流波 rūpa ……詩と小説140・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈47
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あるいは、
傷つけたいなんて思わなかった
と、楓。つぶやくのだろう
あなたは。楓。あなた
やさしいあなたは
返り見て
笑み、嘲笑?笑んで
暴力を吸い
暴力を吐き
傷つけられていいやつなんていないんだ
と、楓。歎いくのだろう
あなたは。楓。あなた
繊細なあなたは
くねらせて
身を、哄笑?笑って
狂暴であり
狂暴でしかないその楓による兩親、仮りにここで蛆オ、蛆コと名づけておくかれらへの制裁の苛烈さは、時に特にその蛆コのほうを病院にかつぎこませることになったりしたりしたりしたには違い無くとも「渡して…」と、その少女…とは、見なかった。かれは、そこに、その現実の眼は、あきらかに熟れ切った女の女くさすぎる女の肉と体液と肉汁の匂い、と、…くさっに預かった、と。それは≪流沙≫。
まだ、…何歳?わたしも≪流沙≫も中学生だったときに、だから、十四?一学年上の…十三?先輩に渡された、と。その≪流沙≫。かれの太くたくましい指。しかもやや繊細なうごきのそれに見せつけられた、色紙。模様のふくざつな、ひたすらふくざつに折りたたまれ、たたみ込まれたそれ。「また、…」と、「またなの?」
つぶやいた。わたしは。嘆息?容赦ない、おそいかかるようなかなしみ。その時に、そのわたしに、ただ喉のおくにやわらかなはずのそこらへんに、しかも粘膜を咬み締められるに似て感じられていたのはもう、どうしようもない、だからかなしみ。…なぜ?せつないほどに、…だれ?「また、あいつ、殴っちゃうよ」
「呼び出して、…でしょ?」
かなしみ。かなしみ、かな
「このひと、前の、前にやった、さ、そういうの、知らないの?」
「知ってんじゃない?」
かなしみ、かけ
咬み散らす
「じゃ、なんで?」
「心の闇、…みたいな?でも、どうしよう?」
かけめぐり、めぐる、かなし
「なんで?」
「これ、さ、もし、渡さなかったら」
かなしみ。かな、かな
掻き毟る
「いいんじゃない?渡したくないなら」
「でも、バレるよね?…渡さなかったの」
かなしみ、かけ
…かな?
「なんで?…でも」
「逆に、殴られなかったら。ぼこぼこに」
かきみだれ、みだれ、かき
掻き乱す
「それってさ、渡さないっていうのも」
「…されなかったら、バレない?おれら、渡さなかったの」
かなしみ、かな、かな
咬みつぶす
「守ってあげたってことじゃない?」
「でも、裏切りじゃない?川口先輩に、…要するに、さ」
かなしみ、かけ
…かな?
「むずかしいね。でも、」
「どうしよう?」と、ふいに、「…ね?」それは≪流沙≫。もの思わしげな?むしろ、ふと、わずかな意味さえなく、ただ惰性にほくそ笑んだかに想えた、しかも「まじめに聞いてる?」邪気のない、ひたすら凡庸で、どうしようもなくきれいな。だから、ただすがすがしいだけの≪流沙≫。
「…聞いてる。すっごい、まじめに」
昏みのために
たくらまない?
太陽のために
「じゃ、なんで?」
背後に照らした
共謀しよっ、…か
まなざしを燒いた
「なに?」
太陽のために
たくらまない?
昏みのために
「なんで、雅雪、さっきらへらへら笑ってんの?」むしろ≪流沙≫はその時に、ひとりで吹き出し笑いにふるえた。その、わずかにだけわたしの顎に散った、だからわずかなだけの唾液の飛沫。その匂いを、わたしはせめても鼻孔にさがしだそうとしていた。謂く、
その悲劇。悲劇、と
ただ悲劇としてこそ
悲劇を見ていた
その、楓に
だれ?
わたしは、そこで
なぜ?
壊れゆくひと
知ったひと
そのはず、と
壊れゆくしか。…ない
そうで、そうであるはずと
たぶん、楓。あなたは
なるべき自分に
なろうとしたの?
無理やりに
いたましかった
焦燥。わたしに
ほほ笑むあなたの
その虹彩に
傷み。楓。あなたは
なりうる自分に
なろうとしたの?
いくつかに
わからなかった
矛盾。わたしに
ささやくあなたの
その聲さえもが
あなたには自分が
自分がないから
あなたになれた
自分になれた
落ちたひと
墜ちて落ち燃えながら
燃えて落ち墜ちながら
燃えたたひと
自分になれた
あなたになれた
自分がないから
あなたには自分が
その聲さえもが
ささやくあなたの
矛盾。わたしに
わからなかった
それらすべてに
なろうとしたの?
なりうる自分に
傷み。楓。あなたは
その虹彩に
ほほ笑むあなたの
焦燥。わたしに
いたましかった
無理やりに
なろうとしたの?
なるべき自分に
たぶん、楓。あなたは
そうで、そうであるはずと
壊れゆくしか。…ない
そのはず、と
たとえばそう知ったひと
壊れゆくひと
なぜ?
わたしは、そこで
だれ?
その、楓に
悲劇を見ていた
ただ悲劇としてこそ
その悲劇。悲劇、と
すなわち振り返れば≪流沙≫はほほ笑み、どこを?≪流沙≫。きみはその時になにを?どこに、なにを?なにを、なぜ?≪流沙≫。かさねて謂く、
その悲劇。悲劇、と
ぶすっ、…と
無理やり、變な
突き刺す
ただ悲劇としてこそ
さ?…ね、さ。…ね?
