流波 rūpa ……詩と小説125・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈32





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





あるいは、

   流れる砂ら

   ≪流沙≫。それは

   しかも夢

   いつか、見ていた


   くずれる砂ら

   ≪流沙≫。それは

   しかも夢

   いつでも、見ていた


   いつもの、いつか

   いつかのいつでも

   いつのいつでも?

   いつかの、いつか


   ひとすじの砂ら

   ≪流沙≫。それは

   しかも夢

   いつでも見、…なに?夢。それは夢。…いつの?それは流沙。流れる…だれ?砂。流れ…なに?落ちる砂。…なぜ?落ちるしかすべのない、だから、それは

   見て

      ふうって、…ね?

重力のせい。地球の

   見つづけ

      吹きかけてあげる

中心に向かって、しかし

   見て

      たとえば

決してその

   見ていて。あなたの

      吐息

中心には

   やさしい夢を

      とぅ…って、…ね?

到り得ないまま、…なぜ?

   見て

      吹き

ほら、地表そのものに礙られるから。ね?だからそれはね?夢。ね、ね、ね、夢。見ていたのだった。それは…いつ?蜃気楼。…だれ?見ていた。…なぜ?おどろきとともに。…どこ?その蜃気楼。それが、くずれ、くずれて、流れ、それは流れ出し、空に。…なぜ?ふいに…なに?流れ、こぼれ、こぼれ出し、…どれ?こぼれはじめていた、もう、砂粒。それら。

   見て

      墜ち入るのだ

まさか。

   えがいてた

      そこで、わたしは

それは

   月の無数

      だから、失語

夢。夢。…まさか。

   蜃気楼のえがく

      ふいの失語に

事実だった。

   無数の月たち

      もう、なにも

あり得ない、と?

   見て

      くすり指さえ、ゆるえていて

事実、…莫迦な…って?蜃気楼の…ないないないない。実体はまさに、…あり得ない…って?それは群れ。それら、砂粒のなした厖大な群れ。群れ。見て。砂粒。それらのもはや数うべくもない群がりに他ならなかったのだった。失意。…と?まさに失望のひと、…と?そんな、うなだれているべきわたし。それはまさにうなだれて、しかもうなだれるしかない傷。傷なすこころ。その傷みのうちに、ふと、…あっ、と。のけぞって…あっ、

   月。しろい

と。落ちてくる

   月は、蜃気楼

綺羅ら。それら

   まばたくように

砂粒。

   ゆらぎ、そこに

綺羅だち。その無数に綺羅めき。その急激。容赦ない。くずれていく蜃気楼。それらの色彩。白?しろい、白?それら綺羅。すばらしいものであるはずだった。それは。それらは。その実体は。せめて、それら実体はもっと、もっと、もっと、だからもうどうしようもなくすばらしいものであるべきだった。そして

   くちづけようか?

      ささやき

不可解。謎であるべきだった。絶対に、

   せめて。あなたに

      だれ?

だれにも

   その

      ささやいていた

解きほぐせもせず、

   ひたいに

      だれ?

解きほぐそうという

   そっと

      無数の、それら

意志さえ抱く余地もない謎。だから完璧な謎。赤裸々な謎めき。それこそが、慥かに相応しかった。だから、その蜃気楼には、…と。あっ、と。それは夢。あっ…と、夢。…いつの?謂く、

