流波 rūpa ……詩と小説149・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈55前半
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あるいは、
悲鳴さえない
なぜ?妹という、それ
その生きものは
口がないものだから
代わりにあげて、あげてあげよう
孔に悲鳴
口?…悲鳴をあげたから
それは慥かに口だった
叫びさえない
なぜ?妹という、それ
その生きものは
聲がないものだから
代わりにあげて、あげてあげよう
孔に叫び聲
口?…怒号をあげたから
それは慥かに口だった。もはや情熱。しかも情熱、さらにだに情熱。情熱。情熱。情熱、それら血管、それらまともな血管のみならず毛細血管。毛細血管のみならず漿膜ににじむ体液にいたるまでもが燃えあがる寸前の熱を咬んだそんな、だから情熱。もう細胞のひとつひとつのすべてにいたるまでが熱気に噎せ返るそんな、と?たとえば
失語。…に、
あつっ…
そんな情熱。だから
墜ち入る。ぼくは
あっついんだ。おれの
情熱。…なに?
きみを想えば
おれの淚が
とはいえ、むしろ冴えたまなざしのいわば冷酷なまでに冴えたまなざしはだから、わたし。それは、あくまでも慥かにそれがわたし、まばたく。だからわたしのまなざしのなかにまばたくのは、それは楓。その肌をさらして行った。それは白い肌。まだだれにもふれられたことのなかった、事実、かれの最後の最後まで、…なに?
流れ出よ。…もはや
流せ。流せ
末期。ながい長い、終には
恥じらいもなく
青春の鼓動
前半生よりもながい末期。すなわち嘆息。生き殘っていること自体が奇蹟的事象に他ならないという嘆息。絶望まじりの嘆息。それらを、医師。例えば。かれの医療用ゴム手袋ごしの指先。もしくは男性および女性の専門的ナースの同じくゴム手袋ごしの指先。その、だから嘆息。赤裸々な嘆息。完全にさらされた破綻への?もう、うつくしすぎてもう、いつか無慚に滅びるにちがいないくらいにうつくしくてもう、いつか本当に滅びのときが
流れ出よ。…もはや
流せ。流せ
來るのだろう、と、ふれそうな至近の
恥ずかしげもなく
青春の恥垢
そこに認識したゆび先ではなくて、ただこれ見よがしな顯現。顯らわれ。完全に破綻し破滅した生体。装置。しろい、白い、清潔な空間のなかで。そのなかだけで。その息遣い。かろうじてのそれ。そんな殘骸。…と、して、こそ、のみ、ふれらる、…と。まるで主張しているようにさえ想えた。まなざしのなかに、その楓は。ゴム手袋ごしの接触以外、それ以外には終にだれにもふれられることを拒否していた、と、——本当に?
饒舌。…に、
あつっ…
そんな明確な
墜ち入る。ぼくは
あっついんだ。おれの
拒否など
きみを想えば
おれの体液が
あったのだろうか?かれに?その楓に?うつくしい楓。滅びの予感を撒き散らした楓。まさか。ただ、わたしたちが手をこまねいて、そしてかれの背後にだけ隱れこみ、涎れまみれのゆびさきを硬い歯とやややわらかな歯頚とに咬んで見つめていた、単にそんな話じゃなくて?いずれにせよ、十三歳の楓。かれはわたしと母の貧しい家屋の部屋のなかに、その
流れ出よ。…もはや
流せ。流せ
十三歳の少女の裏切りの
恥ずぃっ
晩年の痴呆
肉体を、——裏切り?
なに?
たしかにかれがかれであって、かの女ではなかったにしてもその
なに?…それ
精神は肉体に裏切られていることなど
わたしの屍
あったのだろうか?かれは一度でも。裏切りといま名指させた裏切りそのものが楓そのものでしかなかったときに。いずれにせよ、すくなくともわたしにとってはあざやかな矛盾をさらし、だからその容赦ない矛盾。…いちどでさえかれにそれが矛盾であり得たことなどあったのだろうか?そしてそんな逡巡。
なに?
懊悩。かっ
なに?…それ
かれそのものを
わたしの卵生
見い出していたまなざしをも、記憶に思う色彩さえないまなざしさえをも巻き添えにしてゆらぎゆらぎだちゆらぎつづけたこころのおののき。それらは所詮、見つめるものたちの凡庸なまなざしの仕草さにすぎなかった。楓そのひとにとっては、だいじょうぶ、と。…なんでもないんだ、と、…ね?ほら、…ね?だから、その楓はわたしを教え諭すようにそのうすい
なに?