變な笑顏やめて
さ?…ね、さ。…ね?
悲劇を見ていた
つつっさす
無理やり、やめて
ぶふっ、…と
その、楓に
だれ?
鼻の孔に
ひとりで死んで
血。鼻血
わたしは、そこで
なぜ?
勝手に死んで
なぜ?
なぜ?
血。鼻血
かかわらないで
その鼻孔に
壊れゆくひと
知ったひと
で、…さ。ね、…さ
似合っていたのは
だれ?…あなた
そのはず、と
笑った。それ
綺麗な音楽
笑った。それ
壊れゆくしか。…ない
だれ?…あなた
ささやくような…なに?
で、…さ。ね、…さ
そうで、そうであるはずと
たぶん、楓。あなたは
楓。邪気もなく
遠くで死んで
女。殴られたあと
なるべき自分に
泣く。…まさか
日影で死んで
泣く。…まさか
なろうとしたの?
女。殴られたあと
見えないとこで
楓。邪気もなく
無理やりに
いたましかった
蹴られたあと
似合っていたのは
家畜。ぶすっ…と
焦燥。わたしに
恐怖。沈黙。柔順
複数の影
恐怖。沈黙。柔順
ほほ笑むあなたの
家畜。ぶすっ…と
その照明…なぜ?
蹴られたあと
その虹彩に
傷み。楓。あなたは
そして楓は笑った
隠れて死んで
ひたすらにあかるく
なりうる自分に
ただ
好きなだけ死んで
ただ
なろうとしたの?
ひたすらにあかるく
迷惑かけないで
そして楓は笑った
いくつかに
わからなかった
きたなっ
似合っていたのは
きぃっ
矛盾。わたしに
痛いよ痛いよいたた痛いよ
なにもない須臾
痛いよ痛いよいたた痛いよ
ささやくあなたの
きたなっ
ふとした沈黙…だれ?
きぃっ
その聲さえもが
あなたには自分が
きたなっ
ひそかに死んで
くひぃっ
自分がないから
死ねよ死んでよ死ね死んでいいよ
きれいに死んで
死ねよ死んでよ死ね死んでいいよ
あなたになれた
きたなっ
こっち見ないで
くひぃっ
自分になれた
落ちたひと
だれだっけ?
そっち見ないで
何人目だっけ?
墜ちて落ち燃えながら
鼻をふさがれのけぞる開口
きれいに死んで
鼻をふさがれのけぞる開口
燃えて落ち墜ちながら
何人目だっけ?
生まれてこないで
だれだっけ?
燃えたたひと
自分になれた
いつだっけ?
ふとした沈黙…だれ?
どうでもいっけ
あなたになれた
抗いもせずに瞳孔に開口
なにもない須臾
抗いもせずに瞳孔に開口
自分がないから
どうでもいっけ
似合っていたのは
いつだっけ?
あなたには自分が
その聲さえもが
くぴぃっ
迷惑かけないで
きたなっ
ささやくあなたの
死ねよ死んでよ死ね死んでいいよ
好きなだけ死んで
死ねよ死んでよ死ね死んでいいよ
矛盾。わたしに
きたなっ
隠れて死んで
くふぃっ
わからなかった
それらすべてに
きふぃっ
その照明…なぜ?
きたなっ
なろうとしたの?
痛いよ痛いよいたた痛いよ
複数の影
痛いよ痛いよいたた痛いよ
なりうる自分に
きたなっ
似合っていたのは
るひぃっ
傷み。楓。あなたは
その虹彩に
ひたすらにあかるく
見えないとこで
そして楓は笑った
ほほ笑むあなたの
ただ
日影で死んで
ただ
焦燥。わたしに
そして楓は笑った
遠くで死んで
ひたすらにあかるく
いたましかった
無理やりに
家畜。ぶすっ…と
ささやくような…なに?
蹴られたあと
なろうとしたの?
恐怖。沈黙。柔順
綺麗な音楽
恐怖。沈黙。柔順
なるべき自分に
蹴られたあと
似合っていたのは
家畜。ぶすっ…と
たぶん、楓。あなたは
そうで、そうであるはずと
女。殴られたあと
かかわらないで
楓。邪気もなく
壊れゆくしか。…ない
泣く。…まさか
勝手に死んで
泣く。…まさか
そのはず、と
楓。邪気もなく
ひとりで死んで
女。殴られたあと
たとえばそう知ったひと
壊れゆくひと
だれ?…あなた
淚こらえて見ていてあげる
で、…さ。ね、…さ
なぜ?
笑った。それ
あなたの崩壊
笑った。それ
わたしは、そこで
で、…さ。ね、…さ
死んでもいいよ
だれ?…あなた
だれ?
その、楓に
血。鼻血
死んでもいいよ
ぶっ刺す。その鼻孔に
悲劇を見ていた
なぜ?
望まないけど
なぜ?
ただ悲劇としてこそ
鼻の孔に
淚たらして見ていてあげる
血。鼻血
その悲劇。悲劇、と
顎を突き出して、沙羅。その沙羅。口をあくまで半開きに、わずかにさえくちびるには痙攣もなく沙羅。その沙羅。鼻孔の、そのひろげられきった昏み、沙羅。その沙羅。うす眼をひらいて、だからむしろ恍惚?忘我?陶酔?なにに?沙羅。その沙羅。まるでそこに立ったままひとり失神していたかにも沙羅。その沙羅。ひだりの瞼にだけ、しかもなぜ?なぜ?そこにだけ痙攣が、沙羅。その沙羅。
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