流波 rūpa ……詩と小説143・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈50
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あるいは、
殺された妹を
朝が來るまで抱いていた
十五歳のあなたは
と、そう聞いた
ひとり寝のできない妹を
あなたはただ見るだけだった
そこに屠られていくすがた
と、そう聞いた
見殺し、と
だれかが言って、しかたがないと
だれかがとりなし、その恐怖
だれも癒しはしなかった
すでに動きを失った妹を
冷えてゆく?もう冷えきった?
これは自分の?このあたたかみは?
たぶん、楓はそこにただと惑い、吐く。息。「なにうんこしてる時の犬みたない顏してんの?」云って、そしていきなりに笑った。ひとり大聲でもう、好き勝手に笑って仕舞って、…なに?見つめた。…なにを、いま。わたしは…なにを、いま、笑いますか?そんな楓。だからまだ楓が楓であり得ていた十五歳の?…いつ?きみはいつ楓でなくなったのだろう?楓。かれが…だれ?すでに壊れ、壊れゆき、…なぜ?雪。ふらふらと、雪。楓。きみは…だれ?壊れゆくことでしかきみであり得なかったならば雪。とけはじめ、雪。いつ?いつから楓。かれは…なぜ?壊れゆき、雪。消滅しかけ、消滅してゆく雪。ゆき。壊れゆき、壊れゆく楓を…雪。わたしが見はじめていたのは雪。滅びも滅うちらちらちらちらちるのです。滅びるだけの雪。いつ?いつからふらふらふらふらふるのです。わたしのまなざしは雪。それは焰にふれさえもせずに雪。壊れゆきはじめの楓を見止めていたのだろう?ならば、わたしは一度だって楓。たしかに楓であり得ていたそのかろうじて楓など「…夢」と。
あっ…なに?
雪たち。海に
だからその楓は朝。…敎室の中の?楓。席に着き、そして机にすわったばかりのわたしは楓。かれを見ていた。なぜ?いきなり楓が机に手をつき、もたれ、…だれ?ひびき。その…なに?遠慮のない楓の、だから楓。きみは知っていたのだろうか?にもかかわらずきみの体臭も髮の匂いもなにも、所詮は擬態の猶予もなくあきらかな女性をのみそこに誰もにもどこにででもさらしていたという事実を?まばたき。…だれ?それはわたし?それは楓?「お前みたいに、」と、そのからかうような聲を聞く。
あっ…なに?
月。しずかな海に
わたしはもう、すでに笑っていた。光り。あくまでも横殴りに光り。晴れ?雨?知らない。覚えていない。「だから、…さ、」曇り?豪雨?知らない。覚えていない。「おれ、さ。昨日、…」台風?旱魃?知らない。覚えていない。「今朝?なに?…いつ?」と、「夢、見た」
「なに?」
「妹。…知ってた?あれ、殺されたの、あれ、さ。あれ、ね?」
やめて。やっ
話さなくても、いいんだよ
雨はやさしく
「あれは、…殺した。見た。おまえ…おまえが、」
やめてよ。もう…
なにも。なにも。なにも
やさしく、しかも
「殺した。知ってた。見てたから。あれ…」
やめようよ。楓。じぶんひとりで
沈黙を咬んで、いいんだよ
降るだろうから
「あの明け方…明け方?…夜明けの前、まえ、…」
じぶんをだけ、そこで傷つけて、もう
いつでも。いつも
日射しはやさしく
「忍び込んだ、…部屋に。あいつの…おれのベッド。とおりすぎて」
好き放題で、好き勝手で、やりたい放題、やりすぎなくらいに
見ていなくても、いいんだよ
やさしく、しかも
「部屋。いっしょじゃん?ガキだから。あいつ」
じぶん、傷つけるの、それ。もう
なにをも。なにも
そそぐだろうから
「ひとりで、まだ、寝られないじゃん?」
やめようよ。もう
聞き出さしさえせず、…いいんだよ
息吹きはやさしく
「見てた。おれ。叫びさえ…」
やめて。楓。もう
なにも。いつも。いつでも
やさしく、しかも
「おまえひとりの、屠殺を見てた。だから」
見てらんない。おれ、
感じさえ、もう…いいんだよ
目覚めただろうから
「おまえひとりが、振り返ったおまえ。おまえの、その」
やめて、と、むしろ叫びとしてささやき、
なにも。なにも。なにも
風はやさしく
「顏はおれだった」つぶやいていたわたしを、楓は笑った。あけすけに。邪気もなく。傷みさえなく、それは口さきにたった笑い聲もなく、ただその表情全体の表情。それだけのひびき。ひびきのないしかも明晰な笑い。謂く、
少年はやがて
町を捨て
生まれた町を
遠く離れて
旅立ち…かな?