   ふいにこぼれていただけだった

   その言葉。それは

   ≪流沙≫、そのひびき

   なつかしかった


   なぜ?いまさらに

   なつかしい?すでに

   喪失の須臾など

   刹那にさえも


   なかったのに

   なつかしい?ふいに

   いま、思い出したように

   胸を傷め


   ≪流沙≫と、つぶやき

   流れる砂

   流れつづけた

   ≪流沙≫と、それを


   だから、名づけた

   その響きを

   ただ、痛いから

   傷みだけだから


   痛いだけだから

   傷なのだから

   その響きを

   だから、名づけた


   ≪流沙≫と、それを

   流れつづけた

   流れる砂

   ≪流沙≫と、つぶやき


   胸を傷め

   いま、思い出したように

   なつかしい?ふいに

   なかったのに


   刹那にさえも

   喪失の須臾など

   なつかしい?すでに

   なぜ?いまさらに


   なつかしかった

   ≪流沙≫、そのひびき

   その言葉。それは

   ふいにこぼれていただけだった

すなわち瑠璃。その顏を見ていた。ふと返り、あやしみ、なじり?糾弾し?…なにを?いぶかしみ、ふいに、まばたいた目。だから、「るーしゃ?」そう、それは「なにそれ?」そのひびき。あなたが「なに語?…それ」勝手に鳴らしたひびき。あなたが「るーしゃ?…な」ひとりで響かせたひびき。それは≪流沙≫。それはひびき。あくまでひびき、ひびきあい、かさねて謂く、

   ふいにこぼれていただけだった

      濡れた?

    秘密。それは

     びちょびちょだった?

   その言葉。それは

      濡らした?…ね?

    あくまで、秘密

     濡らした?…ね?

   ≪流沙≫、そのひびき

      びちょびちょだった?

    隠し、隠しぬき

     濡れた?

   なつかしかった


   なぜ?いまさらに

      その口蓋は

    …なぜ?

     陰湿な

   なつかしい?すでに

      唾液の匂い

    あなたを、一度も

     唾液の匂い

   喪失の須臾など

      陰湿な

    隠しとおし

     その口蓋は

   刹那にさえも


   なかったのに

      体液。にじみ

    一度もその名に呼ばなかった

     濡れぼそってて

   なつかしい?ふいに

      なぜ?濡れて

    ≪流沙≫。あなたを

     なぜ?濡れて

   いま、思い出したように

      濡れぼそってて

    その名では

     体液。にじみ

   胸を傷め


   ≪流沙≫と、つぶやき

      濡れた?

    それは秘密

     びちょびちょだった?

   流れる砂

      濡らした?…ね?

    あくまで、秘密

     濡らした?…ね?

   流れつづけた

      びちょびちょだった?

    わたしだけの

     濡れた?

   ≪流沙≫と、それを


   だから、名づけた

      おれのせい?

    わたしのためだけの

     発情するから?

   その響きを

      綺麗だから?

    瑠璃は知らない

     綺麗だから?

   ただ、痛いから

      発情するから?

    その意味は

     おれのせい?

   傷みだけだから


   痛いだけだから

      否応なく

    せせら笑った

     しかも、あらがいもなく

   傷なのだから

      にじみ出るまま?

    …だれ?わたし

     にじみ出るまま?

   その響きを

      しかも、あらがいもなく

    聞いていた

     否応なく

   だから、名づけた


   ≪流沙≫と、それを

      発情するから?

    その聲。瑠璃は

     おれのせい?

   流れつづけた

      綺麗だから?

    知らない。意味は

     綺麗だから?

   流れる砂

      おれのせい?

    隠しとおし

     発情するから?

   ≪流沙≫と、つぶやき


   胸を傷め

      びちょびちょだった?

    せせら笑った

     濡れた?

   いま、思い出したように

      濡らした?…ね?

    …だれ?わたし

     濡らした?…ね?

   なつかしい?ふいに

      濡れた?

    秘密にしていた

     びちょびちょだった?

   なかったのに


   刹那にさえも

      濡れぼそってて

    一度もその名に呼ばなかった

     体液。にじみ

   喪失の須臾など

      なぜ?濡れて

    ≪流沙≫。かれを

     なぜ?濡れて

   なつかしい?すでに

      体液。にじみ

    その名では

     濡れぼそってて

   なぜ?いまさらに


   なつかしかった

      陰湿な

    隠し、隠しぬき

     その口蓋は

   ≪流沙≫、そのひびき

      唾液の匂い

    あくまで、秘密

     液。匂う、液に

   その言葉。それは

      その血管は

    秘密。それはただ

     陰湿な

   ふいにこぼれていただけだった

その笑みは、だから、クィン?フィン?かの女が、わたしのくれてやった笑みに答えて、だからそっとほほ笑み返したにすぎない。その、無意味で稀薄なだけの笑みは。













Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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