流波 rūpa ……詩と小説093・流波 rūpa;月。ガンダルヴァの城に、月 ver.1.01 //亂聲;偈01前半
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
蝶が。…と、ほら
蝶が舞う。そう君が
ふとささやくから
その蝶を見た
滅びるよ。…と、ほら
蝶が、いつか。そう君が
ふとささやくから
その滅びを見た
燃えるんだ。…と、ほら
その蝶。ぼくらも。そう君が
ふとささやくから
その焰を見た
ほほ笑み。しかも
わたしたちは猶
たしかに。ほほ笑み。いつも
こぼれていた聲。だから情熱?…ただ情熱的な、しかも傷み。傷みにも似て情熱。それはもはや情熱。だからもう、胸やけしそうなくらいに情熱的な、…傷み?しかも猶も?にもかかわらずに情熱。そんな、だからそんな、だから情熱。言葉。そんな、まさにささやくに似て、——ほんとう?…叫んだに似て?——ほんとうに?…だから——は?むしろ、なにかに取り憑かれでもしたかのような、そんな
あつっ…つ、つ、
情熱。だからそれら
言葉。たとえば
って、って、さ。
喉にも、もう
そんな、もしくは
うそ。ば、ば、
心臓にも、もう
これ以上なく
ば、ば、あつっ、つ、
ひっかき、かき
苛烈で、予想をこえて
つ、つ、つって、
掻き毟る、そんな
苛酷で、ひたすら容赦なくせめ苛む、そんな
うそ。ばふっ
情熱
言葉。叩きつけるような、——なすり、なすりつけ、なじるような…なにを?…たとえば、な、な、な、そんな、あるいはうつくしく限りなくうつくしく、はかないほどに、信じられないほどに、あり得ないほどにもう、も、も、もぅっつくしい、だから…耽美的な?いや。…なに?むしろ
雲を咬む。かっ
花を、…ね?
鮮烈な。そんな…なに?言葉。
霧を咬む。かっ
花は、…ね?
傷み。耳に、または…なに?ほら、いま花たち。花。それら。ささやいた唇をさえ、舌をさえ、傷だらけにして…なに?
棘まみれの花を咬む。かっ
花に、…ね?
ただいたましく、ついには…なに?口蓋を燃え上がらせる、たとえばそんな…なに?ほら、いま花たちは。言葉。そうやって書かれることこそかれには
…なに?
ささやくように叫べ
ふさわしい、と。わたしは
…なに?
叫べ。つぶやくように
ひとり、そう
…なに?ほら、いま
わめきちらすようにささや
思うのだった。…どんな?
その花たちはそっと
なんの根拠らしい根拠も、
その月かげはそっと
どんなふうに?…結局は、
翳った。それらは
見上げれば
どんなふうに語られてこそ、かれに
ひそやかに
空はきらきら
ささげられたものらしいと
翳った。それらは
水泡たちは
納得できるのか、わたし自身にさえ
染まる。濃く、濃く
だから、きらきら
なにもわからないままに。その
いや濃くそれ
見上げれば
名は戸田英樹、と、その、
みずからの
とめどもなく
だからその名。それを
色彩に
水泡たちは
だれがかれに与えたものかわたしはついに
燃えちゃえば?
だから、きらき
知らない、ひょっとしたらかれの名としては花。花。花。散れ、あまりにも凡庸に想えた花。花。花。散れ、その本名に、だからかれをあえて≪流沙≫と、なぜ?どうしようもなくなぜ?わたしにはなぜ?かれを本名で凡庸に呼んで仕舞うなどまさか。不当にこそ想われて、まさか。愛。もはやただいとおしいもの。愛。それは理不盡。うつくしくない名、その愛。ひびき、それは容赦なく不当…と、さえ、感じられ、て、愛。だから赤裸々に、愛。≪流沙≫、それ。流れる砂。いとおしいもの。それ。流れだすひびき。もはや、それ。愛。ここではただ、だから≪流沙≫。…ルーシャ、とだけ
いとおしいもの。それは
なぜ?
呼ぶことにする。もっとも、その
あなたの眼差し。その
そんな、無意味な
名にわたしが、まして
ふいの翳り
かなしみに
山田楓も、かれを
なぜ?
いま
そう呼んだことは一度もない。ものごころついたときにはすでに出逢いの自覚もなくもう出逢って仕舞っていたわたしたち。それら、…幼馴染み?だから呼ばなかった。いちども。≪流沙≫とは。何歳のときにであっても。いついかなる時も。いつも。もっともここで仮りにかれに名づけるそれ≪流沙≫。出逢ったときの記憶もなくて。…幼馴染み?流れ、流れ、雪崩れるように流れよ。≪流沙≫。それは楓。その名義で公表された音源。その数枚の音盤のシリーズ。最初の一枚にだけ与えられていたその——瑠璃が?曲名。たしか、名づけたのは、むしろ瑠璃。…たんなる曲名だったにすぎない。股を開く女。それを、しかも隱す女。——なんで?
