流波 rūpa ……詩と小説095・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈02
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
あるいは、
うつくしいのは
それは、蝶
たぶん、見ていた
あの日きみだけが
うつくしいのは
それは、きみ
たしかに、見ていた
あの日ぼくだけが
知ってる?すでに、ぼくらは
うつくしくなければならない
すでに、ぼくらは
狂暴だから
うつくしいのは
それは、滅び
みんな滅びる。ぼくらは
破滅。だから蝶。それは≪流沙≫。そのかれがいまだ≪流沙≫でなかったころ、そんな≪流沙≫。まだ、そして蝶。それはゆらっ…と?山田楓が楓であり得ていたころ。だからその頃について、蝶。それはゆらっ…と?想い、想いかえし蝶。それはふらっ…思うとき、だから想起。蝶。それはゆらっ…と?疑い。だれ?わたしはふと、想起。なぜ?そのただひとつの想起。何度でも。だから蝶。それはふらっ…もちろん何度も、何度も、何度でも、それら——いつから?繰り返され、すでに——いつ?蝶。それはゆらっ…と?繰り——いっ…ていた、あるいは蝶。それはふらっ…自慰。それは自慰めいた?回想。蝶。それはゆらっ…と?——いつから?疑い。自嘲とともに。回想。それはいつも想いかえすたびにもう原型もなにもなくいまのわたしにつくりかえられて仕舞っていたとこそ感じられてなに?傷みさえ、なに?早すぎたふいの老殘。その自覚の唐突。…は?過ぎ去った。は?…過ぎ去った。はぁ?もうぜんぶ。そんな、は?それらそんな…ば?蝶に夢。回想。なんどもだれだれだれ?その蝶に花しずく。想起されるたびに花翳り。だれ?それ固有の現在形など蝶に花。ぜんぶ、喪失。当然とっくにことごくに喪失。記憶。流出?もはや蝶!…え?どこへ?痕跡さえも。溶解。もはや蝶!…え?はりさけそうな。傷み。のちにだからもうなぜ?なぜ?なぜ?それが痛いんだ。なぜ?ふるえ、ふるえ、それこそが痛えて、ふるえて、ふるえていたよ。それこそが。蝶…痕跡さえて、ふるえ、ふるえて、ふるえ、傷み。なぜ?ふるえていたよ。疑い。はりさけそうな。もはや創作。記憶とは、ただの、そして自覚のない噓。蝶に花。仮構された、自覚のなに?蝶に花翳り。もう、花の蝕。もう、蝕。もはや蝶に花。痕跡さえも。…どこに?…え?はりさけ疑い。は?想起されるそのたびごとに。はり裂け傷み?しかもわたしは咲け。それにふれる。ふれられる。ふれつづけ咲け。あきらかに。容赦なく咲け。すくなくとも
痕跡さえも
花たちはっ、ね?
そのつどに、…疑い。そのつどの
その痕跡さえも
きれっ、れっ、なんだっ…ね?
かたちでまったき
散る虛空に、もはや
花たちはっ、ね?
現実としてこそ
その痕跡さえも
きれっ
見い出す。それは、同じ年に生まれたわたしたちがたぶん、かれらは——だれ?だからいじらしい。同じく十歳くらいだったころ?かれらは——だれ?いじらしい。依って…だったのではないか。何歳?おさない、だからもういじらしすぎるよって眼差しには違いなくな、な、な、なくとも、未来からの介入。回想という赤裸々な未来からの介入。ない、な、な、なくそんなものあり得るはずのなかったそのわたしたち。…だれ?そのわたし。…と、いまだ≪流沙≫ならざる≪流沙≫。かれ。…と、そして楓。まだ山田楓であり得ていた楓。…と。…の、いつ?それらわたしたちの滅び。破滅。いつ?ぼくら滅び。壊滅。いつ?いつか。いつ、いっ、いつかね。
うつくしい。あなたは
屈辱。もう…
なに?
