流波 rūpa ……詩と小説031・流波 rūpa 癡多 citta ver.1.01
いま、仮に≪流波 rūpa≫と名づけた此れらの作品。これは、いくつかの中編小説と、ひとつの長い小説、また、それぞれに迦多=偈と名づけた詩に依って構成される、群れなす言葉たちの集合です。その長い小説のほうを、とりあえず≪癡多 citta≫と名づけました。
流波 rūpa は、色彩。所謂≪色即是空≫の色。仏教の解説書などでは、たまに物質等外的事象云々と説明されているもの。片仮名に音写すれば、ルーパ、でしょうか。ただし、スートラに例えば≪その色はつまりは空っぽなのだ≫と、あくまで略説して言った場合の色とは、思うにただColorという以上の意味を持っているべき必然性はないので、此処では素直にただ、Colorという以上の意味を持たせていません。そもそも、物質等外的事象云々と広説してしまえば、≪物質≫そのものが≪物質≫として存在していると容認しなければなりません。多元宇宙論などのすでに一般化してしてしまった世の中で、さすがにそれはどうでしょうか。また、外界と内界だの、物質というものだの、物それ自体だの、何だのかんだのではなく、此の目に見た此の色、というあたりまえの事象から抽象的な思考を構築していくのが、一連の仏教経典の高貴さであるとも思います。
癡多 citta は、心。音写すればチッタ。
迦多=偈は、コトバンク『日本大百科全書(ニッポニカ)』に謂はく、偈は≪仏典における詩のこと。サンスクリット語ガーター gāthā の音写の省略形。正しくは伽陀(かだ)と音写し、漢語では頌(じゅ)あるいは讃(さん)とも翻訳される。≫
本来、もちろん韻文ですが、此処では韻にはこだわっていません。あくまで近代日本文学に於ける≪近代詩≫という、あの独特のもの——即ち、その詩的形式さえさだまらず、最低限の約束事さえ成立していない、だからもはや意味不明でわけのわからないもの、そんな言葉たちのあつまりの、此の国の文学固有のありかたを散文の中に導入してみたかっただけです。実際、ルールの決まっていないサッカーなど有り得るでしょうか。それを有り得るとして、実際にやってしまったのが我々の≪日本近代詩≫だと言えると、わたしは思っています。もっとも、実は、単に是非だけで謂えば、わたしは日本の≪近・現代詩≫というものを、ただ莫迦げたものだとしか思いません。例えば或るアメリカン人が英語で、五七五七七もくそもなく書かれた五行詩を、此れは和歌だと云ったとしたら?…それと同じくらいに莫迦馬鹿しいものです。
ところで、以下は前述の長い小説≪癡多 citta≫の、或るひとつの断章です。いま、だいたい八つの断章がなんとなく出来上がっていますが、全体として、いつ終わるべき必然もなく、そもそも何を以て始まるという必然もない、そんな詩と散文の集合体に過ぎません。Ver.1.01としてあるのは、これから改変して行くつもりだからです。故に、とりあえずの形ということになるでしょうか。
その概要は、——或る半身に大やけどを負った中年の男がいる。
ベトナム中部の町、ダナン市在住である。
その海辺のホテルに住んでいる。
その部屋に住み着いた少女がいる。
彼女は現地人である。
ふたりに共通言語はない。
男は少女の名前さえ知らない。
だから男は仮りに彼女を沙羅と名づけた。
男の部屋に、男に媚びる現地人の日本語教師の女が訪れる。
少し話して、彼女は帰って行った。
男は沙羅と海を見に行った。
日時の設定は2021年の9月21日の午前。
ちょうど、ダナン市はコヴィッド19のロックダウン中である。
だから海を見に行ったというのも、本来違法なのだが、沙羅は何を思ったか、意味もなく全裸になって大通りを走った。
その、見かけ上は無人化した町の。…正確には、すべての家屋の中にすべての人々を押し込めた町の。
外から見れば沈黙の、家屋の中にはいつも以上に家族を詰め込んだ、しかし実際、見ればひたすらに静寂をひろげる、誰の姿もない大通り。
沙羅は、笑いながら、両手をひろげてその午前、走り戯れた。
晴れた日差しが降りそそぎ、そして少女の褐色の肌を白濁させるのだった…
