流波 rūpa ……詩と小説115・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈22





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





あるいは、

   あまりにも貧しい

   貧しい部屋。そこは

   あまりにも貧しい

   貧しい家屋だから


   あまりにも貧しい

   貧しい風景。それは

   あまりにもすさんだ

   すさんだ家族だから


   その妹の死。無慚な

   悲惨な、詩のような死

   かれはいまだに傷み

   傷み、傷みつづけ


   その妹の死。理不盡な

   その喪失。まえぶれもない死

   かれはいまだに理解

   理解などできずとまどうばかりだったのだからね?…ね、ね、「いま、…ね?」と、そうささやいて、それは楓。うつくしい人。だれの目にもうつくしいひと。だから慥かにそのときも赤裸々にうつく「想像してみて」と。いつ?それはたぶん十四歳の?…十五歳の?…そんな、…なぜ?もうすでにだから、楓は…なに?もてあましていたに違いなかった。その…だれ?あきらかな女性。肉体。かれのそのかたちは「いま、…ね?」女性。あらわれは女性。あらわにも、匂いさえ。ただの、そしておとなたち。それら「そこで、…」やや好奇にかたむくまなざしには少女。「ね?おれに、…」成熟していた。すくなくともわた「…さ。なにも、ゆびさきさえ」そのわたし。ややほそめられたわたしの「ふれないままで、そこで」眼。目。眼にはもうどうしようもなくだから容赦な「想像していて。…おれと、」成熟。まよいなき「お前が、…さ。ここで」成熟。「…さ、」熟れきった「エッチで、もう、どうしようもなく」成熟。ひとりの「エッチで、しかも、すっげぇ」女。「エッチなことしてんの」…と、そしてそれは「想像してみて。で、そこで」ささやき。「オナニーしてみてよ」

「莫迦?」ひびきあう、わたしたちの笑い聲は、「お前、莫迦なの?」耳にふれたさきから消え失せて、しかも、耳に引っ搔いたに似た殘響。ひびき。殘響、謂く、

   その肌に翳り。翳り

   だから、心にも?

   翳り。火照り、翳り

   さらした肌に


   剝き出しの肌に

   白いその肌に

   さらに、ことさらに

   さらにだに光り


   白濁。その色彩に翳り

   だから、そこ。滲むようにも?

   翳り。あえぎ、翳り

   ひらかれた喉に


   擬態したあえぎ

   ふれあわないままに

   いたぶらないままに

   そこにだに光り


   白濁。その翳りに色彩

   だから、そこ。澱むようにも?

   翳り。ひろげられた、翳り

   そこ、飛び散った色彩


   匂う?…すこし、舌に

   くせのある匂い

   恥ずかしい匂い

   指先にふれて


   なにも、すこしもふれあわないまま

   それら、たわむれあうまま

   笑いあうだけ。その息は

   乱れ、あれて、さわいで


   あなたは傷み。もう

   いないんだよ。もう

   失われて、もう

   どこにも、…ね?


   その目の前で

   いたぶったわたしは

   喉に、味

   沸騰した血の


   知っている。その

   頽廃。あなたは荒廃。その

   理由。傷み。その

   傷みに噎せて


   その目の前で

   いたぶったわたしは

   喉に、味

   ささくれた血の


   もがくんでしょ?…そこ

   あなたがもがき、ひとりで、そこ

   もがくんでしょ?…もう

   なすすべもなく


   なぜ?なにもかも悲惨

   悲惨なの?だからあざわらう

   苛酷なの?だからせせらわらう

   なぜ?なにもかも苛酷


   なすすべもなく

   もがくんでしょ?…もう

   あなたがもがき、ひとりで、そこ

   もがくんでしょ?…そこ


   ささくれた血の

   喉に、味

   いたぶったわたしは

   その目の前で


   傷みに噎せて

   理由。傷み。その

   頽廃。あなたは、荒廃。その

   理由ならもう、知っている。その


   沸騰した血の

   喉に、味

   いたぶったわたしは

   その目の前で


   どこにも、…ね?

   失われて、もう

   いないんだよ。もう

   あなたは傷み。もう


   乱れ、荒れて、乱れさわいで

   笑いあうだけ。その息は

   それら、たわむれあうまま

   なにも、すこしもふれあわないまま


   指先にふれて

   恥ずかしい匂い

   くせのある匂い

   匂う?…すこし、舌に


   そこ、飛び散った色彩

   翳り。ひろげられた、翳り

   だから、そこ。澱むようにも?