まさに、いま
絶望。もう…
きっとねぼくらは蝶にも蝶にさえもなれた。まなざしにはこれ以上ないくらいだからそれは殲滅の明示。まったき終局的な気配。…の、中で、明示されたものとして殲滅。しかもそこにはいまだ不在の滅亡。不意に…は?そのしげみ、燃え、燃え、ゆらぎもせずに燃えるような綠り。…の、ほうから目を樹木。葉。葉。…は?樹木それらその色彩に燃えているのだ。焰さえなく。逸らして…目を。そらして仕舞っていた≪流沙≫。いまだ≪流沙≫ならざる≪流沙≫。そのくちびるは…喉?
蝶ちょ、ちょ、ちょ、
滅びだよ。ほら
燃えています
云った。聲帶?——あの蝶も、
なに?
きみの前髪も
焰さえなく
燃えあがっちゃうんだよね?
蝶ちょ、ちょ、ちょ、
焰のように
あなたのひとみに
と。ここで註しておけばわたしたちは広島の宮島に生まれた。そしてそこで育った。山田楓は高校を中退するたしか十六歳まで。あきらかにわたしはあきらかにあきらかに十七歳まで。≪流沙≫はあきらかにあきらかにもうあきらかに燃え上がるようなあきらかすぎたあざやかな色彩。大学に燃えてる!進学した十八歳まで燃えてる!だからぼわっ。これらの会話はふぼぉっ。当然方言を用いていたはずだがぐばぁっ。とはいえ、もはや返り見られる場所でなど決してなかった。わたしに、そこは、——どこ?故郷など。わたしには、どこどこどこ?だから…え?振り向かないで。もう…え?もはやいまさら方言をなど…え?振り向かないで。決してもうここに…どこ?構築することなど…え?振り向かないで。未来だけを見て。その穢れない目で。できない。再構築?事実として、無理無理無理。ここに…え?しかも無理無理。だからいま仮構されたここにも発話にすぎない。これらは、ここにさえも…え?
と。忘れることなどできない。それは、「え?…なに?」ふと、いま、われに返ったような楓の…え?それは…なに?ふいの発話。耳に。やさしく、やさしい耳に。やさしく、やさしい、それはひびき。はっ…と?ぼくらはいつも、自分勝手にあっ…と?ひとりだけ先にんっ…と?ぼくらはいつもわれに返り、しかもいまだ
ぼくらはいつも
そばにいて
腑に落ちず、とはいえ、慥かに
傷つけあうこと、もう
こころがいまも
≪流沙≫ならざる≪流沙≫。その消え失せていた聲。そのひびきも、その
それさえも
いたいから。だから
こころの繊細さも、そして見い出していた
おそれもせずに
血がながれ
風景さえもたしかに共有されている、それは実感。ここに…矛盾?それはだからそんな容赦ない錯覚。いるよ。いま、…むじゅっ。ここにいるよ。ええ…?それら、むっ。まじ?解決されることのない矛盾をだけさらして、…なに?
ぼくらはね
ためいき、きらり
と。その
だから羽搏き。もう
きらり、ほおぅっ…
わたしは、だから
ぼくらはね
ためいき、ゆらり
それは≪流沙≫にではなくむしろ
あたたかな
ゆらり、とおぅっ…
その楓、眉に
ためいき
ためいき、くらり
翳り、翳り、翳り、不安な翳りの気配を感じさせた、…気のせい?それとも、楓にだけ、…気のせいだよね?わたしは…だったよね?ふたりに共謀?取り殘された共謀?わたしこそ、不安にふたりだけ勝手に共謀?そこで取り殘されて。咬まれていたから?ふたりは傷?共謀?傷み。しかも、甘やかな、傷?咬まれていたから、傷み?だからいたいよいたいよ咬まれもう甘く、そして、いたいよいたぅ、う、う、もうどうしようもなく、甘い…なに?聲。わたしの、それは聲。
ばぃんっ…って
花かげり
こころにだけ?唇に、おもわず
どひぃんっ…って
玉散る色ら
こぼれた、そんな、ん?その
ぐびぃんっ…って
蝶の羽根
記憶。触感じみた、——え?