それが、きみの
成長…なの?…かな?
だから、ほら
少年はやがて
ともだちを捨て
馴染みのひとを
遠く離れて
なにを見る…かな?
そこで、きみは
だれに会う…かな?
だから、ほら
少年はやがて
親を捨て
生みの親を
遠く離れて
帰らない…の?…かな?
だから、きみは
帰れない…の?…かな?
だからこそ
少年はやがて
町を捨てた
生まれた町を
遠く離れてた
自殺。それは
その母親は
屠殺。それは
あの犯人は
あなただと
だれもがそう
思いさえした
もうそこに
いないのに
きみはもう
いないのに
もうそこに
少年はやがて
ともだちを捨てた
馴染みのひとを
遠く離れてた
自害。それは
その父親は
自裁。それは
あの犯人は
あなただと
だれもがそう
思いさえした
もうそこに
いないのに
きみはもう
いないのに
もうそこに
少年はやがて
親を捨てた
生みの親を
遠く離れてた
失踪。それは
その少年は
自殺。それは
あの犯人は
あなただと
だれもがそう
思いさえした
どこかで、ひとりで
死んでいない
きみはもう
死んで仕舞い
そこに死に
ひとりで朽ちて
ひとりで腐り
たとえば樹海に?
イノチら、繁殖
すさまじい、増殖
富士山、見えた?
ひとりで腐り
ひとりで朽ちて
そこに死に
死んで仕舞い
きみはもう
死んでいない
どこかで、ひとりで
思いさえした
だれもがそう
あなただと
あの犯人は
自殺。それは
その少年は
失踪。それは
遠く離れてた
生みの親を
親を捨てた
少年はやがて
もうそこに
いないのに
きみはもう
いないのに
もうそこに
思いさえした
だれもがそう
あなただと
あの犯人は
自裁。それは
その父親は
自害。それは
遠く離れてた
馴染みのひとを
ともだちを捨てた
少年はやがて
もうそこに
いないのに
きみはもう
いないのに
もうそこに
思いさえした
だれもがそう
あなただと
あの犯人は
屠殺。それは
その母親は
自殺。それは
遠く離れてた
生まれた町を
町を捨てた
少年はやがて
だからこそ
帰れない…の?…かな?
だから、きみは
帰らない…の?…かな?
遠く離れて
生みの親を
親を捨て
少年はやがて
だから、ほら
だれに会う…かな?
そこで、きみは
なにを見る…かな?
遠く離れて
馴染みのひとを
ともだちを捨て
少年はやがて
だから、ほら
成長…なの?…かな?
それが、きみの
旅立ち…かな?
遠く離れて
生まれた町を
町を捨て
少年はやがて
すなわちざわめき。ざわつき。朝だから、と?若いから、と?糞ガキだから、と?しかしわたしは知っていた。楓。かれは沈黙のひと。…じゃ、なくて、沈黙をだけあたえるひと。すでに楓は。その十五歳だった楓。そして直後にいなくなる十六歳になった楓。雨のなかに、生まれた。梅雨の雨。…六月うまれ。だから楓。かれは沈黙のひと。…じゃ、なくて、沈黙をだけ与えるひと。なぜ?あるいはかれは擬態だから。少女の肉体に少年のこころ。本当に?いずれにせよ、だれの眼にも底の割れた噓。不穏な擬態。だから沈黙。楓。沈黙のひと。…じゃ、なくて、沈黙をだけ与えるひと。なぜ?あるいはかれは危険だから。眼の前にあるすれすれの危機だから。ふいに覚醒。きれ、きれてきれきれ暴力に、ふいに覚醒し、暴力。なぜ?まえぶれもなく、なぜ?思いつき得る理由もなく、なぜ?その契機さえも、…泣くように叫び、怒号。少女の。擬態の少年。ののしるように唾液を散らした。怖かった。かれが。だれもが。おとなたちも。友人たちも。だれも、≪流沙≫も。わたしも。暴れる楓をだれかとだれかが押しつぶす。あるいはシカトする。あるいは離れさる。無理だから。すべがないから。ただの危機だから。そして危険だから沈黙。楓。沈黙のひと。…じゃ、なくて、沈黙をだけ与えるひと。なぜ?あるいはかれは喪失したから。その妹を。血まみれで。かれにかけるべき言葉などどこに?だれ?殺したのは。だれ?虐待されていたらしい。あるいはその身体的兆し。虐待していたらしい。あるいはそのみずからの口述。ただ、楓ひとりの身にふりかかり、またはひとりの身が撒き散らしていたらしい。だれ?殺したのは。黙秘。しかもかたくなな黙秘。見ていたのに。おなじ部屋だから。だから疑惑。だから沈黙。楓。沈黙のひと。…じゃ、なくて、沈黙をだけ与えるひと。なぜ?あるいはかれはかれの聲。饒舌な聲。その饒舌だけを撒き散らす。饒舌なかれ。饒舌な楓。かさねて謂く、
少年はやがて
髮の毛
同じように
ひたいに
町を捨て
抜けた毛
…ね?…きみ
抜けた毛
生まれた町を
ひたいに
きみと
髮の毛
遠く離れて
旅立ち…かな?
