流波 rūpa ……詩と小説136・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈43
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あるいは、
一年たらず
まともだったのは
数か月くらい
あとの一年以上は
破壊。破綻
悲劇。自壊
失墜。悲惨
疑惑。見ていたのは
堕ちる星
そうだったと知った
だれもがすでに
もうすぐ砕けるその星は
藥。暴力。藥
自殺未遂。
三度目。奇行辟
更なる暴力。だから九鬼蘭。むしろ稀れな存在。たぶん。かれをわたしほど辛辣な軽蔑とともに回想するものは、…不当?だから例外だったにはちがいない。事実、…悲劇の天才。「…ん。…」それは≪あす・ゆめ≫の「ん、ねっ…」とってつけたような悲痛な聲で。マネージャー?の、ような、ひと。…だれ?病院で。破滅型の天才。マネージメントを手がけていた複数人。何人?…か、いたはずの、そのうちの…それともスタッフ?ひとり。だれ?もう、名前さえ忘れた。所謂スーツ組には違いないのだろうが、丁寧に着くずした古着。かれの正確な役割りまたは役職はもとから知らない。だからここで仮りに平田と名づけておくその男。当時三十前後に見えた華奢な髯の華奢な男は「眞沙夜さん、だっけ?」
わたしに耳打ちした。直後、鼻をすすった。ぐづゅっ。ななめの至近に。だからぐづゅっ。≪流沙≫。≪流沙≫たり得る契機のすでにあったその≪流沙≫と、滅びかけた楓を見舞った何度目かの病室の前。匂い。薬剤。その、もう…座薬ですよ。はい、ぶちこんで。楓であることをやめかけていた点滴ですよ。はい、ケツまくって。楓、もうすぐ二十一歳になろうとする検便ですよ。はい、口あけて。楓の、初期の何度目かの危機の数週間後のたぶん、午前。スタジオの衆目の前の、いきなりの深いリスカ。いつも…おれ、いっちゃいます。見舞うのはリスカの概念をぶちこわして…おれ、いくとこまでいっちゃいます。筋肉まで…じゃ。裂き、午前だったから。陶酔。恍惚。狂乱。錯乱。間違っても夜には、…なぜ?夜にだけは行かなかった。いちども、…なぜ?ただ気が滅入るから。あるいは…なぜ?人の眼には凡庸に見えたはずの≪流沙≫。かれを平田はあまりの自然さに無視して、「あなたには、九鬼、迷惑かけてないよね?」
「九鬼?」
死にたくないんだっ
夜にさ、焰を
「蘭のほう…かれとも、付き合い、」
「迷惑って?」…くすり。と、その
生きたくないんだっ
投げつけてみないか?
なにを言いたいのか透けて見えた平田の、だから主張のある沈黙。むすばれたうざっ。唇。直視。それでもそれらの…おれ、いっちゃいます。態度自体に感じたふがいなさに、…なぜ?わたしは…おれ、いくとこいっちゃいます。見ていた。むしろ平田の陰湿な愚劣。臆病。卑劣。欺瞞。卑小。それらをだけ。もっとも平田はまっすぐにわたしをだけ見つめ、そしていきなり、うざっと。わたしは、ただ、うざうざうざっ、と。いきなり目をそらした平田の、それはそっと。表情。なんらつくらないあけすけな無表情。そのまま、…ふかい歎き?だからなに?それは自分でわたしに話しかけた事実をいまさらに、しかもわたしを…おれ、いっちゃいます。赤裸々に無視するような、だから…おれ、いくとこまでいっちゃいます。なぜか赦し難かった…じゃ。うとましさ。…うざっ、と、
老いさらばえる前に、さ
皴くちゃなんです
うっとうしさ?
やっぱさ死にたくね?
もう、脳みそが
うざっ、と。唇が、はかないほどに薄い男だった。かれは。平田は。小柄だった。無意味なくらい清潔にわけた髮のこぎれいさ。立ち居振る舞いの軽薄な律儀。わたしにはひとめ見た瞬間に、赤裸々に…なぜ?かれを憎んでいた。…だれ?
「でも、そうとういろんなやつに廻してるらしいじゃないですか」
「覚醒剤?」と、平田はこともなげに…なに?そう言い切った。なにが耐えられなかったのか、息をのんで≪流沙≫は…だれ?壁に派手に音を立てて、…どん、っと…なぜ?もたれた。ばはんっ、と「楓からは検出されなかったんでしょ?」それはわたしの、だから聲。いまふと思いついた、…と、そんな気配をいま慎重にあっ…つくり込んだ、…むしろ、そのごめん。あっ…所詮、つくりも平田のたつくりものの聲。め。だから、平田。かれのためだけに。
夢見るように
爪に!…火が、火!
