流波 rūpa ……詩と小説148・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈54





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月。

十四偈の迦多

あるいは、

   花びら。…はっ。花

   それ。それら、しかも

   綺羅り。あざやかな

   翳り。さざめき


   花びら…はっ。花

   それ。それら、しかも

   しろみ。あざやかな

   むらさき。ゆらめき


   ひきちぎり

   ちぎり、花の汁

   ゆび先に、ちぎり

   ひきちぎり


   なげ放ち

   放ち、汁、したたる

   みなもに放ち

   すて放ち


   花びら…はっ。花

   それ。それら、しかも

   綺羅ら。鮮明に

   綺羅ら。傷ましいくらいに


   叫びそう?…だれ?

   口は?喉は?どこ?

   歯は?舌は?どれ?

   叫びそう?…なぜ?


   綺羅ら。ゆらぎ、翳り

   色彩ら。もう、昏み、光り

   綺羅ら。ゆらぎ、光り

   翳り、それら、みな、みなもの蝕


   光り、それら、みな、みなもの蝕

   綺羅ら。ゆらぎ、翳り

   色彩ら。もう、昏み、翳り

   綺羅ら。ゆらぎ、光り


   叫びそう?…なぜ?

   歯は?舌は?どれ?

   口は?喉は?どこ?

   叫びそう?…だれ?


   綺羅ら。傷ましいくらいに

   綺羅ら。鮮明に

   それ。それら、しかも

   花びら…はっ。花


   すて放ち

   みなもに放ち

   放ち、汁、したたる

   なげ放ち


   ひきちぎり

   ゆび先に、ちぎり

   ちぎり、花の汁

   ひきちぎり


   むらさき。ゆらめき

   しろみ。あざやかな

   それ。それら、しかも

   花びら…はっ。花


   翳り。さざめき

   綺羅り。あざやかな

   それ。それら、しかも

   花びら…はっ。花

すなわち見ていた。花弁の花にふれるのを。食いつぶすのを。汚すのを。壊すのを。それは蝕?…花の与えた、ゆらぐ月蝕?

   花びら…はっ。花

      ちいさな、それら。それらのささいな散乱

    足元に、蔦草

     厖大な

   それ。それら、しかも

      ふめ、ふめ、ふめ、

    花。霧れる色。くさっ

     ふめ、ふべぃ、ばべぃ、

   綺羅り。あざやかな

      厖大な、散乱

    踏んぢゃう?

     ちいさな、それら。それらの

   翳り。さざめき


   花びら…はっ。花

      まなざしに、だから煙りなし煙りなしていた散乱

    這いまわり、蔦草

     無防備な

   それ。それら、しかも

      つぶせ、つぶせ、つぶせ、

    花。霧れる色。くさっ

     つぶせ、つびぃでっ、つびぃでぃっ、

   しろみ。あざやかな

      無防備な、散乱

    つぶしちゃう?

     まなざしに、だから煙りなし

   むらさき。ゆらめき


   ひきちぎり

      それは夢

    みなもに花は

     あなたを見つめ

   ちぎり、花の汁

      いつの?

    その、ひとつ。流れ

     いっ

   ゆび先に、ちぎり

      あなたを、——だれそれ?

    ふれた

     それはそ、そ、そ、そ、

   ひきちぎり


   なげ放ち

      それは夢

    みなもの月は

     すでに見つめられ

   放ち、汁、したたる

      だれの?

    その、花にふれられ

     だびぼ?

   みなもに放ち

      でにす見——だれそれ?

    翳った

     それは夢

   すて放ち


   花びら…はっ。花

      醒めながら、夢を

    みなもの月は

     は、は、…なに?

   それ。それら、しかも

      獏ば、ば、ばばびぃ

    その、花にかさなりあって

     獏ば、ば、ばばびぃ

   綺羅ら。鮮明に

      は、ば、…びぶ?

    綺羅らいだ

     醒めながら、夢を

   綺羅ら。傷ましいくらいに


   叫びそう?…だれ?

      けむくじゃら

    吐く。吐く。は、は、は、

     全毛孔に出産

   口は?喉は?どこ?

