流波 rūpa ……詩と小説124・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈31
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あるいは、
暗示する気もない
それは告白。そこに
ほのめかしもない
告白。なにも
告げずに。あきらかに
なにも示さず、そこに
笑うだけの、たわいもない
告白。しかも
死んであげるね、と
一度、きみの、きみのその
まなざしのなかから
死んで仕舞うね、と?
傷つける気もない
わたしを。しかも制裁
投げつけていた。わたしに
苦痛。それ。苦痛を、そこに「…おれ、が、さ。おれが、…」と、ひびきあう。ひびき、それら「だから、さ、…おれ、が、さ、…」波。それら、ただ「なんか、…おれ、が、さ。おれが、…」しずかに、しかもあざやかに「ん。…ね?…おれ、が、さ。」波。それら、とめどもなく「ね、…」
「なに?」楓。かれにわたし。わたしがそうささやき、波うち、だから楓。ふと、波。頸をかたむければくちびるはふれる、そこにかれの額をさらして、無防備。あくまでも「だから、おれ、…さ」楓は、そこに波うち、あくまでも波。無防備に、「…ね。おれ、」綺羅。楓。すでにかれは波うち、笑っていた。無造作に波。こころになんらたくらみもなく。それでも波打ち、慥かに、やや、故意の、だから波。裝われた無なぜ?聞いた。その聲。もはやすべての波。それら波立ち。それらひびき。盡きようもない音響。それらをもはやわたしの耳から消し去って、…ひびき。「おれが、いなくなったら、忘れる?ここ…この島」
「なんで?」
聞いていたいな
ななめに、…ほら
翳りなど。その聲
「ひとりで、お前も、だれも、ぜんぶ捨てて、さ。出て行って、さ」
「なんで、お前、」
永遠に
…ね、ね、
楓。美聲。甘い。たしかに、
「いなくなったら、どうする?あっさり、」
「いま、なんで」
あなたの、聲を
朝の、…ほら
傷みなど。その聲
「忘れるのかな?…お前」
「そういうこと、いま」
聞いていたいな
…ね、ね、
きざしさえ。なにももう、なにも
「もう、考えもしない?」
「云うの?…おれに」
永遠に
光りたち、…ほら
ひたすらな明るさ。その聲。その
「いなかったのと、おなじこと?…ね、」
「覚えててほしいの?」
あなたの、息吹きを
…ね、ね、
そう、そのわたし。邪気もない聲。その楓の聲にかぶせてそうささやいたときに、…破壊?消したかった?むしろ、…ぶち壊す?その、いとしくて、こわもう…叩きこわ…なに?壊す?いとしいだけの聲。楓の聲。聲を?こわ不意に、とまった。…なに?それは聲。笑い聲。楓。ふいに、とまっ…なぜ?それは唇。そのふるえ。笑う楓の。そのかすかな、ふいに、と…だれ?まなざしの動揺。動揺?ゆれ。ゆらぎ。わずかな。楓。だから、見ていた。わたしはそこ、十六歳の楓。数日後にはいなくなるひと。島から。ここから。宮島から。消ふいの笑いの、ふいの消滅。わたしを見つめ、ふいに言葉をうしなって仕舞っていた楓。そこに唐突な失語を、謂く、
なぜ、…さ。なぜ?
聞こえないふり?
流れ去る、≪流沙≫
流れ墜ちた砂
わたしの背後で
聞こえないふり?
流れ去る、≪流沙≫
流れ昇っていった砂
なぜ、…さ。なぜ?
そこにいないふり?
流れ去る、≪流沙≫
流れ崩れるそれら、砂
わたしの背後で
そこに息づかい
流れ去る、≪流沙≫
流れる砂らひとすじの
白。雪崩れる遠い
とおい白。ほそい
あまりにはかない
白。そのあまりの厖大
なにを見てた?
海、かな?そう?…ね?
波、かな?そう?…ね?
なにを聞いてた?
白。そのあまりの厖大
あまりにはかない
とおい白。ほそい
白。雪崩れる遠い
流れる砂らひとすじの
流れ去る、≪流沙≫
そこに息づかい
わたしの背後で
流れ崩れるそれら、砂
流れ去る、≪流沙≫
そこにいないふり?