   白濁。その翳りに色彩


   そこにだに光り

   いたぶらないままに

   ふれあわないままに

   擬態したあえぎ


   ひらかれた喉に

   翳り。あえぎ、翳り

   だから、そこ。滲むようにも?

   白濁。その色彩に翳り


   さらにだに光り

   さらに、ことさらに

   白いその肌に

   剝き出しの肌に


   さらした肌に

   翳り。火照り、翳り

   だから、心にも?

   その肌に翳り。翳り

すなわちそれはいつでも昏い孔にすぎない。かれ、楓。その、あの、だからかの女。かれに妹と呼ばれ、事実…名前は?そうだったにちがいない…どんな?ひと。だから…だれ?その少女の顏も。頸も。腕も。足も。なにも。もう

   なぜ?そんな

      たわむれ。ただ

すがたなど。忘れ、ぜんぶ、わすいつでも

   淫らに、足を

      邪気もなく、ふたり

孔。だからわす昏い孔にすぎない。かれ、

   あえて、ことさらに

      わたしたちは

楓。その、か忘れて?

   なぜ?そんな

      邪気もなく、ふたり

かの女。妹と呼ばれ、もはや

   みだらに、足を

      たわむれ。ただ

わたしには実在さえも疑われながら、なぜ?見た記憶などなにもないから。いたっけ?そんなの。だから、それはいつでも昏い孔にすぎない。かれ、楓。その、かの女。妹と呼ばれ、事実そうだったにちがいない昏い孔。孔、かさねて謂く、

   その肌に翳り。翳り

      ほら、ね?

    傷み。ただ、もう

     大きな聲、だしてごらんよ

   だから、心にも?

      ほうら、ほっ

    傷み。それだけ

     ほうら、ほっ

   翳り。火照り、翳り

      大きな聲、だしてごらんよ

    おしつぶす

     ほら、ね?

   さらした肌に


   剝き出しの肌に

      ほら、ね?

    指に。ゆびさきに、もう

     大きな叫び、だしてごらんよ

   白いその肌に

      ほうら、ほっ

    眼窩に押し込み、そこにだけ

     ほうら、ほっ

   さらに、ことさらに

      大きな叫び、だしてごらんよ

    傷み。それは

     ほら、ね?

   さらにだに光り


   白濁。その色彩に翳り

      ほら、ね?

    しかも

     大きな悲鳴、だしてごらんよ

   だから、そこ。滲むようにも?

      ほうら、ほっ

    燃え上がるように

     ほうら、ほっ

   翳り。あえぎ、翳り

      大きな悲鳴、だしてごらんよ

    そのとき、…ね?

     ほら、ね?

   ひらかれた喉に


   擬態したあえぎ

      ほら、ね?

    そのくちびるは

     大きな瞳孔、ひろげてごらんよ

   ふれあわないままに

      ほうら、ほっ

    ひらかれていた

     ほうら、ほっ

   いたぶらないままに

      大きな瞳孔、ひろげてごらんよ

    その昏い

     ほら、ね?

   そこにだに光り


   白濁。その翳りに色彩

      見てごらん

    翳りのなかに

     痙攣してみて

   だから、そこ。澱むようにも?

      のけぞってごらん

    白いのは、歯

     のけぞってごらん

   翳り。ひろげられた、翳り

      痙攣してみて

    その昏い

     見てごらん

   そこ、飛び散った色彩


   匂う?…すこし、舌に

      だしてごらん

    聲もなく

     ぐちゃぐちゃに

   くせのある匂い

      びちゃびちゃに

    悲鳴さえ

     びちゃびちゃに

   恥ずかしい匂い

      ぐちゃぐちゃに

    叫びもなく

     だしてごらん

   指先にふれて


   なにも、すこしもふれあわないまま

      匂わせてごらん

    いたたまれないあなたは

     のたうちまわって

   それら、たわむれあうまま

      わなないてみて

    破滅をだけ。そして

     わなないてみて

   笑いあうだけ。その息は

      のたうちまわって

    破壊をだけ。しかも

     匂わせてごらん

   乱れ、あれて、さわいで


   あなたは傷み。もう

      そしてもう

    聲もなく

     死んじゃってごらん

   いないんだよ。もう

      失神して、ね?

    悲鳴さえ

     失神して、ね?