また、男の心にはさまざまな過去が想起されつづけていた。
…それだけ。
やがて、結局は物語も何もかも蒸発して、ただ、いつ果てるともないささやきの響きだけが残る、そんな小説を企画しました。
ちなみに、此れは、実は、本当に書きたい或る小説があって、それを補足する内容になるはずのものです。そっちのほうは、ひとりの若い青年と、ひとりの若い女性がいて、それぞれに数奇で苛酷な生い立ちを経て、彼等が世界を本当に救済してしまおうとする、そんな物語です。つまり≪流波 rūpa≫は彼等、本当の主人公たちの父親世代の人間たちの物語として、設定されています。
もっとも、その本当の小説のほうは、いまのところ、一度書きかけて放棄してしまった原稿の、二、三作品分しか存在していない、だからあくまでも未生の物語、ですが。
また、≪流波 rūpa;癡多 citta ≫のそれぞれの断章の構成は、まず≪わたし≫の見聞きした基本伝聞の短いパートがあって、あそれから本筋の物語が導入されていくかたちになっています。ですから、短編の集積のようにも読めるはずです。
さて、≪流波 rūpa;癡多 citta ≫には典拠とした小説があり、——というか、はっきり言ってしまえば元ネタですが、安吾の『わたしは海を抱きしめていたい』という、短い小説です。此れは、個人的なフェイヴァリットのひとつでもあります。
また、直接的に影響を受けているのは、所謂小品般若経、龍樹、唯識論。
例によって、以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
まずは、序詩から、はじまります。
語ろうとするのは
夢のように、と?
万能とは
明晰であること
語り得ぬもの
それは
条件。存在の
それは
その不在
明晰であること
全能とは
夢のように、と?
その不可能
語るすべは
幻のように、と?
聴き取れなかった
まったき露出
ささやき
それは
いつも
それは
聲のかさなり
まったき露出
響く前にも
幻のように、と?
その響鳴
用いるものは
響きにふるえ
宗教とは
飛沫ら
般若經
ふるえ
猨の見た夢
ふるえ
唯意識派
飛沫ら
宗教とは
響きにふるえ
龍樹の詩
想定するのは
朝の露
だからわたしたちは
色を見た
少女あるいは
その
むしろ沈黙を
その
少年。その
色を見た
わたしたちは
朝の露
どちらでもある
故に
葉にわななく
だからわたしたちは
色を見た
例えばキメラ
その
むしろ饒舌を
その
両性具有
色を見た
あまりに過剰な
葉にわななく
故に
どちらでもない
花にすべる
わたしたちは
色を見た
肉躰。それは
その
猨の見た夢
その
意識の向こうに
色を見た
その叡智は
花にすべる
見たものでなく
故に此の
花に
わたしたちは
ゆらぎの須臾
肉躰。それは
ついに
猨の見た夢
ついに
すでに意識の
ゆらぎの須臾
その苦悩は
花に
知っていたもの
語られるべきは
まばたきの
何の爲に?
見た、その
焰について
須臾にも
救済と
須臾にも
陽炎について
見た、その
倫理の爲に
まばたきの
色彩の、それら
暴流について
須臾の闇にも
だれの爲に
だれが?
だから名づけた
何を?
どこにも不在の
何を?
流波と
だれが?
だれの爲に?
須臾の闇にも
何故?
まなざしはすでに
此処に
だれの爲に?
眼差しの底にも
流波を見たから
見開かれた
だれも、此処は
見開かれた
故にいま此処に
眼差しの底にも
どこ?此処は
此処に
即ち
褐色の
あざやかな色づき
だから沙羅、その
色彩に名づけた
沙羅と。…沙羅
何故?
その花は白
白く、ただ、白く散るから
さらされた肌に
褐色の消滅
だから沙羅、その
光澤に名づけた
沙羅と。…沙羅
何故?
その花は白
白く、ただ、白く散るから
致命的なまでに
なにも知らない
軽蔑以外に
赤裸々な不埒
育むことも
壞すことも
だから沙羅、その
頽廃に名づけた
沙羅と。…沙羅
何故?
その花は白
白く、ただ、白く散るから
昏い目に笑み
昏い目に見つめ
昏い目に貪り
昏い目に舐め
昏い目にしゃぶり
虹彩の翳り
だから沙羅、その
翳りに名づけた
沙羅と。…沙羅
何故?
