アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -23 //まだ知らない/あなたも、まだ/沙羅。だからその/空。あの色を//02
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あえて?…そこに
それら沈黙したものたち
こんな、こんなにも
さわがしいのに
あえて?…そこに
それら失語したものたち
こんな、こんなにも
めざましいのに
きみが前歯に咥えた、ほら、その焰。咬みちぎってごらんよ。謂く、
あえて?…そこに
いま、そっと
ひびきのなかに
残酷すぎない?
それら。ん?沈黙したものたち
落ちてっ
見ていたんだ
ひらきかけた
こんな、んー。ん?こんなにも
ひかりの帯びが
ひとり
くちびるの沈黙
さわがん?ん?が。がし。し。し。し
あえて?…そこに
いま、そっと
轟音のなかに
冷酷すぎない?
それら。んはっ。失語したものたち
ふれ、消えてっ
ふるえてたんだ
ささやきかけた
こんはっ。んはっ。んなにも
沁み込むように
たぶん
くちびるの
目醒めたままに夢を見た。匂う。圧倒的ないかがわしさ。それは、なにが?だから見られたものすべて。なぜ?紅蓮。ことごとくがただ紅蓮にすぎなかった。まなざし。知り、知り得た限りのすべて。しかも真昼だというのに。
色彩はもはやいわば暴流。氾濫。紅蓮と、つまり赤。そう認めてめてやらなければならない色彩はしかもかるく屈辱を咬ます。ふきこぼれ、荒れみだれ、すさまじくたとえば黄色。たとえばむらさき。朱。青。さくら色。なに?しろと見まがうばかりのあわいピンク。またはしろ。うすいしろ。にごるしろ。ただのしろ。ふい打ちのしろ。無防備なしろ。それらさまざまなしろ。それらさまざまなあくまでも散乱。ついには光りそのものとしての発光に——しろ。色彩だったそれら自体をもあざ笑い、…ほら、
まばたきもせずに
…なぜ?
これ。色彩。その
しかも
背後には鳥たち
消滅。
網膜は
はばたきのひびき
いま、そこに
傷み。その
そのひびきだけ
あながひとり
容赦ない
無数に
見ていたもの。それは
乾きに
鳥たち
あくまでも猶も紅蓮。ついには唇は、舌は、喉は、その名に色彩を呼んだ。だからまなざしを陵辱していた色彩の奔流の凄惨をわたしは見ていたのではない。妻。見ていたのは、妻。そこにたしかに見つめられ、ランはねじった。蘭。ななめに傾いたからだのうえ、胡蝶蘭。蘭。その頸をだけ。そっと。デンファレ。蘭。見ていた。顔が。わたしをだけを、シンビジウム。蘭。わたし?あるいは、バンダ。蘭。違うものを?なにか違う、または違う場所を?眼。ひん剝かれ、ふたつ。だから虹彩。瑠璃色。黒。もうそれらはさらされない。ゆらぐ白濁。ただのしろい翳りにすぎないから。なにを?と、見て、なにを?と、なにを見てるの?
ほら
ちぎる
そこに
見て。これは
花を
あなたは
花。あなたが
咬みちぎる
ひとりで
そんなあなたが好きだった
花を
そんなふうに
花。沙羅の
舞う花を咬み
かたむいて
あなたが、ほんとうには
咬みちぎり
くずれそうに
一度も
ちぎる
へし折れそうに
見たことのなかった
花を
壊れそ、…から
とおい異国の
咬みちぎる。その
だからついには
花。あの沙羅の樹の
無造作を咬み
崩壊してしまいそうにも
花。
咬みちぎり
焰、と。ようやくに、いつかわたしは察知していたのだ。その白濁。虹彩らしき、ふたつの。しろ。ゆらぐしろ。それら、焰、と。あまりの閃光の強度に赤みも青みも黄みも色彩らしきことごとくは放棄さ、…うしなった?——光り。だから白濁。すでに知っていた。わたしは、彼女がなにかつぶやきつづけ、しかも声のひびきはなく、聞かせず、つぶやきつづけるたびに舌は咬まれ、咬みつづけ、だから咬みちぎりつづけて死?…と。死。それは自死、自殺?わたしは自壊。気づく、破壊。それは自己破壊。彼女の自虐のいとなみにすぎなかったのだろうと、しかもまったきひとつの確信として。鮮明に。ん?驚愕。おどろいた。そんなあらたな認識のみずみずしさに。同時にすでに既視感にさいなまれさえもし。否定しがたい事実だった。妻、その女、ランと言う名の女。そこで舌をかみちぎりながら滅びてゆくということは。なぜ?わたしは、なに?な、おののく?
ね?
いぶかる?
キス。しょ
あやしむ?
しょ。しょおー。う。しょ
おそれる?
キス。しょ
おびえる?
ね?