嫌惡していた。わたしは
恋してみないか?
火に!…爪が、爪!
すぐさまに。嫌惡。…なぜ?わたし自身を。…だれ?
「あの子は、最初から、…だから、それについてはもう、ぼくらも一応知ってたからね。本人らも、」
「おれら、別にくすり関係のつながりないですよ」
「見ればわかる…そういうの、やらないひとでしょ。…かるい錠剤くらいそりゃ、咬んだりするのかもしんないけど、」そう云って、その時に「…さ。…」平田は鼻で「…ね?」笑った。くせのある間を取ったあとで。わたしは尋ねた。そして「じゃ、…なに?」それはまるで平田に誘導されたにひとしい、と。そう…なぜ?思った。
「警察の人に謂われたの」
「なんて?」
しかも、触角
産卵するよ
「蘭ってさ…ああいうタイプ…結構、愛されるタイプじゃない?」
「そうなの?」
あくまで、触手
繁殖するよ
「違うの?…だから」
「なに?」
さらには鞭毛
増殖するよ
「ぜんぜん、埒があかないって。女たち、…蘭にくすり咬まされた女のタレントさん、いるでしょ?それに尋問しても、全体像が、だからクスリ関係の?…あっちはあっちでおおよその調べもう、ついてんだよ。もちろん。たぶんね。でも、証言が取れない。女たちから。…蘭に飲まされたっていう、そういう、ね?証言。状況的にそれしかないんだよ?でも、逆にむちゃなことばっかり言う。…らしい。あいつら。自分が勝手に打った。蘭はやってない、とか、ね。そういう意味不明な虛僞証言かさねて護ろうとする。どいつもこいつも。つじつま全然あってないのに。じゃ、だれから買ったんだ。公園で、知らない人に、とか。外国人に、とか。いくらだったのよ?クスリ。いくらで買ったのよ。…相場です。相場っていくらよ?だから、相場です。…みたいな。そういう感じで」
「いいじゃん。…」と、さらに言葉をつぎそうになる平田を遮って、その時の
やめて。もう
咬め。咬みちぎれ
平田の口元。はっ、と。おもわず
傷つけないで
ダイヤモンドを
はっ、とした、そんな。だから
もう、やめて
のけぞりながら
あくまでも不用意な、それはどこまでかるい須臾のおどろき。「なに?」
「美談じゃないですか。人生ぼろくそにされた女にさえ最後まで愛されつづける男。…って、云ってるわけなんでしょ?あなた、いま、自分の口で」
「知らないんだよ」叫ぶように。しかも、
のけぞってバック中
伝説に殘る
ただのささやき以下の
もんどりうってノック中
恋をしないか?
あまりにも微細な音量で。その「…え?」平田は、だからそれは、「…なに?」わたしがかれの言葉を切って、一方的に取り殘された稀薄。平田。ふいの停滞。それら、ほんの数秒の白濁?沈黙のあとに、空白?その、かれの沈黙。ふるえた。まえぶれもなく、唐突に、虹彩。ただひたすら饒舌な目の動き。落ち着かない、あせって?そして言葉を…焦燥?探し、…なぜ?見つけ出す前にはあとからあとから探し出され吹き出しつづけていた言葉。ひびきを顯らわさないままに。探し出されすぎてすぎすぎた言葉ら。群れ。群れら。ら。ら。ら。だから唇を、喉を、舌を、吹き出すべき孔をどこかをなにかになにかをさがして?言葉ら、ら。ら。ら。行きどまり。ないよ。それらいよいよそれらが無数にないないない。だから平田を沈黙させ、それは、だからそんな饒舌かつぶざまな沈黙。こともなげに、知らないんだよ、と。笑うしかないほど簡素な言葉をのみかれの唇がふたたび吐いた瞬間に笑った。わたしは。あからさまに聲を立てて。その目のまえで、…なぜ?笑っていた。
「だから、知らないから。なにも。あなたは。蘭についても、楓についても、なにも。だから眞沙夜とかはそういう言い方ができる」
「いきなり呼び捨てですか?」
入りますよ
あしたは、きっと
「おれたちサイドがどれだけあいつらを護ろうとしてたかわかる?知らないんだよ。なにも知らない。だから、」
「仕事じゃない?違う?」
いいですか?入りますよ
はずかしいくらいに
「かれらがどれだけ才能があったか」
「もう、全部だめになっちゃったけど」
ぶち込みますよ
空、晴れるよね?
