流波 rūpa ……詩と小説022・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十三偈の伽多//匂う?/沙羅、匂い/匂う?/その匂い


匂う?

沙羅、匂い

匂う?

その匂い


沙羅、それは

それがイノチ

沙羅、それは

それらはイノチ


指先に

沙羅、その指先に

すくう

匂う?沙羅


匂う?

沙羅その

匂う?

その匂い


沙羅、だれも

だれももう

沙羅、だれも

だれもがもう


指先に

沙羅、匂う?

錆。鐵の

匂う?沙羅


匂う?

沙羅その

匂う?

その匂い


沙羅、紅の

鈍い紅

沙羅、鈍色の

赤い鈍色


指先に

沙羅、腐った錆

錆の腐乱

匂う?沙羅


匂う?

沙羅その

匂う?

その匂い


沙羅、それは

それがイノチ

沙羅、それは

それらはイノチ


だから

沙羅、いま立ち去った

だからいま

だれもが、沙羅


言葉さえ

沙羅、最後の言葉?

だれもがもう、沙羅

だれもがいま



〇1

きれいだろう

その色

濃い紅の


飛び散るままに

好き放題に

飛び散るままに


だから雨がふる

下から上に

上から下に


きれいだろう

その眞紅

さわぐ色彩


轟音のように

好き放題に

罅われそうに


赤い雨がふる

下から上に

上から下に


きれいだろう

色彩の乱舞

その横溢


誰れ?いま

笑ったの誰れ?いま

ほくそ笑んだの



〇2

咬んじゃえ

ちぎれ

噛みちぎっちゃえ


舐めて

すすって

吐き捨てて


咬んじゃえ

碎け

咬み碎いちゃえ


舌にころがし

口にころがし

鼻に吹き出し


もう、ほら

ぐっちゃくちゃ

いま、ほら



●二聲の伽多

匂う?

 きれいだろう

沙羅、匂い

 その色

匂う?

 濃い紅の

その匂い


沙羅、それは

 飛び散るままに

それがイノチ

 好き放題に

沙羅、それは

 飛び散るままに

それらはイノチ


指先に

 だから雨がふる

沙羅、その指先に

 下から上に

すくう

 上から下に

匂う?沙羅


匂う?

 きれいだろう

沙羅その

 その眞紅

匂う?

 さわぐ色彩

その匂い


沙羅、だれも

 轟音のように

だれももう

 好き放題に

沙羅、だれも

 罅われそうに

だれもがもう


指先に

 赤い雨がふる

沙羅、匂う?

 下から上に

錆。鐵の

 上から下に

匂う?沙羅


匂う?

 きれいだろう

沙羅その

 色彩の乱舞

匂う?

 その横溢

その匂い


沙羅、紅の

 誰れ?いま

鈍い紅

 笑ったの誰れ?いま

沙羅、鈍色の

 ほくそ笑んだの

赤い鈍色


指先に

 その横溢

沙羅、腐った錆

 色彩の乱舞

錆の腐乱

 きれいだろう

匂う?沙羅


匂う?

 上から下に

沙羅その

 下から上に

匂う?

 赤い雨がふる

その匂い


沙羅、それは

 罅われそうに

それがイノチ

 好き放題に

沙羅、それは

 轟音のように

それらはイノチ


だから

 さわぐ色彩

沙羅、いま立ち去った

 その眞紅

だからいま

 きれいだろう

だれもが、沙羅


言葉さえ

 上から下に

沙羅、最後の言葉?

 下から上に

だれもがもう、沙羅

 だから雨がふる

だれもがいま



●四聲の伽多

匂う?

   咬んじゃえ

 きれいだろう

  噛みちぎっちゃえ

沙羅、匂い

   ちぎれ

 その色

  ちぎれ

匂う?

   噛みちぎっちゃえ

 濃い紅の

  咬んじゃえ

その匂い


沙羅、それは

   舐めて

 飛び散るままに

  吐き捨てて

それがイノチ

   すすって

 好き放題に

  すすって

沙羅、それは

   吐き捨てて

 飛び散るままに

  舐めて

それらはイノチ


指先に

   咬んじゃえ

 だから雨がふる

  咬み碎いちゃえ

沙羅、その指先に

   碎け

 下から上に

  碎け

すくう

   咬み碎いちゃえ

 上から下に

  咬んじゃえ

匂う?沙羅


匂う?

   舌にころがし

 きれいだろう

  鼻に吹き出し

沙羅その

   口にころがし

 その眞紅

  口にころがし

匂う?

   鼻に吹き出し

 さわぐ色彩

  舌にころがし

その匂い


沙羅、だれも

   もう、ほら

 轟音のように

  いま、ほら

だれももう

   ぐっちゃくちゃ

 好き放題に

  ぐっちゃくちゃ

沙羅、だれも

   いま、ほら

 罅われそうに

  もう、ほら

だれもがもう


指先に

   鼻に吹き出し

 赤い雨がふる

  舌にころがし

沙羅、匂う?

   口にころがし

 下から上に

  口にころがし

錆。鐵の

   舌にころがし

 上から下に

  鼻に吹き出し

匂う?沙羅


匂う?

   咬み碎いちゃえ

 きれいだろう

  咬んじゃえ

沙羅その

   碎け

 色彩の乱舞

  碎け

匂う?

   咬んじゃえ

 その横溢

  咬み碎いちゃえ

その匂い


沙羅、紅の

   吐き捨てて

 誰れ?いま

  舐めて

鈍い紅

   すすって

 笑ったの誰れ?いま

  すすって

沙羅、鈍色の

   舐めて

 ほくそ笑んだの

  吐き捨てて

赤い鈍色


指先に

   噛みちぎっちゃえ

 その横溢

  咬んじゃえ

沙羅、腐った錆

   ちぎれ

 色彩の乱舞

  ちぎれ

錆の腐乱

   咬んじゃえ

 きれいだろう

  噛みちぎっちゃえ

匂う?沙羅


匂う?

   咬んじゃえ

 上から下に

  噛みちぎっちゃえ

沙羅その

   ちぎれ

 下から上に

  ちぎれ

匂う?

   噛みちぎっちゃえ

 赤い雨がふる

  咬んじゃえ

その匂い


沙羅、それは

   舐めて

 罅われそうに

  吐き捨てて

それがイノチ

   すすって

 好き放題に

  すすって

沙羅、それは

   吐き捨てて

 轟音のように

  舐めて

それらはイノチ


だから

   咬んじゃえ

 さわぐ色彩

  咬み碎いちゃえ

沙羅、いま立ち去った

   碎け

 その眞紅

  碎け

だからいま

   咬み碎いちゃえ

 きれいだろう

  咬んじゃえ

だれもが、沙羅


言葉さえ

   舌にころがし

 上から下に

  鼻に吹き出し

沙羅、最後の言葉?

   口にころがし

 下から上に

  口にころがし

だれもがもう、沙羅

   鼻に吹き出し

 だから雨がふる

  舌にころがし

だれもがいま






Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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