その花は白
白く、ただ、白く散るから
聲を立てて
笑えば沙羅
その目の色
その沙羅は痴呆
知性など
存在しはしなかった
もの思いさえ
悩みもなにも
苦しみも、沙羅
かけらさえ
だから沙羅、その
欠損に名づけた
沙羅と。…沙羅
何故?
その花は白
白く、ただ、白く散るから
なにも、なにもかも
沙羅、なにもなく
ただの肉
不遜な塊り
生き生きと
沙羅、あたたかに
脂肪。筋肉はそこ
無造作に息吹き
生きてる?
沙羅。死んでた?
沙羅。その
無慚に名づけた
沙羅と。…沙羅
何故?
その花は白
白く、ただ、白く散るから
その匂いは屈辱
恥辱は沙羅
褐色の肌
沙羅、撒き散らす異臭
黑い饐えた
オリーブ・オイル
焦げたチーズ
なすられた惡臭
穢い沙羅は
前触れもなく
唇をひらく
あざ笑うように
舌を出し
もて遊ぶように
だから沙羅、その
哄笑に名づけた
沙羅と。…沙羅
何故?
その花は白
白く、ただ、白く散るから
沙羅の息は
猫たちの口
白い歯は
撒き散らす異臭
雨の濕土。沙羅
濡れた子犬
魚の腐乱
逆撫での惡意
突き出す舌に
唇の淫乱
それのかたちを
なぞってみせた
斜めの日差し
光りに白み
だから沙羅、その
白濁に名づけた
沙羅と。…沙羅
何故?
その花は白
白く、ただ、白く散るから
なにも、兆しさえ
快感など
不感症だから
神経さえない
感じない
ふれる指にも
舐める舌にも
どしゃぶりの石
掻き毟られた
肛門にも。沙羅
いつかの沙羅の
失禁にも
飛び散った白。その
匂う飛沫
沙羅。舌の上に
感じたふりの
飲み込んだら?
沙羅。その匂うもの
だからその
擬態に名づけた
沙羅と。その花
白く、ただ、白く散り
沙羅、散ってさえ白
沙羅と。その花
擬態に名づけた
だからその
沙羅。その匂うもの
飲み込んだら?
感じたふりの
沙羅。舌の上に
匂う飛沫
飛び散った白。その
失禁にも
いつかの沙羅の
肛門にも。沙羅
掻き毟られた
どしゃぶりの石
舐める舌にも
ふれる指にも
感じない
神経さえない
不感症だから
快感など
なにも、兆しさえ
白く、ただ、白く散るから
その花は白
何故?
沙羅と。…沙羅
白濁に名づけた
だから沙羅、その
光りに白み
斜めの日差し
なぞってみせた
それのかたちを
唇の淫乱
突き出す舌に
逆撫での惡意
魚の腐乱
濡れた子犬
雨の濕土。沙羅
撒き散らす異臭
白い歯は
猫たちの口
沙羅の息は
白く、ただ、白く散るから
その花は白
何故?
沙羅と。…沙羅
哄笑に名づけた
だから沙羅、その
もて遊ぶように
舌を出し
あざ笑うように
唇をひらく
前触れもなく
穢い沙羅は
なすられた惡臭
焦げたチーズ
オリーブ・オイル
黑い饐えた
沙羅、撒き散らす異臭
褐色の肌
恥辱は沙羅
その匂いは屈辱
白く、ただ、白く散るから
その花は白
何故?
沙羅と。…沙羅
無慚に名づけた
沙羅。その
沙羅。死んでた?
生きてる?
無造作に息吹き
脂肪。筋肉はそこ
沙羅、あたたかに
生き生きと
不遜な塊り
ただの肉
沙羅、なにもなく
なにも、なにもかも
白く、ただ、白く散るから
その花は白
何故?
沙羅と。…沙羅
欠損に名づけた
だから沙羅、その
かけらさえ
苦しみも、沙羅
悩みもなにも
もの思いさえ
存在しはしなかった
知性など
その沙羅は痴呆
その目の色
笑えば沙羅
聲を立てて
白く、ただ、白く散るから
その花は白
何故?
沙羅と。…沙羅
翳りに名づけた
だから沙羅、その
虹彩の翳り
昏い目にしゃぶり
昏い目に舐め
昏い目に貪り
昏い目に見つめ
昏い目に笑み
白く、ただ、白く散るから
その花は白
何故?