だひぃんっ…って
色しずく
なに?…と。自分をだけをそこに見つめていた目で見つめているたぶん訝しげなままだったわたしにその虹彩を返り見た楓はそこにそうつぶやいて、謂く、
蝶。…ちょう?
と、それは
ちょう。…蝶?
と、ひびき
だから、見なかった
わたしは
蝶のすがたは
≪流沙≫には見えた
蝶。…ちょう?
と、それは
ちょう。…蝶?
と、ひびき
その茂みには
樹木。それらは
花ら。なに?その名前は
なに?その、うすむらさきは
問うべきだった
蝶。…いた?…と
どこに?…飛んだ?
飛んでいた?
問うべきだった
蝶。…いた?…と
どこに?…いま?
いま、ふるえてる?
問うべきだった
蝶。…いた?…と
どこに?…飛びさった?
飛びさっちゃった?
どこに?
わたしには
見られなかった
その蝶は?
だれに?
≪流沙≫には?
ひとり≪流沙≫は
≪流沙≫だけは?
おいてけぼりの
茫然とした
それは、ほほ笑み
だから≪流沙≫は
いとおしい
その眼差しは
わたしには
だから、ひたすらにかれは
まさに、ひたすらにかれは
わたしには
その眼差しは
いとおしい
だから≪流沙≫は
それは、ほほ笑み
茫然とした
おいてけぼりの
≪流沙≫だけは?
ひとり≪流沙≫は
≪流沙≫には?
だれに?
その蝶は?
見られなかった
わたしには
どこに?
飛びさっちゃった?
どこに?…飛びさった?
蝶。…いた?…と
問うべきだった
いま、ふるえてる?
どこに?…いま?
蝶。…いた?…と
問うべきだった
飛んでいた?
どこに?…飛んだ?
蝶。…いた?…と
問うべきだった
なに?その、うすむらさきは
花ら。なに?その名前は
樹木。それらは
その茂みには
と、ひびき
ちょう。…蝶?
と、それは
蝶。…ちょう?
≪流沙≫には見えた
蝶のすがたは
わたしは
だから、見なかった
と、ひびき
ちょう。…蝶?
と、それは
蝶。…ちょう?
すなわちその日にぼくらは、なにを見たい?だから、ぼくらの滅びの、滅びのときに、その時に。なにを見ていたい?ぼくらは愛した。だから、ぼくらは滅びを、ぼくらの滅びを——と、知ってる?知ってた?実は、見てた。知ってる?知ってた?その、きみが見た蝶。知ってる?知ってた?むらさきいろと、黒いふちどり。知ってる?知ってた?わずかな金色。きみが見るまえに、実は、ね、知ってる?知ってた?見てた。ちょう、ね?と、そっとその耳に、そっと知ってる?知ってた?と、そっとその耳に、知ってる?知ってた?ちょう、と、その聲を知ってる?知ってた?ふき込んだその寸前には、知ってる?知ってた?垣間見られたその蝶は、死ね。ぼくらみんなの滅びの前に、はかない蝶は、ぼくらをのこして死んで行き、ね?だから、ね?蝶死ね。いま、その日ぼくらは、なにを見たい?だから、ぼくらの滅びの、滅びのときに、その時に。ぼくらは愛した。だから、ぼくらは滅びを、ぼくらの滅びを、かさねて謂く、
蝶。…ちょう?
燃え上がるだろう
愛されなかった
…なぜ?
と、それは
その羽根も
あなたは
その羽根も
ちょう。…蝶?
…なぜ?
ね?…≪流沙≫
燃え上がるだろう
と、ひびき
だから、見なかった
ぼくらはみんな
みにくいから、ね?
