流波 rūpa ……詩と小説152・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈57
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あるいは、
見い出されたものに
それに現実と
赤裸々な現実と
そう名づけたらなら
なんの違いが?
それは、夢と
夢と名づけて呼んだ
夢と知られたそれらと
察知されたものに
それに真実と
完璧な真実と
そう名づけたらなら
なんの違いが?
それは、まぼろしと
まぼろしと名づけて呼んだ
まぼろしと知られたそれらと。たとえばこのような、夢。夢?あるいは妄想?…いずれにせよ醒めながら、もう、これ以上ないほど明晰に見る、そんな明瞭な夢。鮮明な、夢のような夢。だから夢。こう考えてみてほしい。そこにあきらかにわたしは目覚めているのだが、まるでかたちというべき明確な、つまりはそれとして留まることを得たかたちをは持ち得ない、しかしたしかにそこに、わたし。肉の息づき、さかんに息吹き、だからいきいきとしたわたしは、だから触手ような肌に、肌のような
…ね?…いま
智慧づいた蝶は
筋肉に、骨格のような
あなたの瞼に
嫌惡しただろう。あらゆる
内臓に、その漿膜の
萌えていたもの。それは
ひとの口に
表面の細胞ひとつひとつにもすでに
なに?
正義と呼ばれたものを
芽生えた脳髄らしきものの、それら、無数の息吹きのすべてに見い出し続ける、だから、さまざまな色彩を。
さまざまな夢を。
あざやかな夢を。しかもあざやかにわたしは慥かに目覚めていて、だから息遣い、もはや息吹き。名づけようもない息吹きを、と、「…なに?」
それは瑠璃。
「なんで、いま、わらうの?」
その瑠璃。鼻血をながしながら、床に這う。肩と二の腕と肩甲骨?…たぶんそうに違いないでたらめな骨格。這うための肉体?悲惨な形態。器用に。無様に。執拗に。…老いぼれ?もう、腰から下に力をうしなって仕舞ったから、だからそれはもう
…ね?…いま
兵士たちは
一〇年前後?…老いさらばえた
あなたのくちびるに
恍惚の中に
瑠璃。かの女の感じつづけた
燃えていたもの。それは
死んだだろう
苛酷のすべてが、
なに?
ただしい悶死。ただしい、
出逢ったころにはすでに老けて見えていた容貌をさらに、ことさらに老け込ませて、ビラ・ビアンカ。その巨大なキッチン。七十年代日本のあこがれ。アメリカン・ライフ。でろでろの
ほら、花たちが
ゆらゆゆゆっ
ステーキ。休日の
花たちが、いま
夢見て咲いた
バーベキュー。でかい
夢見て咲いた
花たちが、いま
冷蔵庫。日本人なら
ゆらゆゆゆっ
ほら、花たちが
そこで暮らるんじゃない?…たぶん、ひらけばバラバラになった瑠璃が凍る。だれがかの女を滅ぼした?たぶんGHQとプーチン氏ひとりのせい。かつ北朝鮮製のヒーターのせい。日本人ならだれもが知っている。アメリカ人の野蛮さは。彼等は半生のビーフを喰わない。切れば血の出るビーフはうまい。肝臓だったら生で喰え。腎臓の刺身はたぶんヘルシー。脳みそは生きたままを海苔でつつんでそれだけで戴く。野蛮なまでにエレガント、謂く、
かの女の肌に
ささげたもの。…息
いつも息
それだけ。…なぜ?
ふれるべき価値も
なにもないから
惡くむべき穢れも
それさえないから
かの女の肌に
ささげたもの。…気配
まなざしの気配
それだけ。…なぜ?
見られているよ
見つめられ、いま
あなたの肌を
いま、目が愛してた
かの女の肌に
ささげたもの。…息吹き
いつも息吹き
それだけ。…なぜ?
さらされてるよ
わたしに、いま
あなたのそこも
すべてさらされ
知られ、知られきり
無防備な、その無防備に
見い出され、まなざし
そのまなざしのまえに
さらけ出された
感じてごらん?
あなたの恍惚
そらされた虹彩。その
むこうに、ひとり
ひとり、咬みつき
咬みつかれ、ひとり
そこで、ひとり
そらされた虹彩。その
あなたの恍惚
感じてごらん?
さらけ出された
そのまなざしのまえに
見い出され、まなざし
無防備な、その無防備に
知られ、知られきり
すべてさらされ
あなたのそこも
わたしに、いま
さらされてるよ
それだけ。…なぜ?
いつも息吹き
ささげたもの。…息吹き
かの女の肌に
いま、目が愛してた
あなたの肌を
見つめられ、いま
見られているよ
それだけ。…なぜ?
まなざしの気配
ささげたもの。…気配
かの女の肌に
それさえないから
惡くむべき穢れも
なにもないから
ふれるべき価値も
それだけ。…なぜ?
いつも息
ささげたもの。…息
かの女の肌に
すなわち嗜虐?…まさか。そのほほ笑みを見ていた。瑠璃。そう名づけたその女。かの女の。そのほほ笑みを見ていた。血の滲む朝も。傷みにかたむく頸すじの午後も。髮を自分でなぜた指。その痙攣の宵も。ほほ笑みだけがふさわしいから。わたしたちには。だからそこにはつねにほほ笑み。ほほ笑みだけが見い出されていた、かさねて謂く、
かの女の肌に
知ってる?
