アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -37 //沙羅。だから/その唐突な/あなたの目覚めに/ふれていたのだ//03
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
謂く、
うごき、うごめき
しかも、そこに
ふるえるほどでもない
ある女。裸身に
綺羅。めざましい
綺羅ら。そこに
見蕩れるほどでもない
ある女。肌に
謂く、
うごき、うごめき
傷だらけ
さかいめは?
さわやかな
しかも、そこに
しかも猶
暴力と
あかるい
ふるえるほどでもない
生き生きして
たわむれ。その
惡意。きみに
ある女。裸身に
綺羅。めざましい
壊れきり
境界は?
はなやかな
綺羅ら。そこに
しかも猶
嗜虐と
はしゃぎあう
見蕩れるほどでもない
みずみずしいだけ
愛撫、その
破壊。きみに
ある女。肌に大口をあけた。春菜は。のけぞって、もう朝の十時。みんな、思わず笑った。ホストたち。新宿のクラブから聖季也のマンションに移った。だから十人?生き残っていたのは。パーティ。八人くらいだけだった?春奈に廻させた色つき錠剤。清斗はじぶんの肛門に入れて、…いけるんじゃね?笑い、…まじいけるんじゃね?笑った。だから、ひらいた。春奈、壊れかけの口蓋は。ひらいた。瞳孔は、そして虹彩。そこ。とけた。もはや赤裸々な綺羅たち。眠らなかったにちがいない、と。そう思った。沙羅は。あの九月二十一日。わたしが目を覚ましたときにはもう、すでに身を起こし、かたわら、見下ろしていた。ベッドにかいた胡坐。きれいに伸ばされた背筋のうえに、ふいに
ないんだ。な
壊す。壊し
微笑。
に、なにも、な
破壊すること
微笑?
ないんだ。かな
壊れ、壊され
微笑。…と、
ら。かならずしもた
破壊されること
すくなくともそう
めら。ためら
傷みを、ぼくに
見えてはいたもの。
い。ためら
そして、ふと
ひかり。
いんだ。な。か
恐怖しながら
沙羅の肌にも。
ならずし、かな
傷みを、きみに
髪の毛にも。
いんだ。ぼくには
そして、唐突な
その向こう、
ね?…生まれ変わったら
壊す。壊し
壁にも。だから
なんにな。なんに
手遅れにすること
空に明けが走りはじめた
り。なりたい?
壊れ、壊され
五時半くらい?たぶん。ひかりは新鮮だった。恥ずかしいくらいに。いつものように。あお向けたまま、かたむけた頸に、…くぼみ。枕をこぼれていた…くぼみ。頭。くぼマットレスに、くぼみ。くぼむ。ここちよい肌ざわりがくぼみ、くぼみのくずれ。その移行。くずれつつ推移。くぼみの、…気配?
ぼみ?
ん?
感じてはいなかった。沙羅の、まして
ぼぼ?
ん?
わたしを見ていたその気配など。沙羅は昏んだ。逆光に、あまりにもあわい、それ。翳る。はかないほどにやさしい、それ。言えない。もう、逆光とさえ。やわらかさ。やさしさ。おくゆかしさ。つつましさ。せつなさ。明るさ。昏み。沙羅。微笑が
ささやかなかった
あかるい
須臾にとけたあとの
なにも。すでに
空。空に
あいまいな
おなじことだった
鳥たち。その屍を
眼差しに、わたしは
変わり映えしな
なすれ。せめてもの
その表情を
沈黙と
ん?復讐として
知ろうとした。息づかう、沙羅のひびきを聞いていた。思った。やがて、いきなり開き切った口蓋に、舌を突き出してせせら笑うだろうと。あくまでも、そこに唐突にひらかれた口に、…いけんじゃね?
