流波 rūpa ……詩と小説025・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十七偈の伽多//雨だよ/沙羅、ほら/それら/雨


雨だよ

沙羅、ほら

それら


紅の

だから飛沫

色もない

だから飛沫


しぶく

しぶき、散り

しぶく

飛び散り


匂う

雨、匂い

いきものの?

ほろびるものの?


死穢の?

すでにもう

なきものらの?

匂い


沙羅、匂う

匂い

降るそれら

降りそそぎ


沙羅、匂う

匂い

溺れるほどに

その息さえも


浴びる

雨は

雨は沈み


息さえもう

もう、息も

もう、息も

息さえもう


雨は沈み

雨は

雨は

浴びる


その息さえも

溺れるほどに

匂い

沙羅、匂う


降りそそぎ

降るそれら

匂い

沙羅、匂う


匂い

なきものらの

すでにもう

死穢の?


ほろびるものの?

いきものの?

雨、匂い

匂う


しぶく

しぶき、散り

しぶく

飛び散り


紅の

だから飛沫

色もない

だから飛沫


それら

沙羅、ほら

雨だよ



〇1

ぬれた牙

黃いろい牙

あなたの牙


したたるのは唾液

裂けた舌

酸性の唾液


擬態の肌

紅の、綠りの、茶色の、白の

皮膚の擬態


ひっかく爪

掻き毟る爪

あなたの爪


柔毛

やわらかな光擇

卷き上がる惡臭


毛ものだから

變態しつづけ

化ものだから


しめった喉

のたうちまわり

吼えたそれ


鱗ら

綺羅だつ無数の

或は甲殻


触手の繁茂

口蓋を掩う

触手の繁茂



〇2

ゆれた

ゆれた

木の葉が


ぬれた

ぬれた

木の葉が


綺羅きら

綺羅きら

にぶく


綺羅めき

綺羅めき

飛び散った飛沫


ぬらした

ぬらした

木の葉を


ゆらした

ゆらした

木の葉を


だから花さえ

びしょびしょ

花さえ


きれいだね

眞っ赤に染まって

きれいだね



●二聲の伽多

雨だよ

 ぬれた牙

沙羅、ほら

 黃いろい牙

それら

 あなたの牙


紅の

 したたるのは唾液

だから飛沫

 裂けた舌

色もない

 酸性の唾液

だから飛沫


しぶく

 擬態の肌

しぶき、散り

 紅の、綠りの、茶色の、白の

しぶく

 皮膚の擬態

飛び散り


匂う

 ひっかく爪

雨、匂い

 掻き毟る爪

いきものの?

 あなたの爪

ほろびるものの?


死穢の?

 柔毛

すでにもう

 やわらかな光擇

なきものらの?

 卷き上がる惡臭

匂い


沙羅、匂う

 毛ものだから

匂い

 變態しつづけ

降るそれら

 化ものだから

降りそそぎ


沙羅、匂う

 しめった喉

匂い

 のたうちまわり

溺れるほどに

 吼えたそれ

その息さえも


浴びる

 鱗ら

雨は

 綺羅だつ無数の

雨は

 或は甲殻

雨は沈み 


息さえもう

 触手の繁茂

もう、息も

 口蓋を掩う

もう、息も

 触手の繁茂

息さえもう


雨は沈み

 或は甲殻

雨は

 綺羅だつ無数の

雨は

 鱗ら

浴びる


その息さえも

 吼えたそれ

溺れるほどに

 のたうちまわり

匂い

 しめった喉

沙羅、匂う


降りそそぎ

 化ものだから

降るそれら

 變態しつづけ

匂い

 毛ものだから

沙羅、匂う


匂い

 卷き上がる惡臭

なきものらの

 やわらかな光擇

すでにもう

 柔毛

死穢の?


ほろびるものの?

 あなたの爪

いきものの?