のけぞるように
ひびいたひびき
ささげたもの。…息
ね、…壁のむこうに
頸を。頸
ね、…壁のむこうに
いつも息
ひびいたひびき
その頸が傾斜
知ったる?
それだけ。…なぜ?
ふれるべき価値も
泣いてるの?
のけぞるように
笑ってるの?
なにもないから
聲…それ
なぜ?…日射しのなかに
聲…それ
惡くむべき穢れも
笑ってるの?
ふいに、ふるえて
泣いてるの?
それさえないから
かの女の肌に
その違いさえ
ふるえるように
壁がふるえて
ささげたもの。…気配
やさしく霞み
唇を。唇
やさしく霞み
まなざしの気配
大気がふるえて
その唇が彎曲
その違いさえ
それだけ。…なぜ?
見られているよ
知ってる?
ふるえるように
ひびいたひびき
見つめられ、いま
ね、…すこし遠くに
なぜ?…綺羅らのなかに
ね、…すこし遠くに
あなたの肌を
ひびいたひびき
ふいに、わななき
知ってた?
いま、目が愛してた
かの女の肌に
怒号?…いまの
わななくように
歓呼の?…いまの
ささげたもの。…息吹き
聲…それ
額を。額
聲…それ
いつも息吹き
歓呼の?…いまの
その皮膚が痙攣
怒号?…いまの
それだけ。…なぜ?
さらされてるよ
その違いさえ
わななくように
鳥たちが飛んで
わたしに、いま
やさしくゆらめき
なぜ?…翳りらのゆらぎ
やさしくゆらめき
あなたのそこも
蝶はふるえて
ふいに、咬む
その違いさえ
すべてさらされ
知られ、知られきり
知ってる?
あなたは
返り見たひびき
無防備な、その無防備に
ね、…耳の至近に
じぶんの指。小指を
ね、…耳の至近に
見い出され、まなざし
返り見たひびき
じぶの歯に咬む
知ってる?
そのまなざしのまえに
さらけ出された
なに?…いまの
あなたは
なに?…いまの
感じてごらん?
聲?…それ
じぶんの爪。爪さえ
聲?…それ
あなたの恍惚
なに?…いまの
その粘膜にも咬み
なに?…いまの
そらされた虹彩。その
むこうに、ひとり
ひびきとひびきは
その粘液に濡らし
蛹が燃えて
ひとり、咬みつき
やさしくとけあい
じぶんの爪。爪さえ
やさしくとけあい
咬みつかれ、ひとり
蝶たちは失語
あなたは
ひびきとひびきは
そこで、ひとり
そらされた虹彩。その
それ、だれ?…なに?
じぶの歯に咬む
あきらかな色彩
あなたの恍惚
まなざしのそこに
じぶんの指。小指を
鏡のそこにも
感じてごらん?
あきらかな色彩
あなたは
それ、だれ?…なに?
さらけ出された
そのまなざしのまえに
蝶たちは失語
ふいに、咬む
ひびきとひびきは
見い出され、まなざし
やさしくとけあい
なぜ?…翳りらのゆらぎ
やさしくとけあい
無防備な、その無防備に
ひびきとひびきは
わななくように
蛹が燃えて
知られ、知られきり
すべてさらされ
なに?…いまの
その皮膚が痙攣
なに?…いまの
あなたのそこも
聲?…それ
額を。額
聲?…それ
わたしに、いま
なに?…いまの
わななくように
なに?…いまの
さらされてるよ
それだけ。…なぜ?
返り見たひびき
ふいに、わななき
知ってた?
いつも息吹き
ね、…耳の至近に
なぜ?…綺羅らのなかに
ね、…耳の至近に
ささげたもの。…息吹き
知ってる?
ふるえるように
返り見たひびき
かの女の肌に
いま、目が愛してた
蝶はふるえて
その唇が彎曲
その違いさえ
あなたの肌を
やさしくゆらめき
唇を。唇
やさしくゆらめき
見つめられ、いま
その違いさえ
ふるえるように
鳥たちが飛んで
見られているよ
それだけ。…なぜ?
歓呼の?…いまの
ふいに、ふるえて
怒号?…いまの
まなざしの気配
聲…それ
なぜ?…日射しのなかに
聲…それ
ささげたもの。…気配
怒号?…いまの
のけぞるように
歓呼の?…いまの
かの女の肌に
それさえないから
ひびいたひびき
その頸が傾斜
知ってた?
惡くむべき穢れも
ね、…すこし遠くに
頸を。頸
ね、…すこし遠くに
なにもないから
知ってる?
のけぞるように
ひびいたひびき
ふれるべき価値も
それだけ。…なぜ?
大気がふるえて
あっ…いまっ
その違いさえ
いつも息
やさしく霞み
息を、吐いたね。くちびる
やさしく霞み
ささげたもの。…息
その違いさえ
生きてたんだね
壁がふるえて
かの女の肌に
眼を閉じた。むしろ。わたしは窓際にひとり、立ったまま眼を閉じて、そして見た。その昏みに、あるいはしかも瞼を透かした光りの…なに?赤み。オレンジ。…きいろみ、…なに?月を。
その閉じられた網膜に、月。
あざやかな月。
波の綺羅らの波らの綺羅の、それら無際限な綺羅を投げ捨てた、その、水平線に垂直に浮かんでいた月。
しろい、しろい、ひたすらな、しろ。
まるで、ふいにそこにだけうつろなあかるい孔がひらいたかのような。
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