流波 rūpa ……詩と小説123・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈30
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
あるいは、
夢の廃墟に
おわらない夢
おわるすべのない
おわるべくもない
夢の廃墟に
おわらない聲
おわるすべのない
おわるべくもない
聲の廃墟に
おわらない夢
おわるすべのない
おわるべくもない
夢の廃墟に
おわらない聲
おわるすべのない
おわるべくも、だからわからない。知らない。もはや何度…何度?…何度くりかえし回想したものか。わからない。知れない。なぜ何度も…何度?…何度くりかえし回想したものか。それはしかし、曖昧な?…まさか。鈍色の?…まさか絵理子。…と、その名。かならずしも鮮明とは言えない絵理子。と、その名。そうここに仮りに
鐵。突き出した
見えるよ。ほら
名づけておく
ブルーの鐵。それは
空の遠い、とおい
色彩。それは
塗られたペンキ
果ても。この
明確に笑み、ほほ
すこし剝げてて
てっぺんからなら
笑み、少女。そのほほ笑み。記憶。その故に、実際にはその実体など、…実体?なぜそんなものが必要だろう?ないし色彩。実際にはそのあきらかな色彩など、…色彩?なぜそんなものが映像。だからあきらかな映像としてはすでに映像。いちども、如何にしても映像などなにも存在しなかった記憶。なに?その記憶は、なら、なに?記憶とは。映像として喚起するデータの如きものなのだろうか?網膜もないどこかに。しかも射しこむ光りさえもなく。絵理子。そのくちびるは、だから、なんと?その喉は、だからささやいた。接近していた。ふいにわたしに近づけた唇。額。わたしの、そのやや上のほう。それでもそれなりの
來いよ
莫迦。…ね?
隔り。なぜ?せめてもの
來れる?
こわくないじゃん
慎み、と?わずか
ひとりで來れる?
だいじょうぶじゃん
とはいえ
樂しいぜ
きれいだぜ
年長者。…だった、わたし。そのかれへの礼儀とか?…だからなんと?その時に。なんと?そのくちびる。彼女のつぶやき。それは、または、あるいは普通に話しかけていたのだろう。もしくは叫んでいたのだろう。もしくはただほんとうに沈黙していたのだろう。もはや記憶されない音聲。なに?わたしはふいに正気づく。いま、知っている。それは、だから≪流沙≫。おさななじみの≪流沙≫。まだ≪流沙≫という言葉。そのひびきさえ知るべくもなかった≪流沙≫。かれが妹たち。さらには弟たち。かの女たちとかれらをあやしてやりつつふれあうために。わたしとも。だからふれあうために。わたしとこそ、やさしい噓をついたように?そうやって連れ出した。でたらめな
鳥たちが
ここは、どこ?
夢を語るように?放課後。そこは
いちばん低い
ここも空?
校庭。その…墜落。つい
低い空を飛んだときに
空はどこ?
小学校。ジャングル
見ていたはずの、そんな
どこから、空
ジム。墜落。つい何歳?
風景。ほら、風
きみは、どこ?
…十二歳?…だれ?
吹いた
そこも、空?
…十一歳?墜落。つい放課後の帰校。ついわからない。その契機。墜落の。それはわからない。もう、飛んでいたから。…どこに?その直前の記憶など。墜落に到るまでの流れは、…なに?十一歳のわたし。落ちた。…だれ?墜ちて、ひとり…なぜ?うしろむきに。だから落ち、墜ちて墮ち、…なぜ?落ちたのだった。…だれ?遠ざかる空。そのとおく、遠く、とおく、…ね?色。晴れていたかも。曇っていたかも。雨だったかも。もはや、しかも猶も、遠ざかる
墮ちる
るぉおお…って
空。その
墜ちる
なに?
とおく、遠く、
遠ざかる。ほら
ずぉおお…って
とおく、…ね?
あれが空だよ
風の音?