沙羅と。…沙羅
頽廃に名づけた
だから沙羅、その
壞すことも
育むことも
赤裸々な不埒
軽蔑以外に
なにも知らない
致命的なまでに
白く、ただ、白く散るから
その花は白
何故?
沙羅と。…沙羅
光澤に名づけた
だから沙羅、その
褐色の消滅
さらされた肌に
白く、ただ、白く散るから
その花は白
何故?
沙羅と。…沙羅
色彩に名づけた
だから沙羅、その
あざやかな色づき
褐色の
燃え上がるような
焰のような
陽炎のような
幻見られた夢のような
かさねて謂はく、
褐色の
とけちゃう
生まれていたのだ
糞もらす
あざやかな色づき
びしょびしょ
わたしは
びしょしょしょ
だから沙羅、その
糞もらす
赤裸々な
とけそう
色彩に名づけた
沙羅と。…沙羅
腐った?
事実、わたしは
すすりあげちゃう?
何故?
糞
すでに
糞
その花は白
すすりあげちゃう?
息遣い
喰う?
白く、ただ、白く散るから
さらされた肌に
鼻血でそう。いま
死んでいたのだ
鼻ぐされ
褐色の消滅
ぐじゅぐじゅ
わたしは
ぐじゅぐじゅ
だから沙羅、その
鼻ぐされ
あきらかな
鼻血でそう
光澤に名づけた
沙羅と。…沙羅
すすりあげちゃう?
事実、わたしは
喰う?
何故?
糞
すでに
糞
その花は白
喰う?
滅び
すすりあげちゃう?
白く、ただ、白く散るから
致命的なまでに
糞もらす
燒き盡くされたのだった
とけそう
なにも知らない
びしょびしょ
だれが?
びしょびしょ
軽蔑以外に
とけそう
わたしが?
糞もらす
赤裸々な不埒
育むことも
脳みそ腐った?
燒き盡されたのだった
死ね
壞すことも
いき腐れ
わたしは
いき腐れ
だから沙羅、その
死ね
いつ?
脳みそ腐った?
頽廃に名づけた
沙羅と。…沙羅
内臓腐った?
事実、わたしは
死ね
何故?
しに腐れ
すでに
しに腐れ
その花は白
死ね
燃え盡き
内臓腐った
白く、ただ、白く散るから
昏い目に笑み
花血でそう。いま
埋葬さえなかったのだった
花ぐされ
昏い目に見つめ
ぐじゅぐじゅ
なぜ?
ぐじゅぐじゅ
昏い目に貪り
花ぐされ
わたしが?
花血でそう。いま
昏い目に舐め
昏い目にしゃぶり
死ね
埋葬さえ
内臓腐った?
虹彩の翳り
しに腐れ
わたしは
しに腐れ
だから沙羅、その
内臓腐った?
だれが?
死ね
翳りに名づけた
沙羅と。…沙羅
死ね
事実、わたしは
脳みそ腐った?
何故?
いき腐れ
すでに
いき腐れ
その花は白
脳みそ腐った?
消滅?
死ね
白く、ただ、白く散るから
聲を立てて
とろけそう
見ていただろう
糞もらす
笑えば沙羅
びしゃびしゃ
わたしはいつか
びしゃびしゃ
その目の色
糞もらす
笑いながら
とろけそう
その沙羅は痴呆
知性など
喰っちゃう?
燃え上がる空
すすりあげ
存在しはしなかった
糞
その色。その
糞
もの思いさえ
すすりあげ
紅蓮
喰っちゃう?
悩みもなにも
苦しみも、沙羅
鼻血でる。いま
見ていただろう
鼻ぐされ
かけらさえ
ぐしゅしゅしゅ
わたしはいつか
ぐしゅしゅしゅ
だから沙羅、その
鼻ぐされ
笑い崩れ
鼻血でる。いま
欠損に名づけた
沙羅と。…沙羅
すすりあげ
崩れ墜ちた
喰っちゃう?
何故?
糞
空。その
糞
その花は白
喰っちゃう?