つぶやいた夕貴都がこぶしをぶちこもうとする。もうからっぽの紀聖貴がなおも下からつきあげるから、…入ってもいないのに。わめく。夕貴都が、だから白目を剝く。春奈は、殴打。しかも
やめて
だれ?いま
なすりつけるような
やさしく
きみの首筋に
殴打。ぶちこまれかけの
いたぶって。そして
飛沫が散った
こぶしに、
せつなく
だれ?いま
血。切れたから。
なぶって。そして
君の頭部に
くちびる。すこし
後悔させて
水滴がはじけ
裂けたから。やわらかな、
生まれて来たこと
だれ?いま
皮膚。糞の雪矢が
滂沱の涙と
君の顎には
さんざん殴って、
鼻水としかも
赤く不穏な
蹴飛ばして、肛門を
とめどない鼻血と
まだらの花たち
こわして、…ドSじゃん?ユキ。ってか死んでほしくね?したたるから。止まりかけのってか、クソじゃね?血。ひらくから。まだってか、まじいけてね?ふさがらないってか、クソいけんじゃね?傷。しかもいっぱいってか、クソ死んひらくから耳打ちした。レ・ハンは、はじめてこの部屋に来たとき…だから、さ。レ・ハンに連れられ、「…ね?」させない。後悔は。だから。わたしは、…って、べつに、「なに?」とりたてて「…ね?」満足もしたくないけどね。ホテルの前にバイクを止めると、横目にレ・ハンはエントランスの階段を見た。なんの説明もなかった。レ・ハンがひとり、妙に醒めた高揚にうわずる。海辺。閑散とした、個人経営のホテル。ロビーにはスタッフさえいない。二号館のほうにはいるのだと云った。つけっぱなしのパソコンの前を素通りしながら。なぜ、本館にはいらないのか、たぶん彼は疑問にさえ想わなかったのだろう。あるいは、当時のパンデミックも影響していたかも知れない。時間は午前、たしか九時くらいだった。観光都市は壊滅していた。武漢にはじまる数年の
こわがらないで
死んじゃうよ。死んじゃ
パンデミックのせいで、そして
ぼくたちだけは
どこかでだれかが
もう、いまさら
だいじょうぶだから
無記名大量死
武漢の名前など想いだすのさえ困難だった。隔離と警戒とマスクはもう日常にすぎなかったから。エレベーターを待った。左手にはちょうどフロア半分ぶちぬきの部屋。機材。そして洗濯前のシーツが散乱していた。スタッフ・ルームと知れた。足の方だけ垣間見せたベッドのふたつ、その片方に実際、女の足が見えていた。仰向け。足首からうえは見えない。死んだように、…だから早すぎる昼寝ということなのか。レ・ハンが押さえた部屋が7階だとは聞いていた。グランド・フロアありの7階なのか、そうではなかったのか、いまだに記憶ははっきりしない。とまれペントハウス。最上階フロア。その半分のぶち抜きだった。もっとも、シングル・ルーム三つ分程度にすぎない。ドアノブに手をかけたレ・ハンは、「いるかな?…あの子、」返り見て「ときどき、いなくなる」わたしに
だれ?
君。きょうの
流し目をおくった。意味ありげに、
いま、ぼくの耳を
きみは
しかも、実は
舐めようとしたの
いつも。すこし
意味などなにも
だれ?
いつもより素敵
ないことをも隠さずに。ドアは施錠されていなかった。レ・ハンは鍵を取り出そうとする素振りも見せない。スペアを渡されあとも、わたし自身、いちども施錠したことはなかった。なぜ?沙羅も。もちろん、狂った沙羅が施錠などするべき必然などない。彼女じしんがすでに危険で、危機そのものだから。たとえ
眼の前に
あぶないんだよ
その部屋が
危機。直面
息をすうのも
不在時に燃えたところで、
危機。いま
ケツをかくのも
それが
眼の前に
命がけじゃ
なに?沙羅の荷物しかない。部屋には。そして荷物に価値はない。沙羅にも。バッグ。どこかで拾ったとしか想えない男ものの、それ。一度も開かれたことがない。黒。底に焦げ目。なぜ?床にころがった、ドレス。いちども身につけられたためしがない、それ。ひと眼で、それがそれ用とわかる。ただ、煽情する意味をはたせばいいだけの、いかにも安っぽい物。しょせんお前らのだって、安いだろ?…とでも?いきなりレ・ハンがあけたドア。正面の壁、一面に巨大な
熱い!
ひえきった
窓。
熱いんだ!
室内の空気が
だから
たすけて!
