部屋を選んだのだろう。北面の窓もありつつも、容赦ない日没にさらされる部屋。西日は射さない。まだ、朝だったから。すでに
冷酷な、目だった
どのつらさげてここに来た?
目を覚まし、まどろみもなく
そう思った
あんたが連れこんだんだよ
ただ、まだ身を
そう思おうと?その
いまさら、なにしにここに
起こさないただけの
雅文の父の、目
あんたが連れ
わたしは、葉子。その、ノックもなしの、進入。部屋。わたしは絹ずれの音をだけ聞いた。まぶたをひらきもしないで。葉子はためらわない。そこが、じぶんにすでに赦された居住空間であるかのように。「だから、まったく、気付かなかった。おれも」
「無能だから?」そして、ただ
「壬生の、…とか、まわりの」
ななめに、しかも
汚点
「節穴だから?」そこに、その足音をだけ
「やつも。…でも」
ふきこぼれるように
唐突な
「知能ないから?」しのばせて。…なぜ?
「勘違いするな。放置してたんじゃ」
ひかり。差し
汚点のように
「噓。むしろ」そこに足音をしのばせなければならない必然があったのか
「大切にした。せめて」
射しこんで、そこに
かさぶたが、ゆび
「いたぶってた?」まどいはない。わたしに
「彼女を守って、せめて」
息を飲み
足。おやゆび
「なぐさみもの?」だから耳をすまし
「月並みな幸福?」
わたしは
なぜ?
「殴ってた?…てか」すでに知ってる。それが
「月並みな、」
かたむいて、しかも
いつ?
「汚物処理?」うたがいもなく葉子だと、その
「生活。月並みな…」
やさしげに
こすれたような
「体液処理?」ビラ・ビアンカにそとから足を踏み入れるのは
「なに?…、まさか」
ひかり。差し
線。一本の
「ちがうね。あんた」稀れに正則。そして毎日の
「あんなに、彼女が」
射しこんで、そこに
うすい
「しょせん無能な偽善者でしょ?」わたし。それだけ。そもそも
「子供を。…だったら、」
須臾、忘れた
かさぶたが
「いまさらおれが強姦してやっときゃよかったって?」葉子はそもそも
「自虐するな。お前は」
傷みを
汚点
「やっちゃえばいい。あの」そとに出ない。意図されざる
「おれの子供だから。お前は」
綺羅めいて
唐突な
「人間の羞じと」軟禁。監禁?葉子はそこにだけ住んでいた。歩くことさえ、ほぼ放棄した。五体満足なまま、必要とあらば飛びあがりながら、跳ねあがりながら、駆けるふりさえ息づかう。葉子は、眠り、目覚める。葉子は、喰い、吐き、下痢し、ときに、稀れに譫妄状態になり、なぜ?排便し、放尿し、汗をかき、新陳代謝し、いまだ止まない生理をむかえる。その血のにじみに、「なんのメリットあったの?…あんたに」
「犠牲になられたかたの」厭うこともなく
「なにそれ」
やわらかにしか
まなざしは
「犠牲者の、だから」嫌惡することもなく、葉子は
「無難な言い方しようとしすぎて逆に難解になりすぎる無能やめて」
ふりそそげなくば
その滅びの時まで
「おまえのほんとうの」下着をよごしながら。安堵?
「死んだら?」
燃えて。いっそ
ひかりしか見ない
「母親の名前は、」足音と衣擦れに、それが葉子にちがいない事実を知ったとき安堵を?わたしは。ほんとうに?その葉子が、そこに、あやうくさかさまにかたむくかけた頸。目。口。おののきとも憎惡とも羞恥とも恐怖ともあやうくすれ違う、孔たちのほのめかし。あるいはふるえる顎。刃物を、たとえば口に咥えていたとしたら?その「…から、さ」
「いいよ。もう」葉子が。そこに、たとえば自分の手のひらから刺し貫いていて、甲に突き出した血の切っ先にわたしを刺そうと?あるいはその
「だ。から、さ」
なに?それは
いいですか?
「なにも、お前」葉子が。そこに、たとえばその眼をカミソリで
「ね?」
なに?そこで
人間でいても
「言わなくて。もう」引き裂きはじめるとか?アンダルシア産の蟻のように
「聞こえて?この」
さっき、頸を
いいですか?
「なにも、だって」停滞。そして
「声…やばっいま」
ふと、かしげかけ
なんですか?
