アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -19 詩//まだ知らない/あなたも、まだ/沙羅。その/空。あの色を//10





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   人々は、だから

   容赦ない轟音

   沙羅に。もはや

   だいなしにされきっていたから


   無垢な少女の

   そのむきだしの

   肌。褐色。綺羅

   ただ無防備な

謂く、

   無垢な少女の

      沙羅。見つめていた

    声。怒号

     目。目。むれが

   むきだしの

      まなざし

    綺羅。わめきっぱなしの

     ひろがりきった喉が

   肌。褐色。綺羅

      目と目が

    舌。歯。口蓋

     叫喚に叩く

   ただ無防備な


   肌は、だから

   夢見る色を

   人々に、もはや

   見せつけた

謂く、

   肌は、だから

      沙羅。見つめていた

    焰。まぶたに

     目。むれ

   夢見る色を

      まなざしは

    綺羅。忘我のきわみ

     明晰すぎって、ゆう、ね。もう。血

   人々に、もはや

      目と目。しかも目

    覚醒。すさまじい、その

     血の温度さえもが

   見せつけた


   人々は、…だれ?

   わたしも?…叫んで

   われをわすれて

   だから、叫喚


   沙羅。知ってる?

   いま、あなたは

   叫喚にたたずむ

   孤立。ただ、沙羅は


   逸脱。沙羅

   発狂。沙羅

   異端。沙羅

   異物。沙羅


   とりかこむ

   雪崩れるように

   留保もない

   群衆。倒壊


   その距離。崩壊

   嘲笑。瓦解

   だれかが叫び

   わめかれた須臾に


   雪崩れこむ

   砂。荒れ、散り

   波。蹴られ、飛び

   汗。男たち


   狂喜。男たち

   嬌声。男たち

   だれもが飛び込み

   沙羅を嬲った

謂く、

   わめき。ななめ

      消えた

    褐色の肌

     綺羅っ。らっ

   右。誰か。叫び

      きみ。汗。その匂い

    消えた

     眸。その

   声。須臾。ひびき

      どこ?

    沙羅

     消えた

   すでに


   すでに

     消えたばっ奪われるようにおしっ押しつぶさなぎっなぎ倒さ

    沙羅

      どこ?

   声。須臾。ひびき

     頬。その

    消えた

      白濁。散乱。そのゆれ

   右。誰か。叫び

     あざやかな哄笑

    肌に色彩

      消えた

   わめき。どこに?


   声。ひくい、しかも

   うわづった、だれも

   記憶など

   鮮烈だったその


   声。契機だった

   すでに拳がぶちのめすから

   すでに足が蹴り上げるから

   すでに指がつかみあげるから


   すでに髪がつかまれたから

   すでに肌が掻きむしられたから

   すでに骨格が噎せていたから

   声。傷みを訴えた


   声。きこえなかった

   沙羅の声など

   うずまいた、ただ

   男たちの声を


   声。消え失せていた

   沙羅の悲鳴など

   飛び散った、ただ

   女たちの声を


   肉体。そこにわなないたから

   すでに恐怖を越えていたから

   すでに発光の渦しかないから

   声。可能性などなにもないから

謂く、

   怒号。ひびきだけ

      われを忘れ?

    声が

     明晰だった

   すでに拳がぶちのめすから

      まさか

    わたしたちの

     あきらかだった

   すでに足が蹴り上げるから

      だれもが

    声だけが

     昏迷など

   すでに指がつかみあげるから


   すでに髪がつかまれたから

     冷淡だった

    声が

      燃えひろがった恍惚を?

   すでに肌が掻きむしられたから

     ゆるぎなかった

    わたしたちの

      まさか

   すでに骨格が噎せていたから

     冴え、ただ澄みきっているしかなかった情熱だけがわたしたちを

    声。声が

      だれもが

   怒号。ひびきだけ


   聞こうと、沙羅

   喉がならした

   その訴えを

   その濁音を


   耳は、貪婪な

   肉体のさらした

   狂態のちかくで

   かたわらで、沙羅

謂く、

   聞いた気がした

      乱交

    すぐちかく

     いぶきら

   喉がならした

      もはや乱交じみた

    そのかたわらに

     もはや。狂態。赤裸々な

   たとえば悲鳴を

      肉体

    すぐそばで

     狂態

   詰まる濁音が


   聞こえない。沙羅

   騒音以外。散る

   赤裸々なノイズ

   声の炸裂

謂く、

   聞こえていた

      咆哮。ほ。ほ。

    わななく

     つぶやきさえも

   ノイズ。赤裸々

      び。ひびび割れ

    至近で、…沙羅

     喉にかぎ爪

   声。炸裂。咆哮が

      ささやきさえも

    散った

     咆哮

   あまりの近さで


   聞いていた。沙羅

   めざましく、耳は

   いまも潮騒を

   とめどないひびきを


   みだれあっていた

   砂浜をなぶった

   騒音のそばで

   嗜虐のよこで

謂く、

   聞いていた。沙羅

      もっと、…ね?