…ね?
わたしは
滅びるから
きたならしいから
滅びるから
蝶のすがたは
…ね?
ほんとに、ね?
ぼくらはみんな
≪流沙≫には見えた
蝶。…ちょう?
とろけるだろう
愛されたかった?
…なぜ?
と、それは
その色彩も
あなたも
その色彩も
ちょう。…蝶?
…なぜ?
ね?…≪流沙≫
とろけるだろう
と、ひびき
その茂みには
ぼくらはみんな
価値ないから、ね?
…ね?
樹木。それらは
滅びるから
みすぼらしいから
滅びるから
花ら。なに?その名前は
…ね?
ほんとに、ね?
ぼくらはみんな
なに?その、うすむらさきは
問うべきだった
見るだろう。ぼくらはいつか
どうでもいい子
な、
蝶。…いた?…と
ぼくらの滅びを
そういう子
ぼくらの滅びを
どこに?…飛んだ?
な、わけねーじゃんタコ
流れる砂は
見るだろう。ぼくらはいつか
飛んでいた?
問うべきだった
それは雨
所詮砂粒は
焰の雨たち
蝶。…いた?…と
苛烈な焰の
記憶にさえ、ね?
苛烈な焰の
どこに?…いま?
焰の雨たち
なにも殘らずに
それは雨
いま、ふるえてる?
問うべきだった
それは雨
どうでもいい子
硫黄の雨たち
蝶。…いた?…と
燃えた硫黄の
そういう子
燃えた硫黄の
どこに?…飛びさった?
硫黄の雨たち
流れる砂は
それは雨
飛びさっちゃった?
どこに?
滅びの子
所詮砂粒は
滅びの子たちと
わたしには
ぼくらを名づけた
見られもせず、ね?
ぼくらを名づけた
見られなかった
滅びの子たちと
流れ去るだけ
滅びの子
その蝶は?
だれに?
最後の子
かなしいのかな?
最後の子たちと
≪流沙≫には?
ぼくらを名づけた
ぼくのかたわらで
ぼくらを名づけた
ひとり≪流沙≫は
最後の子たちと
うつくしいぼくの
最後の子
≪流沙≫だけは?
おいてけぼりの
滅ぼすことしかできないから、ね?
いたたまれない?
だから破壊
茫然とした
ぼくらは破滅
楓のそばで
ぼくらは
それは、ほほ笑み
だから破壊
可憐な楓の
滅ぼすことしかできないから、ね?
だから≪流沙≫は
いとおしい
愚かでしかもう、あり得ないからね?
あげるよ。たくさん
すでなる滅び
その眼差しは
ぼくらは
傷を、いっぱい
ぼくらは壊滅
わたしには
つねなる滅び
あげるよ。たくさん
愚劣でしかもう、あり得ないからね?
だから、ひたすらにかれは
まさに、ひたすらにかれは
つねなる滅び
可憐な楓の
愚かでしかもう、
わたしには
ぼくらは壊滅
楓のそばで
ぼくらは壊滅
その眼差しは
愚かでしかもう、あり得ないからね?
いたたまれない?
すでに、滅び
いとおしい
だから≪流沙≫は
だから破壊
うつくしいぼくの
滅ぼすことしかできないから、ね?
それは、ほほ笑み
ぼくらは破滅
ぼくのかたわらで
ぼくらは
茫然とした
滅ぼすことしかできないから、ね?
かなしいのかな?
だから
おいてけぼりの
≪流沙≫だけは?
最後の子たちと
流れ去るだけ
最後の子
ひとり≪流沙≫は
ぼくらを名づけた
見られもせず、ね?
ぼくらを名づけた
≪流沙≫には?
最後の子
所詮砂粒は
最後の子たちと
だれに?
その蝶は?
滅びの子たちと
流れる砂は
滅びの子
見られなかった
ぼくらを名づけた
そういう子
ぼくらを名づけた
わたしには
滅びの子
どうでもいい子
滅びの子たちと
どこに?
