アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -17 詩//まだ知らない/あなたも、まだ/沙羅。その/空。あの色を//08





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   聞く。沙羅。聞け

   赤裸々な騒音。群れ

   群がり、聞け

   沙羅。しかも猶も


   外光。綺羅ら

   朝の鮮烈な

   光りら。新鮮な

   翳る人々


   うすよごれていた

   汚点。人間

   見放されたものら

   美の可能性から


   永遠に

   昏い沁み

   海の綺羅

   空の青。いろ

謂く、

   光り。光りら

      翳り

    ひとびと

     ふれる綺羅さえ

   綺羅ら。朝に

      うごき

    汚点にすぎなかった

     その

   清冽。清純な

      翳り

    ひとびと。その翳りあうむれは

     綺羅を滅ぼした

   光りらそれらのただなかに


   人々。汚点。人間

      海に綺羅

    永遠に

     消滅していた

   いぶき、いきづき

      綺羅めき。もはや

    昏い沁み

     奔流なす

   見放されたものら

      色彩さえも

    羞じ

     綺羅ら。そのあまりの厖大に

   美の可能性から


   聞く。沙羅。聞け

   ぶざまなひびき。群れ

   散らばり聞け

   沙羅。いまも猶も


   外気。綺羅ら

   朝の清冽な

   光りら。清純な

   翳る人々


   ただみすぼらしかった

   汚点。人間

   見放されたものら

   美の可能性から


   永遠に

   昏い羞じ

   海の綺羅

   空の青。いろ


   だから、わたしも

   わたしも沙羅も

   見放されたものら

   美の可能性から

謂く、

   光り。光りら

      翳り

    ひとびと

     白濁の帯びさえ

   綺羅ら。朝に

      にじみ

    汚穢

     その…ん?