「聞けよ。人間なら。小僧のくせに。たかが場末のホストだろ?」
「それ、なにが問題?」あまりにも冷静な、だれよりも「職業差別だよそれ、」物静かな、謂わば悟りと達観のひと、…と、——もうすぐ、木の下で悟りひらくよ。時に楓はそう揶揄した。そんな≪流沙≫。かれがそっと、わたしの胸にふれた。押しとどめようと?拳さえ握りはじめていないうちに?それとも、逆に、煽りだった?ただ、かれもうすぐ樹の下でさとりひらくよ。冷めた冷笑だけのわたしを?どちらともとれた。そんな気がする、ただ曖昧な、あるいは愛撫?いきなり?いま?結局は、ここで?謎でしかない、謎めく意図もなかったその手のひら。触感。平田。つぎの言葉を発しかけ、そのままの平田。わずかな開口のままに、平田。すでにふたたび須臾の沈黙に、…おれ、いくとこいっちゃいます。平田。すで落ち、ふたたびあらたに…おれ、いくとこまでいっちゃいます。墜ち、また墮ちつづけた平田。かれはわたしをだけ…じゃ。見つめた。そのまばたきの虹彩の向こうに、かれがそもそもどんな風景を見い出していたのか、それをわたしは知らない。やがて、まばたいた。
だれ?…だから、その、眼の前の平田は。瞼がまばたいた瞬間に、唐突にひとりわれに返って、その平田がささやいた。自分勝手な身軽さで、その
「やばい。…とにかく」
光りのなかで
どこかで妙に甘え、
「やばいんだ。いきなり、最初は」
光りより
甘えき甘え?…とは、なにか、違う、世間知らずな?感じさえ
「破滅。いきなり、…いや」
光りより
その話し方の気配に、そして
「わかってた。おれたちも、…じつは」
ぼくらは速く、あろうとしていた
ややくせのある巻き舌に、または
「じつは、ね。長つづきしないって、でも」
日射しのなかで
その、だからそのくせ妙にひとなつっこい不遜さ。そんな
「だから、一瞬きらめいて碎け散る、そんな」
太陽など
聲のトーンに、わたしは
「でも、こんなにいきなり」
太陽など
こいつもなのだな、と
「最初は蘭。つぎは」
もう飲み込んでしまう輝きを求めた
思った。こいつもむかし
「今度は、たてつづけに楓」
瀑布のなかで
音楽をやっていたにちがいない。…と、
「…でしょ?…わかってたよ」
その激流さえ
だから、所謂ミュージシャン。いわゆる
「かれら、破滅型じゃない?かれら、もとから」
その激流さえ
自称アーティスト。ジャンルが
「だから、リスクあっても」
夢見なかった彼方を夢見た
どんなものかはともなく、あれら
「だから、…でも、かれらを」
響きのなかで
ミュージシャンというやつらが一様にもつ
「輝かせたかった。あきらかに」
鳴りやまなかった響きのなかで
このくせはいったい、なんなのだろう?
「固有の才能だったから。でも」
鳴りやみ得ない響きのなかで
狎れるに慣れない、この
「いきなり、こうも」
ぼくらはもう、ささやく聲さえ見失ったね?
執拗な、かれら固有の
「こんなにも早いとは」
「あんたたちのミスじゃない?」云ったわたしの聲を、ささやき。平田は上手で上品な…あくまでも、ささやき。聞こえないふりにながした。それはただ、見事なまでにエレガントだった。「なんで、自殺未遂なんか」
夜が終わるよ
明かり、消してよ
平田はささやく。ふと
ぼくらがそこで
いま、もう、ね?
わたしに。だ
死のうとしていた
あの音楽さえ、消えたから
だから平田の
その夜だけが
明かり、消そうよ
目は躊躇なく、わたしをだけ見ていた。聞いた。わたしは、「自殺しようとしたんじゃないと思います」耳のわずかうしろに響いていた、それは≪流沙≫の聲。しずかで、みだれのない、だからもう、この世の悲惨の果てを視てきた、そんな、しずかな。それは
「かれ、…楓は」
「なんでだと思う?」
一家惨殺事件のせい?