初夏の
なに?…それ
衣服を脱ぎ捨て、
わたしの胎生
これみよがしにも、…ね?
「どう、思う?」ささやく。聲。だからそれは、楓。そのやや鼻にかかった聲。もう、しだいにもう聲がわりしてゆくわたしたち少年たちの喉のすべての變化にはふれるすべもない鮮明な女聲。と、…わたしはふいにきみってそんなかわいくわらえたりするん自分の鼻にわらった聲を聞いていた。もう、すでにまるでってそんなにきれいにわらえたりす楓を軽蔑するかにも似せて、笑み。へらつく笑み。不用意な笑み。それらを無慚にそこにさらして。…なぜ?「…って、なにが?」
きらって、…ね?
饒舌な舌を
それはやさしさ。たぶん、その
きみの睫毛が
舌を
肉体の女性化に、あるいは
かがやくからだ
咬みちぎれ
戸惑っていたのかもしれない楓の多感に対しての、せめてもの。やわらかな、
「むしゃぶりついちゃいたい、とか?」
だいじょうぶ、…だよ
ちぎれそうです
とは、言えない。やわらかとは。瘠せて、しかも
「どう思う?…おれの」
あしたの雨は
わたしの指が
筋肉のうすい息吹き。それら息づきをさらしたその
「からだ。…ね?」
沸騰するから
なぜですか?
うすい肉体。かれはなめらかなしろい
「押し倒したい?」
だいじょうぶ、…だよ
ちぎれそうです
皮膚を、光り。日射しにいよいよ白ませて
「ね?…ぶちこみたい?」
きのうの風は
わたしの鼻孔が
光り。ななめに、それらただ白濁し、しかも
「あんあん言わせて、もう」
鉛りの強度
なぜですか?
光りら。だから、むしろ鋭利ないたみ。むしろ
「むちゃくちゃにしちゃいたとか?」
だいじょうぶ、…だよ
ちぎれそうです
赤裸々な、いわゆる女の
「ね?…どう?」
あさっての台風は
わたしの大腸が
やわらかみの正反対側にだけ、
「発情しすぎて、で、」
蝶をいたわり
なぜですか?
ひとつだけ際立っていた、そんな?
「いま、燃えちゃいそう?」
だいじょうぶ、…だよ
ちぎれそうです
それは楓の、十三歳の肉体。それがしかも
「オナニーしたい?…おれを、いま」
おとといの豪雨は
わたしの肛門、その最深部に
女性のそれにすぎないというまなざしの事実に、
「見つめながら、…ね?」
海を涸らした
ブラックホールが目覚めています
わたしは目舞う。自分がもっと辛辣に、深刻に
「…していいよ。いま、」苛烈に?まなざしに兆す昏み、
「パンツずりさげて、やってみな、」
積極的に惑うべきとは知りながらも猶
「いま、ほら、…できる?」
「きれいだよ」と。ささやくわたしに楓は笑う。聲を立て、それは殘酷。殘酷とも苛酷ともそんな表情などなにもない、あたりさわりのない笑い聲は、だから?殘酷。ただひたすらわたしに、なにか、もうどうしようもない殘酷さをだけなすりつけ、だからそんな殘酷。「にやつかないで」楓はささやいた。
「なんで、さっきから、お前、にやついてばっかなの?」
いいよ
泣いていいよ
「どうするの?」
いいよ
傷ついてんだろ
「なに?」
その笑い方
知ってっぜ
「…妹さん」と、それは、だから、わたしと楓が十三歳だった…十二歳?とまれ、十三歳にそれぞれになっていく年の、だから、八十七年?「孔掘って、埋めちゃう?」つぶやく。
「笑うなよ」
いいよ
死んでいいよ
「笑うしかないじゃん」
「ダメ。おれまで笑うから」
いいよ
傷ついてんだろ
「なんで?」
「お前だって、…」
そのふざけ方
知ってっぜ
「笑ってる場合じゃなくない?」
そんな、お互いに不埒なお互いのうかべる笑みと時々の笑い聲をいさめあってその気もないまま、そしてふいに、「知った。…いま、」と、それはだれ?「本気で」楓?あなたは、しかも「もう、本気で笑い事じゃないときって、…さ」猶もうつくしい。「むしろ笑うしかなくなっちゃうね」
かなしみが、いま
まじですか?