   清冽。清純な

      なに?翳り。かっ

    ひとびと

     鮮度をなくした

   光りらそれらのただなかに


   人々。汚点。人間

      海に綺羅が

    永遠に

     容赦されなかった

   いぶき、いきづき

      綺羅めくのだった。もはや

    昏い沁み

     さらす。氾濫を

   見放されたものら

      とめどもなく

    羞じ

     綺羅。もはや強靭に

   美の可能性から


   だから、わたしも

   わたしも沙羅も

   見放されたものら

   私語するけものら


   肉体が咬んだ

   孤立を咬んだ

   骨が吼えた

   歯がうずいていた

謂く、

   だから、わたしも

      肉体が

    口と口たち

     吼えた。吼え

   わたしも沙羅も

      咬んだ。か、孤立を

    ささやくのだった

     骨が。うずいていた

   見放されたものら

      咬んだ

    喉と喉

     歯が

   私語するけものら


   見た。返り見た

   沁みとして、ただ

   かがやきのなかに

   穢れたものたち


   人々が、沙羅

   素肌をさらした

   その破廉恥を

   その傲慢を


   見た。返り見た

   懐疑として、ただ

   かがやきのなかに

   穢れたかたち


   人々が、沙羅

   素肌をさらした

   その頽廃を

   その逸脱を

謂く、

   見た。返り見た

      ひとびとが

    頽廃

     素肌をさらした

   懐疑として、ただ

      沙羅

    惡意

     その破廉恥を

   かがやきのなかに

      目。目と目の群れ

    逸脱

     その傲慢を

   穢れたかたち


   とまどいのなかに

   羞恥のなかに

   驚愕のなかに

   嘲笑のなかに


   おののきのなかに

   恐怖のなかに

   傷みのなかに

   憐憫のなかに


   沙羅はあきらかな

   異端だったから

   沙羅は哀れな

   破綻だったから


   ささやきあいのなかに

   中傷のなかに

   焦燥のなかに

   軽蔑のなかに


   沙羅は悲惨な

   汚点だったから

   沙羅はいたましげな

   狂人だったから

謂く、

   見た。返り見た

      ひとびとが

    辱められていた

     その横暴を

   狂人として、ただ

      見た。沙羅

    そこに

     見た。目。そして目、と、目

   かがやきのなかに

      無視。ひとびとへの

    きみを見るひとは

     その錯乱を

   見苦しい汚点


   沙羅。狂気。沙羅

   ひとびとは見ていた

   須臾にさえも

   赦されるべきはずがなかった


   破綻者。沙羅

   そのなめらかな

   褐色の肌は

   いまも匂いたち

謂く、

   破壊者。沙羅

      笑む

    知った

     歩く

   そのなめらかな

      沙羅は

    ひとびと。そこに

     無防備に

   褐色の肌は

      笑み

    壊された、…と

     歩く

   いまも匂いたち


   破壊者。沙羅

   そのあざやかな

   白濁の肌は

   まさに匂いたち

謂く、

   破綻者。沙羅

      かしげる

    知った

     見あげていた。ふと

   そのあざやかな

      沙羅は

    ひとびとは

     無防備に

   白濁の肌は

      かしげられた、その

    凌辱された、…と

     見あげていたのだった

   まさに匂いたち


   病者。沙羅

   そのうるおいきった

   いきづく肌は

   そこに匂いたち

謂く、

   業病者。沙羅

      のばす

    知った

     まばたいた

   そのうるおいきった

      沙羅は

    ひとびと。そこに

     無防備に

   いきづまる肌は

      のばしてゆき

    穢された、…と

     まばたいた

   そこに匂いたち


   危険物。沙羅

   危機に瀕した

   犠牲者たちは

   いま口臭を吐き


   匂い立つ。沙羅

   砂の上にも

   アスファルトにも

   葉翳りのしたにも

謂く、

   危険物。沙羅

      その惡意に

    さわぐ

     咬み、み

   危機に瀕した

      あっ。は?惡意で

    ささやき声は

     邪気で

   犠牲者たちは

      咬みつき

    怒号のように

     沙羅の邪気に

   いま口臭を吐き


   知った。沙羅。知れ

   轟音。ふいに

   ひとびとの口に

   その翳りの群れに


   罵声。歓声と

   そしてあざけり

   しかも忿怒と

   歓喜。歎き

謂く、

   罵声。歓声と

      歯

    見て。沙羅

     喉

   そしてあざけり

      口

    他人たち。激怒

     唾液

   しかも忿怒と

      口蓋

    見て。沙羅

     さらされた

   歓喜。歎き


   知った。沙羅。知れ

   狂乱。すでに

   ひとびとの目に

   その情熱の濁りに


   殺意。嗜虐と

   そしてあわれみ

   しかも憤懣と

   あるいはむしろかなしみ


   傷みの波は

   足元に散って

   激怒の熱が

   気流を乱した

謂く、

   怒号。呼び声と

      瞳孔。見ひら

    見て。沙羅

     睫毛。しびれ

   そして警戒

      しろ目

    他人たち。おののき

     眉。ゆがみ

   しかも羞恥と

      まぶた

    見て。沙羅

     わなないたひと。ひとびと。いぶき

   失笑。おののき


   だから叫喚

   見て、沙羅。海が

   昏い情熱が

   綺羅らを散らす


   濁流に籠る

   ひらすらな綺羅に

   見て、沙羅。喉が

   光りら、氾濫

謂く、