きみのこころに、やさしさの
だれも泣か
だって…さ。もう、返さないでね。…ね?うつくしい楓。あまりにも美しすぎたかれ。楓。フェミニン。いたずらに
花を
だれも泣かなくてすみますように
かわいらしく、楓。すこし不穏。ちょっぴり不安。それは楓の、だから——なんで?
花。花。花
だれも泣
だって…さ。だれも楓。かれ自身の作品とは見なさなかった(…せ?なせ?…され?なされ?)人々が、要するに(あくまで…さ?なさ?)ハンドルネームのようにして…だれが?使い始めた、だからだれ?だれ?だれ?——なんで?
ふぁって…さ。ひびき、…さ。よくない?架空の呼び——る、…ぅう…しゃ。
きみのこころに、ほほえみの花を
れだもかななくてみすますように
る、…ぅう、…しゃ。返さないでね。…ね?呼び名にすぎなかったのは、しかも返さないでね。…ね?まったき事実だったとしても。ところで
返さないでね。…ね?
花。花。花。散れ
ものごころがつくというのがいつなのか、その
あなたにあげた
雪崩れるように
明確な発生があくまでも刻印されていない以上、わたしたちは
いっぱいの、ぼくらの
花。花。花。散れ
かならずひとつの
やさしさ
雪崩れくずれるように
意識躰としては明瞭なはじまりをもたないままに、ふと返さないでね。…ね?気づけばすでに発生している眼差しのなかに目覚めているということ?しかも曖昧な、とさえも返さないでね。…ね?言えない。あくまでも明晰に、意識はすでに
返さないでね。…ね?
泣き叫ぶように
目覚めている、まったきその
あなたにささげた
愛しあおうか
事実のなかに息づかっているのだから。だから、
いっぱいの、ぼくらの
いたぶるように
わたしという存在にとって、
せめてもの慈愛
いつくしんでいよう
わたしに言わせればわたしは最初からつねにその≪流沙≫。まだその名では呼ばれるはずもなかったにせよ、だから≪流沙≫ならざるその≪流沙≫。かれの返さないでね。…ね?そばにそっと添うように、しかも諍返さないでね。…ね?うように、あらがうように、または
返さないでね。…ね?
殘酷なくらいに
魅了されつづけかつ
あなたに投げつける
もう、だから
嫌悪しつづけていたと言ってよい。なぜなら
いっぱいの、ぼくらの
愛を、きみに
≪流沙≫。その
いとおしみの花
苛酷なくらいに
いまだ≪流沙≫ならざる≪流沙≫も、
花束の色ら
もう、だから
もはや≪流沙≫でさえなかった≪流沙≫も、いずれにせよ
色彩ら
愛だけを、きみに
わたしたちは幼馴染みだった。山田楓と同じように。たぶんいまだ≪流沙≫ならざる≪流沙≫。かれもすでに≪流沙≫だった≪流沙≫も、もはや≪流沙≫ではない≪流沙≫。そのもはや意識躰としては破綻した眼差しのなかに見い出されていたかもしれないわたしをは除き、わたしをかれはうつくしい人としてのみ見い出していたにちがいない。わたしの容姿は
生きられないよ
壊れそだったら
うつくしかったから。山田楓とともに。だからふたりは
うつくしすぎて
喰っちゃおぶ
あるいは大人たちの
死ねないよ
ぶぶびっ
無数の目には、ただ
狂暴すぎて
崩れそだったら
不穏だったに違いなかった。まともな人生をまともに送るとはとても想えない不穏。…と。死んだら?たぶん、はやいうちに夭折してくだけたら?ささささやきしまうに違いないと、飛び散っちゃえ。あくまでも盛大に!いま!悲劇とこそひひひびきあいまなざし。無数の。見い出した悲劇のきざしとひそかに共謀する確信犯。じみ、た、しかしささささやきあくまで無難な傍観者でこそありつづけてまなざし。ただ粗暴なひひひびきあいそのまなざしには巻き込まれたら?
ね?