記憶。なかったはずだ。そんな
ぼく、いま、足に
びぉおお…って
記憶など。なにも、
つま先に蹴るよ
ぼくが、風
飛んじゃってたから。もう、飛ばしちゃったから。だから直前の記憶、あるいは意識も。ふたたび目覚め、気付き、だからわれに返ったときには…はっと。もう飛ばして仕舞っていたもの。…ばっと。欠落。完全な、まさか。知っている、いま、欠落。完璧な、それは、そのときに絵理子。目覚め。かの女だけ。ただかの女のみがそこにいて、目覚め…なぜ?生きてるよ。≪流沙≫がわたしを見捨ててしまったかのように。…なぜ?いなかった。かれは。そこに。かれはいなかった。…なに?その意味はなに?…と、動かなくなったわたしを、…なぜ?たぶん白目を剝いて?それは失神。失神のわたし。失神の…なぜ?わたしに慌てた≪流沙≫。かれの、失踪。だれか大人の助けをもとめに走り去った疾走。四肢連動ばらばらの。だから失踪。あえぎ、あえぎ、あえぎ、孤独。結果した≪流沙≫その失踪の意味。孤立。≪流沙≫…だれ?
助けてください
味、すんだよねぇー
気づきさえ、…もっとも、
だれか
なに?…喉に
事実としてはそこ、
來てください
なんか、血の味
あお向けた土の
だれか
味、すんだよねぇー
グランドの土のうえに
いてください
なに?…眼玉のうらに
ようやく正気づいたその
どこかに、だれか
なんか、血の味
目は気づく余地さえも
そこにいてください
味、すんだよねぇー
なかった。≪流沙≫の不在になど。そこにかれがいた事実などもう、忘れられて飛び、飛んで忘れられ、忘れられて仕舞って飛んで、…なに?いたから。飛び去り、飛たしかに、すでに慥かな明晰な認識。わたしは…だれ?目を開いたそのだれ?だれ?だれ?虹彩に、そこになぜ?絵理子のいたことだけを目。のぞきこんだ目。なぜなぜなぜ?不安なの?目。なにがあなたを傷つけていたの?目。すべてあなたを傷つけるの?目。あなただけがそこで傷ついていたの?虹彩。綺羅。聞き取れない聲のむれを白濁。綺羅。投げつけるノイズ。容赦なきノイズ。そのまぶしくない?発生源。だから諸惡のまぶしすぎない?根源。…ね?眼。つぶれそう、眼おまえ、…ね?つぶれそぉまえだったんだ、ね?と、
「おまえのせいだったんだ。いま」
さわがしんだよ
あきらかなのは、その絵理子
「世界中がうるさいの。お前の」
さわっ、さ、さ、さっ、
その上半身が好き放題に、もう
「おまええひとりのせいだったんだ。もう」
クソうるせんだよ
泣きじゃくっていることだった。耳に
「ひびわれそうなくらいにうるさいの。お前の」
うるっ、るぁっ、るぁっ、
その泣き聲はかならずしも
「おまえひとりのせいだったんだ。いまも」
聞こえねぇから
聞こえていたわけではなくとも、絵理子。その
「鳴りやまない轟音だけが鳴り響くこと。ぜんぶ」
きぃっ、こきっ、きぃっ、
喉はわめき、わめきつづけた?その喉に
「惡いのはただ」
うるさすぎんだよ
たとえばわたし。わたしの…だれ?名。わた
「お前だけ」
るさっ、くさっ、くぁっ、
わたし呼んで、呼び、あくまで更に呼びつづけ、
「ただ、ひとり」
くそノイズィーじゃん
考えられない。なにも、もうその
「おまえだけ。おまえ」
くばっ、くばっ、るばっ、
反応のない、だからもうその
「ひとりだけだったんだ」と、それは聲。明瞭すぎるひびき。聲。頭のなかにだけ聴き取られ、それは聲。明瞭すぎるわたし自身の発していた聲。まじ?…知らない。本当に喉がそれらの言葉を吐いていたのかなど。ただ、涎れ。そのしめりを…乾きかけじゃん。まだすすりあげさえ…もう乾きかけじゃん。しない唇を、…なぜ?なぜかくちびるにけ、…なに?痙攣。舌さきに、痙攣。くちびるに、痙攣。喉にも、痙攣。喉のおくにも、だから痙攣されつづけていただけ。まだ、八歳?…九歳?…たしか。その絵理子。取り乱した絵理子。かの女はだから、それは≪流沙≫。かれが
ノイズ
せつないんだ
云った。母親が、
耳を滿たす、それは
ほら。その
さ。ささやき。さ。…ね?と、
ノイズ
むらさきの花
こいつとは、さ、と、かれは…さ。ささやき、云った。一緒なんだ…ね?と、さ。こいつとは、さ、と、ささやき。返り見たかれは…さ。いつかの耳もとに、この妹とは、と、ささやき。——他とは、さ。ぼくら、違うじゃない?…でしょ?さ。ぼくら、だから、…じゃない?でも、…さ。ね。と、…ね?「絵理とはぜんぶの血つながってるんだよね」なにを云っているの?…と、だれ?わたしはすでに何度もなぜ?繰り返し問いつめているのだと思っていた。つまり、詰問。わたしが。…だれ?その泣きじゃくる…なぜ?絵理子に。あなたは…だれに?さっきから、聲。その聞き取れない聲。聲。それになにを、
なにを叫んで
泣かないで
と、「あんまり、似てないでしょ?」と、
ね、ね、ね、そこで
だいじょうぶ
≪流沙≫が
なにをわめいて
きみは無傷で
絵理子と自分の
ね、ね、ね、そこで
だから、…ね?