   だから叫喚

      かたむいた

    見て。沙羅

     腕。掻く

   見て、沙羅。海が

      肩。ぶつかりあい

    他人たち。焦燥

     静止。ゆびさき

   昏い情熱が

      頸すじ

    見て。沙羅

     ねじられたひと。ひとびと。いぶき

   綺羅らを散らす


   濁流に籠る

      のけぞった

    見て。沙羅

     腰。痙攣の須臾

   ひらすらな綺羅に

      ふともも。赤斑

    他人たち。警戒

     足。もたげられた足首

   見て、沙羅。喉が

      背すじに汗

    見て。沙羅

     ゆすぶられたひと。ひとびと。いぶき

   光りら、氾濫


   光りら、横溢

     その色彩も

    絶望的に

      もう

   見て、沙羅。喉が

     色彩の消滅も

    絶望的なまでに

      救いようがなかった

   ひらすらな綺羅に

     翳りさえも

    うつくしい

      すでに

   濁流に籠る


   綺羅らを散らす

     その翳りも

    容赦ない

      もう

   昏い情熱が

     翳りの明滅も

    容赦ないまでに

      なすすべが

   見て、沙羅。海が

     ゆらめきさえも

    うつくしい

      すでに

   だから叫喚


   だから絶叫

   見て、沙羅。空が

   つらなる怒号が

   光りを落とす


   熱情に噎せる

   綺羅らの帯びに

   見て、沙羅。白目が

   雲。波。綺羅ら

謂く、

   絶叫

      剝き出し

    見て。沙羅

     鼻孔。毛

   見て、沙羅。空が

      砂。顎

    他人たち。失笑

     眉じり。微動

   つらなる怒号が

      ひじ

    見て。沙羅

     引き攣ったひと。ひとびと。いぶき

   光りを落とす


   熱情に噎せる

      蹴りあがる

    見て。沙羅

     頭髪。匂い

   綺羅らの帯びに

      返り見、踵

    他人たち。激怒

     汗。くるぶし。汗

   見て、沙羅。白目が

      傷。脛

    見て。沙羅

     散らされた

   雲。波。綺羅ら


   雲。波。まばゆく

     その匂いも

    残酷に

      もう

   見て、沙羅。白目が

     香りも、臭気も

    残酷なまでに

      遁れようがな

   綺羅らの帯びに

     惡臭さえも

    うつくしい

      すでに

   熱情に噎せる


   光りを落とす

     そのひびきも

    無慈悲に

      もう

   つらなるノイズが

     波の轟音も

    無慈悲なまでに

      すがりようがなかった

   見て、沙羅。空が

     沈黙さえも

    うつくしい

      すでに

   だから絶叫


   手遅れ。沙羅。もう

   凌辱しろ、いま

   怪物を。もう

   猶予なく、いま


   留保なく、いま

   怪物を。もう

   破壊しろ、いま

   手遅れ。沙羅。もう

謂く、

   手遅れ。沙羅。もう

      やぶれそう

    吐き気さえ

     やっちゃえば?

   凌辱しろ、いま

      胃が唐突な日影でいきなりへしおれそう

    ほら

     ね?

   怪物を。もう

      ひん曲がりそう

    吐き気さえしそうな

     ね、ね、ね?

   猶予なく、いま


   留保なく、いま

     ね、ね、ね?

    窒息さえしそうな

      つぶれそう

   怪物を。もう

     ね?

    ほら

      はじ。はっ。…じけそう

   破壊しろ、いま

     やっちゃえば?

    窒息さえ

      ねじくれそう

   手遅れ。沙羅。もう


   残酷を、くれるよ

   沙羅。いま

   ここに、だれもが

   あなたにだけ、いま


   悲惨を、くれるよ

   沙羅。いま

   ここに、だれもが

   あなたにだけ、いま


   凄惨を、くれるよ

   沙羅。いま

   ここに、だれもが

   あなたにだけ、いま


   屈辱を、くれるよ

   沙羅。いま

   ここに、だれもが

   あなたにだけ、いま

謂く、

   残酷を、くれるよ

      かがやかしい

    見つめられないくらい

     海は

   悲惨を、くれるよ

      空。正視に堪えない

    沙羅。もはや

     海。すさまじく

   凄惨を、くれるよ

      空は

    見あげられないほどに

     綺羅めきに

   屈辱を、くれるよ


   容赦なく、くれるよ

   かいま見た。沙羅。見て

   その奔流

   その洪水


   沙羅。あざやかな

   褐色の肌。頸

   その翳り。肩に

   むこうに、沙羅、ほら


   色彩があふれた

   空。青。海。綺羅

   砂。しろ。雲。なに?

   なづけようもない


   色彩が見えた

   光り。乱反射。綺羅

   消えた。光りら

   色彩が失せた


   綺羅ら、綺羅きら

   光りの極みに

   綺羅ら、綺羅きら

   まぼろしと消えた

謂く、

   綺羅ら、綺羅きら

      燃えひろがり

    夢のように

     昏んでいった

   光りの極みに

      光暈が

    あり得ない

     わたしたちは

   綺羅ら、綺羅きら

      燃えひろがり

    夢のように

     まさに

   消えたまぼろしに


   たぶん、沙羅、いま

   だれかのあしに

   波の泡だち

   しろく散ったよ


   たぶん、沙羅、いま

   無数の砂に

   波の帯たち

   にじんでいったよ







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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