色。その
すすりあげ
白く、ただ、白く散るから
なにも、なにもかも
糞もらす
轟音。まるで
とろけそう
沙羅、なにもなく
びっちゃり
ささやくような
びっちゃり
ただの肉
とろちゃう
轟音。それは
糞。糞もら…
不遜な塊り
生き生きと
脳みそ垂れた?
色。その
死ね
沙羅、あたたかに
いき腐れ
空。その
いき腐れ
脂肪。筋肉はそこ
死ね
崩れ墜ちた
脳みそ垂れた?
無造作に息吹き
生きてる?
内臓でろでろ
笑い崩れ
死ね
沙羅。死んでた?
しに腐れ
わたしはいつか
しに腐れ
沙羅。その
死ね
見ていただろう
内臓でろでろ
無慚に名づけた
沙羅と。…沙羅
花血でちゅう。いま
紅蓮
花ぐされ
何故?
ぐっちゃぐちゃ
その色。その
ぐっちゃぐちゃ
その花は白
花ぐされ
燃え上がる空
花血でちゃう。いま
白く、ただ、白く散るから
その匂いは屈辱
死ね
笑いながら
内臓垂れた?
恥辱は沙羅
しに腐れ
わたしはいつか
しに腐れ
褐色の肌
内臓垂れた?
見ていただろう
死ね
沙羅、撒き散らす異臭
黑い饐えた
死ね
消滅?
脳みそでろでろ
オリーブ・オイル
いき腐れ
すでに
いき腐れ
焦げたチーズ
脳みそでらでら
事実、わたしは
死ね
なすられた惡臭
穢い沙羅は
まじとけちゃう
だれが?
糞びっちゃり
前触れもなく
びひゃんびひゃん
わたしは
びひゃんびひゃん
唇をひらく
糞びっちょん
埋葬さえ
まじとける
あざ笑うように
舌を出し
喰え
わたしが?
しゃぶる?
もて遊ぶように
糞
なぜ?
糞
だから沙羅、その
しゃぶる?
埋葬さえなかったのだった
喰え
哄笑に名づけた
沙羅と。…沙羅
鼻血でるぅうら。まー
燃え盡き
糞ぐされ
何故?
ぐびょおー
すでに
ぐびょおー
その花は白
糞ぐされ
事実、わたしは
鼻血でんじょ。ぱー
白く、ただ、白く散るから
沙羅の息は
しゃぶるぅう
いつ?
喰え喰え
猫たちの口
糞
わたしは
そそ
白い歯は
糞喰え
燒き盡くされたのだった
しゃぶるぅう
撒き散らす異臭
雨の濕土。沙羅
糞びしょー
わたしが?
とけるぅう
濡れた子犬
びばぁびばぁ
だれが?
びびばぁあばぁ
魚の腐乱
とけるぅう
燒き盡くされたのだった
びっちゃー
逆撫での惡意
突き出す舌に
脳みそくそーぱ
滅び
死ね糞
唇の淫乱
いき腐れ
すでに
いき腐れ
それのかたちを
死ね糞喰え
事実、わたしは
くそ脳みそくそ
なぞってみせた
斜めの日差し
はらわたどばー
あきらかな
死ね糞
光りに白み
しに腐れ糞
わたしは
糞しに腐れ喰え
だから沙羅、その
死ね糞
死んでいたのだ
はらわたびしゃー
白濁に名づけた
沙羅と。…沙羅
花血どっばー
息遣い
花ぐされ
何故?
びっびょーん
すでに
ぼっびょーん
その花は白
花ぐされ
事実、わたしは
ばっびー血びー
白く、ただ、白く散るから
なにも、兆しさえ
きれいだね
死者たち
あざやかな
快感など
夕焼け
それら
夕焼け
不感症だから
あざやかな
孔ひらく
きれいだね
神経さえない
感じない
ないちゃいたいくらい
死者たち
さけびたいくらい
ふれる指にも
もう
それら
もう
舐める舌にも
さけびたいくらい
色彩のない
ないちゃいたいくらい
どしゃぶりの石
掻き毟られた
おちてくる
死者たち
鼻の孔んなか
肛門にも。沙羅
いま
それら
いま
いつかの沙羅の
鼻の孔んなか
無防備な
おちてくる
失禁にも
飛び散った白。その
さけびたいくらい
死者たち
わめきたいくらい
匂う飛沫
もう
それら
もう
沙羅。舌の上に
わめきたいくらい
擦り附けられた
さけびたいくらい
感じたふりの
飲み込んだら?
