流波 rūpa ……詩と小説113・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈20





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ一部に作品を構成する文章として差別的な表現があったとしても、そのようなあらゆる差別的行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしもそのような一部表現によってあるいはわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでも差別的行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





あるいは、

   猨さえも知る。だから

   それを名づけた

   すでにその名を与えられていたもの

   母の愛。愛と


   猨さえもすがる。だから

   それを名づけた

   すでにその名を与えられていたもの

   母の愛。愛と


   猨さえも愛する。だから

   それを名づけた

   すでにその名を与えられていたもの

   母の愛。愛と


   だったら、さ。猨

   わたしは猨。猨

   猨並みの猨。猨

   ひと並みの猨。だからこんな、それは夢。仮りこう呼んでおく、ミミと。ミミとだけ。なぜ?美々?そのミミがささやく聲は、なぜ?耳?あくまでも背後、そのすがたをは決して見い出し得ない後頭部のななめ上。そこにだけ鳴るのだった。その、それ。聲。人の喉に模倣した、なに?むりやりに鳥たちの複数の鳴き声を模倣した、なに?しかもしくじった、そんなひびき。聲。音響。だから、ことばとしてもはや…ぜんぜん。ぜん聞き取り得ない、それはぜんぜん。ぜん音響。「…見てるの?」と、ぜんぜん。ぜミミは、

   愛して!もう

      好きだ。好きっ

「見て。それが」知ってる。彼女の

   無造作なくらいに

      好きなんだ。好きっ

くちびる。…の、微妙な

   暴力的なくらいに

      好きすぎなんだっ。すっ

ひらき…ひらかれ?…に、わななくわなっ。なくわなっ音響。ひびき、…の、

「犬。犬の死んだ肉。そして」

ささやいている、その意味は

「その骨」

知っている。…だれ?…な

「…見てるの?」なぜ?聴き取り得るのだろう?その

   口。わたしは

「見て。それが」それら、言葉として意味を、…ひびき。人間の

   …だれ?そこに

「猫。猫の死んだ肉。そして」

   ひらかれていた

こころの、つぶやいた言葉としての…ひびき。

   口。あんぐっ

「その骨」

だから、言葉。なぜ?わずかにも

「…見てるの?」聞き取れていないのに?…と、疑問を抱きながら、…と、もう

   耳。わたしは

「見て。それが」疑問など抱く余地もなく

   …だれ?そこに

「豚。豚の死んだ肉。そして」

   ひらかれていた

あきらかな、だから、それ

   耳。あんばっ

「その骨」

容赦もなく、…鮮明さ。なに?もう

   鼻。わたしは

「…見てるの?」わたしのまなざし。それはもう

   …だれ?そこに

「見て。それが」ただ、見ているのだった。それは

   ひらかれていた

「いそぎんちゃく。いそぎんちゃくの死んだ肉。そして」

   鼻。あんぎゃっ

だから、海。四方にひろがり、その

「その骨」

色彩。それら色彩。橫溢。色らをすでに

「…見てるの?」果てもなく、なく、果てもなく、なく、ひろげていた綺羅、だから

   目。わたしは

「見て。それが」それは、まさしく

   …だれ?そこに

「ウジ虫。ウジ虫の死んだ肉。そして」

   ひらかれていた

まさに海。綺羅。その綺羅ら。わたしは

   目。あんだっ

「その骨」

つぶやきつづけているのだった。そっと

「…見てるの?」むしろ、かなしいミミに

   肛門。わたしは

「見て。それが」教えてあげ…さとす?…、げ、る、ように、しかも

   …だれ?そこに

「ラフレシア。ラフレシアの死んだ肉。そして」

   ひらかれていた

彼女には決して

   肛門。あんでぇぃっ

「その骨」

聞き取られなど、…シ。決して理解されなど、…シ。ないように

「…見てるの?」気を付けて。こころから、ほんとうに注意し、注意、…シ。ながら、だから

   毛孔。わたしは

「見て。それが」鮮明な

   …だれ?そこに

「蜥蜴。蜥蜴の死んだ肉。そして」

   ひらかれていた

人間の、明晰なことば。…を。なぜ?

   毛孔。あんへっ

「その骨」

ぜったいに

「…見てるの?」傷つけたくないから。その

   尿道。わたしは

「見て。それが」いと…シ。く、もうせつなく

   …だれ?そこに

「鯨。鯨の死んだ肉。そして」痛ま…シ。シ。い程に

   ひらかれていた

ただいとお…シ。シ、…いひと、だから

   尿道。あんびっ

「その骨」

ミミだけを。わたしは

「…見てるの?」悲しい。なぜ?だって

   傷。わたしは

「見て。それが」留保なく、もう

   …だれ?そこに

「名もない未発見のバクテリア。バクテリアの死んだ肉。そして」

   ひらかれていた

聴き取られているに違いなかった。そこにはいない

   傷。あんらっ

「その骨」

本当のミミに、それら

「…見てるの?」繰り返されつづけるあきらかな

「見て。それが」言葉は。そして

「蟹。右の足一本だけ欠損していた蟹の死んだ肉。そして」

殘酷に、赤裸々に

「その骨」

ぼろぼろに傷付けているのだ。わたしは、ミミを。つまりそれはこんなささやき、謂く、

   いいよ。もう

   見える?ひかり

   そのひかりにだけ

   ひかりのほうにだけ


   歩んで。もう

   歩み、歩み去り

   いいよ。もう

   歩み去って


   いいよ。もう

   見えた?ひかり

   清純なひかりに

   ひかりのなかをだけ


   歩んで。もう

   歩み、消え去りながら

   燃え盡きながら

   その水のなかに


   あとかたもなく

   いま、滅びながら

   生まれなければ、良かったね

   一瞬たりとも


   須臾さえも

   息づかなければ、良かったね

   いま、滅びながら

   あとかたもなく


   その水のなかに

   燃え盡きながら

   歩み、消え去りながら

   歩んで。もう


   ひかりのなかをだけ

   清純なひかりに

   見えた?ひかり

   いいよ。もう


   歩み去って

   いいよ。もう

   歩み、歩み去り

   歩んで。もう


   ひかりのほうにだけ

   そのひかりにだけ

   見える?ひかり

   いいよ。もう

すなわちそのひとを思うとき、だからそれ。うつくしい、しかもやさしい、しかもあざやかな、しかも霞んだ、しかも、だから翳り、翳った翳り。それ。そのひとを思うとき、…ひと?

