流波 rūpa ……詩と小説016・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



七偈の伽多//さらさらと沙羅/色彩のはじく/さらさらと/響き


さらさらと沙羅

色彩のはじく

さらさらと

響き


燦燦と沙羅

日差しの中に

舞い散るそれら

色彩


さらさらと沙羅

色彩のはじく

さらさらと

響き


もうすぐ沙羅

風がやむ

風がやむ

もうすぐ沙羅


響き

さらさらと

色彩のはじく

さらさらと沙羅


色彩

舞い散るそれら

日差しの中に

燦燦と沙羅


響き

さらさらと

色彩のはじく

さらさらと沙羅



〇1

そのふとっちょは

不意に目を剝く

茫然と


だから痴呆

するどい眼をした

にらみつける


そのふとっちょは

失神した

わめきながら


お前のせいだよ

地面が熱いよ

お前のせいだよ



〇2

昏い目

あなたは

いま


慣れ切ってしまったかのような

ことごとくの悲惨に

あたかも


軽蔑の色

いたましいほど

その目は


なにも見はしなかった

ほら孔だから

なにも見はしなかった


その目は

いたましいほど

軽蔑の色


あたかも

ことごとくの悲惨に

慣れ切ってしまったかのような


いま

あなたは

昏い目



●二聲の伽多

さらさらと沙羅

 そのふとっちょは

色彩のはじく

 不意に目を剝く

さらさらと

 茫然と

響き


燦燦と沙羅

 だから痴呆

日差しの中に

 するどいを眼をした

舞い散るそれら

 にらみつける

色彩


さらさらと沙羅

 そのふっちょは

色彩のはじく

 失神した

さらさらと

 わめきながら

響き


もうすぐ沙羅

 お前のせいだよ

風がやむ

 地面が熱いよ

風がやむ

 お前のせいだよ

もうすぐ沙羅


響き

 わめきながら

さらさらと

 失神した

色彩のはじく

 そのふとっちょは

さらさらと沙羅


色彩

 にらみつける

舞い散るそれら

 するどい眼をした

日差しの中に

 だから痴呆

燦燦と沙羅


響き

 茫然と

さらさらと

 不意に目を剝く

色彩のはじく

 そのふとっちょは

さらさらと沙羅



●四聲の伽多

さらさらと沙羅

   昏い目

 そのふとっちょは

  いま

色彩のはじく

   あなたは

 不意に目を剝く

  あなたは

さらさらと

   いま

 茫然と

  昏い目

響き


燦燦と沙羅

   慣れ切ってしまったかのような

 だから痴呆

日差しの中に

   ことごくの悲惨に

 するどいを眼をした

舞い散るそれら

   あたかも

 にらみつける

色彩


さらさらと沙羅

   軽蔑の色

 そのふっちょは

  その目は

色彩のはじく

   いまたしいほど

 失神した

  いたましいほど

さらさらと

   その目は

 わめきながら

  軽蔑の色

響き


もうすぐ沙羅

   なにも見はしなかった

 お前のせいだよ

  なにも

風がやむ

   ほら孔だから

 地面が熱いよ

  ほら孔だから

風がやむ

   なにも

 お前のせいだよ

  なにも見はしなかった

もうすぐ沙羅


響き

   その目は

 わめきながら

  軽蔑の色

さらさらと

   いたましいほど

 失神した

  いたましいほど

色彩のはじく

   軽蔑の色

 そのふとっちょは

  その目は

さらさらと沙羅


色彩

   あたかも

 にらみつける

  慣れ切ってしまったかのような

舞い散るそれら

   ことごとくの悲惨に

 するどい眼をした

  ことごとくの悲惨に

日差しの中に

   慣れ切ってしまったかのような

 だから痴呆

  あたかも

燦燦と沙羅


響き

   いま

 茫然と

  昏い目

さらさらと

   あなたは

 不意に目を剝く

  あなたは

色彩のはじく

   昏い目

 そのふとっちょは

  いま

さらさらと沙羅






Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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