なに?むしろ悲しみ。切実で、しかしいわば透明なまま、どうしてわたしのなにものにも咬みついてはくれない、そんな無力で愛ーブな悲しみ。だから無傷なままだった。わたしは。わたしだけはその肌も。筋肉も。骨も。神経系も。分裂しかけの細胞さえもなにもかも、まして
やめて。や
風もさわやかに
こころなど。
き。や。傷つけ
ひかりおだやかに
泣きつづけていた。わたしは。慥かに滂沱の淚はながされてそこに、見出されていた紅蓮の暴流。もはやまなざしは破綻した。すべて、それらきざされかけたかたちのきざしをも矢継ぎばやに崩壊させつづけ、傷む。耳は聞き、しゃくりあげる息を。すさんだ、荒廃した息を。わななく息を。時には窒息しかけた息の不在の無音のせめぎあいをも。なぜ?と。あなたは
暴流。…もう
ぼくたちは、猶も
なぜ?そこに
色彩は、ただ
聞きつづけたのだ。そこに
なぜ?舌を
暴流。…もはや
羽音。それら
ささやきながら
知ってるよ。ずっと
無数に、背後に
なぜ?舌を
見ていたから。だから
羽搏きの
つぶやきながら
知って暴
羽音。…なぜ
なぜ?舌を
暴流。…もう
鳥たちは、しかも沈黙したまま
わめき、わめきちらし
色彩は、ただ
猶も、その羽搏きをやめず
あるいは叫びながら
暴流。…もはや
さわぎたち
なぜ?舌を、しかもわたしをさえも須臾だに見出しはしないで、と、沙羅。見ていた。沙羅。そう名づけた女。その褐色の肌をきわだたせ、なに?ひかり。息を吐く。窓越しに、ん?ひかり。射し込む明けの、
に?それは、な
あれ?
それ。そこに。
なに?さっ
すげっ。おまっ
筋。
さっきまで、しっ
すげっ。きぃっ
ほそい、
失神しか
れーじゃっ。きぃ
帯び。ベトナム。中部の海沿いの町だった。ダナン市。だからその海沿いのホテルの部屋に沙羅は猶もまどろんでいた。ひらかれていた。瞼は。まなざしはわたしを、わたしをだけを?しかも、なんらわたしをは識別しないまま。覚醒。そして睡眠のあいまいなあわいを。その沙羅は。
息をひそめた。わたしは、ふと。沙羅。褐色の、…白濁の?あおむけた素肌がわなないた気がしたから。引き攣り、引き攣りかけ、そんなものまなざしはなんら見止めてはいなかったにもかかわらず。
十八歳?…九?それ以上?わからない。わからないまでも、その肉体がわかいことだけは知れた。そこに素肌はさらされ、かくしようもない。しずかになみうつ。胸。波立ち。あばら。さわぎ立ち。そこに、彼女が生きてあることを知らせた。そして、その発散も。だからなにも身につけない肌の赤裸々に、むしろあわく放射された体温。その、ただ鮮明な発散。ふれれば、肌はあたたかいにちがいなかった。東向きの
ささげよう
青空には燃え
窓。ここで
きみに
燃えつきた水仙が
海は、基本的には
ぼくにも
なんとなく、さ
東の空のしたにしか
ささげよう
似合いますから
ない。朝焼けがひろがっていた。海面にさえも。だから海こそが空に朝焼けを映したかに錯視させ、無造作。色彩。そして綺羅。撒き散らし、撒き散らされ、生滅し。モネ。唐突に、
あ
やめて
印象;日の出。原語は、
朝です
つねらなっ
Impression, soleil levant
あ
やめっ
1872年。
朝で
咬まなっ
ピエト・モンドリアンPiet MondrianとビアズリーAubrey Vincent Beardsleyが生まれた。
スクリャービンAlexandre Scriàbineも。
わたしはモンドリアン以外、たいした興味はない。
日本は明治4年から5年。つまり、まだ暦をかえていなかった。改暦は明治五年11月。故にこの年の12月3日以降は存在しない。
とまれ、モネ。あれは、しかし、ただしくない。たとえ曇り空、あるいは靄の、もしくは濃い霧のなかの夜明けだったとしても、海はもっと狂暴にそこに、あくまで他人の色彩を無慚に散らしていたはずだ。飼いならされすぎた海ではないか。いま、海は晴れた空のしたにある。
だが、空はからなずしもみずからの実像をはさらさない。晴れ、晴れすぎるほど晴れ、もはや
あえて。わたしは
花に蜜
雲のきざしさえもない事実をは、
秘密にしとくよ
蜂の蜜
いまだ。たしかに
きみがもしも
蜜を、花に
青い。しかし、
ひざまづいても
たらしちゃえ
それだけだった。留保もなきその青は、無造作にしらむ。そこに、たったひとつのふいの突破。あざやかな朱。氾濫する。赤からしろの発光にいたるまでの、すさまじい炸裂。色彩の連続的な崩壊。かたわら、ベッドのうえ、褐色の肌は白濁を這わせ、ときにさわがせた。明けの光りに射しこまれるまま、呼吸のまま、うぶ毛。まどろみの
あえて。わたしは
蜜に花
沙羅を、しかしわたしは
言わないどくよ
香り立つ花
起こそうとしなかった。沙羅とは
きみがもしも
花を、蜜に
共通言語などない。のみならず
喉を斬っても
なすっちゃえ
わたしは沙羅にひたすら見蕩れて?盗み見るように?焦がれ、もはや焦燥を咬んでいたかのように?…擬態。まなざしを擬態した。あせりの気配に。なぜ?たしかに肉体はうつくしい。煽情的なまでに。見せつけられた、色めきすぎた彎曲。誘惑の意図もなく。沙羅。しかし、不可能だった。発情など。または魅了されることなど、須臾にさえ。できなかった。見蕩れることなど。一刹那にさえ。なぜ?こんなにも咲き誇り、擬態。だから、息をひそめて、まるでわたしはあざやかさに沙羅に見蕩れてしまったかのように。そのなまめかしさへの飢渇に荒らされたかのように。あまりにものつややかさにただ焦燥していたかのように。見ていた。わたしは。まなざしは、そこに空。…と、海。いぶく肉体。そのむこうに。謂く、
なぜ?それ
いま。どれ?