顏を交互に
なに泣きじゃくって
泣かないで
指さしてわたしにささやいたのは、いつ?いつの…だれ?絵美子の…だれ?誕生日のときだったろう?いつ?わたしも呼ばれた。それはパーティ。≪流沙≫の姉。かの女のためのちいさなパーティ。だからささやかなホーム・パティ。…今年は、ぱ、ぱ、ぱ、お前が呼ばれたんだ。
「誕生日?」
「あれ、プレゼント欲しくていちいちやってるらしいよ。だって、あいつら」唇。わなな「金ぜんぜんねぇーじゃん」わななき、ふるえ、…さ。唇。ゆが「完璧、ねぇーじゃん」ゆがみ、息をはき、そ「まじ貧乏じゃん」それは絵理子。そのくちびる。色。その、…なに?色など。むしろ、…だれ?匂い。色彩もかたちも…なに?忘れられ、しかも猶もむしろわたし。それは
きみはいつでも
そのままでいて
慥かに記憶。なに?その
じょうずに笑う
きみはそのまま
口臭。おさ…だれ?
すてきだよ
きみでいて
おさない口臭。それをまさに鮮明に記憶させ落ちる。墜ちて、落ち、墮ち、墜ちてなぜ?落下直後の混濁。まどわされた…しかももうどうしようもなく明晰な。意識。その錯誤?だから鼻の至近に嗅いでいた花。花。花。錯誤したたとえば花の蜜の芳香。じゃ、あり得なかったものそれは…なに?だから、花。花汁。汁。散り、その口臭はあきらかに、飛び散り、散り、腐った花の撒き散り、散り、その群れら。さらに腐れるだけ腐らせた臭気。そういった…花。臭気。花はね、…疾患?
その花はいつ
内臓の?
しおれただろう?
絵理子に?
いつか見た花
まさか。儚さ。もろさ。そんなものらとは永遠に無緣の、むしろ褐色。その、しかも丸くなれるだけ丸くなった、巨体。その、太った少女。だから、健康的な。すくなくともその時の絵理子は、健常な、…だった。そうだった。だから病いなどまさか、謂く、
さすがだよね
よく似てたよね
≪流沙≫…あなたに
兄妹だからね
でも、違ってた
ぜんぜん、…ね?
そのほほ笑み。ふたつは
ぜんぜん、それらは、ね?だから
見つめてみよう
ね?その聲は無視して
いま、思い出すよ
ね、ね、いいよね?
あり得ないくらい
なぜ?ひたすらせつない
あなたの、それ
そのほほ笑みは
うたがわしいくらい
剝き出しの陽気
かの女の、それ
違った。だから、ほほ笑みは
区別など、もう
その聲。ほら
甲高く鳴った
その聲。ほら
似すぎてた
その聲。ほら
耳ざわりだった
その聲。ほら
でも、違ってた
ぜんぜん、…ね?
そのまなざし。ふたつは
ぜんぜん、それらは、ね?だから
見い出してみよう
ね?その気配は無視して
いま、思い描くよ
ね、ね、いいよね?
予告もない、不意
翳りのきざし
あなたの、それ
そのまなざしは
視野のなかに
いつも無防備
かの女の、それは
違った。だから、まなざしは
区別など、もう
その気配。ほら
うるんでた
その気配。ほら
微熱、あった?