だす。あふれだす
巨大であるしかない
焼ける!
廊下の空気を
逆光。
網膜がや
辱めようと
須臾、慣れない目は昏むあかるさの氾濫に息をのみ、そして、ややあって、ん?笑う。わたしは、声をたててん?笑っていた。「…こいつ?」ささやく。レ・ハンのうしろから、「こいつ、なに?」
「ん?」
「だいじょうぶなの?」
声。耳元の、はずむあかるい声にレ・ハンは、笑んだ。やや「大丈夫じゃ、」声に「ない、よね」遅れて。鼻さきにだけ。息が「でも」乱れた。「…見ればわかるじゃない?」
埋めろ。いま
恥辱
つきあたり。窓の前に
すぐに埋めろ
恥
ベッドが。乱れて
孔ほって
いきももの
乱れまくった
埋めろ。いま
恥
シーツ。投げ飛ばされたかのように、枕。部屋は広い。フロア半分はヴォイドにすぎない。したのスタッフルームと同じ広さ。ベッド以外なにもないだけに、ひろさが目立つ。御影石のタイル張りの床のうえ、ななめの綺羅と翳りの帯びに、
埋めろ。いま
屈辱
全裸の女が、尻だけたかく
すぐに埋めろ
恥
突き出させ
肛門ほって
哺乳類の
うつぶせに。部屋の
埋めろ。いま
恥
真ん中。そこで、さっきまで行為を、ようするに、凌辱された犬のように、肉体。顔は向こうにねじられていた。四肢の極度の脱力はただただだらしない。胸は、ぴったりと床に。無作為な腹に微妙なたるみ。肥満ではない。瘠せている。無造作な不健康。膝をつき、ふとももの筋肉にときに痙攣を走らせ、繁茂。手入れされない秘部の翳りはあくまで
…お願い。ケツから、
好きなのは
これみよがしに。
お願い責めちゃ
やさしいひ
淫靡?
ちゃってもらえます?
かな?やさしく
陰湿?
理不尽なくらいに
バックですか?やっぱ
まさか。もはや、
…てへっ
えろいの、す
なにも。性に訴えかけるものなど、なにもなかった。そのくせああーんしろよ。耳に小声でさけぶ。夕貴。ああーんしろよ。無理、…と。だれ?背後で言った。和人?——失神してんじゃん。春奈。その女の体が、しかし目舞いのするほどに煽情的なことはひと眼に知れる。昏い褐色の肌。どこまでもなめらかな、ひたすらにあざやかな、暴力的なまでの、…塗れちゃえよ、と。肌。褐色のおまえの穢ねぇ発情に、さ。まじ…肌。褐色のおぼれちゃえよ、と。すきなだけもう、さ、…狂っ肌。褐色の狂ちゃえよ、と。耳元にそう肌。褐色のつぶやかれた気がした、そんな肌。褐色の赤裸々で、屈辱的で、しかも肌。褐色の強制的で、猶予をいっさい赦さない性的な肌。訴え。しかも、
やれよ
いいの?
妙に醒めさせせる
やれって
感じ、感じ
莫迦莫迦しさを
やっちゃえよ
いいの?
かくしもせずに。わたしは
やれよ
いっちゃ、いっちゃ
笑った。声をたてて。その、剝かれたしろ眼に、——いっちゃってんじゃん。わめく。だれ?声?わたし?——いっちゃってらんじゃん。おれ?それ、まじ?おれなの?おれ——いっちゃらってらんじゃん。わめいてんの?おれ——いっちゃらちゃらってらん。じゃ。笑ってんの?てかじゃ。じゃ。春奈、なにじゃ。じゃ。じゃら。やってんの?漏らしてんの?ふいてんの?はいてんの?くそ。まじ、くそ。ぜんぶ、おれ?まじ、これ、おれ?おれ?おれなの?声。そこに、声。笑う声。気づかうべき、と。そうすぐ思いなおす。しかし、またすぐに必要ない、と。ケツだけ突き出した褐色の女。なりひびく無造作な笑い声に、それは微動だにしなかった。眠っているのか。それとも、気絶?