「お前、もう」唐突なひびき。その
「あなたのために」
ください。わたしに
人間とは
「まともに、…さ」決して悲鳴でも、まして
「そんな、あなたの」
辛辣な傷みを
なんですか?
「わかる?…まだ」嘆息?まさか。その
「あなたのためにだけ、」
なに?それは
いいですか?
「おれの、声」かすかなおどろき?
「いま、…ね?」
なに?そこで
人間扱いしてもらっても
「おれの」そうではない、その
「ささやいてるよ。いま」
さっき、触手を
いいですか?
「ね?…って」あ。…と、お。
「まじなの?」
ふと、まげかけかて
なんですか?
「おれのことば」それらふたつのあいまいなあわいにあいまいに
「人間の言葉」
ください。わたしに
人間扱いとは
「きこえる?」きざした、固有の
「しかも、」
赤裸々な傷みを
なんですか?
「いま、おまえ」ひびき。だから
「日本語。いま」
なに?それは
いいですか?
「どこにいる?どこでおれを」眼を、そっと
「しっかり話せてんじゃん」
なに?そこで
人間らしくし
「見てるの?」ひらいたわたしはあわい逆光の昏みにふれる。光源。正面。不意の閃光。…と。感じられた須臾。そのわずか。いまやなんということもない窓の向こうの色彩。わきにカーテン。レース。そのわきには葉子。茫然と、ひらきかけたカーテンのふちを掴んだまま、わたしを返り見ていた。わたしにだけ言葉をうしなっていた。葉子。ただ、犠牲者のまなざしをさらし、嫌惡?
憎しみ?倦怠?それら、みっつかよっつもしくはそれ以上の感情を、やわらかく原型の残るままにまぜあわせかけて狎れかけさせた、そんな、その目に。なぜ
「だまれよ。もう」
壊しちゃおうよ
しあわせの鳥
「いっぱい…ね?」春奈がそんな目にわたしを、しかも
「聞いてない。もう」
ぐしゃっと、…さ
鳥が、わたしの
「いいよ。いま」より彼女に近いハオ・ランをとおりすぎ
「だれも、いま」
きょうは晴れだよ
目。目をほじる
「話して。…ね?」わたしに、ただ
「おまえのほざく」
潰しちゃおうよ
くちばしに
「聞きたいから。いま」わたしにだけそそいで、むしろ
「ほざきすぎのたわごっ」
ぶしゃっと、…さ
いたっ
「ずっと…」見つめつづけてしまっていたのか、…なぜ?
「たわごとなんか、おまっ」
きょうは雨だよ
しあわせの鳥
「ね?」と。あった?その理由を気にする必要など。わたしは
「おまえの、…ばっ」
溶かしちゃおうよ
鳥が、わたしの
「もう話せなくなるまで」もう、知っているのに。彼女がもう
「莫迦か。おまっ。くっ」
びしゃっと、…さ
体液をすする
「その声」こわれていること。もはや
「くさいよおまっ…くぃっ」
きょうは曇るだよ
くちばしに
「聞いてるね。もう」廃人に過ぎないこと。だから
「きえろよカスいま」
吹っ飛ばしちゃ
やばっ
「聞き飽きちゃうって死にたくなってわめいちゃうくらいに」と。ハオ・ラン。春奈の耳。その至近にかれのくちびるはひびかせていた。やや前のめりに、だから垂れたやわらかな髪。あくまで少女の、声。そこに、ことさらにやさしい声を。わたしたちのためだけだった部屋。ハオ・ラン。ふたたび入り浸りはじめた侵入者。老いた春奈。その瞳孔。ひらき切った、
いっちゃった?
どこ?
「お前、ぜったい」
なぜ?いまさら
いっちゃってる?
そこ?
「なれるから」
わたしたちの部屋。わたしたちの
いきまくっちゃった?
どんなとこ?
「しわせに、いま」
そば。勝手にいなくなり、もう
いきまくりまく
どこ?
「あした、」
ようやく更生していたはずの
いきまくりすぎ?
どこ?
「なれるから。あした」
再会の春奈。なぜ?
いかされまくっ
どこ?
「ぜったい。おまえ」
ふたたび、ここで
まくまくりまくっ
どこ?