その気配。ほら
なぜ?痛かった。目が
その気配。ほら
でも、違ってた
ぜんぜん、…ね?
そのくせ。ふたつは
ぜんぜん、それらは、ね?だから
あげつらってみよう
ね?たたずまいは無視して
いま、口に出すよ
ね、ね、いいよね?
鼻孔をひらき
鼻をすすり
あなたの、それ
話すまえ。その須臾のくせは
顎をつきだし
すこし、ねじり
かの女の、それ
違った。だから、そのくせは
区別など、もう
そのたたずまい。ほら
やさしいのだった
そのたたずまい。ほら
惡しきものなどあり得なかった
そのたたずまい。ほら
すべてはすてきであるはずだった
そのたたずまい。ほら
逆光の中に
あそぶ翳り。ゆらぎを見ていた
わたしはそこに
やさしい笑みに
あえて聲など
わたしは聲など
かけずに、そっと
聲など、なにも
やさしい笑みに
わたしはそこに
あそぶ翳り。ゆらぎを見ていた
逆光の中に
そのたたずまい。ほら
すべてはすてきであるはずだった
そのたたずまい。ほら
惡しきものなどあり得なかった
そのたたずまい。ほら
やさしいのだった
そのたたずまい。ほら
区別など、もう
違った。だから、そのくせは
かの女の、それ
すこし、ねじり
顎をつきだし
話すまえ。その須臾のくせは
あなたの、それ
鼻をすすり
鼻孔をひらき
ね、ね、いいよね?
いま、口に出すよ
ね?たたずまいは無視して
あげつらってみよう
ぜんぜん、それらは、ね?だから
そのくせ。ふたつは
ぜんぜん、…ね?
でも、違ってた
その気配。ほら
なぜ?痛かった。目が
その気配。ほら
微熱、あった?
その気配。ほら
うるんでいた
その気配。ほら
区別など、もう
違った。だから、まなざしは
かの女の、それは
いつも無防備
視界になかに
そのまなざしは
あなたの、それは
翳りのきざし
予告もない、不意
ね、ね、いいよね?
いま、思い描くよ
ね?その気配は無視して
見い出してみよう
ぜんぜん、それらは、ね?だから
そのまなざし。ふたつは
ぜんぜん、…ね?
でも、違ってた
その聲。ほら
耳ざわりだった
その聲。ほら
似すぎてた
その聲。ほら
甲高く鳴った
その聲。ほら
区別など、もう
違った。だから、ほほ笑みは
かの女の、それ
剝き出しの陽気
いたがわしいくらい
そのほほ笑みは
あなたの、それ
なぜ?ひたすらせつない
あり得ないくらい
ね、ね、いいよね?
いま、思い出すよ
ね?聲は無視して
見つめてみよう
ぜんぜん、それらは、ね?だから
そのほほ笑み。ふたつは
ぜんぜん、…ね?
でも、違ってた
兄妹だからね
≪流沙≫…あなたに
よく似てたよね
さすがだよね
すなわちその島。そのときにわたし、あるいは≪流沙≫。かれ、いまだ≪流沙≫であり得る未來の今ここに於ける不在にさえも気づけなったその≪流沙≫。あるいは妹。≪流沙≫の。たしかにかれの。≪流沙≫の、だからわたしたち、それらがかつて存在していたその島。そこに色どりを与えよう、むしろ、けばけばいいほどの極彩色。そして暴力的なひびき。そこは神社の島だから。そして蘭陵王の島だから。笛、笙、篳篥、その他。赤、朱、黄色、青、その他。しかも、にぶい色。なに色とさえなづけられない地味な色をかさねよう。それは海。その波。飛沫。それは砂。綺羅めき、翳り、夜に沈み、それは樹木。その葉、その幹、その枝。それは土。やわらかな、そして硬直した、しかも磐。おおきな、ちいさな、それらもはや無窮にも想えたあまりにもにぶい、地味な色彩。それら、氾濫、かさねて謂く、
さすがだよね
あやうさ
見て。それは
こわれやすい?
よく似てたよね
なぜか、そこに
風景。あくまで
なぜか、そこに
≪流沙≫…あなたに
こわれやすい?
