アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -15 詩//まだ知らない/あなたも、まだ/沙羅。その/空。あの色を//06
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
沙羅。綺羅ら
叫ぶ。濁音を
舌をだした
沙羅。綺羅ら
散る。綺羅も
翳りも、なにも
みだれた息も
散り、しかも
沙羅。綺羅ら
ちかづく。鼻を
咬みかけた
沙羅。綺羅ら
鳴る。聲も
鼻息も、なにも
のみこむ唾も
鳴り、しかも
沙羅。綺羅ら
威嚇。目前を
笑い、鼻をすすった
沙羅。綺羅ら
ゆれる。髪も
匂いも、なにも
その色彩も
ゆれ、しかも
沙羅。綺羅ら
ひっかく。わたしを
おそいかかった
沙羅。綺羅ら
謂く、
沙羅。綺羅ら
狂おしいこころの
接近。綺羅も
そんなふり
散り、綺羅も
こころのままに
咬みかけた。鼻の
ぼくらは
叫び。濁音の
狂う
尖端。匂い
そんな
綺羅ら。飛び散り
沙羅。綺羅ら
いたましいこころの
沙羅。綺羅ら
そんなふたり
威嚇。目前を
こころのままに
口臭。ひびく
ぼくらは
すべるようにも
傷む
わめき、すすりあげ
そんなふり
すれ違いかけて綺羅ら沙羅
沙羅。唐突な
その嬌声に
情熱。肉に
精神が燃えた
散る汗。ゆれる
髪も、臭気も
色も温度も
わななくように
沙羅。笑う
ひっかき、胸を
あやうい沙羅
昏いまなざしに
謂く、
沙羅。笑う
ほしい?
なにも感じはしないから
傷みは?
ひっかき、胸を
まだ
いつまでも
めざましい
あやうい沙羅が
もっと?
貪欲でいられた
絶望は?
昏いまなざしに
沙羅。唐突な
その歓喜に
情熱。骨に
血さえも燃えた
なじる聲。みじかく
たわむれ、しかも
滾る。忘我の
高揚の目に
沙羅。笑う
ひそめた息に、喉を
ふるわせ、沙羅
歯。無防備に
謂く、
沙羅。笑う
ほしい?
なにも見えはしないから
かゆいの?
ひそめた息に、喉を
まだ
いつまでも
容赦ない
ふるわせ、沙羅
もっと?
見つめていられた
爪のゆがみ
歯。無防備に
鼻孔のよこ
頬に落ちない
あやうい傾斜に
汗が光った
くちびるのした
顎のうえ
あやうい陥没に
汗がしたたった
謂く、
鼻孔のよこ
肉を燃やす
忘我。沙羅
すでに
くちびるのした
骨を咬む
歓喜した
咬まれていたのは
あやうい陥没に
そこに
沙羅は赤裸々
情熱
汗がくずれた
沙羅。唐突な
その暴力に
情熱。肉に
精神が燃えた
掻く。指。ゆらす
鼻の橫。舌も
かたむけた頸も
ののしるにも似
沙羅。笑う
からかい、聲を
喉に鳴らし沙羅
昏いまなざしに
謂く、
沙羅。笑う
ほしい?
なにも知覚できはしないから
屈辱は?
からかい、聲を
まだ
いつまでも
いまもしたたる
喉に鳴らし沙羅
もっと?
もとめつづけていられた
体液に?
昏いまなざしに
沙羅。唐突な
その恍惚に
情熱。翳り
体液がこぼれた
たわむれ。闘う
殺し合う。猶も
擬態。内臓を
吐き出すように
沙羅。笑う
口蓋。ねじりあげ、喉を
昏らませ、沙羅
あざけるように
謂く、
沙羅。笑う
ほしい?
なにも感じはしないから
夢は?
口蓋。ねじりあげ、喉を
まだ
いつまでも
ほんとうに見ていた
昏らませ、沙羅
もっと?
まさぐっていられた
きみの未来は?