全身で、わたしは
いつだろう?
「傷だって、淺かっ…死ぬほどじゃなかったんでしょ?…もちろん、」
「なんで、あんなこと」
しかもそのあとの、あるいは
感じ取っていた
夕焼けいろに
「知ってます。体中に、かれ、でも」
「慥かに、楓にとって大きかった」
メディア・レイプ。…容赦ない
なに?…だから、その
空、燃え上がるの
「どれも致命傷じゃない。どれも」
「慥かに、蘭の存在は、でも」
匿名報道という名の、実名の無い
背後に、あえぐ
もうすぐだろう?
「カミソリのひっかき…ふかいひっかき…なに?傷。程度…」
「なんで?…おれにも」
個人指定報道。…サイコパスは、
あえぐ、聲
靜かの海で
「すぐに、電話あったんだから」
「担当の子にも、なにも」
この生き殘りひとり無傷の
聲?…息遣い?
青い星、綺羅り
「やって、すぐ。…やる前…かな」
「わかる?」
少年です。…じゃない?
全身で、わたしは
いつだろう?
「やる前?云ってた。ごめん、先に行く…」
「直接の理由って、」
だよね?そんな、赤裸々な
感じ取っていた
夜明けのときは
「ね?…そういうの」
「なんだろう?」
暴力のせい?…かも、知れない。あるいは
なに?…だから、その
空。晴れわたって
「…狂言じゃない。狂言とは」
「なにそれ?」
すこしくらいは。しかし
眼の前にわめく
もうすぐだろう?
「あえて言いませんけど、ぼくは、でも」
「そういう言い方…」
もっとまえ…もう、
聲のない口
波立ちの海で
「狂言でしょ?よくわからないけど」
「馬鹿にしてない?むしろ」
ことによると、はじめてあったときからその
顏のない口
遠い青い星
「それと本当の自殺には、確実に」
「命がけの楓の気持ち、むしろ」
少年はこんな
わめく、聲
いつだろう?
「越えられない一線、たしかに」
「でも、それ」
この世の果てからここにいま流れ着いた、…と?そんな
聲?…ただのノイズ
啼きはじめるのは
「あるって。…ある。そう」
「それは、さ」
聲をしかわたしたちたちの耳にはさらしていなかった。…と
全身で、わたしは
鳥。その朝に
「ぼくは思います」
「あんたの単なる印象ですよね?」そう、こともなげに平田は云った。あくまでも、わたしをだけ見つめつづけたまま。まるでそこに≪流沙≫など存在していないかのように。謂く、
覚えてた?
云ったね、きみは
しあわせになるよ
≪流沙≫…かれひとり
しあわせになって
しあわせにすぎて
しあわせに老いて
しあわせにやがて
覚えてた?
云ったよ、きみは
置き去りに。ぼくらを
≪流沙≫…かれひとり
しあわせになって
しあわせにすぎて
しあわせに朽ちて
しあわせにやがて
しあわせに
そして、かれだけひとり
滅びて仕舞い
それは雪
たとえば櫻に
振りかかり、雪
消えて行き、雪
散らせてしまう。花
いつ、花は
色褪せるのだろう?
雪のような色
その花は
その雪は
花のような色
色褪せるのだろう?
いつ、雪は
散らせてしまう。花
消えて行き、雪
振りかかり、雪
たとえば櫻に
それは雪
滅びて仕舞い
そして、かれだけひとり
しあわせに
しあわせにやがて
しあわせに朽ちて
しあわせにすぎて
しあわせになって
≪流沙≫…かれひとり
置き去りに。ぼくらを
云ったよ、きみは
覚えてた?
しあわせにやがて
しあわせに朽ちて
しあわせにすぎて
しあわせになって
≪流沙≫…かれひとり
しあわせになるよ
云ったね、きみは
覚えてた?
すなわち知っている。きみが茫然としていたのは。≪流沙≫。流れる砂。よく乾き、乾き切ってさらさらするだけ。そんなよくすべり、よく流れ落ちる砂のようにももう、淚さえ?でも≪流沙≫。なにが悲しいの?≪流沙≫。あなたはそこで生きていた。わたしもそこで。そしてあのかなしい楓さえも殘酷なまでに生き生きと、ただ凄惨なまでに生き生きと生き、生き延びていた。かさねて謂く、
覚えてた?
みみ、み、み、み、見上げれば
見ててあげる、ね?
