流波 rūpa ……詩と小説162・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈67
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あるいは、
弔いは
その死者の弔いは
死者たちにのみ
まかせていよう
関わり得ないから
他人ごとだから
死になどふれ得は
ふれ得はしなかったから
弔いは
その妹の弔いすら
死者たちにのみ
ゆだねていよう
語り得ないから
他人ごとだから
沈黙さえなし得は
なし得はせずにそれは楓。ふたりわたしの家のシャワールームで汚れをあらいながらしながら、そしてもう、もはやふたり赤裸々に戯れさえしながら、「ほら、そのうち全面核戦争起るかもしれないじゃん」
「起るわけないじゃん」と、それは
「でも、あれなんでもなくない?一万年の半減期?でも、それ、あっという間じゃない?…もう、星のまばたきの時間…だから、明日にでもやっちゃえばいいんだよ。おれたちの世界なんて、ふっとばしちゃって。…どうってことない。なんでもなかった。所詮、黴の一つが滅びた程度の痕跡さえもう、どこにもない」
わたしはすでにささやき続けていたのだった。だから楓の傷み。
わたしが肌、その肌、うぶ毛、それらその毛孔にさえも、傷み。
あわてて、沙羅。
その肉体を腕に抱きしめながら、いよいよぴったり耳元に、
「あのいもうとは、滅びなかった。なにも、滅びなかった。所詮、光りがあたった或る底というだけ。その底がぬけたところで、それになんの滅びが?光りはすぐさまに無数にあり得、あり得るかぎりの底にぶちあたるのに?イノチという風景。それさえ、たんなる黴の亡き骸に墮さしめるすさまじさのなかにおれたちはすでに燃えあがってる」謂く、
きみを見ていた
楓。そのわたし
わたしのためにだけに笑う
楓。かれを見ていた
死者ら。それら
無数の死者ら
色彩もない死者ら
それら死者ら
死者らのこちらに
楓。そのわたし
かれのためだけに笑う
楓。わたしを見ていた
死者ら。それら
数かぎりない死者ら
翳り、ゆらぎ死者ら
それら死者ら
死者らのむこうに
楓。そのわたし
かれのためだけに笑う
楓。かれを見ていた
死者ら。それら
数うべくもない死者ら
ゆらぎ、とろけて死者ら
それら死者ら
死者らのかさなりに
楓。そのわたし
わたしのためだけに笑う
楓。わたしを見ていた
死者ら。それら
無限にすぎない死者ら
孔ひらき、ひらく死者ら
それら死者ら
妹は、その
妹は、いちども
聲さえあげずに
その妹は
その妹は
聲さえあげずに
妹は、いちども
妹は、その
それら死者ら
孔ひらき、ひらく死者ら
無限にすぎない死者ら
死者ら。それら
楓。わたしを見ていた
わたしのためだけに笑う
楓。そのわたし
死者らのかさなりに
それら死者ら
ゆらぎ、とろけて死者ら
数うべくもない死者ら
死者ら。それら
楓。かれを見ていた
かれのためだけに笑う
楓。そのわたし
死者らのむこうに
それら死者ら
翳り、ゆらぎ死者ら
数かぎりない死者ら
死者ら。それら
楓。わたしを見ていた
かれのためだけに笑う
楓。そのわたし
死者らのこちらに
それら死者ら
色彩もない死者ら
無数の死者ら
死者ら。それら
楓。かれを見ていた
わたしのためにだけに笑う
楓。そのわたし
きみを見ていた
すなわち妹。その屠殺。信じがたかった。ほんとうに吹き出た血に。思った、ほんとうに、あなたはそこで、しかも猶も、事実として生きて、生きていたんだね、と、かさねあわせたのだった。
わたしは、沙羅。
じぶんの肌を、沙羅。
だからその肌に、あるいは沙羅。
妹。その屠殺。信じがたい死。だから火を放つ。せめても焰。わたしのふれ得ない、つかみようもないそれに、そうやってあなたを埋葬するために、かさねて謂く、
きみを見ていた
その指先に
笑ってよ
なにを、ふれようとして?
楓。そのわたし
なにを?
せめて、わずかにでも
なにを?
わたしのためにだけに笑う
なにを、ふれようとして?
ほほ笑んでごらん
その指先に
楓。かれを見ていた
死者ら。それら
光りを、むしろ
その十三歳の
もて遊んだに似て
無数の死者ら
そこに光り。それらをだけ
おさない口に
そこに光り。それらをだけ
色彩もない死者ら
もて遊んだに似て
その口元に
光りを、むしろ
それら死者ら
死者らのこちらに
沙羅。ほら
ひらいてよ
綺羅。爪にさえ綺羅
楓。そのわたし
その爪に
せめて、わずかにでも
その爪に
かれのためだけに笑う
綺羅。爪にさえ綺羅
すこしあけてごらん
沙羅。ほら
楓。わたしを見ていた
死者ら。それら
その指先に
その十三歳の
なにを、えがこうとして?