あざやかな
死者ら
きれいだね
沙羅。その匂うもの
紅蓮の
ゆらぎ
紅蓮の
だからその
きれいだね
ゆらめく
あざやかな
擬態に名づけた
沙羅と。その花
ふっとんだ
だれ?
ぼへー
白く、ただ、白く散り
ふっとんだっばー
まばたくあなた
ふっとんぼっべー
沙羅、散ってさえ白
ぼべー
だれ?
ふっとんだ
沙羅と。その花
擬態に名づけた
きれいだね
ゆらめく
あざやかな
だからその
夕焼け
ゆらぎ
夕焼け
沙羅。その匂うもの
あざやかな
死者ら
きれいだね
飲み込んだら?
感じたふりの
ないちゃいたいくらい
擦り附けられた
糞してー
沙羅。舌の上に
もう
それら
もう
匂う飛沫
さけびたいくらい
死者たち
糞してー
飛び散った白。その
失禁にも
おちてきた
無防備な
鼻の孔んなか
いつかの沙羅の
いま
それら
いま
肛門にも。沙羅
鼻の孔んなか
死者たち
おちてきた
掻き毟られた
どしゃぶりの石
さけんで口とぶ
色彩のない
どっばーん
舐める舌にも
ないちゃいたいくらい
それら
ないちゃいたいくらい
ふれる指にも
びっびょーん
死者たち
しゃぶってケツとぶ
感じない
神経さえない
あざやかな
孔ひらく
きれーじゃん
不感症だから
糞焼け
それら
胸焼け
快感など
糞まみれじゃん
死者たち
きれーじゃん
なにも、兆しさえ
白く、ただ、白く散るから
吐く?
見蕩れていよう
糞吐き
その花は白
糞?
あなたに
だれの?
何故?
糞吐き
だれに?
吐く?
沙羅と。…沙羅
白濁に名づけた
吐いた?
言葉もなく
糞吐き
だから沙羅、その
吐く
あなたに
吐く
光りに白み
糞吐き
だれに?
吐いた?
斜めの日差し
なぞってみせた
糞まみれ?
なぜ?
まみれちゃう?
それのかたちを
喰え
目など、もう
喰え
唇の淫乱
まみれちゃう?
なぜ?
糞まみれ
突き出す舌に
逆撫での惡意
糞した?
だれに?
糞喰え
魚の腐乱
だれ?
あなたに
やわらかな
濡れた子犬
糞喰え
言葉もなく
糞した?
雨の濕土。沙羅
撒き散らす異臭
糞飲んだ?
だれに?
糞でる
白い歯は
いま?
あなたに
いつ?
猫たちの口
糞でた
見蕩れていよう
糞飲む?
沙羅の息は
白く、ただ、白く散るから
下痢したの
存在しなかった
下痢虫
その花は白
下痢なん?
もう
下痢?
何故?
下痢虫
すでに
下痢してる?
沙羅と。…沙羅
哄笑に名づけた
下痢糞
どこにもなかった
下痢に寄生中
だから沙羅、その
寄生中
もう
下痢なん?
もて遊ぶように
下痢に寄生
すでに
下痢してる?
舌を出し
あざ笑うように
這う
その眼球など
這うの?
唇をひらく
どこ?
殘骸さえ
ここ?
前触れもなく
這うの?
その眼球など
這った?
穢い沙羅は
なすられた惡臭
這った?
すでに
糞に這う
焦げたチーズ
下痢便
もう
馨りたち
オリーブ・オイル
糞這った?
どこにもなかった
這う?
黑い饐えた
沙羅、撒き散らす異臭
這う?
すでに
這いつつ喰った?
褐色の肌
喰えば?
もう
喰う?
恥辱は沙羅
這う虫喰った?
存在しなかった
這う?
その匂いは屈辱
白く、ただ、白く散るから
腐ったよ
見蕩れていよう
腐ったミルク
その花は白
頭のなか
あなたに
頭のなかに
何故?
腐ったミルク
だれに?
沙羅と。…沙羅
腐ってた?
無慚に名づけた
腐ったよ
言葉もなく
腐れミルクに
沙羅。その
睾丸喰った?
あなたに
睾丸舐めた?
沙羅。死んでた?