なぜ、…さ。なぜ?
流れ昇って行くだけの砂
流れ去る、≪流沙≫
聞こえないふり?
わたしの背後で
流れ墜ちた砂
流れ去る、≪流沙≫
聞こえないふり?
なぜ、…さ。なぜ?
すなわち聞くのだった。むしろ明晰に。あまりに赤裸々に。そこに、聲。そしてわたしたちは。息。そしてひらかれかけ、波。波打ち、なしくずにくずれもせずに、くずれかけ、しかもひらかれかけたままにふるえかけ、ふるえかけていたそれぞれの唇。そのひらき…違う。くずれ…違う。ふるえ…違…なに?聞くのだった。むしろ明晰に。あまりに赤裸々に。そこに、かさねて謂く、
なぜ、…さ。なぜ?
もう、いとしさが
こわれるしか、なかった
光りさえ超え
聞こえないふり?
加速した
なぜ?
加速した
流れ去る、≪流沙≫
光りさえ超え
いとしすぎたから
もう、いとしささえも
流れ墜ちた砂
わたしの背後で
だから、ブルー
耐えられないから
ぼくらを燒いた
聞こえないふり?
チェレンコフの光り
平凡さなど
チェレンコフの光り
流れ去る、≪流沙≫
ぼくらを燒いた
不可能だから
だから、ブルー
流れ昇っていった砂
なぜ、…さ。なぜ?
もう、せつなさが
くだけるしか、なかった
光りさえ超え
そこにいないふり?
加速した
なぜ?
加速した
流れ去る、≪流沙≫
光りさえ超え
せつなすぎたから
もう、せつなささえも
流れ崩れるそれら、砂
わたしの背後で
みずみずしい、ブルー
耐えられないから
ぼくらを滅ぼし
そこに息づかい
チェレンコフの光り
老殘さなど
チェレンコフの光り
流れ去る、≪流沙≫
ぼくらを滅ぼし
不可能だから
みずみずしい、ブルー
流れる砂らひとすじの
白。雪崩れる遠い
海よりも
飛び散るしか、なかった
空よりも
とおい白。ほそい
もう、容赦なきブルー
なぜ?
もう、容赦なきブルー
あまりにはかない
空よりも
台無しになるよ
海よりも
白。そのあまりの厖大
なにを見てた?
苛烈。ぼくらは
ぼくらは、すぐに
いとしいよ
海、かな?そう?…ね?
すでに苛酷。つねに
無慚になるよ。すぐ
すでに苛酷。つねに
波、かな?そう?…ね?
過剰。ぼくらは
無慈悲なまでに
せつなすぎるよ
なにを聞いてた?
白。そのあまりの厖大
空よりも
絶望的なくらいに
海よりも
あまりにはかない
もう、容赦なきブルー
むごたらしさになるよ。すぐ
もう、容赦なきブルー
とおい白。ほそい
海よりも
ぼくらは、すぐに
空よりも
白。雪崩れる遠い
流れる砂らひとすじの
ぼくらを滅ぼし
台無しになるよ
みずみずしい、ブルー
流れ去る、≪流沙≫
チェレンコフの光り
なぜ?
チェレンコフの光り
そこに息づかい
みずみずしい、ブルー
飛び散るしか、なかった
ぼくらを滅ぼし
わたしの背後で
流れ崩れるそれら、砂
光りさえ超え
不可能だから
もう、せつなささえも
流れ去る、≪流沙≫
加速した
老いさらばえるなど
加速した
そこにいないふり?
もう、せつなさが
耐えられないから
光りさえ超え
なぜ、…さ。なぜ?
流れ昇って行くだけの砂
ぼくらを燒いた
せつなすぎたから
だから、ブルー
流れ去る、≪流沙≫
チェレンコフの光り
なぜ?
チェレンコフの光り
聞こえないふり?
だから、ブルー
くだけるしか、なかった
ぼくらを燒いた
わたしの背後で
流れ墜ちた砂
光りさえ超え
不可能だから
もう、いとしささえも
流れ去る、≪流沙≫
加速した
平凡な生存?
加速した
聞こえないふり?
もう、いとしさが
耐えられないから
光りさえ超え
なぜ、…さ。なぜ?