      喰った。獏喰ったくそ

    なに?いま羽搏いた芽生え

     それは虹色の軟便に

   歯は?舌は?どれ?

      塩振った?

    獏。獏。ば、ば、ば、

     潮降った?

   叫びそう?…なぜ?


   綺羅ら。ゆらぎ、翳り

      喰い、い、い、ちぎっ

    獏。貪られ

     吐き、き、き、ちぎっ

   色彩ら。もう、昏み、光り

      夢ちぎり。夢さえもうとろけだしたよ

    眼玉の触手に

     夢ちぎり。いま、久遠の契り

   綺羅ら。ゆらぎ、光り

      吐き、き、き、ちぎっ

    獏に貪られ

     喰い、い、い、ちぎっ

   翳り、それら、みな、みなもの蝕


   光り、それら、みな、みなもの蝕

      なに?…ばぅ……ぅん

    獏を貪り

     喰い、い、い、ちぎっ

   綺羅ら。ゆらぎ、翳り

      夢ちぎり。いま、久遠の

    睫毛の触手に

     夢ちぎり。夢さえもうと

   色彩ら。もう、昏み、翳り

      喰い、い、い、ちぎっ

    獏。貪られ

     吐き、

   綺羅ら。ゆらぎ、光り


   叫びそう?…なぜ?

      きれい。…もう、ほら

    獏。獏。ば、ば、ば、

     きぃ…

   歯は?舌は?どれ?

      さけべさけべさけべ

    なに?いまもだえ出でた眼生え

     けべさけべさけ咲け

   口は?喉は?どこ?

      きれっ…さ

    吐く。吐く。は、は、は、

     小腸に蝶。そしてかげろう

   叫びそう?…だれ?


   綺羅ら。傷ましいくらいに

      は、は、…なに?

    綺羅らいだ

     醒めながら

   綺羅ら。鮮明に

      獏ば、ば、ばばびぃ

    その、花にかさなりあって

     獏ば、ば、ばばびぃ

   それ。それら、しかも

      醒めながら、夢を

    みなもの月は

     は、は、…なに?

   花びら…はっ。花


   すて放ち

      すでに見——だれそれ?

    翳った

     それは夢

   みなもに放ち

      だれの?

    その花にふれられ

     だれの?

   放ち、汁、したたる

      それは夢

    みなもの月は

     すでに見つめられ

   なげ放ち


   ひきちぎり

      あなたを見つめ

    ふれた

     それは夢

   ゆび先に、ちぎり

      いつの?

    そのひとつ。流れ

     いつの?

   ちぎり、花の汁

      それは夢

    みなもに花は

     あなたを、——だれそれ?

   ひきちぎり


   むらさき。ゆらめき

      無防備な、散乱

    つぶしちゃう?

     まなざしに、だから

   しろみ。あざやかな

      つぶせ、つびぃでっ、つびぃでぃっ、

    花。霧れる色。くさっ

     つぶせ、つぶせ、つぶせ、

   それ。それら、しかも

     まなざしに、だから煙りなし煙りなしていた散乱

    這いまわり、蔦草

     無防備な、散乱

   花びら…はっ。花


   翳り。さざめき

      厖大な、散乱

    踏んぢゃう?

     ちいさな、それら。それらのささ

   綺羅り。あざやかな

      ふめ、ふめ、ふめ、

    花。霧れる色。くさっ

     ふめ、ふべぃ、ばべぃ、

   それ。それら、しかも

      ちいさな、それら。それらのささいな

    足元に、蔦草

     厖大な、散乱

   花びら…はっ。花


   わらった?

      返り見た

    見つめていたよ

     すぐ、そこに

   いま、きみの顏

      かたわらに

   まばたきの須臾さえ

    かたわらに

   もう、その口元も

      すぐ、そこに

    きみを、見つめ

     返り見た

   わらってた?


   あきらかだった

      …だれ?

    だから、ぼくは

     だから

   見ひらいた目には

      きみは、きみ

    迷わず言葉をうしなったふりをして

     きみは、きみ

   ほほ笑んだまま

      だから

    わかった?