数かぎりない死者ら
なにを?
おさない瞼
なにを?
翳り、ゆらぎ死者ら
なにを、えがこうとして?
そのまなざしを
その指先に
それら死者ら
死者らのむこうに
光りを、むしろ
ささやいてよ
なぞってみたに似て
楓。そのわたし
そこに光り。それらをだけ
せめて、わずかにでも
そこに光り。それらをだけ
かれのためだけに笑う
なぞってみたに似て
未知の言葉にでも
光りを、むしろ
楓。かれを見ていた
死者ら。それら
沙羅。ほら
その十三歳の
綺羅。爪にさえ綺羅
数うべくもない死者ら
その爪に
おさない舌に
その爪に
ゆらぎ、とろけて死者ら
綺羅。爪にさえ綺羅
その喉に
沙羅。ほら
それら死者ら
死者らのかさなりに
その指先に
ほら、いまも
なにを、感じて?
楓。そのわたし
なにを?
窓越しに
なにを?
わたしのためだけに笑う
なにを、感じて?
光り。ほら
その指先に
楓。わたしを見ていた
死者ら。それら
光りを、むしろ
光りら、赤裸々
避けていたに似て
無限にすぎない死者ら
そこに光り。それらをだけ
無造作にも
そこに光り。それらをだけ
孔ひらき、ひらく死者ら
避けていたに似て
光り。横殴りに
光りを、むしろ
それら死者ら
妹は、その
沙羅。ほら
あるいはななめに
綺羅。爪にさえ綺羅
妹は、いちども
その爪に
ややかたむいて
その爪に
聲さえあげずに
綺羅。爪にさえ綺羅
光り。光りら
沙羅。ほら
その妹は
その妹は
綺羅。爪にさえ綺羅
光り。光りら
沙羅。ほら
聲さえあげずに
その爪に
ややかたむいて
その爪に
妹は、いちども
沙羅。ほら
あるいはななめに
綺羅。爪にさえ綺羅
妹は、その
それら死者ら
避けていたに似て
光り。横殴りに
光りを、むしろ
孔ひらき、ひらく死者ら
そこに光り。それらをだけ
無造作にも
そこに光り。それらをだけ
無限にすぎない死者ら
光りを、むしろ
光りら、赤裸々
避けていたに似て
死者ら。それら
楓。わたしを見ていた
なにを、感じて?
光り。ほら
その指先に
わたしのためだけに笑う
なにを?
窓越しに
なにを?
楓。そのわたし
その指先に
ほら、いまも
なにを、感じて?
死者らのかさなりに
それら死者ら
綺羅。爪にさえ綺羅
その喉に
沙羅。ほら
ゆらぎ、とろけて死者ら
その爪に
おさない舌に
その爪に
数うべくもない死者ら
沙羅。ほら
その十三歳の
綺羅。爪にさえ綺羅
死者ら。それら
楓。かれを見ていた
なぞってみたに似て
未知の言葉にでも
光りを、むしろ
かれのためだけに笑う
そこに光り。それらをだけ
せめて、わずかにでも
そこに光り。それらをだけ
楓。そのわたし
光りを、むしろ
ささやいてよ
なぞってみたに似て
死者らのむこうに
それら死者ら
なにを、えがこうとして?
そのまなざしを
その指先に
翳り、ゆらぎ死者ら
なにを?
おさない瞼
なにを?
数かぎりない死者ら
その指先に
その十三歳の
なにを、えがこうとして?
死者ら。それら
楓。わたしを見ていた
綺羅。爪にさえ綺羅
すこしあけてごらん
沙羅。ほら
かれのためだけに笑う
その爪に
せめて、わずかにでも
その爪に
楓。そのわたし
沙羅。ほら
ひらいてよ
綺羅。爪にさえ綺羅
死者らのこちらに
それら死者ら
もて遊んだに似て
その口元に
光りを、むしろ
色彩もない死者ら
そこに光り。それらをだけ
おさない口に
そこに光り。それらをだけ
無数の死者ら
光りを、むしろ
その十三歳の
もて遊んだに似て
死者ら。それら
楓。かれを見ていた
なにを、ふれようとして?
ほほ笑んでごらん
その指先に
わたしのためにだけに笑う
なにを?
せめて、わずかにでも
なにを?
楓。そのわたし
その指先に
笑ってよ
なにを、ふれようとして?
きみを見ていた
その足に、沙羅。その足に立ったまま足をからめさえして、
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