惡意などない
あやうさ
兄妹だからね
でも、違ってた
やさしすぎて?
わずかにさえも
なぜ?
ぜんぜん、…ね?
しあわせすぎて?
兆しさえも
しあわせすぎて?
そのほほ笑み。ふたつは
なぜ?
その破片さえも
やさしすぎて?
ぜんぜん、それらは、ね?だから
見つめてみよう
あやうさ
見て。それは
傷みやすい?
ね?その聲は無視して
なぜか、そこに
風景。あくまで
なぜか、そこに
いま、思い出すよ
傷みやすい?
不安などない
あやうさ
ね、ね、いいよね?
あり得ないくらい
あかるすぎて?
わずかにさえも
なぜ?
なぜ?ひたすらせつない
あたりまえすぎて?
兆しさえも
あたりまえすぎて?
あなたの、それ
なぜ?
その破片さえも
あかるすぎて?
そのほほ笑みは
うたがわしいくらい
あやうさ
見て。それは
いつわりにすぎない?
剝き出しの陽気
なぜか、そこに
風景。あくまで
なぜか、そこに
かの女の、それ
いつわりにすぎない?
疑いなどない
あやうさ
違った。だから、ほほ笑みは
区別など、もう
あざやかすぎて?
わずかにさえも
なぜ?
その聲。ほら
赤裸々すぎて?
兆しさえも
赤裸々すぎて?
甲高く鳴った
なぜ?
その破片さえも
あざやかすぎて?
その聲。ほら
似すぎてた
なかった、なにも
よろこびしかない
きれいになかった
その聲。ほら
うたがいなどなにも
なぜ?
うたがいなどなにも
耳ざわりだった
きれいになかった
よろこび。ただ
なかった、なにも
その聲。ほら
でも、違ってた
直面された危機など
事実、よろこび
隠された危機など
ぜんぜん、…ね?
なにも
よろこびという事実さえ
なにも
そのまなざし。ふたつは
隠された危機など
気付かれなかった
直面された危機など
ぜんぜん、それらは、ね?だから
見い出してみよう
なにも
そんな、よろこび
なにも
ね?その気配は無視して
兆していた危機など
ただのよろこび
兆していた危機など
いま、思い描くよ
なにも
赤裸々なそれら
なにも
ね、ね、いいよね?
予告もない、不意
気付きもしなかった危機など
いとしさしかない
あえてシカトした危機など
翳りのきざし
なにも
なぜ?
なにも
あなたの、それ
あえてシカトした危機など
いとしさ。ただ
気付きもしなかった危機など
そのまなざしは
視野のなかに
あやうさなど
事実、いとしみ
存在しないから
いつも無防備
見い出されはしなかった
いとしいという事実さえ
見い出されはしなかった
かの女の、それは
存在しないから
気付かれなかった
あやうさなど
違った。だから、まなざしは
区別など、もう
あやうさなど
そんな、いとしさ
存在しないから
その気配。ほら
見い出され得はしなかった
ただのいとしさ
見い出され得はしなかった
うるんでた
存在しないから
赤裸々なそれら
あやうさなど
その気配。ほら
微熱、あった?
あやうさなど
しあわせでしかない
存在しないから
その気配。ほら
見い出さるすべもなかった
なぜ?
見い出さるすべもなかった
なぜ?痛かった。目が
存在しないから
しあわせ。ただ
あやうさなど
その気配。ほら
でも、違ってた
だから、ね?
事実、しあわせで
四面は、海
ぜんぜん、…ね?
そこは、海辺の土地
しあわせという事実さえ
そこは、海辺の土地
そのくせ。ふたつは
四面は、海
気付かれなかった
だから、ね?
ぜんぜん、それらは、ね?だから
あげつらってみよう
だから、ね?
そんな、しあわせ
四面に、波立ち
ね?たたずまいは無視して
たぶん、猫なら、ね?…聞く
ただのしあわせ
たぶん、猫なら、ね?…聞く
いま、口に出すよ
四面に、波立ち
赤裸々なそれてかさ
だから、ね?
ね、ね、いいよね?
鼻孔をひらき
その敏感な耳に
なんかさマジさ
波のおとたち
鼻をすすり
ざ、さ、さ、さ…と?
知らなくね?まじ
ざ、さ、さ、さ…と?
