流波 rūpa ……詩と小説020・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



二十三偈の伽多//あざやかな?…何が?/沙羅、その色彩/沙羅、それ/震えて

あざやかな?…何が?

沙羅、その色彩

沙羅、それ

震えて


謎めいた?…何が?

沙羅、その色彩

沙羅、それ

ふるえて


沙羅、ほら

翅の色、沙羅

はばたき、蝶

蝶らの夏


沙羅、すでに

あざやかでさえ

沙羅、すでに

謎さえも


わずかな謎さえ

あなたは、沙羅

見はしなかった

その色も


沙羅、その

ふるえ、沙羅

見はしなかった

その謎も


あざやかな?

沙羅、その色彩

沙羅、それ

ふるえて


謎めいた?

沙羅、その色彩

沙羅、それ

ふるえて


沙羅、ほら

気配たち、沙羅

はばたきの、沙羅

はばたきの夏


沙羅、すでに

虹彩は

沙羅、すでに

その虹彩は


滅びていた

あなたは、沙羅

見はしなかった

いかなる色も


その眼差しは

あなたは、沙羅

見はしなかった

いかなる謎も


いかなるあらわれも

見はしなかった

あなたは、沙羅

その眼差しは


その虹彩は

沙羅、すでに

虹彩は

沙羅、すでに


はばたきの夏

はばたきの、沙羅

気配たち、沙羅

沙羅、ほら


ふるえて

沙羅、それ

沙羅、その色彩

謎めいた?


ふるえて

沙羅、それ

沙羅、その色彩

あざやかな?


その謎も

見はしなかった

ふるえ、沙羅

いま、その


その色も

見はしなかった

あなたは、沙羅

わずかな謎さえ


謎さえも

沙羅、すでに

あざやかでさえ

沙羅、すでに


蝶らの夏

はばたき、蝶

翅の色、沙羅

いま、ほら


ふるえて

沙羅、それ

沙羅、その色彩

謎めいた?…何が?


ふるえて

沙羅、それ

沙羅、その色彩

あざやかな?…何が?



〇1

融けていたのだった

もう

飲み込まれるように


消え失せていたのだった

もう

孕み込まれるように


何が?

その老婆は

何故?


融けるように

消え去るように

立ち去っていたから


何に?

その踏んでいた影に

何故?


眼差しに

見えたから

そんなふうに


どこへ?

どこへ行ったの?

どこへ?


立ち去ったから

どこかへ

たぶん


もういないから

もうないから

その影さえも


見ていたのは

だから笑うふとっちょ

にらみつける目で


下痢するよ

花を喰ったら

お前は


吐き出すよ

種子と蕊

花粉さえも


つぶやく

ふとっちょは

叫ぶ聲で


ややうしろに

沈むように

傾いたままで


糞撒き散らした?

お前はいま

糞飛び散らした?


見ろよ。咲いたよ

お前の口に

いっぱいの花


赤には青が

青には白が

白には錆色が


咬みついてるだろ?

噛みちぎったろ?

お前のせいだろ?


虹見ろよ

かかった虹を

お前の額にだけ


ほら、吐瀉液の

舞い散るその

周辺に


七百色の虹

見ろよ

七千色の虹


ふれた。いま

お前の眼玉が繁茂した蔦

虹に


笑んでいたのは

ふとっちょ

にみつけるように



〇2

くらくなったり

ね?

あかるくなったり


てかったり

ね?

かげったり


雲のせい

蜘蛛?

やさしい蜘蛛の


雲のせい

蜘蛛?

たなびく蜘蛛の


雲のせい

蜘蛛?

ながれる蜘蛛の


雲のせい

蜘蛛?

ちぎれる蜘蛛の


雲のせい

蜘蛛?

うっすら蜘蛛の


埀れて

ゆらゆら

きらきら


埀直に?

ややまがり?

纔かな傾斜?


それは糸

蜘蛛は

白い綺羅


肛門の糸

ゆららきらきら

肛門の綺羅


飛ぶよ

きらゆら

飛ぶよ



●二聲の伽多

あざやかな?…何が?

 融けていたのだった

沙羅、その色彩

 もう

沙羅、それ

 飲み込まれるように

ふるえて


謎めいた?

 消え失せていたのだった

沙羅、その色彩

 もう

沙羅、それ

 孕み込まれるように

ふるえて


沙羅、ほら

 何が?

翅の色、沙羅

 その老婆は

はばたき、蝶

 何故?

蝶らの夏


沙羅、すでに

 融けるように

あざやかでさえ

 消え去るように

沙羅、すでに

 立ち去っていたから

謎さえも


わずかな謎さえ

 何に?