眠りなさい
歌を
充血。
明日、爛れた
やさしい歌を
肌。
雨が降るから
きみに
あからみ。あまりにも苛酷な行為のあとで、しばし茫然と?交尾。だから、あくまでけものの、けだものたちのけものの交尾、と。
違和感が拭えないままだった。部屋の中には匂いがあった。充満した女の体臭いはちがいない。こんなふうにまで、ただぶち壊されるまで苛烈な行為のあとで、それでも苛酷の現場たる部屋は、猶もなまめいた芳香のみずみずしさをだけ香らせてあるべきだったのだろうか?陰惨さはどこにもなかった。香水の匂いとも違った。春奈。たとえばわたしたちがたぶん、致命的に壊して、ぶっ壊して、だいなしにして、そして清雪にいのちの契機をあたえたはずの、その…芽生え?時、そこにもこんな匂いがしていたのだろうか?
芽生えます
ほら、いま
終わったばかりの
芽生え、だから
ほほ笑んだ
新鮮なときには?
はぐくむのです
世界が
まさか。気づけば
あなたは、いのち
ほら、いま
そこに、わたしは
かけがえのない
あいさつした
残酷。どうしようもなく
あなたは、いのち
世界が
手遅れで、やるせないほどに台無しの、ただ不可逆の崩壊の臭気だけを嗅いで、惡臭。内臓に仕掛けた爆薬で、頸から下をふっとばした、そんな。手の施しようもない匂い。しかも足元に転がった頸が茫然と、今日のランチ、なに食べる?ささやくのだった。ゆるがしがたいあきらかないま、眼の前にひろがる事態にまだなにも気づいていない春奈だけが、…やばっ
「や、」
やばっ、
「や、」見て、と、彼らの大半が立ち去った部屋。みんな、
終わったよ
いませめて
つぶれた。ひとり、
夜が、ぼくたちが
わたしたちは
ふたり、…トイレ?
殲滅の夢を
ささやきあおうよ
もうひとり。ふと
やさしくなぞって
わたしたちの
醒めたのは
やさしく壊れた
沈黙に
春奈。わたし。
苛酷な夜が
残酷をささげ
ひかり。
冗談のように
葬るために
ふかい朝の、ふかみをいっさい欠くひかり。ななめに。どうしようもなくいたわりのないひかり。しろい肌。ひかり。よりしろく発光させられ、春奈。…雪だね、と。
「今日、雪、…」
きよらの雪が
ふるりらり
云った。
「降るね」
きみに、きよらに
ふるるふふ
あきらめたように。その三月。あたたかな雨の日。清雪。いぶいた日。謂く、
聞いていたんだ
きみにかくれて
やさしすぎた
雨。しずか
聞いていたんだ
きみに背を向け
はかなすぎた
雨。のどか
聞いていたんだ
きみにかくして
やわらかすぎた
雨。いつか
燃える火
火こそが
ふりそそぎ
わたしたちは
謂く、
燃える火
器用に
笑った。きみが
傷つかなかった。だれも
火こそが
奇妙に、こゆびだけ
加害者のように
そんな気が
ふりそそぎ
ふるわせていたね
だから
痙攣。目じり
わたしたちは
聞いていたんだ
きみのななめで
いたましすぎた
雨。ほのか
聞いていたんだ
きみに笑いかけ
こまやかすぎた
雨。ひそか
聞いていたんだ
きみを見やって
切実すぎた
雨。いつか
燃える火
火こそが
ふりそそぎ
わたしたちは
謂く、
燃える火
器用に
笑った。きみが
傷まなかった。なにも
火こそが
ふいに、ひだり眉だけ
傍観者のように
そんな気が
ふりそそぎ
脱力してたね
だから
裂け。足爪
わたしたちは
・・・
滅びてしまえば
壊滅しよう
燃える空
焰のした
焰のかたわら
燃える海
絶滅しよう
滅びてしまえば
わたしたちは
ふりそそぎ
火こそに
燃える火に
謂く、
わたしたちは
器用に
傷みは、どこに
あおむけに
ふりそそぎ
二十秒に、三秒だけ
わたしたちの睫毛に
きみが、いきなり
火こそに
失神しつづけたね
どこに、痛みは
げっぷ。くさっ
燃える火に
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