流波 rūpa ……詩と小説170・流波 rūpa 癡多 citta ver.1.01 //…見て/なにを？/見ていた/いつ？；伽多

以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。

　　　その日差しはななめに

　　　だから、沙羅

　　　それは朝

　　　…いつ？

　　　褐色の肌

　　　赤裸々に

　　　恥知らず

　　　破廉恥に

　　　その光りは淨らに

　　　だから、沙羅

　　　それは朝

　　　…だれ？

　　　白濁のゆれ

　　　無防備に

　　　見せつけたように

　　　その気もなく

　　　その翳りはななめに

　　　だから、沙羅

　　　それは朝

　　　…いつ？

　　　褐色の肌に

　　　いや濃く染まった

　　　穢い色

　　　澱んだ色

　　　沙羅、その色彩

　　　あなたの色に

　　　沙羅、噓をつこう

　　　ひそかに

　　　褐色の肌に

　　　にじむように

　　　琥珀の色

　　　灼けた色

　　　沙羅、その色彩

　　　あなたの色に

　　　沙羅、噓をつこう

　　　隱しとおして

　　　褐色の肌に

　　　沁み込んでいた

　　　薰りたつ色

　　　漲りの色

　　　沙羅、その色彩

　　　あなたの色に

　　　沙羅、噓をつこう

　　　なにも告げずに

　　　まるで、他にも

　　　息吹くものらが存在するかに

　　　まるで、どこかに

　　　息づくものらが存在するかに

　　　沙羅、その色彩

　　　あなたの色に

　　　沙羅、噓をつこう

　　　沈黙したまま

　　　擬態しあい

　　　わたしたちは

　　　沙羅、いま

　　　擬態しあう

　　　生きたよ

　　　死んだよ

　　　滅びた

　　　殺した

　　　擬態しあい

　　　わたしたちは

　　　沙羅、いま

　　　擬態しあう

　　　生まれたよ

　　　いつ？

　　　あしたか

　　　きのうか

　　　擬態しあい

　　　わたしたちは

　　　沙羅、いま

　　　擬態しあう

　　　滅びたよ

　　　だれ？

　　　あさってか

　　　おとといか

　　　擬態しあい

　　　わたしたちは

　　　沙羅、いま

　　　擬態しあう

　　　いたよ

　　　消えたよ

　　　なかった

　　　いなかった

　　　どこにも

　　　沙羅。もう

　　　光りふれるから

　　　翳りなすから

　　　沙羅。まばたいた？

　　　いま？

　　　…だれ？

　　　沙羅。まばたいた？

　　　翳りなすから

　　　光りふれるから

　　　沙羅。もう

　　　どこにも

　　　いなかった

　　　なかった

　　　消えたよ

　　　いたよ

　　　擬態しあう

　　　沙羅、いま

　　　わたしたちは

　　　擬態しあい

　　　おとといか

　　　あさってか

　　　…だれ？

　　　滅びたよ

　　　擬態しあう

　　　沙羅、いま

　　　わたしたちは

　　　擬態しあい

　　　きのうか

　　　あしたか

　　　…なに？

　　　生まれたよ

　　　擬態しあう

　　　沙羅、いま

　　　わたしたちは

　　　擬態しあい

　　　殺した

　　　滅びた

　　　死んだよ

　　　生きたよ

　　　擬態しあう

　　　沙羅、いま

　　　わたしたちは

　　　擬態しあい

　　　沈黙したまま

　　　沙羅、噓をつこう

　　　あなたの色に

　　　沙羅、その色彩

　　　息づくものらが存在するかに

　　　まるで、どこかに

　　　息吹くものらが存在するかに

　　　まるで、他にも

　　　なにも告げずに

　　　沙羅、噓をつこう

　　　あなたの色に

　　　沙羅、その色彩

　　　擬態しあい

　　　沙羅、いま

　　　わたしたちは

　　　擬態しあい

　　　見蕩れて？

　　　見蕩れ？

　　　…なに？

　　　それ、…るあっ

　　　るぃっ…それ

　　　…だれ？

　　　見蕩れ？

　　　見蕩れて？