あなたは、沙羅

 その踏んでいた影に

見はしなかった

 何故?

その色も


沙羅、その

 眼差しに

ふるえ、沙羅

 見えたから

見はしなかった

 そんなふうに

その謎も


あざやかな?

 どこへ?

沙羅、その色彩

 どこへ行ったの?

沙羅、それ

 どこへ?

ふるえて


謎めいた?

 立ち去ったから

沙羅、その色彩

 どこかへ

沙羅、それ

 たぶん

ふるえて


沙羅、ほら

 もういないから

気配たち、沙羅

 もうないから

はばたきの、沙羅

 その影さえも

はばたきの夏


沙羅、すでに

 見ていたのは

虹彩は

 だから笑うふとっちょ

沙羅、すでに

 にらみつける目で

その虹彩は


滅びていた

 下痢するよ

あなたは、沙羅

 花を喰ったら

見はしなかった

 お前は

いかなる色も


その眼差しは

 吐き出すよ

あなたは、沙羅

 種子と蕊

見はしなかった

 花粉さえも

いかなる謎も


いかなるあらわれも

 つぶやく

見はしなかった

 ふとっちょは

あなたは、沙羅

 叫ぶ聲で

その眼差しは


その虹彩は

 ややうしろに

沙羅、すでに

 沈むように

虹彩は

 傾いたままで

沙羅、すでに


はばたきの夏

 糞撒き散らした?

はばたきの、沙羅

 お前はいま

気配たち、沙羅

 糞飛び散らした?

沙羅、ほら


ふるえて

 見ろよ。咲いたよ

沙羅、それ

 お前の口に

沙羅、その色彩

 いっぱいの花

謎めいた?


ふるえて

 赤には青が

沙羅、それ

 青には白が

沙羅、その色彩

 白には錆色が

あざやかな?


その謎も

 咬みついてるだろ?

見はしなかった

 噛みちぎったろ?

ふるえ、沙羅

 お前のせいだろ?

いま、その


その色も

 虹見ろよ

見はしなかった

 かかった虹を

あなたは、沙羅

 お前の額にだけ

わずかな謎さえ


謎さえも

 ほら、吐瀉液の

沙羅、すでに

 舞い散るその

あざやかでさえ

 周辺に

沙羅、すでに


蝶らの夏

 七百色の虹

はばたき、蝶

 見ろよ

翅の色、沙羅

 七千色の虹

いま、ほら


ふるえて

 ふれた。いま

沙羅、それ

 お前の眼玉が繁茂した蔦

沙羅、その色彩

 虹に

謎めいた?…何が?


ふるえて

 笑んでいたのは

沙羅、それ

 ふとっちょ

沙羅、その色彩

 にみつけるように

あざやかな?…何が?



●四聲の伽多

あざやかな?…何が?

   くらくなったり

 融けていたのだった

  あかるくなったり

沙羅、その色彩

   ね?

 もう

  ね?

沙羅、それ

   あかるくなったり

 飲み込まれるように

  くらくなったり

ふるえて


謎めいた?

   てかったり

 消え失せていたのだった

  かげったり

沙羅、その色彩

   ね?

 もう

  ね?

沙羅、それ

   かげったり

 孕み込まれるように

  てかったり

ふるえて


沙羅、ほら

   雲のせい

 何が?

  やさしい蜘蛛の

翅の色、沙羅

   蜘蛛?

 その老婆は

  蜘蛛?

はばたき、蝶

   やさしい蜘蛛の

 何故?

  雲のせい

蝶らの夏


沙羅、すでに

   雲のせい

 融けるように

  たなびく蜘蛛の

あざやかでさえ

   蜘蛛?

 消え去るように

  蜘蛛?

沙羅、すでに

   たなびく蜘蛛の

 立ち去っていたから

  雲のせい

謎さえも


わずかな謎さえ

   雲のせい

 何に?

  ながれる蜘蛛の

あなたは、沙羅

   蜘蛛?

 その踏んでいた影に

  蜘蛛?

見はしなかった

   ながれる蜘蛛の

 何故?

  雲のせい

その色も


沙羅、その

   雲のせい

 眼差しに

  ちぎる蜘蛛の

ふるえ、沙羅

   蜘蛛?

 見えたから

  蜘蛛?

見はしなかった

   ちぎれる蜘蛛の

 そんなふうに

  雲のせい

その謎も


あざやかな?

   雲のせい

 どこへ?

  うっすら蜘蛛の

沙羅、その色彩

   蜘蛛?