蜥蜴。なぜ
しろ?それ
蜥蜴。窓
身じろぎも
ない。なにも
しろいものなど
なぜ?それ
いま。どれ?
蜥蜴。なぜ
しろ?それ
蜥蜴。そばにも
しろみなど
ない。なにも
とおくにも
いいですよ。ぶちまかれた吐瀉物をすすりあげてください。耳元で。あえて、聞きませんから。謂く、
蜥蜴。そばにも
だから
見ないよ。沙羅
睫毛を
しろみなど
そっと
きみを
ふと
ない。なにも
眉を
いちども、ぼくは見な
だから
とおくには
向こうには空
焼け、朝
とおい、巨大な
空。散らされた
色。ひたすらに
微動だに、しずか
あまりに巨大な
色。赤裸々な
いいですよ。ぶちこわされた瓦礫を咀嚼しつづけてください。耳元で。あえて、聞きませんから。謂く、
向こうには空
わめけば?
目覚めかけ
その。そ。ひ。ふひぃ…
焼け。朝
沙羅。いつものように
しずか。沙羅
狂気?狂った
とおい、巨大な
ねねね。わめきちらせば?
まどろむだけで
その皮膚。その
空。散らされた
色。ひたすらに
え。え。え?抉ってみる?
そっとしておこう
しろく、やがて
微動だに、しずか
目。ん?舌
叫び出してしまうまで
ほら、あ。雲母よりあの、あ
あまりに巨大な
咬みち。ふぃ?ち。ぎってみる?
放っておこう
しろく、やがて
色。赤裸々な
空。散らされた
そのなんですか?皮膚
沈黙だけで
のけぞりかえれば?
とおい、巨大な
破綻?唐突には。はん?壊れた
しずか。まぶた
沙羅。いつものように
焼け。朝
そのん?…皮膚
ひらきかけ
のけぞりかえれば?
向こうには空
なぜ?それ
いま。どれ?
蜥蜴。なぜ
しろ?それ
いいですよ。へし折られた前歯の残骸を舐めあげてあげつづ。耳元で。あえて、聞きませんから。謂く、
蜥蜴。窓
ぼくたちは
なぜ?それ
見ないから
身じろぎも
いいよ。ささやいても
蜥蜴。なぜ
いいよ。抉り抜いても
ない。なにも
聞かないから
しろ?それ
ぼくたちは
しろいものなど
なかった。いちども
閉めたことなど
カーテンを、窓
なぜ?しろ
なかった。いちども
ささやきかけなど
沙羅。ことばを
なぜ?しろ
蜥蜴。水平に
海。焼けた
空に、海は
ひかり放ち
なかった。いちども
まばたきなど
蜥蜴。目を
なぜ?しろ
いいですよ。焼き捨てられた右くすり指と数本ぶんの爪をひろいあげわたしの肌を傷つ。耳元で。あえて、聞きませんから。謂く、
なかった。いちども
蜥蜴。繊細な
しろ。し
焼けた
かすかにさえ
擬態
黄土色っぽい
色彩。かがやきにさえ
可能性さえ
発光
し。好き?
にぶく
わずかにさえ
目覚めかけ
沙羅。その
舌を咬み
咬みきったとして
まどろんで
沙羅。その
眼をえぐり
くりぬいたとして
まなざしさえ
なかった。須臾さえ
見出され
垣間見られさえ
可能性さえ
わずかにさえ
なかった。わたしさえ
目を閉じてしまえば
いいですよ。屈辱的にひざまづいてしかし侮辱的な顎でケツをしゃぶっていてください。耳元で。あえて、聞きませんから。謂く、
舌を咬み
燃えあがるような
さわがしい
しろく、し。やがて
咬みきったとして
狂気を咬みかけ
色彩の洪水
あっ!あふっ!光暈よりも
眼をえぐり
ひらきかけ、口
窓のそとだけ
しろく、し。やがて
くりぬいたとして
ない。見出される
沙羅の口。ん?
さわがしい
しろく、ん?やがて
可能性など
狂気をっと。ん?覚ましかけ
色彩の氾濫
閃光よりも
わたしさえ
あっ!あふっ!燃えあがるような
窓のそこだけ
しろく、し。やがて
目を閉じてしまえば
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