「ずっと忘れないで、それで、おれに、」ささやきは、わたしの「思いつづけててほしいの?」くちびる、しかも「…噓だよ」謂く、
そこには、なかった
…なに?それ
例えばそれは
ひびき。…波の
例えばそれは
青み。…空の
例えばそれは
匂い。…雨の
例えばそれは
滅び。…紅蓮に
裂け、撒かれ、散り
その色ら。明け方の
なかった。それら
そこには、なかった
ひびき。ささやき
くちびるに、それら
そこにあったのは
…なに?それ
例えばそれは
ひびき。…枝たちの
それら、無数の
葉たちの
それら、無数の
山の頂きの
例えばそれは
匂い。…土の
それら乾き、乾ききり
干からびかけて
例えばそれは
色たち。…夜の
昏い、昏み、昏む色彩
厖大につつんで
あまりにも静かで
冴えた渾沌
色ら。そこで
醒めきった混乱
…まばたいた
きみは。いま
ぼくは。いま
…まばたいた
醒めきった混乱
色ら。そこで
冴えた渾沌
あまりにも静かで
厖大につつんで
昏い、昏み、昏む色彩
色たち。…夜の
例えばそれは
干からびかけて
それら乾き、乾ききり
匂い。…土の
例えばそれは
山の頂きの
それら、無数の
葉たちの
それら、無数の
ひびき。…枝たちの
例えばそれは
…なに?それ
そこにあったのは
くちびるに、それら
ひびき。ささやき
そこには、なかった
なかった。それら
その色ら。明け方の
裂け、撒かれ、散り
滅び。…紅蓮に
例えばそれは
匂い。…雨の
例えばそれは
青み。…空の
例えばそれは
ひびき。…波の
例えばそれは
…なに?それ
そこには、なかった
すなわち悲しみ?まさか。おののき?まさか。予感?あやうい未來の?その別離の?喪失の?まさか。むしろ赤裸々に、無造作に、無防備なまでにそのままにかれを、楓。かれを見つめていた。ひたすらに。だから、こころになにもきざさないように。わずかな不安さえも、かさねて謂く、
そこには、なかった
泣きそうなんだ
夜に。夜
どうして?
…なに?それ
なぜ?
夜に住む
なぜ?
例えばそれは
どうして?
少年たちは
泣きそうなんだ
ひびき。…波の
例えばそれは
叫びそうなんだ
だからわたしも
どうして?
青み。…空の
なぜ?
しかも、…ね?
なぜ?
例えばそれは
どうして?
なにも
叫びそうなんだ
匂い。…雨の
例えばそれは
わめきちらしそうなんだ
なにも隠せない
どうして?
滅び。…紅蓮に
なぜ?
浮かび上がるだけ
なぜ?
裂け、撒かれ、散り
どうして?
さまざまな色たち
わめきちらしそうなんだ
その色ら。明け方の
なかった。それら
吐きそうなんだ
夜に。夜
どうして?
そこには、なかった
なぜ?
夜に住む
なぜ?
ひびき。ささやき
どうして?
少年たちは
吐きそうなんだ
くちびるに、それら
そこにあったのは
のたうちまわりそうなんだ
だから楓も
どうして?
…なに?それ
なぜ?
しかも、…ね?
なぜ?
例えばそれは
どうして?
なにも
のたうちまわりそうなんだ
ひびき。…枝たちの
それら、無数の
いきなり、のけぞりそうなんだ
なにも慰めはない
どうして?
葉たちの
なぜ?
きわだってただけ
なぜ?
それら、無数の
どうして?
冴えた空気に
いきなり、のけぞりそうなんだ
山の頂きの
例えばそれは
痙攣さえしちゃいそうなんだ
夜に。夜
どうして?
匂い。…土の
なぜ?
夜に住む
なぜ?
それら乾き、乾ききり
どうして?
少年たちは
痙攣さえしちゃいそうなんだ
干からびかけて
例えばそれは
窒息。もう、息さえ…なんだ
だから≪流沙≫も
どうして?
色たち。…夜の
なぜ?
しかも、…ね?
なぜ?
昏い、昏み、昏む色彩
どうして?
だれも、眠れはしない
窒息。もう、息さえ…なんだ
厖大につつんで
あまりにも静かで
失神しちゃっ…
息吹きあうだけ
どうして?
