流波 rūpa ……詩と小説172・流波 rūpa 癡多 citta ver.1.01 //…見て/なにを?/見ていた/いつ?;伽多





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   見蕩れなどしなかった

   …だれ?

   わたしは

   沙羅。もう、いちども


   その肌にも

   沙羅。火照る

   褐色の

   あざやかな肌にも


   怯えはしなかった

   …だれ?

   わたしは

   沙羅。もう、いちども


   その唇にも

   沙羅。翳る

   沁みのような

   濃い汚点、それ


   おののきはしなかった

   …だれ?

   わたしは

   沙羅。もう、いちども


   その頬にも

   沙羅。口元にも

   哄笑していた

   不遜なふるえ


   悲しみはしなかった

   …だれ?

   わたしは

   沙羅。もう、いちども


   その瞼にも

   沙羅。複雑な

   みだれすぎの襞

   昏い息吹き、それ


   まして忿怒

   …だれ?

   わたしは

   沙羅。もう、いちども


   その眼差しにも

   沙羅。にらみつけ

   侮辱しきった

   容赦ない不快


   存在の卑賤

   神がかりの不細工

   生得的劣惡

   あなたごときに


   恍惚など

   いちども、あなたに

   須臾にだに

   沙羅、夢にだに


   うつくしくないから

   沙羅。あなたは

   見つめられる価値も

   そんな魅力も


   陶酔など

   いちども、あなたに

   須臾にだに

   沙羅、幻にだに


   好ましくないから

   沙羅。あなたは

   一瞥の価値も

   その必然も


   惑溺など

   いちども、あなたに

   須臾にだに

   沙羅、夢にだに


   そそられはしないから

   沙羅。あなたは

   そこに在る価値も

   すべて不可能


   無窮の欠陥

   とめどない愚劣

   卑猥の過剰

   沙羅、あなたは


   焦がれられたこと

   ある?…沙羅

   あなたは

   いちどでも


   寄り添われたこと

   ある?…沙羅

   あなたは

   狂犬にでも


   ほほ笑ませたこと

   ある?…沙羅

   あなたは

   須臾だにも


   愛されたこと

   ある?…沙羅

   あなたは

   不愉快な


   できそこない

   欠損そのもの

   イノチへの愚弄

   生態系の屈辱


   あなたは

   沙羅。すでに

   まばたき

   笑っていた。わたしに


   あざ笑い

   笑っていた。聲もなく

   鼻孔に笑い

   笑いかけ、不愉快な


   沙羅。醒めきって

   冴えた目に

   綺羅ら。みにくさ

   虹彩。その


   沙羅。昏い

   逆光に、翳り

   火照りに、白濁

   下品に埀らし、その


   せせら笑いに

   ぶざま。その白濁を

   埀らし、智慧もない

   あざけりに


   白濁。ゆれて

   沙羅。匂う

   香り立つ

   惡臭の

   

   沙羅。見つめているのは

   なに?いま

   その不愉快に

   穢すぎる目に


   沙羅。聲もなく

   なに?いま

   あざ笑うのは

   なに?見下すのは


   沙羅。その言葉も

   なにも

   沙羅。なにも知らない

   知るすべもない


   穢らしいから

   無価値だから

   恥だから

   塵以下だから


   なにを見ていようと

   なにを知っていようと

   なにを感じていようと

   知らない。沙羅


   その心など

   わたしは

   …だれ?

   知ったことじゃない


   下等な沙羅。ほら

   下劣に笑み

   下等に笑み

   下劣な沙羅。ほら


   知ったことじゃない

   …だれ?

   わたしは

   その心など


   知らない。沙羅

   なにを感じていようと

   なにを知っていようと

   なにを見ていようと


   塵以下だから

   恥だから

   無価値だから

   穢らしいから


   知るすべもない

   沙羅。知らない

   なにも

   沙羅。その言葉も


   なに?見下すのは

   あざ笑うのは

   なに?いま

   沙羅。聲もなく


   穢すぎる目に

   その不愉快に

   なに?いま

   沙羅。見つめているのは


   惡臭の

   香り立つ

   沙羅。匂う

   白濁。ゆれて


   あざけりに

   埀らし、智慧もない

   ぶざま。その白濁を

   せせら笑いに


   下品に埀らし、その

   火照りに、白濁

   逆光に、翳り

   沙羅。昏い


   虹彩。その

   綺羅ら。みにくさ

   冴えた目に

   沙羅。醒めきって


   笑いかけ、不愉快な

   鼻孔に笑い

   笑っていた。聲もなく

   あざ笑い


   笑っていた。わたしに

   まばたき

   沙羅。すでに

   あなたは


   生態系の屈辱

   イノチへの愚弄

   欠損そのもの

   できそこない


   不愉快な

   あなたは

   ある?…沙羅

   愛されたこと


   須臾だにも

   あなたは

   ある?…沙羅

   ほほ笑ませたこと


   狂犬にでも

   あなたは

   ある?…沙羅

   寄り添われたこと


   いちどでも

   あなたは

   ある?…沙羅

   焦がれられたこと


   沙羅、あなたは

   卑猥の過剰

   とめどない愚劣

   無窮の欠陥


   すべて不可能

   そこに在る価値も

   沙羅。あなたは

   そそられはしないから


   沙羅、夢にだに

   須臾にだに

   いちども、あなたに

   惑溺など


   その必然も

   一瞥の価値も

   沙羅。あなたは

   好ましくないから


   沙羅、幻にだに

   須臾にだに

   いちども、あなたに

   陶酔など


   そんな魅力も

   見つめられる価値も

   沙羅。あなたは

   うつくしくはないから


   沙羅、夢にだに

   須臾にだに

   いちども、あなたに

   恍惚など


   あなたごときに

   生得的劣惡

   神がかりの不細工

   存在の卑賤


   容赦ない不快

   侮辱しきった

   沙羅。にらみつけ

   その眼差しにも


   沙羅。もう、いちども

   わたしは

   …だれ?

   まして忿怒


   昏い息吹き、それ

   みだれすぎの襞

   沙羅。複雑な

   その瞼にも


   沙羅。もう、いちども

   わたしは

   …だれ?

   悲しみはしなかった


   不遜なふるえ

   哄笑していた

   沙羅。口元にも

   その頬にも


   沙羅。もう、いちども

   わたしは

   …だれ?

   おののきはしなかった


   濃い汚点、それ

   沁みのような

   沙羅。翳る

   その唇にも


   沙羅。もう、いちども

   わたしは

   …だれ?

   怯えはしなかった


   あざやかな肌にも

   褐色の

   沙羅。火照る

   その肌にも


   沙羅。もう、いちども

   わたしは

   …だれ?

   見蕩れなどしなかった












Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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