流波 rūpa ……詩と小説180・流波 rūpa 癡多 citta ver.1.01 //…見て/なにを?/見ていた/いつ?;伽多





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   見える?

   沙羅。だから

   姿ない、その

   姿ない目に


   模倣しよう

   あなたに見蕩れて

   見蕩れた擬態に

   そのままに


   模倣しよう

   姿ない沙羅

   仮死の沙羅その

   不在をも


   見える?

   わたし、その

   姿ない、いま

   姿ない目に


   陽炎。それは

   すでに消え去りかけた、と

   思った

   だれが?


   あざやかに

   いま、あらわれていた、と

   思った

   だれが?


   陽炎。それは

   すでに消え去っていた、と

   思った

   だれが?


   色彩もなく

   いま、ゆらいでいた、と

   思った

   だれが?


   陽炎。それは

   もはやあざやかに、と

   思った

   だれが?


   あきらかなかたち

   いま、あばかれていた、と

   思った

   だれが?


   陽炎。それは

   とめどもない生滅、と

   思った

   だれが?


   なかったにひとしく

   いま、鮮明なまたたき、と

   思った

   だれが?


   陽炎。それは

   すでにかすみかけていた、と

   思った

   だれが?


   あざやかに

   いま、慥かにあった、と

   思った

   だれが?


   消え去っていたのは

   それは、沙羅

   沙羅、だから

   そこにひとり


   眼差しに

   かたちは色彩

   ただ、ひたすらに色

   その、あざやかな?


   死んでいたのは

   それは、沙羅

   沙羅、だから

   そこにひとり


   眼差しに

   かたちは色彩

   ただ、ひたすらに色

   その、おぼろげな?


   息吹いていたのは

   それは、沙羅

   沙羅、だから

   そこにひとり


   眼差しに

   かたちは色彩

   ただ、ひたすらに色

   その、孤立しない?


   存在していなかったのは

   それは、沙羅

   沙羅、だから

   そこにひとり


   眼差しに

   かたちは色彩

   ただ、ひたすらに色

   その、溶けあうだけの?


   姿さえないのは

   それは、沙羅

   沙羅、だから

   そこにひとり


   眼差しに

   かたちは色彩

   ただ、ひたすらに色

   その、さらされた差異?


   色彩は差異

   なにが、なにと?

   差異する色彩

   どれを、なにと?


   すでに差異など

   その不可能をのみ

   それら差異など

   あったことさえ


   それぞれは

   色なし

   それぞれは

   色づき


   それぞれは

   それら、色彩

   それぞれに

   差異を


   さらし、さらされ

   色彩は差異

   差異する色彩

   まなざしに


   さらし、さらされ

   あざやかに

   不可解に

   謎のように


   すでに差異など

   その不可能をのみ

   それら差異など

   あったことさえ


   その色彩とは

   なに?…色など

   此の色彩とは

   なに?…色こそ


   眼差しは一度も見なかった

   色など

   それら色づく

   色こそ


   仮構していた

   その不在を

   沙羅、あらわれたまま

   そこに、ひとり


   仮構していた

   そのあきらかな死を

   沙羅、息づいたまま

   そこに、ひとり


   仮構していた

   その不可視を

   沙羅、あきらかなまま

   そこに、ひとり


   姿もない沙羅

   だから、ひとり

   沙羅は、そこに

   ほくそ笑み


   消え失せた沙羅

   だから、ひとり

   沙羅は、そこに

   せせら笑い


   あられもない沙羅

   だから、ひとり

   沙羅は、そこに

   しのび笑いの


   死んでいる沙羅

   だから、ひとり

   沙羅は、そこに

   あざけ笑いに


   ゆれた。ほら

   その肩も、沙羅は

   わななくように?

   ゆれ、ゆれて


   死など知らない

   なにものも

   死は仮構だから

   ゆれ、ゆれて


   褐色の、色

   あざやかな色

   もう、無謀なくらい

   ゆれ、ゆれて


   ゆれていた。ほら

   その捥も、沙羅は

   引き攣るように?

   ゆれ、ゆれて


   死などなかった

   なにものも

   死は仮構だから

   ゆれ、ゆれて


   舐める、白濁

   傷みなす綺羅

   もう、不安なくらい

   ゆれ、ゆれて


   ゆれた。ほら

   その髮も、沙羅は

   壊れたように?