あなたの、それ
波のおとたち
しあわせの定義
その敏感な耳に
話すまえ。その須臾のくせは
顎をつきだし
そのすぐれた耳に
垂れたよ。鼻水
波のおとたち
すこし、ねじり
ろ、る、る、る…と?
わたしたちはまだ
ろ、る、る、る…と?
かの女の、それ
波のおとたち
散ったよ。涎れ
そのすぐれた耳に
違った。だから、そのくせは
区別など、もう
背後にひびき
体液くさっ
背後の神社に
そのたたずまい。ほら
蘭陵王の
なに?
蘭陵王の
やさしいのだった
背後の神社に
おまえ、くさっ
背後にひびき
そのたたずまい。ほら
惡しきものなどあり得なかった
笛、笙、篳篥
知らないわけじゃん。だれも
離れたそこに
そのたたずまい。ほら
蘭陵王の
しあわせというその
蘭陵王の
すべてはすてきであるはずだった
離れたそこに
正確な定義を
笛、笙、篳篥
そのたたずまい。ほら
逆光の中に
海辺の磐に
その厳密な定義を
見て。それは
あそぶ翳り。ゆらぎを見ていた
その重ねられた隙き間
ゆらっ。…て、さ
その重ねられた隙き間
わたしはそこに
見て。それ。それらは
クソはかないくらいに
海辺の磐に
やさしい笑みに
あえて聲など
自生した草
花はふるえた。ゆびさきの至近
うすむらさきの、あざやかな色に
わたしは聲など
その草の花
咬みつくように
その草の花
かけずに、そっと
うすむらさきの、あざやかな色に
花はふるえた。ゆびさきの至近
自生した草
聲など、なにも
やさしい笑みに
しかも、はかなく
クソはかないくらいに
あまりにも、もろく
わたしはそこに
ちぎらないで…ちぎっ
ゆらっ。…て、さ
ちぎらないで…ちぎっ
あそぶ翳り。ゆらぎを見ていた
あまりにも、もろく
その厳密な定義を
しかも、はかなく
逆光の中に
そのたたずまい。ほら
うすむらさきの、あざやかな色に
正確な定義を
自生した草
すべてはすてきであるはずだった
その草の花
しあわせというその
その草の花
そのたたずまい。ほら
自生した草
知らないわけじゃん。だれも
うすむらさきの、あざやかな色に
惡しきものなどあり得なかった
そのたたずまい。ほら
見て。それ。それらは
おまえ、くさっ
海辺の磐に
やさしいのだった
その重ねられた隙き間
なに?
その重ねられた隙き間
そのたたずまい。ほら
海辺の磐に
体液くさっ
見て。空は青
区別など、もう
違った。だから、そのくせは
離れたそこに
しあわせの定義
笛、笙、篳篥
かの女の、それ
蘭陵王の
知らなくね?まじ
蘭陵王の
すこし、ねじり
笛、笙、篳篥
なんかさマジさ
霞む、青
顎をつきだし
話すまえ。その須臾のくせは
背後の神社に
赤裸々なそれてかさ
背後にひびき
あなたの、それ
蘭陵王の
ただのしあわせ
蘭陵王の
鼻をすすり
背後にひびき
そんな、しあわせ
背後の神社に
鼻孔をひらき
ね、ね、いいよね?
波のおとたち
気付かれなかった
そのすぐれた耳に
いま、口に出すよ
ろ、る、る、る…と?
しあわせという事実さえ
ろ、る、る、る…と?
ね?たたずまいは無視して
そのすぐれた耳に
事実、しあわせで
波のおとたち
あげつらってみよう
ぜんぜん、それらは、ね?だから
波のおとたち
しあわせ。ただ
その敏感な耳に
そのくせ。ふたつは
ざ、さ、さ、さ…と?
なぜ?
ざ、さ、さ、さ…と?
ぜんぜん、…ね?
その敏感な耳に
しあわせでしかない
波ら、おとなし
でも、違ってた
その気配。ほら
四面に、波立ち
赤裸々なそれら
だから、ね?
なぜ?痛かった。目が
たぶん、猫なら、ね?…聞く
ただのいとしさ
たぶん、猫なら、ね?…聞く
その気配。ほら
だから、ね?
そんな、いとしさ
四面に、波立ち
微熱、あった?