   歎き?…いま

      ゆららって

ひと?

   ね?…そっとこころに兆していたもの。それ

      とぅるるって

ならばひと、その

   歎き?…ほら

      ふるるって

定義とは?…かの女。そのひとは想いださせる。なに?それは、なにを?月。水の波立ち。まなざしの正面に、飛散る飛沫。水沫。水泡のような、…水泡?むしろ。あるいは飛沫のような。水沫のような、それら

   ゆららって

      歎き?…いま

綺羅。だから無数の

   とぅるるって

      ね?…そっとこころに兆していたもの。それ

綺羅にゆらがされた

   ふるるって

      歎き?…ほら

月。波立ちの、それらひとつひとつがうつしていた月。うつくしい、月、かさねて謂く、

   いいよ。もう

      傷み。もう

    どうして?…と

     だから

   見える?ひかり

      燃えるような

    思う。まるで

     燃えるような

   そのひかりにだけ

      だから

    ささやくように

     傷み。もう

   ひかりのほうにだけ


   歩んで。もう

      焰。もう

    どうして?…と

     だから

   歩み、歩み去り

      さいなんでいた

    思う。まるで

     さいなんでいた

   いいよ。もう

      だから

    つぶやくように

     焰。もう

   歩み去って


   いいよ。もう

      傷み。もう

    独り言散ったように

     だから

   見えた?ひかり

      掻き毟るような

    言葉。そのひびき

     掻き毟るような

   清純なひかりに

      だから

    ひびきもなく

     傷み。もう

   ひかりのなかをだけ


   歩んで。もう

      焰。もう

    やわらかな

     だから

   歩み、消え去りながら

      引き攣らせていた

    騒音。四維にふれていた

     引き攣らせていた

   燃え盡きながら

      だから

    やわらかな

     焰。もう

   その水のなかに


   あとかたもなく

      安心して。…ね?

    どうして?…と

     イノチ、イノチだ

   いま、滅びながら

      抗わないよ。もう

    いま、あなたは

     これが、その

   生まれなければ、良かったね

      あなたに、あげよう

    なにがかなしいの?

     イノチ、イノチだ

   一瞬たりとも


   須臾さえも

      だから

    なにが痛いの?

     焰。もう

   息づかなければ、良かったね

      引き攣らせていた

    なにがせつないの?

     引き攣らせていた

   いま、滅びながら

      焰。もう

    なにがいま

     だから

   あとかたもなく


   その水のなかに

      だから

    あなたをそこで

     傷み。もう

   燃え盡きながら

      掻き毟るような

    追い詰めていたのだろう?

     掻き毟るような

   歩み、消え去りながら

      傷み。もう

    なにがいま

     だから

   歩んで。もう


   ひかりのなかをだけ

      だから

    掻き毟っていたのだろう?

     焰。もう

   清純なひかりに

      さいなんでいた

    なにがいま

     さいなんでいた

   見えた?ひかり

      焰。もう

    責め苛んでいたのだろう?

     だから

   いいよ。もう


   歩み去って

      だから

    あなたの淚も

     傷み。もう

   いいよ。もう

      燃えるような

    水。水だから

     燃えるような

   歩み、歩み去り

      傷み。もう

    こぼれて墮ちて

     だから

   歩んで。もう


   ひかりのほうにだけ

      イノチ、イノチだ

    なじんでしまう

     喚き散らす聲。もう、ただの

   そのひかりにだけ

      これが、その

    消え失せてしまう

     騒音。遠い、…聞こえないから

   見える?ひかり

      安心して。…ね?

    とけあってしまう

     イノチ、イノチだ

   いいよ。もう

でも、ちょっと、…と、「なに?」…いや、さ。「なんだよ」…って謂うかね、「言え、はやく」意外、と。その桧山は云った。「結構、戦争反対派だったんだ」

「ロシア‐ウクライナ?」

「…だけじゃなくて、なに?戦争行爲っていうの?そういうの、」

「反対だね」

「憲法九条死守せよ派だ」

「いいよ。改憲しても。すでに死に軆だから。あれ。九条なんか、だれも外国に積極的に行使しない。主張しない。ぜんぶの戦争行爲に当否賛否かかわりなくぜんぶぜんぶ手あたり次第抗議、抗議でめくじら立てつづけてりゃまだしも平和立国だけどね。最初から死に軆じゃない?意味ない。政府、莫迦だから。考えてみなよ。なんでもかんでも大義名分つくらなきゃ戦争できないご時勢に、仮りに自衛隊もない丸腰の反戦パラノイア国家を侵略できる名目、あるか?」

「でも、戦争は反対なんだ」

「蝶ちょもいっしょに死んじゃうじゃない?爆弾一発で。人間同士殺し合うぶんには文句謂わない。でも、蝶ちょいっぴき巻き添えにしないでって。それだけ。草花ひとつ、つぶさないでって。人類滅亡したって、おれは別にどうでもいいけどね。…実際」










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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