   ゆれ、ゆれて


   死などただの疑問

   なにものも

   死は仮構だから

   ゆれ、ゆれて


   綺羅なす、光り

   その肌に、髮に

   もう、いたましいくらい

   ゆれ、ゆれて


   ゆれていた。ほら

   そのくびれ、沙羅は

   愚弄したように?

   ゆれ、ゆれて


   死など見なかった

   なにものも

   死は仮構だから

   ゆれ、ゆれて


   沙羅は、色彩

   あざやかな翳り

   もう、いたたまれないくらい

   ゆれ、ゆれて


   ゆれていた。ほら

   そのふとももさえ

   愚弄したように?

   ゆれ、沙羅、ゆれて


   沙羅。なんの差異が?

   仮構と現実に

   仮構された

   眼差しのなかに


   すでに差異など

   その不可能をのみ

   それら差異など

   あったことさえ


   ほら、沙羅

   たぶん、ふれれば

   あたたかな肌に

   あたたかな息吹き


   あなたの死

   赦そう、わたしは

   不遜な死

   軽蔑として


   沙羅。なんの差異が?

   仮構と現実に

   仮構された

   眼差しの仮構


   すでに差異など

   その不可能をのみ

   それら差異など

   あったことさえ


   ほら、沙羅

   たぶん、ふれれば

   あたたかな唇

   あたたかな息づき


   あなたの不在

   赦そう、わたしは

   不遜な不在

   軽蔑として


   沙羅。なんの差異が?

   仮構と現実に

   仮構された

   仮構の眼差し


   すでに差異など

   その不可能をのみ

   それら差異など

   あったことさえ


   ほら、沙羅

   いま、沙羅、ふれて

   あたたかな肌

   あたたかな息吹き


   あなたの消滅

   赦そう、わたしは

   不遜な消滅

   軽蔑として


   見て。沙羅

   聲についに笑うまえに

   死んだ沙羅

   まだ目があれば


   見て。沙羅

   のけぞってついに笑うまえに

   死んだ沙羅

   まだ顏があれば


   見て。沙羅

   跳ね起きてついに笑うまえに

   死んだ沙羅

   まだ頸があれば


   あなたの仮死の上に

   それは陽炎

   ゆれ、ゆれて

   それらは


   あなたの不在の上に

   それは陽炎

   ゆれ、ゆれて

   それらは


   あなたの消滅の上に

   それは陽炎

   ゆれ、ゆれて

   それらは


   息吹きつづけ

   一度も隱しはしなかったから

   その息吹きを。だから

   あばきつづけ


   さらしつづけ

   その息吹きを。だから

   一度も隱しはしなかったから

   息吹きつづけ


   それらは

   ゆれ、ゆれて

   それは陽炎

   あなたの消滅の上に


   それらは

   ゆれ、ゆれて

   それは陽炎

   あなたの不在の上に


   それらは

   ゆれ、ゆれて

   それは陽炎

   あなたの仮死の上に


   まだ頸があれば

   死んだ沙羅

   跳ね起きてついに笑うまえに

   見て。沙羅


   まだ顏があれば

   死んだ沙羅

   のけぞってついに笑うまえに

   見て。沙羅


   まだ目があれば

   死んだ沙羅

   聲についに笑うまえに

   見て。沙羅


   軽蔑として

   不遜な消滅

   赦そう、わたしは

   あなたの消滅


   あたたかな息吹き

   あたたかな肌

   いま、沙羅、ふれて

   ほら、沙羅


   あったことさえ

   それら差異など

   その不可能をのみ

   すでに差異など


   仮構の眼差し

   仮構された

   仮構と現実に

   沙羅。なんの差異が?


   軽蔑として

   不遜な不在

   赦そう、わたしは

   あなたの不在


   あたたかな息づき

   あたたかな唇

   たぶん、ふれれば

   ほら、沙羅


   あったことさえ

   それら差異など

   その不可能をのみ

   すでに差異など


   仮構の眼差し

   仮構された

   仮構と現実に

   沙羅。なんの差異が?


   軽蔑として

   不遜な死

   赦そう、わたしは

   あなたの死


   あたたかな息吹き

   あたたかな肌に

   たぶん、ふれれば

   ほら、沙羅


   あったことさえ

   それら差異など

   その不可能をのみ

   すでに差異など


   仮構の眼差し

   仮構された

   仮構と現実に

   沙羅。なんの差異が?


   ゆれ、沙羅、ゆれて

   愚弄したように?