冴えた渾沌
なぜ?
ひたすらやさしい
なぜ?
色ら。そこで
どうして?
光りたち
失神しちゃっ…
醒めきった混乱
…まばたいた
あっ…
だれも、眠れはしない
ぃるぃ、るぃっ、りぃ、い、い、
きみは。いま
あーあーあぶぃんっ
しかも、…ね?
んーぶへっ
ぼくは。いま
あぃ、ぅるぁっ、りぃっ、い。い、い、い、
だから≪流沙≫も
おぁっ…ぃあっ、あっ
…まばたいた
醒めきった混乱
どうして?
少年たちは
失神しっ…
色ら。そこで
なぜ?
夜に住む
なぜ?
冴えた渾沌
しぃっ…
夜に。夜
どうして?
あまりにも静かで
厖大につつんで
どうして?
冴えた空気に
窒息。もう、息さえ…なんだ
昏い、昏み、昏む色彩
なぜ?
きわだってただけ
なぜ?
色たち。…夜の
窒息。もう、息さえ…なんだ
なにも慰めはない
どうして?
例えばそれは
干からびかけて
どうして?
なにも
痙攣さえしちゃいそうなんだ
それら乾き、乾ききり
なぜ?
しかも、…ね?
なぜ?
匂い。…土の
痙攣さえしちゃいそうなんだ
だから楓も
どうして?
例えばそれは
山の頂きの
どうして?
少年たちは
いきなり、のけぞりそうなんだ
それら、無数の
なぜ?
夜に住む
なぜ?
葉たちの
いきなり、のけぞりそうなんだ
夜に。夜
どうして?
それら、無数の
ひびき。…枝たちの
どうして?
さまざまな色たち
のたうちまわりそうなんだ
例えばそれは
なぜ?
浮かび上がるだけ
なぜ?
…なに?それ
のたうちまわりそうなんだ
なにも隠せない
どうして?
そこにあったのは
くちびるに、それら
どうして?
なにも
吐きそうなんだ
ひびき。ささやき
なぜ?
しかも、…ね?
なぜ?
そこには、なかった
吐きそうなんだ
だからわたしも
どうして?
なかった。それら
その色ら。明け方の
どうして?
少年たちは
わめきちらしそうなんだ
裂け、撒かれ、散り
なぜ?
夜に住む
なぜ?
滅び。…紅蓮に
わめきちらしそうなんだ
夜に。夜
どうして?
例えばそれは
匂い。…雨の
どうして?
光りたち
叫びそうなんだ
例えばそれは
なぜ?
ひたすらやさしく
なぜ?
青み。…空の
叫びそうなんだ
息吹きあい
どうして?
例えばそれは
ひびき。…波の
どうして?
息づきあって
泣きそうなんだ
例えばそれは
なぜ?
ひたすらやさしく
なぜ?
…なに?それ
泣きそうなんだ
光りたち
どうして?
そこには、なかった
なにも、もはやクィン?フィン?かの女と話すべきことなどなにも、もうわずかにさえも殘ってさえいない、と。そんな気がした。かの女が日本で、「日本は、きれいだし安全だしだけど、ときどき、あぶないよ」そうつぶやいたクィン?フィン?かの女。そのそんな言葉の意味。その根拠。その必然。それらさえももう知っていた。ひたいにふれてやった。あるいはそれさえもリハビリ?クィン?フィン?かの女にとっては、本人のいわく、レッスンなのかも知れなかった。男のゆびさきにふれられて恐怖と嫌惡を感じないでいるための。クィン?フィン?かの女はかさねあわせれた肌にそれ以上をはまだ、求めない。ゆびさき。ひたいをふれて、明確な目的などないままに、だからふれた須臾にはすでに行き場所にまどうしかなかったゆびさきの、そのうごきをクィン?フィン?かの女がその皮膚にさぐっていることは知れた。かならずしも不安もあるわけでなく、かならずしもおそれなどあるわけでなく、あるいはたしかに愛着?そのゆび?…なに?ゆびさき。もはやおさまりの惡さをしかそこにさらさないその下に、思わずわたしはほほ笑んで見せた。せめても事態を改善させるために?ただ、思いあぐねて?
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