流波 rūpa ……詩と小説167・流波 rūpa 癡多 citta ver.1.01 //…見て/なにを?/見ていた/いつ?;伽多





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。










   その部屋

   あかるい

   最上階に

   …なに?


   壁は漆喰

   しろい、それ

   翳りは蜥蜴

   …なに?


   見なかった

   …だれ?

   わたしは

   部屋など


   見なかった

   …だれ?

   その部屋

   その色


   見なかった

   なにも

   ベッドも

   窓も


   見なかった

   …だれ?

   わたしは

   だから


   海。その綺羅

   見い出す、それは

   ひたすらに

   綺羅。生滅の


   海。その白濁

   見い出す、それは

   ひたすらに

   綺羅。生滅の


   海。その騒ぎ立ち

   あかされすぎた

   日差し

   …なに?


   海。そのどよめき

   あかるすぎた

   日差し

   …なに?


   物らの散乱

   色なす、それら

   色をなくし

   なに?…光りのなかに


   見なかった

   …だれ?

   わたしは、もう

   色彩など


   見なかった

   …だれ?

   わたしは

   だから


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   海。その綺羅

   それは

   波うち、かすかな

   生滅の


   海。その綺羅

   それは

   赤裸々な明滅

   生滅の


   海に眩む。昏み

   まなざしは

   まばたき

   息をのみ


   海に昏む。眩み

   まなざしは

   すべり

   逸らされた翳り


   そのシーツ。いま

   皴をさらし

   ベッドに

   …なに?


   その昏み。いま

   翳り、濃く翳り

   ほほ笑んだ?

   …なに?


   身を曲げていた?

   昏い、その

   翳りは沙羅

   …なに?


   見なかった

   …だれ?

   わたしは、それら

   その翳りなど


   見なかった

   …だれ?

   わたしは、そんな

   だから


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   海。その綺羅

   それは

   波うち、かすかな

   生滅の


   海。その綺羅

   それは

   赤裸々な明滅

   生滅の


   海に眩む。昏み

   まなざしは

   まばたき

   息をのみ


   海に昏む。眩み

   まなざしは

   すべり

   逸らされた、翳り


   その無防備

   さらされた

   素肌に

   …なに?


   褐色の翳り

   しろい、その

   白濁は息吹き

   …なに?


   見なかった

   …だれ?

   わたしは、もう

   その息遣いなど


   見なかった

   …だれ?

   わたしは

   だから


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   海。その綺羅

   それは

   波うち、かすかな

   生滅の


   海。その綺羅

   それは

   赤裸々な明滅

   生滅の


   海に眩む。昏み

   まなざしは

   まばたき

   息をのみ


   海に昏む。眩み

   まなざしは

   すべり

   逸らされた、昏み


   昏む翳りは

   光り。光りら、光り

   赤裸々な

   露出


   翳る翳りは

   光り。光りら、光り

   剝き出しの

   暴露


   翳りの昏みは

   光り。光りら、光り

   隱さない

   さらす


   その眠り

   光りのなかに

   色をあばき

   …なに?


   その目醒め

   光りのなかに

   色をなくし

   …なに?


   白濁の綺羅

   脈うつ、その

   かがやきは朝に

   …なに?


   見なかった

   …だれ?

   わたしは、もう

   その清冽など


   見なかった

   …だれ?

   わたしは、もう

   その息吹く肌など


   見なかった

   …だれ?

   わたしは

   だから


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   その眼差し

   見ていた

   わたしは、もう

   …なに?


   その眼差し

   ふいに

   ひらいた

   …なに?


   もたげた頸

   かすかに、その

   鈍む白に綺羅

   …なに?


   見なかった

   …だれ?

   わたしは、もう

   その虹彩も


   見なかった

   …だれ?

   わたしは

   だから


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   その唇

   濃褐色の

   沈む色

   …なに?


   哄笑を?

   ゆがみ、その

   不遜はなぜ?

   …なに?


   見なかった

   …だれ?

   わたしは、もう

   そのほほ笑みなど


   見なかった

   …だれ?

   わたしは

   だから


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   海を?

   その色?

   色の

   喪失?


   容赦なく

   留保なく

   ふせぐ手立ても

   なにも


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   海を?

   色なし

   色をなくし

   うばわれつづけ


   とどまらず

   見い出せず

   ふれる手立ても

   なにも


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   窓の外

   遠い海を?

   …なにを?

   見ていた?


   窓の外

   匂いもない海?

   …なにを?

   見ていた?


   窓の外

   ふれ得ない海?

   …なにを?

   見ていた?


   窓の外

   見い出せはしない

   …なにを?

   見ていた?


   海。その綺羅

   それは

   ひたすらな綺羅

   その生滅に


   聞いていたのは

   その聲

   …だれ?

   聲。鼻に鳴った


   聲。…だれ?