 どこへ行ったの?

  蜘蛛

沙羅、それ

   うっすら蜘蛛の

 どこへ?

  雲のせい

ふるえて


謎めいた?

   埀れて

 立ち去ったから

  きらきら

沙羅、その色彩

   ゆらゆら

 どこかへ

  ゆらゆら

沙羅、それ

   きらきら

 たぶん

  埀れて

ふるえて


沙羅、ほら

   埀直に?

 もういないから

  纔かな傾斜?

気配たち、沙羅

   ややまがり?

 もうないから

  ややまがり?

はばたきの、沙羅

   纔かな傾斜?

 その影さえも

  埀直に?

はばたきの夏


沙羅、すでに

   それは糸

 見ていたのは

  白い綺羅

虹彩は

   蜘蛛は

 だから笑うふとっちょ

  蜘蛛は

沙羅、すでに

   白い綺羅

 にらみつける目で

  それは糸

その虹彩は


滅びていた

   肛門の糸

 下痢するよ

  肛門の綺羅

あなたは、沙羅

   ゆららきらきら

 花を喰ったら

  ゆららきらきら

見はしなかった

   肛門の綺羅

 お前は

  肛門の糸

いかなる色も


その眼差しは

   飛ぶよ

 吐き出すよ

  飛ぶよ

あなたは、沙羅

   きらゆら

 種子と蕊

  きらゆら

見はしなかった

   飛ぶよ

 花粉さえも

  飛ぶよ

いかなる謎も


いかなるあらわれも

   肛門の綺羅

 つぶやく

  肛門の糸

見はしなかった

   ゆららきらきら

 ふとっちょは

  ゆららきらきら

あなたは、沙羅

   肛門の糸

 叫ぶ聲で

  肛門の綺羅

その眼差しは


その虹彩は

   白い綺羅

 ややうしろに

  それは糸

沙羅、すでに

   蜘蛛は

 沈むように

  蜘蛛は

虹彩は

   それは糸

 傾いたままで

  白い綺羅

沙羅、すでに


はばたきの夏

   纔かな傾斜?

 糞撒き散らした?

  埀直に?

はばたきの、沙羅

   ややまがり?

 お前はいま

  ややまがり?

気配たち、沙羅

   埀直に?

 糞飛び散らした?

  纔かな傾斜?

沙羅、ほら


ふるえて

   きらきら

 見ろよ。咲いたよ

  埀れて

沙羅、それ

   ゆらゆら

 お前の口に

  ゆらゆら

沙羅、その色彩

   埀れて

 いっぱいの花

  きらきら

謎めいた?


ふるえて

   うっすら蜘蛛の

 赤には青が

  雲のせい

沙羅、それ

   蜘蛛?

 青には白が

  蜘蛛?

沙羅、その色彩

   雲のせい

 白には錆色が

  うっすら蜘蛛の

あざやかな?


その謎も

   ちぎれる蜘蛛の

 咬みついてるだろ?

  雲のせい

見はしなかった

   蜘蛛?

 噛みちぎったろ?

  蜘蛛?

ふるえ、沙羅

   雲のせい

 お前のせいだろ?

  ちぎれる蜘蛛の

いま、その


その色も

   ながれる蜘蛛の

 虹見ろよ

  雲のせい

見はしなかった

   蜘蛛?

 かかった虹を

  蜘蛛?

あなたは、沙羅

   雲のせい

 お前の額にだけ

  ながれる蜘蛛の

わずかな謎さえ


謎さえも

   たなびく蜘蛛の

 ほら、吐瀉液の

  雲のせい

沙羅、すでに

   蜘蛛?

 舞い散るその

  蜘蛛?

あざやかでさえ

   雲のせい

 周辺に

  たなびく蜘蛛の

沙羅、すでに


蝶らの夏

   やさしい蜘蛛の

 七百色の虹

  雲のせい

はばたき、蝶

   蜘蛛?

 見ろよ

  蜘蛛?

翅の色、沙羅

   雲のせい

 七千色の虹

  やさしい蜘蛛の

いま、ほら


ふるえて

   かげったり

 ふれた。いま

  てかったり

沙羅、それ

   ね?

 お前の眼玉が繁茂した蔦

  ね?

沙羅、その色彩

   てかったり

 虹に

  かげったり

謎めいた?…何が?


ふるえて

   あかるくなったり

 笑んでいたのは

  くらくなったり

沙羅、それ

   ね?

 ふとっちょ

  ね?

沙羅、その色彩

   くらくなったり

 にみつけるように

  あかるくなったり

あざやかな?…何が?







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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