「って、それ、いま?」
「からだ、洗ったら?」
風になる
ぼく、死にましたか
「ね?…」
「匂うよ。もう、さ」
音速を越えた
まじですか?
「だれのせい?」
「なんで、こんな…」
風になる
廃棄されました?
「だれがしたこと?」
「鐵くさいんだろ…錆びて、錆びて、腐った鐵?」と。聲。ひびき、ひびきあい、かさなりあいもせずに、それはわたしたちの聲。聲。聲?だからわたしは笑う。わらい聲さえたてずに、もはや鼻とかすかにもれる唇にだけに吐かれた息に、そんな、繊細で繊細に繊細なそんな繊細な、かつ、かぎりもなくもうやさしいだけの、それはあかるい息吹き。
「なんで、あんなこと…」
「妹?」
「あんな、よりによって、あんな、無慚な、」
「あいつは、」
「実は、憎んでた?」
「別に…っていうか、好きだったな。おれ…」
「嫌いだった?」
「たぶん、好意的」
「じゃ、なんで?」
「こう…自分のこころ、おれのこころに聞いてみるね、いま」と。聲。ひびき、ひびきあい、かさなりあいもせずに、それはわたしたちの聲。聲。聲?だからわたしは笑う。わらい聲さえたてずに、もはや鼻とかすかにもれる唇にだけに吐かれた息に、そんな、繊細でしかも繊細に、だから繊細なそんな繊細さ。かつ、かぎりもなくやさしく、やさしくしかいられなかった、それはあかるい息吹き。「…で、なに?」
「聞きたいの?…まだ?」
いたっ。…いっ、いっ
恍惚を
「なに?」
「それって、さ。そんなに、さ。重要なの?」
痛いんだ。もう
わたしはささげた。その
「…っていうか、ね、」
「教えて。なんで?」
我慢できない、きみの
紫陽花に。その花自身の
「云え。…ひょっとして」
「たぶん、」
純情。ぶはっ
恍惚を
「はずかしいの?」
「母親への、復讐的な?」と。聲。ひびき、ひびきあい、「それとも、自分とか。…たとえば」かさなりあいもせずに、それは「なに?…辱められた、自分自身、とか?」わたしたちの聲。聲。聲?だからわたしは笑う。わらい聲さえたてずに、もはや鼻とかすかにもれってそんなにいじらしくわらったりするんた息。唇に吐き捨てられていた息。それは、そんな、繊細でしかもくわらったりするんだね繊細に、だから繊細なそんな繊細さ。かつ、かぎりもなくやさしく、やさしくしかいられなかった、それはあかるい…なぜ?息吹き。
「なんで、妹のああいうのが、」
「かなしいでしょ?…で、おれも、たぶん、犯罪者」
あっつっ。…つぁっ、つっ
陶酔を
「だね。…申し訳ないけど、それ」
「未成年の、…だから」
熱いんだ。もう
わたしはささげた。その
「日本國刑法的に事実」
「こういうのって、無罪なの?」
赦せない、きみの
しら百合に。その花自身の
「知らないよ…で、」
「じゃ、おれ、無罪なの?」
鼻水。ぼはっ
陶酔を
「罰しられたい?」
「じゃ、罪ってなに?」
シってなに?…シ
「安心しな」と。聲。ひびき、ひびきあい、かさなりあいもせずに、それはわたしたちの聲。聲。聲?だからわたしは笑う。わらい聲さえたてずに、もはや鼻とかすかにもれる唇にだけに吐かれた息に、そんな、繊細でしかも
シ。シ。シ
それは秘密。だから
繊細に、だから
シ。シ。シ
しぃー…
繊細なそんな繊細さ。かつ、かぎりもなく
シ。シ。シ
それは終わり。だから
やさしく、やさしくしかいられなかった、それは
シ。シ。シ
しぃー…
あかるい息吹き。
「おれが、…おまえが仮りに、自分で自分で処罰したいと思っても、それ、おれ、許さないから。おれ、あくまでもお前をまもってやるからね」と。
なぜ?