飛びさっちゃった?
硫黄の雨たち
なにも殘らずに
それは雨
どこに?…飛びさった?
燃えた
記憶にさえ、ね?
燃えた硫黄の
蝶。…いた?…と
それは雨
所詮砂粒は
硫黄の雨たち
問うべきだった
いま、ふるえてる?
焰の雨たち
流れる砂は
それは
どこに?…いま?
苛烈な焰
そういう子
苛烈な焰の
蝶。…いた?…と
それは雨
どうでもいい子
焰の
問うべきだった
飛んでいた?
な、わけねーじゃんタコ
ほんとに、ね?
見るだろう。ぼくらはいつか
どこに?…飛んだ?
ぼくらの滅びを
みすぼらしいから
ぼくらの滅び
蝶。…いた?…と
見るだろう。ぼくらはいつか
価値ないから、ね?
な、わけねーじゃんタコ
問うべきだった
なに?その、うすむらさきは
…ね?
ね?…≪流沙≫
ぼくらはみんな
花ら。なに?その名前は
滅びるから
あなたも
滅びるから
樹木。それらは
ぼくらはみんな
愛されたかった?
…ね?
その茂みには
と、ひびき
…なぜ?
ほんとに、ね?
とろけるだろう
ちょう。…蝶?
その色彩も
きたならしいから
その色彩も
と、それは
とろけるだろう
みにくいから、ね?
…なぜ?
蝶。…ちょう?
≪流沙≫には見えた
…ね?
ね?…≪流沙≫
ぼくらはみんな
蝶のすがたは
滅びるから
あなたは
滅びるから
わたしは
ぼくらはみんな
愛されなかった
…ね?
だから、見なかった
と、ひびき
…なぜ?
死ねよカスって、ぼくは
燃え上がるだろう
ちょう。…蝶?
その羽根も
思った。きみが、いま
その羽根も
と、それは
燃え上がるだろう
不安をだけいま、きみがくれたから
…なぜ?
蝶。…ちょう?
と、…口走ったあとにまだ閉じられきりもしない沙羅。そのくちびるに、「…なに?」ささやく。わたしは。なぜ?唐突に、沙羅。その口がささやいた言葉。…沙羅はもちろんベトナム語しか話せない。ダナン市。海辺の町でひろっただけにすぎない少女だから。素性などしらない。たぶん、沙羅はわたしの一方的に口走る言語の名前さえも知らない。だから、人種も。そもそも、かの女。沙羅。その褐色の瘠せた少女がほんとうにベトナム人である確証はなく、あるいは必然もない。…どうでもいいから。すくなくとも、わたしにとっては。からだ半分をケロイドに埋め盡くした、あるいは凄惨な印象の容姿。燒かれたのだろうか?生きたままに?たとえば、その親にでも。奇妙な印象。半身の殘酷と、半身のうつくしさ。慥かに美少女なのだった。そんな、どうとも処理できない全体の印象。口走った。…沙羅がまるで「なに?」その日本語を聴き取り得たかのように立てつづけに、とは謂えほんの七にも滿たない音節にすぎない。ふたたび、ささやいた。そこに。舌に音を舐めまわすような言語。…方言?耳慣れない。もっとも、わたしにはベトナム語の知識などない。もう、棲みついて何年にもなるというのに。沙羅の片方だけまともに殘っていたほうの、あるいは昏い、なぜか狂暴な気配のやまない虹彩に、わたしはそっと笑みだけをくれた。あきらかに沙羅はわたしに答えを求めていた。いまだにベッドのうえに、素肌をさらして息づくままに。当然のように。…ね?
どうなの?…と?
わたしは、すぐさまにそのまなざしの素直な要求の赤裸々な素直に倦んで仕舞って、だからくちびるにその口をふさいだ。眼を閉じもせずに。沙羅。その沙羅も、いつものように眼を見開いたままに。
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