その気配。ほら
四面は、海
気付かれなかった
だから、ね?
うるんでいた
そこは、海辺の土地
いとしいという事実さえ
そこは、海辺の土地
その気配。ほら
だから、ね?
事実、いとしみ
四面は、海
区別など、もう
違った。だから、まなざしは
存在しないから
いとしさ。ただ
宇宙を海と、名づけてみようか?
かの女の、それは
見い出さるすべもなかった
なぜ?
永遠の海、と
いつも無防備
あやうさなど
ひたすらな波ら
いとしさしかない
視界になかに
そのまなざしは
存在しないから
赤裸々なそれら
粒子を海と、名づけてみない?
あなたの、それは
見い出され得はしなかった
ただのよろこび
永遠の海、と
翳りのきざし
あやうさなど
そんな、よろこび
ひたすらな波立ち
予告もない、不意
ね、ね、いいよね?
存在しないから
気付かれなかった
すべての事象を、あえて海と?
いま、思い描くよ
見い出されはしなかった
よろこびという事実さえ
永遠の海、と
ね?その気配は無視して
あやうさなど
事実、よろこび
赤裸々な波たち
見い出してみよう
ぜんぜん、それらは、ね?だから
あえてシカトした危機など
よろこび。ただ
波ら、波なし、波なしつづけ
そのまなざし。ふたつは
なにも
なぜ?
飛沫。もう
ぜんぜん、…ね?
気付きもしなかった危機など
よろこびしかない
際限もない
でも、違ってた
その聲。ほら
なにも
その破片さえも
なにかも
耳ざわりだった
兆していた危機など
兆しさえも
そこに兆した危機さえも
その聲。ほら
なにも
わずかにさえも
なにかも
似すぎてた
その聲。ほら
隠された危機など
疑いなどない
直面された危機など
甲高く鳴った
なにも
風景。あくまで
なにも
その聲。ほら
直面された危機など
見て。それは
隠された危機など
区別など、もう
違った。だから、ほほ笑みは
きれいになかった
その破片さえも
なかった、なにも
かの女の、それ
うたがいなどなにも
兆しさえも
うたがいなどなにも
剝き出しの陽気
なかった、なにも
わずかにさえも
きれいになかった
いたがわしいくらい
そのほほ笑みは
なぜ?
不安などない
あざやかすぎて?
あなたの、それ
赤裸々すぎて?
風景。あくまで
赤裸々すぎて?
なぜ?ひたすらせつない
あざやかすぎて?
見て。それは
なぜ?
あり得ないくらい
ね、ね、いいよね?
いつわりにすぎない?
その破片さえも
あやうさ
いま、思い出すよ
なぜか、そこに
兆しさえも
なぜか、そこに
ね?聲は無視して
あやうさ
わずかにさえも
いつわりにすぎない?
見つめてみよう
ぜんぜん、それらは、ね?だから
なぜ?
惡意などない
あかるすぎて?
そのほほ笑み。ふたつは
あたりまえすぎて?
風景。あくまで
あたりまえすぎて?
ぜんぜん、…ね?
あかるすぎて?
見て。それは
なぜ?
でも、違ってた
兄妹だからね
傷みやすい?
うすむらさきの可憐な、けなげな草の花
あやうさ
≪流沙≫…あなたに
なぜか、そこに
ゆらっ。咬みつきそうに
なぜか、そこに
よく似てたよね
あやうさ
うすむらさきの可憐な、けなげな草の花
傷みやすい?
さすがだよね
と、「もっと、日本語、じょうずになりたい」そう、クィン?フィン?かの女がささやく。かの女だけに無視されつづけた沙羅。そのあくまでも寄り添うようなかたわらに。「なんで?」
「雅雪さんと、もっと、たくさん、話せるよ」
「もう、じゅうぶん、」
「まだだよ」
「…話せて、もう」
「もっと、だよ」
「いっぱい、もう、」
「…よ。もっと」と、「っと、だよ」そしてふいに、そのクィン?フィン?かの女がひとり吹き出して笑って仕舞うのをわたしは見ていた。だから、クィン?フィン?かの女がうえに乘って、そのからだのうえにゆらぐ肉体。翳り、綺羅と、そして擦られたに似た白濁。「なんで?」ささやくわたしの聲にさえも気づかずに、
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