   失われて、もう

      死んじゃってごらん

    叫びもなく

     そしてもう

   どこにも、…ね?


   その目の前で

      傷み?

    その目。なにを、なにを見ているのか

     快感?

   いたぶったわたしは

      わからない。もう、それらの区別

    わからないから。そして

     わからない。もう、それらの区別

   喉に、味

      快感?

    わかりたくないから。しかも

     傷み?

   沸騰した血の


   知っている。その

      絶望?

    聲もなく

     歓喜?

   頽廃。あなたは荒廃。その

      わからない。もう、それらの区別

    悲鳴さえ

     わからない。もう、それらの区別

   理由。傷み。その

      歓喜?

    叫びもなく

     絶望?

   傷みに噎せて


   その目の前で

      魔物が目醒めて

    なにを?…かかえて

     きみの口蓋。息吹きを忘れ

   いたぶったわたしは

      咬みちぎった、…ね?

    腕に抱いて

     咬みちぎった、…ね?

   喉に、味

      きみの口蓋。息吹きを忘れ

    なにをそこに

     魔物が目醒めて

   ささくれた血の


   もがくんでしょ?…そこ

      あけひろげた孔に

    ささやいたの?その耳

     魔物が目醒めて

   あなたがもがき、ひとりで、そこ

      咬みちぎった、…ね?

    滅びた耳に。そこになにを

     咬みちぎった、…ね?

   もがくんでしょ?…もう

      魔物が目醒めて

    その滅びた口に。あなたは

     あけひろげた孔に

   なすすべもなく


   なぜ?なにもかも悲惨

      魔物が目醒めて

    その滅びた口に。あなたは

     ひろがりきった肛門に

   悲惨なの?だからあざわらう

      咬みちぎった、…ね?

    滅びた耳に。そこになにを

     咬みちぎった、…ね?

   苛酷なの?だからせせらわらう

      ひろがりきった肛門に

    ささやいたの?その耳

     魔物が目醒めて

   なぜ?なにもかも苛酷


   なすすべもなく

      きみの鼻孔。息吹きを忘れ

    なにをそこに

     魔物が目醒めて

   もがくんでしょ?…もう

      咬みちぎった、…ね?

    腕に抱いて

     咬みちぎった、…ね?

   あなたがもがき、ひとりで、そこ

      魔物が目醒めて

    なにを?…かかえて

     きみの鼻孔。息吹きを忘れ

   もがくんでしょ?…そこ


   ささくれた血の

      歓喜?

    叫びもなく

     絶望?

   喉に、味

      わからない。もう、それらの区別

    悲鳴さえ

     わからない。もう、それらの区別

   いたぶったわたしは

      絶望?

    聲もなく

     歓喜?

   その目の前で


   傷みに噎せて

      快感?

    わかりたくないから。しかも

     傷み?

   理由。傷み。その

      わからない。もう、それらの区別

    わからないから。そして

     わからない。もう、それらの区別

   頽廃。あなたは、荒廃。その

      傷み?

    その目。なにを、なにを見ているのか

     快感?

   理由ならもう、知っている。その


   沸騰した血の

      死んじゃってごらん

    叫びもなく

     そしてもう

   喉に、味

      失神して、ね?

    悲鳴さえ

     失神して、ね?

   いたぶったわたしは

      そしてもう

    聲もなく

     死んじゃってごらん

   その目の前で


   どこにも、…ね?

      のたうちまわって

    破壊をだけ。しかも

     匂わせてごらん

   失われて、もう

      わなないてみて

    破滅をだけ。そして

     わなないてみて

   いないんだよ。もう

      匂わせてごらん

    いたたまれないあなたは

     のたうちまわって

   あなたは傷み。もう


   乱れ、荒れて、乱れさわいで

      ぐちゃぐちゃに

    叫びもなく

     だしてごらん

   笑いあうだけ。その息は

      びちゃびちゃに

    悲鳴さえ

     びちゃびちゃに

   それら、たわむれあうまま

      だしてごらん

    聲もなく

     ぐちゃぐちゃに

   なにも、すこしもふれあわないまま


   指先にふれて

      痙攣してみて

    その昏い

     見てごらん

   恥ずかしい匂い

      のけぞってごらん

    ひらかれていた

     のけぞってごらん

   くせのある匂い

      見てごらん

    そのくちびるは

     痙攣してみて

   匂う?…すこし、舌に


   そこ、飛び散った色彩

      大きな瞳孔、ひろげてごらんよ

    そのとき、…ね?

