流波 rūpa ……詩と小説158・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈63





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





あるいは、

   夢。夢は無数に

   無数のゆらぎ

   水泡のように

   まるで。まるでそれら


   夢。夢は無限に

   無限のゆらめき

   水泡のように

   まるで。まるでそれら


   綺羅ら。水泡は

   綺羅ら、綺羅だち

   散り、綺羅散りあい

   綺羅。だから


   夢。夢はすでに

   すでに、不穏に

   だれかが見ていた夢のように

   まるで。まるでそれらこんな風景。たとえば沈んでゆく水泡。もしもそれを沈没としてしか認識しえない魂が昇ってゆくのなら、かれは慥かに昇ってゆくのだ。あるいは上昇。のぼってゆく水泡。もしもそれを上昇としてしか認識しえない魂が沈んでゆくのなら、かれは慥かに沈んでゆくのだ。いずれにせよそれ。それらは水泡。あざやかな、あざやかな、あざやかな、もはやあざやかすぎた顏をあげた。

…だれ?

だから、不意のその沙羅。

見た。わたしはかの女の、だからそこに水泡。その無際限な散乱。そうに違いないないだろう。あるいは綺羅。もしもそれを綺羅としてしか認識しえない魂が綺羅を見たのなら、それはあざやかな、あざやかな、あざやかな、あざやかすぎた綺羅。その無際限な散乱。そうに違いないないだろう。そんな風景。だからかれの周囲は水温に盈たされていたの違いない。しかも、たとえそれが冴えた、つめたい、つめたすぎてもうほほ笑んでた沙羅。

その顏を。

ただやさしく、こころをふとさわがせないではおかないばかりにもやさしくほほ笑み、その冴えきるばかりの温度だったにしてもむしろ、火照るしかすべのない肉体はもう、情熱。それら水らのゆらぎを情熱。冷たく感じ得たはずがなく、情熱。そんな、情熱。情熱。情熱。それは、体内のすべてを掻き毟って咬み、無数の口に喰いちぎるような、だからそんな情熱。火照り、だから火照るままにむしろそれは、ただ赤裸々な発熱、謂く、

   水の中に

   見い出した月

   それら、数うべくもない

   月ら。それら


   綺羅ら。水泡に

   水泡の綺羅に

   映えていた月

   だからもう、数うべくもない


   月を見ていた

   水の中にも

   水のこちらに

   水の向こうに


   あるいは綺羅は

   もはや水をさえ

   抜け出して、綺羅

   水の向こうに


   あるいは綺羅ら

   もはや水にさえ

   ふれもせず、綺羅

   まなざしは


   綺羅に知っていた

   あの母の、あの息吹き

   やさしい息吹き

   やさしいこころは


   願っていた

   あの母の、思うがままに

   その決断のままに

   なぜならイノチは


   すでにあなたにあげてしまったものだから

   指先も眼もくちびるも心も

   なにもかも

   すでにかの女にささげていたから


   あの母に

   傷みにゆらぎ

   傷みにゆらぐ

   あの母に


   すでにかの女にささげていたから

   なにもかも

   指先も眼もくちびるも心も

   すでにあなたにあげてしまったものだから


   なぜならイノチは

   その決断のままに

   あの母の、思うがままに

   願っていた


   やさしいこころは

   やさしい息吹き

   あの母の、あの息吹き

   綺羅に知っていた


   まなざしは

   ふれもせず、綺羅

   もはや水にさえ

   あるいは綺羅ら


   水の向こうに

   抜け出して、綺羅

   もはや水をさえ

   あるいは綺羅は


   水の向こうに

   水のこちらに

   水の中にも

   月を見ていた


   だからもう、数うべくもない

   映えていた月

   水泡の綺羅に

   綺羅ら。水泡に


   月ら。それら

   それら、数うべくもない

   見い出した月

   水の中に

すなわち時に思い出し、思い描き得た気がした。その母、たぶん、いちども姿など見たこともなかったはずの生き物。その形姿。なつかしい形姿。なつかしすぎて、せつないほどになつかしい形姿、かさねて謂く、

   水の中に

      笑っちゃいそう

    滅びていこう

     笑っていいかな?

   見い出した月

      もう。…ね?

    望むがままに

     もう。…ね?

   それら、数うべくもない

      笑っていいかな?

    望まれたままに

     笑っちゃいそう

   月ら。それら


   綺羅ら。水泡に

      ほんとうは、ね?

    過失だから

     その顏も

   水泡の綺羅に

      ねねね。思い出せない。きみの

    わたしはすでに

     ねねね。思い出せない。きみの

   映えていた月

      その顏も

    欠損だから

     ほんとうは、ね?

   だからもう、数うべくもない


   月を見ていた

      大好きなのに

    滅びていこう

     好きすぎるのに

   水の中にも

      噓もなにもなく

    望むがままに

     噓もなにもなく

   水のこちらに

      好きすぎるのに

    望まれたままに

     大好きなのに

   水の向こうに


   あるいは綺羅は

      笑っちゃいそう

    失敗だから

     笑っていいかな?

   もはや水をさえ

      もう。…ね?

    わたしはすでに

     もう。…ね?

