流波 rūpa ……詩と小説021・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



二十一偈の伽多//散る。沙羅/だから沙羅/見る。沙羅/その翳りの群れ


散る。沙羅

だから沙羅

見る。沙羅

その翳りの群れ


散る。沙羅

だから沙羅

見る。沙羅

その光りの群れ


庭に

沙羅、その庭に

沙羅、日差しを浴びた

その庭に


沙羅

色彩の群れ

沙羅、日差しを隱す

その庭に


光りの

翳り、それは

沙羅、だから

光蝕


光りの

翳り、あざやかに

沙羅、それら

光蝕


沙羅

隱されの群れ

沙羅、日差しを掩う

その庭に


庭に

沙羅、その庭に

沙羅、庭を浴びた

その光り


散る。沙羅

だから沙羅

見る。沙羅

その光りの群れ


散る。沙羅

だから沙羅

見る。沙羅

その翳りの群れ


目ふっとんだ

目ふっとんだ


その翳りの群れ

見る。沙羅

だから沙羅

散る。沙羅


その光りの群れ

見る。沙羅

だから沙羅

散る。沙羅


その光り

沙羅、庭を浴びた

沙羅、その庭に

庭に


その庭に

沙羅、日差しを掩う

隱されの群れ

沙羅


光蝕

沙羅、それら

翳り、あざやかに

光りの


光蝕

沙羅、だから

翳り、それは

光りの


その庭に

沙羅、日差しを隱す

色彩の群れ

沙羅


その庭に

沙羅、日差しを浴びた

沙羅、その庭に

庭に


その光りの群れ

見る。沙羅

だから沙羅

散る。沙羅


その翳りの群れ

見る。沙羅

だから沙羅

散る。沙羅



〇1

さかだつのは

そのうぶ毛

何故?


さわぎだすのは

痛む鳥肌

何故?


散らばったのは

やさしい息吹き

見い出すすべて


散らばったのは

ひしゃげた心

気遣いあう


ひそめた聲で

ひそひそ話し

まばたくうちにも


ささやく聲で

つぶやきあって

醒めた須臾にも


不意の失神に

ひびきつづけた

聲の群れ


散らばったのは

何度目かの失神

その心


立ったまま

みんな笑むから

立ったまま


すべて燃やして

影も肉体も

肉体も心も


まばたいたの誰れ?

今まばたいた

まばたいたの誰れ?



〇2

ひっくりかえって

のけぞって

えびぞりになって


歯頚に触手

わさわさ足たち

九十九の


這う女

息をひそめて

這う女


豊満なからだ

純な顏

甘い聲


完璧な額

完璧な眉

完璧なまぶた


後ろ手に跳ねて

肛門に触手

土にもぐって


ヒトのふり

啼く

化もののふり


這う女

完璧な啼き聲

這う女


射精した

耳の孔に陥没させた男性性器に

匂う白濁を撒き散らす


受胎さす

顎の先に突起させた女性性器に

匂う白濁を撒き散らす


こぼす

淚のように羊水を

あふれさす



●二聲の伽多

散る。沙羅

 さかだつのは

だから沙羅

 そのうぶ毛

見る。沙羅

 何故?

その翳りの群れ


散る。沙羅

 さわぎだすのは

だから沙羅

 痛む鳥肌

見る。沙羅

 何故?