   沙羅の

   だれ?…わたしは

   あなたの


   沙羅。笑う

   たぶん、いつか

   殺してしまう

   褐色のあなたを


   沙羅。笑う

   嫌悪とともに?

   戀のこじれ?

   この手で


   沙羅。笑う

   たぶん、いつか

   殺してしまう

   あざやかなあなたを


   沙羅。笑う

   泣き叫びながら?

   笑いながら?

   だから、いま


   沙羅。笑って

   好きなだけ

   意図もなく

   あざやかな哄笑


   しかも、海。その

   綺羅ら。それは

   ひたすらな綺羅

   生滅の


   窓の外

   その海を

   …なにを?

   見ていた?


   窓の外

   遠い、…だれ?

   …なにを?

   見ていた?


   窓の外

   だれが?

   …なにを?

   見ていた?


   窓の外

   いつ?…なぜ?

   …だれ?

   見ていたのは


   なにも

   見てはいなかった

   なにも

   海さえ


   綺羅の海

   生滅の光り

   なにも

   見ていたのは


   なにも

   見てはいなかった

   なにも

   眼玉さえ


   もう、燃えたから

   もう、なくしたから

   …だれ?

   見ていたのは


   なにも

   見てなど

   なにも

   生きてさえ


   もう、滅びたから

   もう、存在さえ

   …だれ?

   見ていたのは


   なにも

   見てはいなかった

   なにも

   死にさえも


   もう、生まれもしなかった

   もう、はじめから

   …だれ?

   笑ったのは


   沙羅。ふと

   頸だけあげた

   沙羅。ふと

   瞼だけあけた


   …だれ?それ

   だれ?…なに?

   …え?

   なに?それは


   沙羅。その

   翳り。翳る

   なにもない

   色彩さえ


   …だれ?それ

   だれ?…なに?

   …は?

   なに?それは


   光りのなかに

   だから、光りら

   翳りら、だから

   翳りのなかに


   …だれ?それ

   だれ?…なに?

   …あっ

   なに?…それは


   色彩さえも

   なにもない

   光り。光る

   沙羅。その


   沙羅。その

   色ら。色づき

   なにもない

   あかるみさえも


   なに?…それは

   …あっ

   だれ?…なに?

   …だれ?それ


   翳りのなかに

   翳りら、だから

   だから、光りら

   光りのなかに


   なに?…それは

   …あっ

   だれ?…なに?

   …だれ?それ


   色彩さえ

   なにもない

   翳り。翳る

   沙羅。その


   なに?…それは

   …あっ

   だれ?…なに?

   …だれ?それ


   瞼だけあけた

   沙羅。ふと

   頸だけあげた

   沙羅。ふと


   笑ったのは

   …だれ?

   もう、はじめから

   もう、生まれもしなかった


   死にさえも

   なにも

   見てはいなかった

   なにも


   見ていたのは

   …だれ?

   もう、存在さえ

   もう、滅びたから


   生きてさえ

   なにも

   見てなど

   なにも


   見ていたのは

   …だれ?

   もう、なくしたから

   もう、燃えたから


   眼玉さえ

   なにも

   見てはいなかった

   なにも


   見ていたのは

   なにも

   生滅の光り

   綺羅の海


   海さえ

   なにも

   見てはいなかった

   なにも


   見ていたのは

   …だれ?

   いつ?…なぜ?

   窓の外


   見ていた?

   …なにを?

   だれが?

   窓の外


   見ていた?

   …なにを?

   遠い、…だれ?

   窓の外


   見ていた?

   …なにを?

   その海を

   窓の外


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   綺羅ら。それは

   しかも、海。その


   あざやかな哄笑

   意図もなく

   好きなだけ

   沙羅。笑って


   だから、いま

   笑いながら?

   泣き叫びながら?

   沙羅。笑う


   あざやかなあなたを

   殺してしまう

   たぶん、いつか

   沙羅。笑う


   この手で

   戀のこじれ?

   嫌悪とともに?

   沙羅。笑う


   褐色のあなたを

   殺してしまう

   たぶん、いつか

   沙羅。笑う


   あなたの

   だれ?…わたしは

   沙羅の

   聲。…だれ?


   聲。鼻に鳴った

   …だれ?

   その聲

   聞いていたのは


   その生滅に

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   見ていた?

   …なにを?

   見い出せはしない

   窓の外


   見ていた?

   …なにを?

   ふれ得ない海?

   窓の外


   見ていた?

   …なにを?

   匂いもない海?

   窓の外


   見ていた?

   …なにを?

   遠い海を?

   窓の外


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   なにも

   ふれる手立ても

   見い出せず

   とどまらず


   うばわれつづけ

   色をなくし

   色なし

   海を?


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   なにも

   ふせぐ手立ても

   留保なく

   容赦なく


   喪失?

   色の

   その色?

   海を?


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   だから

   わたしは

   …だれ?