ななめ右のほう
同じ空間に
あなたは
それが、きみの
なぜ?
息を吸い、吐き
なぜ?
成長…なの?…かな?
あなたは
きみのそば
ななめ右のほう
だから、ほら
少年はやがて
笑ってられたの?
同じように
その日射しのなかで
ともだちを捨て
あざやかな
…ね?…きみ
あざやかな
馴染みのひとを
その日射しのなかで
きみと
笑ってられたの?
遠く離れて
なにを見る…かな?
傷。あくまでも
同じ時間に
点。赤。右眼下
そこで、きみは
ちいさな
まばたき、笑みかけ
ちいさな
だれに会う…かな?
点。赤。右眼下
きみのそば
傷。あくまでも
だから、ほら
少年はやがて
わずかな右寄り
同じように
あなたは
親を捨て
なぜ?
…ね?…きみ
なぜ?
生みの親を
あなたは
きみと
わずかな右寄り
遠く離れて
帰らない…の?…かな?
笑ってられたの?
夢を見た
その日射しのなかで
だから、きみは
あざやかに
夢。…夢を
あざやかに
帰れない…の?…かな?
その日射しのなかで
夢を見た
笑ってられたの?
だからこそ
少年はやがて
白髮?
死者ら
光澤。散り、散る
町を捨てた
と、思わず
それら
と、思わず
生まれた町を
光澤。散り、散る
色彩のない
白髮?
遠く離れてた
自殺。それは
白濁。散り、散る
死者ら
光澤。あなたは
その母親は
なぜ?
ひろげた。それら
なぜ?
屠殺。それは
あなたは
孔。いっぱいに
白濁。散り、散る
あの犯人は
あなただと
笑ってられたの?
死者ら
その日射しのなかで
だれもがそう
あざやかな
それら
あざやかな
思いさえした
その日射しのなかで
翳りなす
笑ってられたの?
もうそこに
いないのに
散り、塵り?なに?
死者ら
綺羅
きみはもう
瞼から落ち
散らした。それら
瞼から落ち
いないのに
綺羅
孔。数知れず
散り、塵り?なに?
もうそこに
少年はやがて
なに?…それなに?
死者ら
あなたは
ともだちを捨てた
なぜ?
それら
なぜ?
馴染みのひとを
あなたは
無数にも
なに?…それなに?
遠く離れてた
自害。それは
笑ってられたの?
死者ら
その日射しのなかで
その父親は
あざやかに
どこまでに。それら
あざやかに
自裁。それは
その日射しのなかで
孔。どこにでも
笑ってられたの?
あの犯人は
あなただと
痙攣。須臾。痙攣?
死者ら
引き攣けかけた?
だれもがそう
なに?目じり
それら
なに?目じり
思いさえした
引き攣けかけた?
色彩のない
痙攣。須臾。痙攣?
もうそこに
いないのに
左目
死者たち
あなたは
きみはもう
なぜ?
見ていた。それら
なぜ?
いないのに
あなたは
ゆらぎを
左目
もうそこに
少年はやがて
笑ってられたの?
まなざしのそこに
その日射しのなかで
親を捨てた
あざやかな
きみの向こう?
あざやかな
生みの親を
その日射しのなかで
きみのこちら?
笑ってられたの?
遠く離れてた
失踪。それは
なに?…なにそれ?
まなざしのそこに
かすかに
その少年は
口蓋。昏み
きみにかさなり?
口蓋。昏み
自殺。それは
かすかに
きみにもかさなり?
なに?…なにそれ?
あの犯人は
あなただと
かすか。開きかけ
死者ら
あなたは
だれもがそう
なぜ?
それら
なぜ?
思いさえした
あなたは
色彩のない
かすか。開きかけ
どこかで、ひとりで
死んでいない
笑ってられたの?
死者たち
その日射しのなかで
きみはもう
あざやかに
見ていた?それら
あざやかに
死んで仕舞い
その日射しのなかで
わたしたちをさえ
笑ってられたの?
そこに死に
ひとりで朽ちて
くちびる。さかっ
目さえないのに
かさつき
ひとりで腐り
なに?…かっ
眼窩?その
なに?…かっ
たとえば樹海に?
かさつき
痕跡さえ
くちびる。さかっ
イノチら、繁殖
すさまじい、増殖
なぜ?