その光りの群れ


庭に

 散らばったのは

沙羅、その庭に

 やさしい息吹き

沙羅、日差しを浴びた

 見い出すすべて

その庭に


沙羅

 散らばったのは

色彩の群れ

 ひしゃげた心

沙羅、日差しを隱す

 気遣いあう

その庭に


光りの

 ひそめた聲で

翳り、それは

 ひそひそ話し

沙羅、だから

 まばたくうちにも

光蝕


光りの

 ささやく聲で

翳り、あざやかに

 つぶやきあって

沙羅、それら

 醒めた須臾にも

光蝕


沙羅

 不意の失神に

隱されの群れ

 ひびきつづけた

沙羅、日差しを掩う

 聲の群れ

その庭に


庭に

 散らばったのは

沙羅、その庭に

 何度目かの失神

沙羅、庭を浴びた

 その心

その光り


散る。沙羅

 立ったまま

だから沙羅

 みんな笑むから

見る。沙羅

 立ったまま

その光りの群れ


散る。沙羅

 すべて燃やして

だから沙羅

 影も肉体も

見る。沙羅

 肉体も心も

その翳りの群れ


目ふっとんだ

 まばたいたの誰れ?

 今まばたいた

 まばたいたの誰れ?

目ふっとんだ


その翳りの群れ

 肉体も心も

見る。沙羅

 影も肉体も

だから沙羅

 すべて燃やして

散る。沙羅


その光りの群れ

 立ったまま

見る。沙羅

 みんな笑むから

だから沙羅

 立ったまま

散る。沙羅


その光り

 その心

沙羅、庭を浴びた

 何度目かの失神

沙羅、その庭に

 散らばったのは

庭に


その庭に

 聲の群れ

沙羅、日差しを掩う

 ひびきつづけた

隱されの群れ

 不意の失神に

沙羅


光蝕

 醒めた須臾にも

沙羅、それら

 つぶやきあって

翳り、あざやかに

 ささやく聲で

光りの


光蝕

 まばたくうちにも

沙羅、だから

 ひそひそ話し

翳り、それは

 ひそめた聲で

光りの


その庭に

 気遣いあう

沙羅、日差しを隱す

 ひしゃげた心

色彩の群れ

 散らばったのは

沙羅


その庭に

 見い出すすべて

沙羅、日差しを浴びた

 やさしい息吹き

沙羅、その庭に

 散らばったのは

庭に


その光りの群れ

 何故?

見る。沙羅

 痛む鳥肌

だから沙羅

 さわぎだすのは

散る。沙羅


その翳りの群れ

 何故?

見る。沙羅

 そのうぶ毛

だから沙羅

 さかだつのは

散る。沙羅



●四聲の伽多

散る。沙羅

   ひっくりかえって

 さかだつのは

  えびぞりになって

だから沙羅

   のけぞって

 そのうぶ毛

  のけぞって

見る。沙羅

   えびぞりになって

 何故?

  ひっくりかえって

その翳りの群れ


散る。沙羅

   歯頚に触手

 さわぎだすのは

  九十九の

だから沙羅

   わさわさ足たち

 痛む鳥肌

  わさわさ足たち

見る。沙羅

   九十九の

 何故?