   そのふとももさえ

   ゆれていた。ほら


   ゆれ、ゆれて

   もう、いたたまれないくらい

   あざやかな翳り

   沙羅は、色彩


   ゆれ、ゆれて

   死は仮構だから

   なにものも

   死など見なかった


   ゆれ、ゆれて

   愚弄したように?

   そのくびれ、沙羅は

   ゆれていた。ほら


   ゆれ、ゆれて

   もう、いたましいくらい

   その肌に、髮に

   綺羅なす、光り


   ゆれ、ゆれて

   死は仮構だから

   なにものも

   死などただの疑問


   ゆれ、ゆれて

   壊れたように?

   その髮も、沙羅は

   ゆれた。ほら


   ゆれ、ゆれて

   もう、不安なくらい

   傷みなす綺羅

   舐める、白濁


   ゆれ、ゆれて

   死は仮構だから

   なにものも

   死などなかった


   ゆれ、ゆれて

   引き攣るように?

   その捥も、沙羅は

   ゆれていた。ほら


   ゆれ、ゆれて

   もう、無謀なくらい

   あざやかな色

   褐色の、色


   ゆれ、ゆれて

   死は仮構だから

   なにものも

   死など知らない


   ゆれ、ゆれて

   わななくように?

   その肩も、沙羅は

   ゆれた。ほら


   あざけ笑いに

   沙羅は、そこに

   だから、ひとり

   死んでいる沙羅


   しのび笑いの

   沙羅は、そこに

   だから、ひとり

   あられもない沙羅


   せせら笑い

   沙羅は、そこに

   だから、ひとり

   消え失せた沙羅


   ほくそ笑み

   沙羅は、そこに

   だから、ひとり

   姿もない沙羅


   そこに、ひとり

   沙羅、あきらかなまま

   その不可視を

   仮構していた


   そこに、ひとり

   沙羅、息づいたまま

   そのあきらかな死を

   仮構していた


   そこに、ひとり

   沙羅、あらわれたまま

   その不在を

   仮構していた


   色こそ

   それら色づく

   色など

   眼差しは一度も見なかった


   なに?…色こそ

   此の色彩とは

   なに?…色など

   その色彩とは


   あったことさえ

   それら差異など

   その不可能をのみ

   すでに差異など


   謎のように

   不可解に

   あざやかに

   さらし、さらされ


   まなざしに

   差異する色彩

   色彩は差異

   さらし、さらされ


   差異を

   それぞれに

   それら、色彩

   それぞれは


   色づき

   それぞれは

   色なし

   それぞれは


   あったことさえ

   それら差異など

   その不可能をのみ

   すでに差異など


   どれを、なにと?

   差異する色彩

   なにが、なにと?

   色彩は差異


   その、さらされた差異?

   ただ、ひたすらに色

   かたちは色彩

   眼差しに


   そこにひとり

   沙羅、だから

   それは、沙羅

   姿さえないのは


   その、溶けあうだけの?

   ただ、ひたすらに色

   かたちは色彩

   眼差しに


   そこにひとり

   沙羅、だから

   それは、沙羅

   存在していなかったのは


   その、孤立しない?

   ただ、ひたすらに色

   かたちは色彩

   眼差しに


   そこにひとり

   沙羅、だから

   それは、沙羅

   息吹いていたのは


   その、おぼろげな?

   ただ、ひたすらに色

   かたちは色彩

   眼差しに


   そこにひとり

   沙羅、だから

   それは、沙羅

   死んでいたのは


   その、あざやかな?

   ただ、ひたすらに色

   かたちは色彩

   眼差しに


   そこにひとり

   沙羅、だから

   それは、沙羅

   消え去っていたのは


   だれが?

   思った

   いま、慥かにあった、と

   あざやかに


   だれが?

   思った

   すでにかすみかけていた、と

   陽炎。それは


   だれが?

   思った

   いま、鮮明なまたたき、と

   なかったにひとしく


   だれが?

   思った

   とめどもない生滅、と

   陽炎。それは


   だれが?

   思った

   いま、あばかれていた、と

   あきらかなかたち


   だれが?

   思った

   もはやあざやかに、と

   陽炎。それは


   だれが?

   思った

   いま、ゆらいでいた、と

   色彩もなく


   だれが?

   思った

   すでに消え去っていた、と

   陽炎。それは


   だれが?

   思った

   いま、あらわれていた、と

   あざやかに


   だれが?

   思った

   すでに消え去りかけた、と

   陽炎。それは










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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