巻き込まれちゃったらおめぇどうすんのカス気付かないまままに。反してただささささやきひたすらに凡庸な容姿しかひひひびきあい与えられなかっただからいまだ≪流沙≫ならざる≪流沙≫。かれはささささやきわたしたち選ばれたふたりにふいにひひひびきあい挿まれたこれみよがしなできそこないとこそささささやき見い出されていたはずで、謂く、
ささやき
ひびきあい
言葉。それら無造作に
群らがり
あきらかに
言葉
容赦なき
響き
つぶやき
さわぎあい
言葉。もはやすてばちに
群らがり
あきらかな
言葉
容赦なき
響き
ふれあったのだった
だから、わたし
ふれあっていた
それら、わたしたち
ささやき
ひびきあい
言葉。それら無防備に
群らがり
他人の
言葉
容赦なき
響き
つぶやき
さわぎあい
言葉。もはやなげやりに
群らがり
他人なす
言葉
容赦なき
響き。響きら群らがりあって
言葉。寄り添いあう
言葉。抗いあう
言葉。否定しあう
言葉。差異しあう
言葉。それらは
戯れ、群らがり
だからわたしたちはもう
容赦しなかった
もう、知っていた
この世界の
もう、あなたたちの
その、悲惨ささえも
もう、ぜんぶ知っていた
この世界の
もう、すべてなど
その、高貴ささえも
もう、ぜんぶ知っていた
この世界の
もう、すべてなど
その、悲しささえも
もう、ぜんぶ知っていた
この世界の
もう、すべてなど
その、よろこばしさらそれらぜんぶそれらことごとくをさえも
ささげていたもの
だから、わたしたちの
ささげもの
それら。それらは
軽蔑。ぶしつけな
屈辱。あえて親密な
眼差したちへの
侮辱。あきらかな
ゆるされたもの
だから、わたしたちの
なすべきもの
それら。それらは
あざけり
容赦なき
冷笑。眼差し
このうえなく不遜に
ののしられるべきだった
凡庸なひとびとは
えらばれなかったものら
だから、見い出された生き物らすべて
平凡というその悲劇のかたわらに
恍惚とともに
あきらかな確信
すべて奪われるに違いないこと
やがて、すべてを
えらばれていたものたちは
ただ、わたしたちは
わたしと楓は
捧げていた
すべもなく
軽蔑。そのかれらには
侮辱。その世界には
うつくしいものは
生きられない。だから
ただ、咬め
咬み碎け
赦されたかぎりの狂暴を
殘酷を
いたましさを
不穏を
だから、…ね?
もう、月は咬みちぎられただろう
もう、おおった雲は泣きさ、さ、さ、
…あ?
…ば?
もう、おおっ、おぉぅっ。おおお泣き叫んだだろう
もう、月は咬みちぎられただろう
だから、…ね?
不穏を
いたましさを
殘酷を
赦されたかぎりの狂暴を
咬み碎け
ただ、咬め
生きられない。だから
うつくしいものは
侮辱。その世界には
軽蔑。そのかれらには
すべもなく
捧げていた
わたしと楓とは
ただ、わたしたちは
えらばれていたものたちは
やがて、すべてを
すべて奪われるに違いないこと
あきらかな確信
恍惚とともに
平凡というその悲劇のかたわらに
だから、見い出された生き物らすべて
えらばれなかったものら
凡庸なひとびとは
ののしられるべきだった
このうえなく不遜に
冷笑。眼差し
容赦なき
あざけり
それら。それらは
なすべきもの
だから、わたしたちの
ゆるされたもの
侮辱。あきらかな
眼差したちへの
屈辱。あえて親密な
軽蔑。ぶしつけな
それら。それらは
ささげもの
だから、わたしたちの
ささげていたもの
その、よろこばしさらそれらぜんぶそれらことごとくをさえも
もう、すべてなど
この世界の
もう、ぜんぶ知っていた
その、悲しささえも
もう、すべてなど
この世界の
もう、ぜんぶ知っていた
その、高貴ささえも
もう、すべてなど
この世界の
もう、ぜんぶ知っていた
その、悲惨ささえも
もう、あなたたちの
この世界の
もう、知っていた
容赦しなかった
だからわたしたちはもう
戯れ、群らがり
言葉。それらは
言葉。差異しあう
言葉。否定しあう
言葉。抗いあう
言葉。寄り添いあう
響き。響きら群らがりあって
容赦なき
言葉
他人なす
群らがり
言葉。もはやなげやりに
さわぎあい
つぶやき
響き
容赦なき
言葉
他人の
群らがり
言葉。それら無防備に
ひびきあい
ささやき
それら、わたしたち
ふれあっていた
だから、わたし
ふれあったのだった
響き
容赦なき
言葉
あきらかな
群らがり
言葉。もはやすてばちに
さわぎあい
つぶやき
響き
容赦なき
言葉
あきらかに
群らがり
言葉。それら無造作に
ひびきあい
ささやき
見て。白虹?
まるで、それは
なに?
白虹
月を淡く、淡くだけ
淡くかくし
むしろ綺羅めかせた
それは
雲は、なびく
雲。かすみ
雲は、なすられた
雲。月に、もう
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