あざけるように
鳩尾のした
胸のたれさがり
より濃い焦げ茶に
汗。飛び散った
腹部のふくらみ
あやういかたむき
翳りの真横に
その汗。ながれた
謂く、
鳩尾のしたに
わたしを殺す
擬態。沙羅
もう、なにも
ふいのふくらみに
肉体をこわす
歓喜した
すでに
あやういかたむき
そこに
沙羅は赤裸々
熱狂
汗がながれた
わらう。肉
おどける
沙羅。これが
戦闘。たわむれの
たわむれに
沙羅。その心が
部屋に籠った
逃げまどいに
わななく。肉
たぶらかす
沙羅。これが
破壊。たわむれの
たわむれに
沙羅。その意識が
部屋に匂った
つまづきに
ゆれる。肉
怒る
沙羅。これが
殺し合い。たわむれの
たわむれに
沙羅。その精神が
部屋を穢した
壁にぶつかり
跳ねる。肉
激昂する
沙羅。これが
殺戮。たわむれの
たわむれに
沙羅。そのすべてが
部屋にあふれた
その馬のりに
須臾の白目を
押し倒されて
床の上。陽炎を
いま、見い出して
謂く、
須臾の白目を
沙羅。これが
手遅れだから
死。なに?
押し倒されて
死。あなたの
もう
顎。頸を
床の上。陽炎を
なに?死
だいなしだから
殺す。わたしが
いま、見い出して
その絶望を
さらけだして
眸。無慈悲を
いま、見い出して
謂く、
その絶望を
沙羅。これが
手遅れだから
なに?壊滅
さらけだして
屠殺。あなたの
もう
汗。肉を
眸。無慈悲だけを
なに?最期
だいなしだから
つぶす。わたしが
いま、見い出して
その精神を
くだく。ねじる。なぶる
裂く。やぶる。ちぎる
その情熱ごと
その風景を
叫喚に見て
綺羅。虹彩を
いま、目舞わせ
沙羅。これが
悲惨。あなたの
惨劇。わたしが
沙羅を
殺した。凌辱
穢した。恥辱
手おくれの
世界。台無しの
無謀な世界
沙羅が死に
わたしは笑う
無慚な世界
謂く、
沙羅。これが
あなたの
ほら
わたしが殺した
悲惨。あなたの
これが
血まみれの世界
沙羅。ひとり
惨劇。わたしは笑う
最後の絶望
沙羅。これが
痙攣。わたしが
無慚な世界
傷みをあげよう
焰のような
引き裂いた腹に
その内臓に
傷みをあげよう
炸裂に似た
ちぎられた足に
しゃぶられる骨に
凌辱を咬む沙羅
穢された恥辱。いま
手おくれの
世界。台無しの
世界。無謀な、無様な
沙羅。その死
そこ。風景に
叫喚を見た
綺羅。最後に
沙羅。虹彩は
目舞わせたまま
無慈悲を知り
屍。死屍
沙羅はいま
いまわたしだけが
屠殺者。ほふられ
謂く、
屍。死屍
最終的に
たとえばきみが死んだら
いきたえてしまい
沙羅はいま
それらがほろび
その細胞たちの
最終的に
いま、わたしだけが
ほろびてしまい
死の時はいつ?
それらがいきたえ
屠殺者。ほふられて
なにを?沙羅
そこに、そのまざしに
なにを?沙羅
見た?死屍の目に
笑うわたしは
無慚な世界
凄惨な死
沙羅の屍の
擬態。たわむれ
沙羅は見せた
その死。滅びた
肉体に、見た
笑みにひらかれた
まなざしに
事象。その死
じぶんの死にいま
なにを?沙羅
そこに、そのまざしに
なにを?沙羅
見た?死屍の目に
恍惚の沙羅は
滅びた世界
消滅。死
沙羅の屍は
謂く、
恍惚の沙羅は
沙羅は見せた
妄想
おやすみ。もう
滅びた世界
その死。滅びた
いつわり
目覚めないで
消滅。死
魂を、いま
虚偽
二度と
沙羅の屍は
まばたく。いちどだけ
沙羅は見せた
その死。滅びた
肉体に、見た
笑みにゆるんだ
くちびるに
味わう。その死
じぶんの死にいま
沙羅、わらう
声を立て、しかも
狂暴にわらう
沙羅をわらう
謂く、
擬態された
知ってる?
恍惚の沙羅は
後悔など知らない
屍。沙羅
贖罪とは欺瞞
滅びた世界
けものたちが
そこに、浸った
知ってた
消滅。死
原野を走り
自分の死に、いま
いきづく喉は
知ってる?