「しあわせだから」
壊れはじめたのだろう?数年まえよりもむしろ辛辣な崩壊。さらされた手遅れ。あるいは
「やさしい。…」
うそ。一度だって
辛辣な
「あこがれじゃん」
わたしたちの
「ね?にんげん、」
あなたは、だから
くちづけを擬態し
「雪。あこがれじゃん」
せい?まさにわたしたちだけの
「の。だから、」
ぜんぶ噓。事実
くちづけただろう
「沖縄の、わたっ」
せい?春奈の
「さ。ひとの?」
あなたは一度も
きみが、もう
「し。にぃ。…つぉって。わ?」
ふたたびの
「ことば?」
だから
頽れたから
「雪ゆきちらちら?」
崩壊。壊滅。なら
「…って。さ」
噓。その
無防備な
「あこがれじゃ、じゃん?」
わたしたちは。春奈。ただ
「さ。すきっ。な、」
すでにあきらかな
くちづけを擬態し
「じゃじゃんじゃん?」
おちょくるまなざしに
「なんか、さ、すっぐぁ」
そののどが
くちづけただろう
「…から。とーきようっ。で」
しかも鮮烈に
「ぐぇ。すっげぇやさしっ」
開口にこぼす
きみが、ななめに
「さ、みるは。じめっ」
犠牲者でしかない事実を匂わせ、
「やさ。すぃーから、」
その嘘を
かたむいたから
「ってーの、ゆき」
そのまなざし。たぶん本人には意図のない断定。あなたたちが、わたしを
「…ね?なんで?」
放置。だから
野放図な
「やー…って。やっ」
ぶっ壊しちゃうの。…と?
「こんなに、さ」
そこにたしかに
くちづけを擬態し
「やっば。やっ」
ぶち壊されるしかないんだよわたし。…と?
「ね?」
わたしたちは
くちづけただろう
「やー…って、だから」
壊すしか能のない
「やさしくなって」
偽善者。たぶん
きみが、ふと
「わらう。なんか」
破壊者たち。つまりは
「なりひびいて、さ」
見るだけのひと
のけぞったから
「まじまじわたしゆき、おもわず」わたしとはハオ・ラン。…そして
「やさしすぎてもうせつない系だったりするだけっだたりする感じなのなぜ?」
見てるだけの
遁れようのない
「たべちゃったったりね?ゆっ」
わたしは。涙をいっぱいにたたえたハオ・ラン。その十六歳の形姿がななめうしろに。謂く、
取り残され
孤立。だれ?
わたしたちは
狂人の狂気に
つねに
わたしたちは
孤立。なぜ?
取り残され
謂く、
わたしたちは
残酷になれるから
かざした。窓
その女に
赤裸々な狂気に
いくらでも、ぼくらは
窓に指。
壊れきった
赤裸々につねに
だから、笑む
まげた。くすり指
その女に
孤立。なぜ?
見ているしかなかった
その壊れを
その発狂を
ふいの熱狂を
涙しなから?
ときには、滂沱の
あるいは笑みを
吹き出しわらいを
悲しんでいた
その無慚を
その滑稽を
またはずぼらを
悲しみは似た
あやうく、笑み
きわどく、笑い
やや哄笑に
返り見た
その窓際に
せせら笑い
思わずかたむき
取り残され
孤立。だれ?
わたしたちは
狂人の狂気に
つねに
わたしたちは
孤立。なぜ?
取り残され
謂く、
わたしたちは
辛辣になれるから
指さした。背後
その女に
赤裸々な狂気に
いくらでも、ぼくらは
ななめ。わたしの
崩壊した残滓
赤裸々につねに
だから、ささやき
笑み。こ指
その女に
孤立。なぜ?
話しかけていた
その無意味を
その無謀を
ばかばかしさを
よく知りなから?
まともな答えを
きれいな音を
ただしい声など
期待した須臾もなかった
そのいたましさを
その見苦しさを
赤裸々な無能を
からかったに似た
あやうい、笑み
きわどい、笑い
やさしい微笑に
返り見られた
その壁際に
たしかに綺羅めき
やや腰を折り
取り残され
孤立。だれ?
わたしたちは
狂人の狂気に
つねに
わたしたちは
孤立。なぜ?
取り残されて
謂く、
わたしたちは
傷む。むしろ
まばたきかけ
さきに死ねよ
赤裸々な狂気に
いくらでも、ぼくらは
見ひらかれたまま
落ちるよ。わたしも
赤裸々につねに
傷む。むしろ
静止。おや指
あなたの地獄に
孤立。なぜ?
ずっと、かな?
いっしょかな?
このままずっと
永遠に、かな?
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