 掻き毟る爪

雨、匂い

 ひっかく爪

匂う


しぶく

 皮膚の擬態

しぶき、散り

 紅の、綠りの、茶色の、白の

しぶく

 擬態の肌

飛び散り


紅の

 したたるのは唾液

だから飛沫

 裂けた舌

色もない

 酸性の唾液

だから飛沫


 あなたの牙

それら

 黃いろい牙

沙羅、ほら

 ぬれた牙

雨だよ



●四偈の伽多

雨だよ

   ゆれた

 ぬれた牙

  木の葉が

沙羅、ほら

   ゆれた

 黃いろい牙

  ゆれた

それら

   木の葉が

 あなたの牙

  ゆれた


紅の

   ぬれた

 したたるのは唾液

  木の葉が

だから飛沫

   ぬれた

 裂けた舌

  ぬれた

色もない

   木の葉が

 酸性の唾液

  ぬれた

だから飛沫


しぶく

   綺羅きら

 擬態の肌

  にぶく

しぶき、散り

   綺羅きら

 紅の、綠りの、茶色の、白の

  綺羅きら

しぶく

   にぶく

 皮膚の擬態

  綺羅きら

飛び散り


匂う

   綺羅めき

 ひっかく爪

  飛び散った飛沫

雨、匂い

   綺羅めき

 掻き毟る爪

  綺羅めき

いきものの?

   飛び散った飛沫

 あなたの爪

  綺羅めき

ほろびるものの?


死穢の?

   ぬらした

 柔毛

  木の葉を

すでにもう

   ぬらした

 やわらかな光擇

  ぬらした

なきものらの?

   木の葉を

 卷き上がる惡臭

  ぬらした

匂い


沙羅、匂う

   ゆらした

 毛ものだから

  木の葉を

匂い

   ゆらした

 變態しつづけ

  ゆらした

降るそれら

   木の葉を

 化ものだから

  ゆらした

降りそそぎ


沙羅、匂う

   だから花さえ

 しめった喉

  花さえ

匂い

   びしょびしょ

 のたうちまわり

  びしょびしょ

溺れるほどに

   花さえ

 吼えたそれ

  だから花さえ

その息さえも


浴びる

   きれいだね

 鱗ら

  きれいだね

雨は

   眞っ赤に染まって

 綺羅だつ無数の

  眞っ赤に染まって

雨は

   きれいだね

 或は甲殻

  きれいだね

雨は沈み 


息さえもう

   その花さえもう

 触手の繁茂

  だから花たち

もう、息も

   びしょびしょ

 口蓋を掩う

  びしゃびしゃ

もう、息も

   だから花さえも

 触手の繁茂

  花さえも

息さえもう


雨は沈み

   木の葉は

 或は甲殻

  ぬらした

雨は

   ぬらした

 綺羅だつ無数の

  ぬらした

雨は

   ぬらした

 鱗ら

  木の葉は

浴びる


その息さえも

   木の葉ら

 吼えたそれ

  ぬれた

溺れるほどに

   ぬれてた

 のたうちまわり

  ぬれた

匂い

   ぬれて

 しめった喉

  木の葉は

沙羅、匂う


降りそそぎ

   飛び散る飛沫ら

 化ものだから

  綺羅ら

降るそれら

   綺羅めき

 變態しつづけ

  綺羅きら

匂い

   綺羅めき

 毛ものだから

  飛び散った飛沫

沙羅、匂う


匂い

   にぶく

 卷き上がる惡臭

  きらら綺羅きら

なきものらの

   綺羅きら

 やわらかな光擇

  綺羅ら

すでにもう

   ららきき

 柔毛

  にぶく

死穢の?


ほろびるものの?

   木の葉ら

 あなたの爪

  ぬれて

いきものの?

   ぬれた

 掻き毟る爪

  ぬれた

雨、匂い

   ぬれて

 ひっかく爪

  木の葉は

匂う


しぶく

   木の葉たち

 皮膚の擬態

  ゆれて

しぶき、散り

   ゆれて

 紅の、綠りの、茶色の、白の

  ゆれゆれ

しぶく

   ゆれて

 擬態の肌

  木の葉

飛び散り


紅の

   ぬれて

 したたるのは唾液

  木の葉も

だから飛沫

   ぬれ

 裂けた舌

  ぬれ

色もない

   木の葉

 酸性の唾液

  ぬれた

だから飛沫


   綺羅らきら

 あなたの牙

  にぶく

それら

   綺羅らん

 黃いろい牙

  綺羅らん

沙羅、ほら

   にぶく

 ぬれた牙

  綺羅めき

雨だよ







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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