「…知らない。ただ、護りたいから」
シ。シ。シ
それはイノチを
知っている。その時には、
シ。シ。シ
削った詩人ら
その時にも、わたしは、その
シ。シ。シ
最期のことば
≪妹さん≫の切り刻まれた殘骸。それら、ふたりで、だから処理したものの放置されてある現状。あきらかなそれは、すでにわたしにも、楓にももう、なぜか忘れられかけていることを。着衣に処理するなど不可能だった。だから、わたしも楓も素肌をさらした。裏切りがあった。だから、そんな意図もなく、そんな、この世界の中のどこにも存在していないはずだったわたしのそれは、…発熱。さらされた楓の、その素肌にむしろ、…発熱。熱を帯び、熱を帯びて熱を放ち、熱を放っていて、なんの昂揚もない意識。そこに、それがあざやかな裏切りをだけさらしていた気がした。…なに?むしろ、燒いちゃう?…な、謂く、
不安だった
なぜか、その肌は
たぶん、誰もが
風景を描いて仕舞うからだろう
それぞれに
好き放題に
思いのままに
気付きしないで
その犯罪性に
その錯乱に
…見ていたものたち
まなざしたちは
こわかった
なぜか、その肌は
たぶん、なにかが
壊して仕舞いそうだからろう
その須臾に
殘酷なほどに
こなごなに
自覚もしないで
その犯罪性に
その錯乱に
…ふれたものたち
まなざしたちは
信じられなかった
なぜか、その肌は
たぶん、わたしが
臆病すぎていたからろう
その色彩に
その息吹きに
かたちすべてに
疑いもしないで
その実在を
しかも猶
あり得はしないと
まばたきもせずに
まばたけもせずに
あり得はしないと
しかも猶
その実在を
疑いもしないで
かたちすべてに
その息吹きに
その色彩に
臆病すぎていたからろう
たぶん、わたしが
なぜか、その肌は
信じられなかった
まなざしたちは
…ふれたものたち
その錯乱に
その犯罪性に
自覚もしないで
こなごなに
殘酷なほどに
その須臾に
壊して仕舞いそうだからろう
たぶん、なにかが
なぜか、その肌は
こわかった
まなざしたちは
…見ていたものたち
その錯乱に
その犯罪性に
気付きしないで
思いのままに
好き放題に
それぞれに
風景を描いて仕舞うからだろう
たぶん、誰もが
なぜか、その肌は
不安だった
すなわちにもかわらず、わたしたちが戯れ。ただ戯れのひとつとしてこそ擬態して、それでようやく肌を見せあいながら、それでもついにその肌はいたぶられはしないだった。指さきには。楓そのそれも。わたしのそれも。≪流沙≫のそれも。だから背後には≪流沙≫。かれさえ素肌をさらし、しかもしこしだけ照れながら、…いいんだよ、と。背後の≪流沙≫。見えない≪流沙≫。まなざしに於ける赤裸々な不在。その≪流沙≫に、にもかわらずうつくしい、と。武骨すぎた肉体。肉と骨格の塊りじみた。凡庸という言葉など、だれもきみには思わなかった。思うすべもない、前提にすぎなかったから。だから認識に明示される際立ちもない凡庸の≪流沙≫。かれはそれでもうつくしかった。知っていた。かれがせめてわたしたちのために、やさしい笑顔を浮かべているのは。わたしの背後に。だから楓のななめ前方に。たぶんわたしたちを見つめていた≪流沙≫、かさねて謂く、
不安だった
わたしは窒息
たとえば日射し
失神の須臾
なぜか、その肌は
吐く息さえも
そのかすかなゆらぎ
吐く息さえも
たぶん、誰もが
失神の須臾
よこ殴り
わたしは窒息
風景を描いて仕舞うからだろう
それぞれに
須臾の失神
その綺羅めきを
あなたはそんなに、ほほ笑むのだろう?
好き放題に
なぜ?…そこで
わたしは捧げた
なぜ?…そこで
思いのままに
あなたはそんなに、ほほ笑むのだろう?
その風景に
須臾の失神
気付きしないで
その犯罪性に
さらされた肌
なぜ?…記憶など
失神したから
その錯乱に
そのゆらぐ翳りら
なにもないから
そこに、ゆらぐ翳りら
…見ていたものたち
失神したから
その温度
さらされた肌
まなざしたちは
こわかった
わたしは窒息
その窓のそとに
失神の須臾
なぜか、その肌は
吸った息さえも
拡がる風景
吸った息さえも
たぶん、なにかが
失神の須臾
記憶など
わたしは窒息
壊して仕舞いそうだからろう
その須臾に
須臾の失神
たとえばささやき
そんなにじょうずに、ほほ笑むのだろう?