恍惚の沙羅は
走られた原野に
死んだふり
断罪とは偽善
消えた世界に
いぶきさえ
沙羅。ひとり
知ってた
もういないじぶんに
残さなかった
殺されたふりをし
感じようとし
ほほ笑みながら
笑うわたしは
朝日さえも
意識を澄まし
破壊しようか
救われるべき
ひたすらに
見出そうとし
ほら
救いのない死
うつくしいから
だからそれ
感じられるすべもないもの
感じた須臾にはさらすもの
それが偽りということを
あり得はしないという事実を
辿り着き得ないという事実を
だから限界のさらにそのさきの
ついに不在の事象であるもの
感じられるべくもないもの
だからそれ
うつくしいから
救いのない死
ほら
見出そうとし
ひたすらに
救われるべき
自壊しようか
意識を澄まし
朝日さえも
笑うわたしは
ほほ笑みながら
感じようとし
殺されたふりをし
残さなかった
もういないじぶんに
そう。知ってた
沙羅。ひとり
いぶきさえ
消えた世界に
糾弾とは過失
死んだふり
走られた原野に
恍惚の沙羅は
知ってる?
いきづく喉は
自分の死に、いま
原野を走り
消滅。死
そう。知ってた
そこに、浸った
けものたちが
滅びた世界
贖罪とは偽造
屍。沙羅
後悔など知らない
恍惚の沙羅は
知ってる?
擬態された
屍はわらった
声をたて
床のうえ
沙羅がわらった
見て。わたしの
肌に綺羅。そして
翳りら。雪崩れ
にじみあっていま
にじみきれずも
とけあいかけて
まざりあいかけ
見て。その色ら
光りに消えた
色彩は綺羅
綺羅さえも
まなざしは知った
ただ、色彩と
色づきと
色めきと
ただ、たしかに色と
謂く、
沙羅。わたし。この
見て
とけあうように
いいよ
鳩尾に綺羅。しかも
その色ら
まざりあうように
さわって。もう
翳り。いま
見て
雪崩れるように
いいんだよ
にじみあうように
いぶきとともに
ゆらいでしまうよ
きみはいちども
ながれ、翳りも
息するたびに
這う翳り
ほんとのことを言わないで
綺羅も
息するたびに
綺羅も
わたしはいちども
ゆらめいてしまうよ
いぶきとともに
にじみあうように
いいんだよ
雪崩れるように
見て
翳り。いま
さわって。もう
まざりあうように
その色ら
鳩尾に綺羅。しかも
いいよ
とけあうように
見て
沙羅。わたし。この
わたしたちにいま
雪がふればいい
夏の終わりかけ
この亜熱帯に、いま
屍を雪が
うずめればいい
血も肉片も、もう
まっしろにしろ
雪ふりしきり
しらゆき、こなゆき
きえかけのゆきだに
すべて、消しさったから
ふいにもたげた
上半身を、そこ
真横に射した
光りに光らせ
沙羅。朝の
沙羅。あまりにたしかな
みずみずしい朝
わたしをとむらうその
とむらい。沙羅
花もなく、…なぜ?
うめられたのは、だれ?
わたし。沙羅
かたむく頸は
見はしない、そこに
うつぶせて死んだ
屍を見捨て
沙羅。須臾の
沙羅。あまりにけなげな
倦怠のときは
屍など沙羅に忘れさせその
とむらい。沙羅
涙などない。なぜ?
死んだのは、だれ?
だれか。沙羅
見捨てられていた
屍。そこに
頸をねじった
そこ。沙羅を見あげ
沙羅。のけぞる
沙羅。あまりにも華奢な
頸が傷む。ただ
死にさえしない屍はその
頬にわらった
声もなく笑み
ひらいた口に
無言でわらった
謂く、
あした、人間たちが
とむらうの?
香り
舞い、ゆれ
滅びたら、彼等の
蝶たちが
ほら、いま
ゆらぎ、ふるえ
世界が滅びたら
せめて
香りたつ。色彩
あの蝶たちが
蝶たち。あざやかな
かぞうべくもない
鱗粉が散った
無数に散った
虚空は、色めき
虚空が、色づき
無数に散った
鱗粉が散った
かぞうべくもない
蝶たち。あざやかな
あの蝶たちを
香り
せめて
世界が崩壊したら
ゆらぎ、ふるえ
ほら、いま燃えたつような
蝶たちを
滅びたら、彼等の
舞い、ゆれ
香り
とむらうの?
あした、人間たちが
鼻に慣れない
匂いが散った
悪臭を散らした
虚空も、匂い
虚空に、匂い
無数に散った
鱗粉が散った
かぞうべくもない
沙羅を。あざやかな
とむらうの?
燃え
舞い、撒き
肌が腐敗したら
蝶たちが
ほら、いま
撒き散らし、ふるえ
熟れくずれたら、彼等の
せめて
燃えたつ。色彩
あの蝶たちが
あした、蝶たちが
見捨てた屍が
立ち上がり、沙羅
見捨てた蝶が
扉にふれた
0コメント