   抜け出して、綺羅

      笑っていいかな?

    犯罪だから

     笑っちゃいそう

   水の向こうに


   あるいは綺羅ら

      たぶん、記憶など

    可能性

     ひとしくて

   もはや水にさえ

      忘却にすでに

    あなたの睫毛が

     忘却にすでに

   ふれもせず、綺羅

      ひとしくて

    淚を知る、その

     たぶん、記憶など

   まなざしは


   綺羅に知っていた

      だからぼくらは

    可能性

     忘却していた

   あの母の、あの息吹き

      克明に記憶を

    だから、ぼくはすぐさまに

     記憶を克明に

   やさしい息吹き

      忘却していた

    滅びて仕舞おう

     だからぼくらは

   やさしいこころは


   願っていた

      笑っちゃいそう

    可能性

     笑っていいかな?

   あの母の、思うがままに

      もう。…ね?

    あなたのまなざしが

     もう。…ね?

   その決断のままに

      笑っていいかな?

    傷みを咬む、その

     笑っちゃいそう

   なぜならイノチは


   すでにあなたにあげてしまったものだから

      ほんとうは、ね?

    可能性

     ふうふらっ…いま。ね?

   指先も眼もくちびるも心も

      ねねね。思い出せない。だれの

    あなたのまなざしが

     水泡はじけた

   なにもかも

      その顏も

    傷みを咬む、その

     飛沫とび散った

   すでにかの女にささげていたから


   あの母に

      兆しさえない

    可能性

     兆しさえない

   傷みにゆらぎ

      翳り。もしくはただの綺羅?

    だから、ぼくはすぐさまに

     綺羅。もしくはただの翳り?

   傷みにゆらぐ

      兆しさえない

    滅びて仕舞おう

     兆しさえない

   あの母に


   すでにかの女にささげていたから

      その顏も

    奪っていいよ。もう、奪われたもの

     飛沫とび散った

   なにもかも

      ねねね。思い出せない。だれの

    この息は。あなたは

     水泡はじけた

   指先も眼もくちびるも心も

      ほんとうは、ね?

    奪っていいよ。もう、奪われたもの

     ふうふらっ…いま。ね?

   すでにあなたにあげてしまったものだから


   なぜならイノチは

      笑っていいかな?

    滅びて仕舞おう

     笑っちゃいそう

   その決断のままに

      もう。…ね?

    だから、ぼくはすぐさまに

     もう。…ね?

   あの母の、思うがままに

      笑っちゃいそう

    可能性

     笑っていいかな?

   願っていた


   やさしいこころは

      忘却していた

    傷みを咬む、その

     だからぼくらは

   やさしい息吹き

      記憶を克明に

    あなたのまなざしが

     克明に記憶を

   あの母の、あの息吹き

      だからぼくらは

    可能性

     忘却していた

   綺羅に知っていた


   まなざしは

      ひとしくて

    滅びて仕舞おう

     たぶん、記憶など

   ふれもせず、綺羅

      忘却にすでに

    だから、ぼくはすぐさまに

     忘却にすでに

   もはや水にさえ

      たぶん、記憶など

    可能性

     ひとしくて

   あるいは綺羅ら


   水の向こうに

      笑っていいかな?

    淚を知る、その

     笑っちゃいそう

   抜け出して、綺羅

      もう。…ね?

    あなたの睫毛が

     もう。…ね?

   もはや水をさえ

      笑っちゃいそう

    可能性

     笑っていいかな?

   あるいは綺羅は


   水の向こうに

      好きすぎるのに

    犯罪だから

     大好きなのに

   水のこちらに

      噓もなにもなく

    わたしはすでに

     噓もなにもなく

   水の中にも

      大好きなのに

    失敗だから

     好きすぎるのに

   月を見ていた


   だからもう、数うべくもない

      その顏も

    望まれたままに

     ほんとうは、ね?

   映えていた月

      ねねね。思い出せない。きみの

    望むがままに

     ねねね。思い出せない。きみの

   水泡の綺羅に

      ほんとうは、ね?

    滅びていこう

     その顏も

   綺羅ら。水泡に


   月ら。それら

      笑っていいかな?

    欠損だから

     笑っちゃいそう

   それら、数うべくもない

      もう。…ね?

    わたしはすでに

     もう。…ね?

   見い出した月

      笑っちゃいそう

    過失だから

     笑っていいかな?

   水の中に

沙羅。しかも沙羅。そう、わたしに名づけられたかれはささやく。ふと、その自分自身のことばに。わたしの解さないことば。だからかれらの言葉。わたしはそれに、「なんだよ」と。

笑った。

わたしは。

そして、沙羅。

その沙羅も。

口を、沙羅。

だからその沙羅。

翳りにいくえにも翳る無数の翳り。

沙羅。

その口を、ふいにおおきく開いた沙羅の、その前歯にわたしはそっと…なぜ?

ゆびを、…だれ?

ふれる。

…いつ?

笑むくちびる。

沙羅の。

その裏側の、だから粘膜にうすくにじんでいた唾液は、ゆび。

すでにそのゆびの背に。

爪に。











Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

0コメント

  • 1000 / 1000