流波 rūpa ……詩と小説056・流波 rūpa 癡多 citta ver.1.01 //なぜ?/だれ?/なぜ?/いま、あなたは //伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



7)16偈

   沙羅、白く咲き

   花。吐き

   その息を、唇に

   吐く、沙羅


   名づけた

   だから

   沙羅と

   白く咲く花


   その、沙羅

   息遣い

   あざやかな

   唇を。ひそかに


   名づけた

   だから

   沙羅と

   白く咲く花


   あの、沙羅

   三月の

   亜熱帯

   春。容赦なく


   燃え上がる

   夏の温度

   亜熱帯

   春。容赦なく


   燃え上がる

   大気。見た

   その最後

   わたしたちの滅びの


   最後の数日

   その熱の中

   熱のある

   眼差しの中に


   心の中に

   熱のある

   その熱の中

   最後の数日


   わたしたちの滅びの

   その最後

   大気。見た

   燃え上がる


   春。容赦なく

   亜熱帯

   夏の温度

   燃え上がる


   春。容赦なく

   亜熱帯

   三月の

   あの、沙羅


   白く咲く花

   沙羅と

   だから

   名づけた


   唇を。ひそかに

   あざやかな

   息遣い

   その、沙羅


   白く咲く花

   沙羅と

   だから

   名づけた


   吐く、沙羅

   その息を、唇に

   花。吐き

   沙羅、白く咲き


かさねて謂はく、

   沙羅、白く咲き

      匂う。ふと

    知っていた

     だから、それ

   花。吐き

      だれ?

    なにを?

     だれ?

   その息を、唇に

      だから、それ

    耳にも

     匂う。ふと

   吐く、沙羅


   名づけた

      からだに

    沙羅。あなたを

     あなたの

   だから

      だれ?

    その生きてあることを

     だれ?

   沙羅と

      あなたの

    その事実を

     からだに

   白く咲く花


   その、沙羅

      匂う。ふと

    知っていた

     あなたの、それ

   息遣い

      だれ?

    なにを?

     だれ?

   あざやかな

      あなたの、それ

    息遣いに

     匂う。それ

   唇を。ひそかに


   名づけた

      香り

    沙羅。あなたを

     あなたの

   だから

      だれ?

    その生きてあることを

     だれ?

   沙羅と

      あなたの

    その事実を

     香り

   白く咲く花


   あの、沙羅

      いまだ眠り

    知っていた

     その髮の?

   三月の

      眠るふりを?

    なにを?

     眠るふりを?

   亜熱帯

      その髮の?

    眼差しに

     いまだ眠り

   春。容赦なく


   燃え上がる

      いまだ眠り

    さらされた

     その瞼の?

   夏の温度

      かすかなまばたき?

    うすい胸は

     かすかなまばたき?

   亜熱帯

      その瞼の?

    散らす

     いまだ眠り

   春。容赦なく


   燃え上がる

      だから、その肌

    白濁を

     その肌は

   大気。見た

      眠るふりの?

    うすい胸は

     眠るふりの?

   その最後

      その肌は

    かすかに

     だから、その肌

   わたしたちの滅びの


   最後の数日

      赤裸々に

    さらす

     あきらかに

   その熱の中

      しかも

    そのイノチ

     しかも

   熱のある

      あきらかに

    生きてあること

     赤裸々に

   眼差しの中に


   心の中に

      その肌は

    いまも猶も

     だから、その肌

   熱のある

      眠るふりの?

    そのイノチ

     眠るふりの?

   その熱の中

      その肌は

    さらす

     だから、その肌

   最後の数日


   わたしたちの滅びの

      その瞼の?

    かすかに

     いまだ眠り

   その最後

      かすかなまばたき?

    うすい胸に

     かすかなまばたき?

   大気。見た

      いまだ眠り

    白濁を

     その瞼の?

   燃え上がる


   春。容赦なく

      その髮の?

    散らす

     いまだ眠り

   亜熱帯

      眠るふりを?

    うすい胸は

     眠るふりを?

   夏の温度

      いまだ眠り

    さらされた

     その髮の?

   燃え上がる


   春。容赦なく

      あなたの

    眼差しに

     香り

   亜熱帯

      だれ?

    なにを?

     だれ?

   三月の

      香り

    知っていた

     あなたの

   あの、沙羅


   白く咲く花

      あなたの、それ

    その事実を

     匂う。ふと

   沙羅と

      だれ?

    その生きてあること

     だれ?

   だから

      匂う。ふと

    沙羅。あなたを

     あなたの、それ

   名づけた


   唇を。ひそかに

      あなたの

    息遣いに

     からだに

   あざやかな

      だれ?

    なにを?

     だれ?

   息遣い

      からだに

    知っていた

     あなたの

   その、沙羅


   白く咲く花

      だから、それ

    その事実を

     匂う。ふと

   沙羅と

      だれ?

    その生きてあること

     だれ?

   だから

      匂う。ふと

    沙羅。あたなを

     だから、それ

   名づけた


   吐く、沙羅

      日差し。そそぎ

    耳にも

     日差し。どこに?

   その息を、唇に

      綺羅。散乱。綺羅

    なにを?

     綺羅。散乱。綺羅

   花。吐き

      日差し。どこに?

    知っていた

     日差し。そそぎ

   沙羅、白く咲き







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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