     …だれ?

   見られ、見つめられ


   だれ?

      きみにわたしは

    赤裸々な、やさしさ

     しかも

   わたし?

      ほほ笑みかけ

    それ。…ひたすらな

     ほほ笑みかけ

   だれ?

      しかも

    きみに捧げた

     きみにわたしは

   それは


   あきらかだった

      …だれ?

    ぼくの、やさしさ

     だから

   見ひらいた目には

      きみは、きみ

    迷わずわれを忘れたふりをして

     きみは、きみ

   ほほ笑まれたまま

      だから

    わかった?

     …だれ?

   見い出し、見つめて


   だれ?

      わたしにきみは

    赤裸々な、いつくしみ

     しかも

   あなた?

      ほほ笑みかけ

    それ。…ひたすらな

     ほほ笑みかけ

   だれ?

      しかも

    きみに捧げた

     わたしにきみは

   それは


   想う、すべて

      もはやなにも

    それら

     口さえもなく

   溶けてしまえ

      ほほ笑むべき口

    やさしさもいつくしみも

     ほほ笑むべき口

   雪らも。すべて

      口さえもなく

    踏みにじる

     もはやなにも

   この時に


   思う、すべて

      もはやなにも

    きみは

     目さえもなく

   溶けてしまえ

      ほほ笑むべき目

    迷いもなく

     ほほ笑むべき目

   氷りらも。すべて

      目さえもなく

    ひたすらな殘酷

     もはやなにも

   見つめられたうちに


   なにが?

      顏さえも

    息吹きさえ

     頭部さえも

   なにもかも

      すでに

    兆しさえ

     すでに

   なにも、もう

      頭部さえも

    殘り香さえ

     顏さえも

   気配さえ


   見つめられたうちに

      そこに

    なにもかも

     その殘骸さえも

   氷りらも。すべて

      肉体。あるいは

    殘酷で

     肉体。あるいは

   溶けてしまえ

      その殘骸さえも

    なにもかも

     そこに

   思う、すべて


   この時に

      肉体。あるいは

    殘り香さえ

     その生成の可能性さえも

   雪らも。すべて

      その気配さえも

    兆しさえ

     その気配さえも

   溶けてしまえ

      その生成の可能性さえも

    息吹きさえ

     肉体。あるいは

   想う、すべて


   それは

      たぶん、…ね?

    ひたすらな殘酷

     燃えて仕舞ったに違いない

   だれ?

      もう、燃えて

    迷いもなく

     もう、燃えて

   あなた?

      燃えて仕舞ったに違いない

    きみは

     たぶん、…ね?

   だれ?


   見い出し、見つめて

      返り見た

    踏みにじる

     すぐ、そこに

   ほほ笑まれたまま

      かたわらに

    やさしさもいつくしみも

     かたわらに

   見ひらいた目には

      すぐ、そこに

    それら

     返り見た

   あきらかだった


   それは

      …だれ?

    きみに捧げた

     だから

   だれ?

      きみは、きみ

    それ。…ひたすらな

     きみは、きみ

   わたし?

      だから

    赤裸々な、いつくしみ

     …だれ?

   だれ?


   見られ、見つめられ

      きみにわたしは

    わかった?

     しかも

   ほほ笑んだまま

      ほほ笑みかけ

    迷わずわれを忘れたふりをして

     ほほ笑みかけ

   見ひらいた目には

      しかも

    ぼくの、やさしさ

     きみにわたしは

   あきらかだった


   かろうじて

      …だれ?

    感じて、もう

     だから

   わたしのほほ笑み

      きみは、きみ

    赤裸々に

     きみは、きみ

   かろうじて

      だから

    感じつづけて

     …だれ?

   わたしの息遣い


   かろうじて

      わたしにきみは

    目が眩むほど

     しかも

   まだ、わたしたち

      ほほ笑みかけ

    肌が燃えるほど

     ほほ笑みかけ

   殘存のうちに

      しかも

    砕け散るほど

     わたしにきみは

   だから、いま













Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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