殘酷なほどに
なぜ?…そこで
その切実なひびき
なぜ?…そこで
こなごなに
そんなにじょうずに、ほほ笑むのだろう?
聲の鳥たち
須臾の失神
自覚もしないで
その犯罪性に
さらされた肌
そのなつかしさを
失神したから
その錯乱に
そのゆらぐ光りら
わたしは捧げた
そこに、ゆらぐ光りら
…ふれたものたち
失神したから
その風景に
さらされた肌
まなざしたちは
信じられなかった
わたしは窒息
なぜ?…記憶など
失神の須臾
なぜか、その肌は
とめた息さえも
なにもないから
とめた息さえも
たぶん、わたしが
失神の須臾
その気配
わたしは窒息
臆病すぎていたからろう
その色彩に
須臾の失神
その窓のそとに
あなたはひとり、ほほ笑むのだろう?
その息吹きに
なぜ?…そこで
拡がる事象
なぜ?…そこで
かたちすべてに
あなたはひとり、ほほ笑むのだろう?
記憶など
須臾の失神
疑いもしないで
その実在を
さらされた肌
なにを捧げよう?
失神したから
しかも猶
その息吹いた綺羅ら
その風景に。しかも、更に
そこに、息吹いた綺羅ら
あり得はしないと
失神したから
なにを捧げよう?
さらされた肌
まばたきもせずに
まばたけもせずに
ここにいるよ。…
記憶など
知ってるよ。…
あり得はしないと
わたしも同じ
拡がる事象
同じほほ笑みに
しかも猶
知ってるよ。…
その窓のそとに
ここにいるよ。…
その実在を
疑いもしないで
失神したから
その気配
さらされた肌
かたちすべてに
そこに、息吹いた綺羅ら
なにもないから
その息吹いた綺羅ら
その息吹きに
さらされた肌
なぜ?…記憶など
失神したから
その色彩に
臆病すぎていたからろう
あなたはひとり、ほほ笑むのだろう?
その風景に
須臾の失神
たぶん、わたしが
なぜ?…そこで
わたしは捧げた
なぜ?…そこで
なぜか、その肌は
須臾の失神
そのなつかしさを
あなたはひとり、ほほ笑むのだろう?
信じられなかった
まなざしたちは
失神の須臾
聲の鳥たち
わたしは窒息
…ふれたものたち
とめた息さえも
その切実なひびき
とめた息さえも
その錯乱に
わたしは窒息
たとえばささやき
失神の須臾
その犯罪性に
自覚もしないで
失神したから
記憶など
さらされた肌
こなごなに
そこに、ゆらぐ光りら
拡がる風景
そのゆらぐ光りら
殘酷なほどに
さらされた肌
その窓のそとに
失神したから
その須臾に
壊して仕舞いそうだからろう
そんなにじょうずに、ほほ笑むのだろう?
その温度
須臾の失神
たぶん、なにかが
なぜ?…そこで
なにもないから
なぜ?…そこで
なぜか、その肌は
須臾の失神
なぜ?…記憶など
そんなにじょうずに、ほほ笑むのだろう?
こわかった
まなざしたちは
失神の須臾
その風景に
わたしは窒息
…見ていたものたち
吸った息さえも
わたしは捧げた
吸った息さえも
その錯乱に
わたしは窒息
その綺羅めきを
失神の須臾
その犯罪性に
気付きしないで
失神したから
よこ殴り
さらされた肌
思いのままに
そこに、ゆらぐ翳りら
そのかすかなゆらぎ
そのゆらぐ翳りら
好き放題に
さらされた肌
たとえば日射し
失神したから
それぞれに
風景を描いて仕舞うからだろう
あなたはそんなに、ほほ笑むのだろう?
日射しら、綺羅ら
須臾の失神
たぶん、誰もが
なぜ?…そこで
あなたは笑んだ
なぜ?…そこで
なぜか、その肌は
須臾の失神
ひびきら、散って
あなたはそんなに、ほほ笑むのだろう?
不安だった
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