痕跡さえ
存在してるの?
富士山、見えた?
あなたは
眼窩?その
あざやかに
ひとりで腐り
存在できたの?
目さえないのに
その日射しのなかで
ひとりで朽ちて
そこに死に
かさつき
わたしたちをさえ
くちびる。さかっ
死んで仕舞い
なに?…かっ
見ていた?それら
なに?…かっ
きみはもう
くちびる。さかっ
死者たち
かさつき
死んでいない
どこかで、ひとりで
その日射しのなかで
色彩のない
笑ってられたの?
思いさえした
あざやかに
それら
あざやかに
だれもがそう
笑ってられたの?
死者ら
その日射しのなかで
あなただと
あの犯人は
あなたは
きみにもかさなり?
かすか。開きかけ
自殺。それは
なぜ?
きみにかさなり?
なぜ?
その少年は
かすか。開きかけ
まなざしのそこに
あなたは
失踪。それは
遠く離れてた
かすかに
きみのこちら?
なに?…なにそれ?
生みの親を
口蓋。昏み
きみの向こう?
口蓋。昏み
親を捨てた
なに?…なにそれ?
まなざしのそこに
かすかに
少年はやがて
もうそこに
その日射しのなかで
ゆらぎを
笑ってられたの?
いないのに
あざやかな
見ていた。それら
あざやかな
きみはもう
笑ってられたの?
死者たち
その日射しのなかで
いないのに
もうそこに
あなたは
色彩のない
左目
思いさえした
なぜ?
それら
なぜ?
だれもがそう
左目
死者ら
あなたは
あなただと
あの犯人は
引き攣けかけた?
孔。どこにでも
痙攣。須臾。痙攣?
自裁。それは
なに?目じり
どこまでに。それら
なに?目じり
その父親は
痙攣。須臾。痙攣?
死者ら
引き攣けかけた?
自害。それは
遠く離れてた
その日射しのなかで
無数にも
笑ってられたの?
馴染みのひとを
あざやかに
それら
あざやかに
ともだちを捨てた
笑ってられたの?
死者ら
その日射しのなかで
少年はやがて
もうそこに
あなたは
孔。数知れず
なに?…それなに?
いないのに
なぜ?
散らした。それら
なぜ?
きみはもう
なに?…それなに?
死者ら
あなたは
いないのに
もうそこに
綺羅
翳りなす
散り、塵り?なに?
思いさえした
瞼から落ち
それら
瞼から落ち
だれもがそう
散り、塵り?なに?
死者ら
綺羅
あなただと
あの犯人は
その日射しのなかで
孔。いっぱいに
笑ってられたの?
屠殺。それは
あざやかな
ひろげた。それら
あざやかな
その母親は
笑ってられたの?
死者ら
その日射しのなかで
自殺。それは
遠く離れてた
あなたは
色彩のない
白濁。散り、散る
生まれた町を
なぜ?
それら
なぜ?
町を捨てた
白濁。散り、散る
死者ら
翳り。あなたは
少年はやがて
だからこそ
光澤。散り、散る
夢を見た
白髮?
帰れない…の?…かな?
と、思わず
夢。…夢を
と、思わず
だから、きみは
白髮?
夢を見た
光澤。散り、散る
帰らない…の?…かな?
遠く離れて
その日射しのなかで
きみと
笑ってられたの?
生みの親を
あざやかに
…ね?…きみ
あざやかに
親を捨て
笑ってられたの?
同じように
その日射しのなかで
少年はやがて
だから、ほら
あなたは
きみのそば
わずかな右寄り
だれに会う…かな?
なぜ?
まばたき、笑みかけ
なぜ?
そこで、きみは
わずかな右寄り
同じ時間に
あなたは
なにを見る…かな?
遠く離れて
点。赤。右眼下
きみと
傷。あくまでも
馴染みのひとを
ちいさな
…ね?…きみ
ちいさな
ともだちを捨て
傷。あくまでも
同じように
点。赤。右眼下
少年はやがて
だから、ほら
その日射しのなかで
きみのそば
笑ってられたの?
成長…なの?…かな?
あざやかな
息を吸い、吐き
あざやかな
それが、きみの
笑ってられたの?
同じ空間に
その日射しのなかで
旅立ち…かな?
遠く離れて
あなたは
きみと
ななめ右のほう
生まれた町を
なぜ?
…ね?…きみ
なぜ?
町を捨て
ななめ右のほう
同じように
あなたは
少年はやがて
情熱などなにもなかった。だから、…なに?沙羅。かれへのその暴力に、情熱。わずかにも、わずかな興奮、発熱さえも、…本当に?噓。血管の中に、それでもたしかに血はたしかに熱を咬み、喉に、肺に、それでもたしかに息は熱を吐き、ただ
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