     ほら、ね?

   翳り。ひろげられた、翳り

      ほうら、ほっ

    燃え上がるように

     ほうら、ほっ

   だから、そこ。澱むようにも?

      ほら、ね?

    しかも

     大きな瞳孔、ひろげてごらんよ

   白濁。その翳りに色彩


   そこにだに光り

      大きな悲鳴、だしてごらんよ

    傷み。それは

     ほら、ね?

   いたぶらないままに

      ほうら、ほっ

    眼窩に押し込み、そこにだけ

     ほうら、ほっ

   ふれあわないままに

      ほら、ね?

    指に。ゆびさきに、もう

     大きな悲鳴、だしてごらんよ

   擬態したあえぎ


   ひらかれた喉に

      大きな叫び、だしてごらんよ

    おしつぶす

     ほら、ね?

   翳り。あえぎ、翳り

      ほうら、ほっ

    傷み。それだけ

     ほうら、ほっ

   だから、そこ。滲むようにも?

      ほら、ね?

    傷み。ただ、もう

     大きな叫び、だしてごらんよ

   白濁。その色彩に翳り


   さらにだに光り

      大きな聲、だしてごらんよ

    魔物が目醒めて

     ほら、ね?

   さらに、ことさらに

      ほうら、ほっ

    咬みちぎった、…ね?

     ほうら、ほっ

   白いその肌に

      ほら、ね?

    きみの瞼。まばたきを忘れ

     大きな聲、だしてごらんよ

   剝き出しの肌に


   さらした肌に

      傷み。それ

    見開いた目に

     だれの?…傷み

   翳り。火照り、翳り

      だれ?…おれ?

    咬みちぎった、…ね?

     だれ?…それ?

   だから、心にも?

      だれの?…傷み

    魔物が目醒めて

     傷み。それ

   その肌に翳り。翳り

くぃぇっきょく、ぅさっ、と、「…なに?」

「結局、眞沙夜はなにがしたいの?」

「おれ?」

「なにをどうしたいの?ヴィルスがあふれて火山噴火して戦争起って政府がことごとく無能ないまの時代に」

「決まってる。革命」

「なにそれ?」

「破壊と革命。そして救済」

「新興宗教でも?」

「あらゆるすべての人類の苦悩を、おれは救いたい」

「なんか錠剤喰ってる?」

「でも、それ以外に目的なんて抱けるもの?…人類を長い長い苦悩と懐疑から解き放ちたいね。…それだけ」と、そして沙羅が「やばっ…」と?ささやきかけた沙羅の「なんか、いま」言語に、故意に「うるんじゃったかも」とでも?息を吹きかけて、「もう、…ね?」…は?

「なに?」…あれ?

「挿入オッケーかも」…なに?

「莫迦?」と、ぃゆぅすぃんにゃっ。「そこ、だれかいるんすか?」桧山が言った。その聲は「いる、…ね」あきらかに躊躇?「なに?…だれ?」ためらい?「あててみ」懐疑?…な「女…て」なに?「んー…」

「眞沙夜は男か」そう、桧山は言った。すこし思わさぶりな聲色で。そして聞こえよがしに。だからまるで、そこにいたのが女であったときの「男、専門だもんね」予防線を張ったかに。あるいは「興味ないからな…、ま」男。自分とおなじ性別の、「眞沙夜くんは、…さ」しかも「そっちでも、結構」自分の見たこともない男にあえて「…さ。現地人喰ってるの?じゃぱっ」だからかれにすでに先行していた御手つき。その「ジャパニーズ専門?…ま、」存在。明示。もう「くさそうじゃん?…ほら、そっちの」さきに、おれはそいつの肌の温度を「かまの現地人」

「そういうの、差別的言辞っていうんだぜ」

「妬いてんだよ。おれ」言って、ふいの沈黙。須臾の、そして「…わかるでしょ?」いきなり桧山は通話を切っつぁいばりぃんぬぁっ…「笑えるぅっ」とでも?沙羅。その逆光のあわい翳りに翳りをさらにゆらがせ、「なんかそいつ、笑えるぅっ」とでも?翳り。その沙羅の投げ落としたほうの翳りは、わたしの肌のほとんどにもゆれて、ゆらいでいたに違いなかった。こまやかに、しかも引き攣るように。












Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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