腐れ虫
だれに?
虫腐れ
生きてる?
無造作に息吹き
しゃぶられそう
なぜ?
虫の糞
脂肪。筋肉はそこ
糞
目など、もう
糞
沙羅、あたたかに
虫の糞
なぜ?
しゃぶられた?
生き生きと
不遜な塊り
すすられた?
だれに?
糞の虫
ただの肉
虫
あなたに
虫
沙羅、なにもなく
糞の虫
言葉もなく
すすられそう
なにも、なにもかも
白く、ただ、白く散るから
喰われそう
だれに?
虫喰う?
その花は白
噉う?
あなたに
噉った?
何故?
虫。喰う?虫
見蕩れていよう
喰われそう
沙羅と。…沙羅
欠損に名づけた
虫喰うの?
存在しなかった
喰われそう
だから沙羅、その
噉う?
もう
噉うの?
かけらさえ
喰ったみたい
すでに
虫喰うの?
苦しみも、沙羅
悩みもなにも
糞の虫
どこにもなかった
すすられた
もの思いさえ
虫
もう
虫たち
存在しはしなかった
すすられそう
すでに
糞虫たち
知性など
その沙羅は痴呆
虫の糞
その眼球など
しゃぶられた?
その目の色
糞
殘骸さえ
下痢糞
笑えば沙羅
虫の糞ども
その眼球など
しゃぶしゃぶしたら?
聲を立てて
白く、ただ、白く散るから
ミルクの腐乱
すでに
腐ったよ
その花は白
睾丸喰え
もう
喰え。喰う?
何故?
腐ったミルク
どこにもなかった
腐ったよ
沙羅と。…沙羅
翳りに名づけた
腐ったミルク
すでに
腐ってた?
だから沙羅、その
頭の中も
もう
中も?
虹彩の翳り
腐れてた?
存在しなかった
ミルク腐れ
昏い目にしゃぶり
昏い目に舐め
這う虫喰え
見蕩れていよう
這う?
昏い目に貪り
喰えば?
あなたに
喰った?
昏い目に見つめ
這った?
だれに?
這う虫喰った?
昏い目に笑み
白く、ただ、白く散るから
糞に這う?
言葉もなく
這うの?
その花は白
それ下痢便?
あなたに
それ吐いた?
何故?
糞に這う?
だれに?
這った?
沙羅と。…沙羅
頽廃に名づけた
寄生中。下痢に
なぜ?
下痢した?
だから沙羅、その
下痢なの?
目など、もう
下痢なの?
壞すことも
下痢に寄生
なぜ?
下痢してた?
育むことも
赤裸々な不埒
下痢虫
だれに?
下した?
軽蔑以外に
下痢ですね?
あなたに
下痢ですか?
なにも知らない
匂う虫
言葉もなく
下痢した?
致命的なまでに
白く、ただ、白く散るから
糞でる
だれに?
飲んだ?
その花は白
いま
あなたに
いま?
何故?
飲んで
見蕩れていよう
糞飲んだ?
沙羅と。…沙羅
光澤に名づけた
糞喰え
存在しなかった
糞しろ
だから沙羅、その
やわらかいの
もう
だれ?
褐色の消滅
糞した?
すでに
喰え
さらされた肌に
白く、ただ、白く散るから
まみれてみた?
どこにもなかった
糞まみれ?
その花は白
喰いました
もう
喰う
何故?
糞まみれ
すでに
まみれちゃう?
沙羅と。…沙羅
色彩に名づけた
吐く。もう
その眼球など
糞吐き
だから沙羅、その
糞?
殘骸さえ
死ねば?
あざやかな色づき
糞吐き?
その眼球など
吐き、死んだ?
褐色の
燃え上がるような
喰い散らされた!
色彩ら。それら
ほほ笑む
焰のような
喰った!糞
色彩の暴流
そっと。あなたの
陽炎のような
腐れ糞
それら。色彩ら
ほほ笑みに
幻見られた夢のような
綺羅ら、沙羅
咬め喰えちぎれ
見てほらすてき
ちんちらら
散る綺羅散り沙羅
ちぎれ吐け
きらきらすてき
ちんちらら
綺羅ら散る沙羅
ちぎっちゃえ
見てほらみんな
ちんちんちらちら
沙羅ら、綺羅
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