    ぶちのめす

     見せしめ?

   耳は。潮騒を

      苛烈に

    ひきずりまわす

     処罰を。…的、な

   とめどないひびきを

      苛酷に。もっと

    ぶちこわす

     廃棄を。処刑。汚物に

   虐待のそば、沙羅


   叫んでた?

   沙羅。喉は

   かかと。踏みつけた

   足。無数に


   わめいてた?

   沙羅。口蓋は

   髪。掻き毟った

   ゆび。無数に


   引き攣ってた?

   沙羅。舌。歯

   肉を破壊した

   拳。無数に


   もとめてた?

   沙羅。虹彩は

   救い。せめてもの

   逃げ出す道を


   四維。ふさがれ、砂

   波も。沙羅。汚す

   その体液

   あるいは血

謂く

   四維。ふさがれ、砂

      ぐるり。ぐる

    穢い潮で

     至近。だれかの悲鳴のように

   波も。沙羅。汚す

      もう、風景は

    血管を洗え

     もう、まなざしは

   その体液

      冴えた白濁を

    すりむき破れた

     ぐるり、ぐ

   あるいは血


   失禁。液体

     至近のだれかの絶叫のように

    すりむき破れた

      ぐるり。ぐる

   その情熱に

     もう、まなざしは

    血管を洗え

      もう、風景は

   波も。沙羅。穢れた

     ぐる、ぐる

    穢い潮で

      傷む発光を

   四維。ふさがれ、砂


   波。綺羅ら

   だから

   海。綺羅ら

   綺羅。


   雲。綺羅ら

   だから

   みなも。綺羅ら

   綺羅


   砂。綺羅ら

   だから

   空。綺羅ら

   綺羅


   肌。綺羅ら

   だから

   だれもが綺羅ら

   綺羅きらら


   逃げ去った

   やがて、飽きて?

   われにかえって?

   見捨てて?集団


   逃げ去れなかった

   そこに、残されて

   残骸。それ

   破損物。それ。残存


   その沙羅を

   だいじょうぶ、沙羅

   骨は見えない

   だいじょうぶ。そこの


   肉体

   だいじょうぶ?なぜ

   まだ生きていられるの?

   だいじょうぶ?


   沙羅

   だいじょうぶ

   ももはちぎれない

   だいじょうぶ。その


   残骸

   だいじょうぶ?なぜ

   まだ息ができるの?

   だいじょうぶ?


   沙羅

   だいじょうぶ

   瑠璃色の目はある

   だいじょうぶ。その


   敗残物

   だいじょうぶ?なぜ

   まだ生きてるの?

   だいじょうぶ?


   沙羅

   だいじょうぶ

   口蓋はひらく

   だいじょうぶ


   サイレンが鳴るのだろう

   もうすぐ。肉の

   汚物。回収のため

   汚物。廃棄のため

謂く、

   サイレンが鳴るのだろう

      鼻孔が

    ひらかれたまま

     すりむかれていた

   もうすぐ。肉の

      なぜ?

    口蓋。息を?

     なぜ?

   汚物。回収するため

      痙攣しつづけ

    瞳孔。開孔

     うわ唇。頬

   汚物。廃棄するため


   汚物。廃棄のために

     顎。複雑な

    瞳孔。開孔

      透明な体液を

   汚物。回収のため

     なぜ?

    咥えた。奧歯を

      なぜ?

   肉の汚物に、もうすぐ

     その形態

    前歯が。咬みしめ

      鼻孔が

   鳴るのだろう。サイレンが


   頸を、いま

   波がふれ

   去り、汚された

   波は


   消えた

   砂に、しめった

   色彩をのこし

   いま、褐色を

謂く、

   いま、頸を

      陥没

    静止

     ゆびは

   波がふれ

      変形。鼻梁に

    ただ、波

     なににもふれない

   去り、汚された

      なぜ?

    容赦なくひびき

     すれすれに、ふと

   波は


   消えた

     なにを?

    残酷に想えたほど、波が

      叫ぼうと?

   砂に、しめった

     口蓋。その孔は

    ただ、波

      威嚇しようと?

   色彩をのこし

     なにを?

    静止

      舐めあげようと?

   いま、褐色を


   その虹彩

   静止。見あげていた

   瞳孔に、空

   光りの塊り

謂く、

   その虹彩

      語りかけなかったのだった。なにも

    光りの塊り

     綺羅めきに

   静止。見あげた

      わたしは

    瞳孔に、空

     ささやかなかった

   瞳孔に、空

      眸に

    その虹彩

     なにも

   光りの塊り


   直視していた

   直視しつづけた

   見つめつづけた

   ゆるぎなかった


   光りの塊り

     なにも

    光りの塊り

      眸に

   瞳孔に、空

     ささやかれなかった

    瞳孔に、空

      わたしは

   静止。見あげた

     綺羅めきに

    その虹彩

      語られなかった

   その虹彩








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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