  歯頚に触手

その光りの群れ


庭に

   這う女

 散らばったのは

  這う女

沙羅、その庭に

   息をひそめて

 やさしい息吹き

  息をひそめて

沙羅、日差しを浴びた

   這う女

 見い出すすべて

  這う女

その庭に


沙羅

   豊満なからだ

 散らばったのは

  豊満なからだ

色彩の群れ

   純な顏

 ひしゃげた心

  純な顏

沙羅、日差しを隱す

   甘い聲

 気遣いあう

  豊満なからだ

その庭に


光りの

   完璧な額

 ひそめた聲で

  完璧なまぶた

翳り、それは

   完璧な眉

 ひそひそ話し

  完璧な眉

沙羅、だから

   完璧なまぶた

 まばたくうちにも

  完璧な額

光蝕


光りの

   後ろ手に跳ねて

 ささやく聲で

  土にもぐって

翳り、あざやかに

   肛門に触手

 つぶやきあって

  肛門に触手

沙羅、それら

   土にもぐって

 醒めた須臾にも

  後ろ手に跳ねて

光蝕


沙羅

   ヒトのふり

 不意の失神に

  化もののふり

隱されの群れ

   啼く

 ひびきつづけた

  啼く

沙羅、日差しを掩う

   化ものふり

 聲の群れ

  ヒトのふり

その庭に


庭に

   這う女

 散らばったのは

  這う女

沙羅、その庭に

   完璧な啼き聲

 何度目かの失神

  完璧な啼き聲

沙羅、庭を浴びた

   這う女

 その心

  這う女

その光り


散る。沙羅

   射精した

 立ったまま

  匂う白濁を撒き散らす

だから沙羅

   耳の孔に突き出した男性性器に

 みんな笑むから

  耳の孔に突き出した男性性器に

見る。沙羅

   匂う白濁を撒き散らす

 立ったまま

  射精した

その光りの群れ


散る。沙羅

   受胎した

 すべて燃やして

  匂う白濁を撒き散らす

だから沙羅

   顎の先に突起させた女性性器に

 影も肉体も

  顎の先に突起させた女性性器に

見る。沙羅

   匂う白濁を撒き散らす

 肉体も心も

  受胎した

その翳りの群れ


目ふっとんだ

   こぼす

 まばたいたの誰れ?

  あふれさす

   淚のように羊水を

 今まばたいた

  淚のように羊水を

   あふれさす

 まばたいたの誰れ?

  こぼす

目ふっとんだ


その翳りの群れ

   匂う白濁を撒き散らす

 肉体も心も

  受胎さす

見る。沙羅

   顎の先に突起させた女性性器に

 影も肉体も

  顎の先に突起させた女性性器に

だから沙羅

   受胎さす

 すべて燃やして

  匂う白濁を撒き散らす

散る。沙羅


その光りの群れ

   匂う白濁を撒き散らす

 立ったまま

  射精した

見る。沙羅

   耳の孔に陥没させた男性性器に

 みんな笑むから

  耳の孔に陥没させた男性性器に

だから沙羅

   射精した

 立ったまま

  匂う白濁を撒き散らす

散る。沙羅


その光り

   這う女

 その心

  這う女

沙羅、庭を浴びた

   完璧な啼き聲

 何度目かの失神

  完璧な啼き聲

沙羅、その庭に

   這う女

 散らばったのは

  這う女

庭に


その庭に

   化もののふり

 聲の群れ

  ヒトのふり

沙羅、日差しを掩う

   啼く

 ひびきつづけた

  啼く

隱されの群れ

   ヒトのふり

 不意の失神に

  化もののふり

沙羅


光蝕

   土にもぐって

 醒めた須臾にも

  後ろ手に跳ねて

沙羅、それら

   肛門に触手

 つぶやきあって

  肛門に触手

翳り、あざやかに

   後ろ手に跳ねて

 ささやく聲で

  土にもぐって

光りの


光蝕

   完璧なまぶた

 まばたくうちにも

  完璧な額

沙羅、だから

   完璧な眉

 ひそひそ話し

  完璧な眉

翳り、それは

   完璧な額

 ひそめた聲で

  完璧なまぶた

光りの


その庭に

   甘い聲

 気遣いあう

  豊満なからだ

沙羅、日差しを隱す

   純な顏

 ひしゃげた心

  純な顏

色彩の群れ

   豊満なからだ

 散らばったのは

  甘い聲

沙羅


その庭に

   這う女

 見い出すすべて

  這う女

沙羅、日差しを浴びた

   息をひそめて

 やさしい息吹き

  息をひそめて

沙羅、その庭に

   這う女

 散らばったのは

  這う女

庭に


その光りの群れ

   九十九の

 何故?

  歯頚に触手

見る。沙羅

   わさわさ足たち

 痛む鳥肌

  わさわさ足たち

だから沙羅

   歯頚に触手

 さわぎだすのは

  九十九の

散る。沙羅


その翳りの群れ

   えびぞりになって

 何故?

  ひっくりかえって

見る。沙羅

   のけぞって

 そのうぶ毛

  のけぞって

だから沙羅

   ひっくりかえって

 さかだつのは

  のけぞって

散る。沙羅








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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