青い星
云ったね、きみは
ほら
あくまで、しかも
あれ?
しあわせになるよ
青い星
ほほ笑んで
見下ろせば
≪流沙≫…かれひとり
しあわせになって
いっそのこと、さ
墮ちて、墮ち
だらだら涎れ
しあわせにすぎて
しゃぶってみないか?
墮ちてゆくきみ
しゃぶってみないか?
しあわせに老いて
飛沫。ふらふら
やさしい笑みを
いっそのこと、さ
しあわせにやがて
覚えてた?
見下ろせば
墮ちて、ただ
青い星
云ったよ、きみは
ほら
墮ちるだけのきみ
あれ?
置き去りに。ぼくらを
青い星
癒しの笑みを
見上げれば
≪流沙≫…かれひとり
しあわせになって
いっそのこと、さ
淚さえ
しゃらしゃら涎れ
しあわせにすぎて
咀嚼しちゃおうか?
干からびさせて
咀嚼しちゃおうか?
しあわせに朽ちて
飛沫。とぅらとぅら
墮ちてゆくきみを
いっそのこと、さ
しあわせにやがて
しあわせに
悲鳴だよ。叫び
轟音が鳴った
絶叫。しかも絶句。もう
そして、かれだけひとり
だれ?…だれが?
鳴り響き
だれ?…だれの?
滅びて仕舞い
絶叫。しかも絶句。いま
一瞬だった
悲鳴だよ。叫び
それは雪
たとえば櫻に
冴えて冴え切り
ぶっ壊れたかな?
砂を掬った
振りかかり、雪
靜かの海に
空さえも
靜かの海で
消えて行き、雪
砂に巢喰った
もう
冴えて冴え渡り
散らせてしまう。花
いつ、花は
海の波にも
虛空に花でも
綺羅きららら綺綺
色褪せるのだろう?
雪ら
放ってみないか?
花ら
雪のような色
綺羅きららら綺綺
もう、他に、なにも
海の波では
その花は
その雪は
綺羅きららら綺綺
もう、他に、なにも
海の波では
花のような色
花ら
散らしてみないか?
雪ら
色褪せるのだろう?
海の波にも
虛空に雪でも
綺羅きららら綺綺
いつ、雪は
散らせてしまう。花
砂に巢喰った
もう
冴えて冴え渡り
消えて行き、雪
靜かの海で
空さえも
靜かの海に
振りかかり、雪
冴えて冴え切り
ぶっ壊れたかな?
砂を掬った
たとえば櫻に
それは雪
絶叫。しかも絶句。いま
一瞬だった
悲鳴だよ。叫び
滅びて仕舞い
だれ?…だれの?
鳴り響き
だれ?…だれが?
そして、かれだけひとり
悲鳴だよ。叫び
轟音が鳴った
絶叫。しかも絶句。もう
しあわせに
しあわせにやがて
飛沫。とぅらとぅら
墮ちてゆくきみを
いっそのこと、さ
しあわせに朽ちて
咀嚼しちゃおうか?
干からびさせて
咀嚼しちゃおうか?
しあわせにすぎて
いっそのこと、さ
淚さえ
しゃらしゃら涎れ
しあわせになって
≪流沙≫…かれひとり
青い星
癒しの笑みを
見上げれば
置き去りに。ぼくらを
あれ?
墮ちるだけのきみ
ほら
云ったよ、きみは
見下ろせば
墮ちて、ただ
青い星
覚えてた?
しあわせにやがて
飛沫。ふらふら
やさしい笑みを
いっそのこと、さ
しあわせに朽ちて
しゃぶってみないか?
墮ちてゆくきみ
しゃぶってみないか?
しあわせにすぎて
いっそのこと、さ
墮ちて、墮ち
だらだら涎れ
しあわせになって
≪流沙≫…かれひとり
青い星
ほほ笑んで
見下ろせば
しあわせになるよ
あれ?
あくまで、しかも
ほら
云ったね、きみは
見上げれば
見ててあげる、ね?
青い星
覚えてた?
そのままいっちゃえよ、と、ささやき、しかも喉のおくにだけ。沙羅に言葉などつうじないから。そして沙羅の言葉などしらないから。あるいは沙羅の発情にはすでに飽きはじめていたから。だから沙羅。そのせせら笑う口に、わたしは指の二本を差し込んだ。ときに、もはや汗をにじませかけた沙羅。その微熱のある体温に、その喉がえづくのを聞き、
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