   見なかった


   そのほほ笑みなど

   わたしは、もう

   …だれ?

   見なかった


   …なに?

   不遜はなぜ?

   ゆがみ、その

   哄笑を?


   …なに?

   沈む色

   濃褐色の

   その唇


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   だから

   わたしは

   …だれ?

   見なかった


   その虹彩も

   わたしは、もう

   …だれ?

   見なかった


   …なに?

   鈍む白に綺羅

   かすかに、その

   もたげた頸


   …なに?

   ひらいた

   ふいに

   その眼差し


   …なに?

   わたしは、もう

   見ていた

   その眼差し


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   だから

   わたしは

   …だれ?

   見なかった


   その息吹く肌など

   わたしは、もう

   …だれ?

   見なかった


   その清冽など

   わたしは、もう

   …だれ?

   見なかった


   …なに?

   かがやきは朝に

   脈うつ、その

   白濁の綺羅


   …なに?

   色をなくし

   光りのなかに

   その目醒め


   …なに?

   色をあばき

   光りのなかに

   その眠り


   さらす

   隱さない

   光り。光りら、光り

   翳りの昏みは


   暴露

   剝き出しの

   光り。光りら、光り

   翳る翳りは


   露出

   赤裸々な

   光り。光りら、光り

   昏む翳りは


   逸らされた、昏み

   すべり

   まなざしは

   海に昏む。眩み


   息をのみ

   まばたき

   まなざしは

   海に眩む。昏み


   生滅の

   ひたすらな明滅

   それは

   海。その綺羅


   生滅の

   波うち、かすかな

   それは

   海。その綺羅


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   だから

   わたしは

   …だれ?

   見なかった


   その息遣いなど

   わたしは、もう

   …だれ?

   見なかった


   …なに?

   白濁は息吹き

   しろい、その

   褐色の翳り


   …なに?

   素肌に

   さらされた

   その無防備


   逸らされた、翳り

   すべり

   まなざしは

   海に昏む。眩み


   息をのみ

   まばたき

   まなざしは

   海に眩む。昏み


   生滅の

   ひたすらな明滅

   それは

   海。その綺羅


   生滅の

   波うち、かすかな

   それは

   海。その綺羅


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   だから

   わたしは、そんな

   …だれ?

   見なかった


   その翳りなど

   わたしは、それら

   …だれ?

   見なかった


   …なに?

   翳りは沙羅

   昏い、その

   身を曲げていた?


   …なに?

   ほほ笑んだ?

   翳り、濃く翳り

   その昏み。いま


   …なに?

   ベッドに

   皴をさらし

   そのシーツ。いま


   逸らされた、翳り

   すべり

   まなざしは

   海に昏む。眩み


   息をのみ

   まばたき

   まなざしは

   海に眩む。昏み


   生滅の

   ひたすらな明滅

   それは

   海。その綺羅


   生滅の

   波うち、かすかな

   それは

   海。その綺羅


   生滅の

   ひたすらな綺羅

   それは

   海。その綺羅


   だから

   わたしは

   …だれ?

   見なかった


   色彩など

   わたしは、もう

   …だれ?

   見なかった


   なに?…光りのなかに

   色をなくし

   色なす、それら

   物らの散乱


   …なに?

   日差し

   あかるすぎた

   海。そのどよめき


   …なに?

   日差し

   あかされすぎた

   海。その騒ぎ立ち


   綺羅。生滅の

   ひたすらに

   見い出す、それは

   海。その白濁


   綺羅。生滅の

   ひたすらに

   見い出す、それは

   海。その綺羅


   だから

   わたしは

   …だれ?

   見なかった


   窓も

   ベッドも

   なにも

   見なかった


   その色

   その部屋

   …だれ?

   見なかった


   部屋など

   わたしは

   …だれ?

   見なかった


   …なに?

   翳りは蜥蜴

   しろい、それ

   壁は漆喰


   …なに?

   最上階に

   あかるい

   その部屋


   そのまなざしは

   すべりあがり

   目舞い

   逸らされ


   そのまなざしは

   海に昏み、眩む

   息をのみ

   まばたき


   まなざしは

   海に眩み、昏い

   生滅の

   ひたすらな明滅


   生滅の

   波うち、かすかな

   生滅の

   ひたすらな綺羅


   それは

   海。その綺羅

   綺羅ら。その海

   それは


   ひたすらな綺羅

   生滅の

   波うち、かすかな

   生滅の


   ひたすらな明滅

   生滅の

   海に眩み、昏い

   まなざしは


   まばたき

   息をのみ

   海に昏み、眩む

   そのまなざしは


   逸らされ

   目舞い

   すべりあがり

   そのまなざしは


   見蕩れて

   見蕩れ?

   …なに?

   それ


   剝き出しの

   網膜。綺羅

   綺羅。虹彩

   剝き出しの


   それ

   …だれ?

   見蕩れ?

   見蕩れて











Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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