流波 rūpa ……詩と小説014・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十二偈の伽多//沙羅。ほほ笑み/ブーゲンビリアの/花の翳りに/沙羅、その


沙羅。ほほ笑み

ブーゲンビリアの

花の翳りに

沙羅、その


沙羅。ほほ笑み

ブーゲンビリアの

花の火照りに

沙羅、その


沙羅。ほほ笑み

ブーゲンビリアの

花の色の下

沙羅、その


沙羅。色づく葉

花のように

色づいた葉ら

擬態ら。沙羅


わたしは擬態

わたしが擬態

イノチを擬態

花さえ擬態


咲くさえ擬態

散るさえ擬態

沙羅さえ擬態

擬態の沙羅の


沙羅の擬態の

沙羅さえ擬態

散るさえ擬態

咲くさえ擬態


花さえ擬態

イノチを擬態

わたしが擬態

わたしは擬態


擬態ら。沙羅

色づいた葉ら

花のように

沙羅。色づく葉


沙羅、その

花の色の下

ブーゲンビリアの

沙羅。ほほ笑み


沙羅、その

花の火照りに

ブーゲンビリアの

沙羅。ほほ笑み


沙羅、その

花の翳りに

ブーゲンビリアの

沙羅。ほほ笑み



〇1

誰?

聞いていた

聲を


なに?

ひびいていた

女の聲


莫迦?

でぶで、狂った


褐色の女は

ゆらした

肉のぶよつきを


盗みに來たろ?

盗まれたあとに

盗みに來たろ?


笑えばいいよ

沙羅、壞れもの

彼女は屑


糞まみれの豚

沙羅、壞れもの

屠殺しちゃう?


奪いに來たろ?

もう奪われたよ

奪いに來たろ?


肉のぶよつきを

ゆらした

褐色の女は


でぶで、狂った

莫迦?


女の聲

ひびいていた

なに?


聲を

聞いていた

誰?



〇2

しばって

火をつけ

燃やしたら?


目つぶし

猿轡咬ませ

吊るしたら?


小指折り

爪はぎ

舌抜けば?


存在価値なし

生きる価値なし

なすすべもない


知ってる?

あなたこそ

ただの間違い


知ってる?

あなただけが

この世界の恥辱


この世界の恥辱

あなただけが

知ってる?


ただの間違い

あなたこそ

知ってる?


なすすべもない

生きる価値なし

存在価値なし


舌抜けば?

爪はぎ

小指折り


吊るしたら?

猿轡咬ませ

目つぶし


燃やしたら?

火をつけ

しばって



●二聲の伽多

沙羅。ほほ笑み

 誰?

ブーゲンビリアの

 聞いていた

花の翳りに

 聲を

沙羅、その


沙羅。ほほ笑み

 なに?

ブーゲンビリアの

 ひびいていた

花の火照りに

 女の聲

沙羅、その


沙羅。ほほ笑み

 莫迦?

ブーゲンビリアの

 でぶで、狂った

花の色の下

 女

沙羅、その


沙羅。色づく葉

 褐色の女は

花のように

 ゆらした

色づいた葉ら

 肉のぶよつきを

擬態ら。沙羅


わたしは擬態

 盗みに來たろ?

わたしが擬態

 盗まれたあとに

イノチを擬態

 盗みに來たろ?

花さえ擬態


咲くさえ擬態

 笑えばいいよ

散るさえ擬態

 沙羅、壞れもの

沙羅さえ擬態

 彼女は屑

擬態の沙羅の


沙羅の擬態の

 糞まみれの豚

沙羅さえ擬態

 沙羅、壞れもの

散るさえ擬態

 屠殺しちゃう?

咲くさえ擬態


花さえ擬態

 奪いに來たろ?

イノチを擬態

 もう奪われたよ

わたしが擬態

 奪いに來たろ?

わたしは擬態


擬態ら。沙羅

 肉のぶよつきを

色づいた葉ら

 ゆらした

花のように

 褐色の女は

沙羅。色づく葉


沙羅、その

 女

花の色の下

 でぶで、狂った

ブーゲンビリアの

 莫迦?

沙羅。ほほ笑み


沙羅、その

 女の聲

花の火照りに

 ひびいていた

ブーゲンビリアの

 なに?

沙羅。ほほ笑み


沙羅、その

 聲を

花の翳りに

 聞いていた

ブーゲンビリアの

 誰?

沙羅。ほほ笑み



●四聲の伽多

沙羅。ほほ笑み

   しばって

 誰?

  燃やしたら?

ブーゲンビリアの

   火をつけ

 聞いていた

  火をつけ

花の翳りに

   燃やしたら?

 聲を

  しばって

沙羅、その


沙羅。ほほ笑み

   目つぶし

 なに?

  吊るしたら?

ブーゲンビリアの

   猿轡咬ませ

 ひびいていた

  猿轡咬ませ

花の火照りに

   吊るしたら?

 女の聲

  目つぶし

沙羅、その


沙羅。ほほ笑み

   小指折り

 莫迦?

  舌抜けば?

ブーゲンビリアの

   爪はぎ

 でぶで、狂った

  爪はぎ

花の色の下

   舌抜けば?

 女

  小指折り

沙羅、その


沙羅。色づく葉

   存在価値なし

 褐色の女は

  なすすべもない

花のように

   生きる価値なし

 ゆらした

  生きる価値なし

色づいた葉ら

   なすすべもない

 肉のぶよつきを

  存在価値なし

擬態ら。沙羅


わたしは擬態

   知ってる?

 盗みに來たろ?

  ただの間違い

わたしが擬態

   あなたこそ

 盗まれたあとに

  あなたこそ

イノチを擬態

   ただの間違い

 盗みに來たろ?

  知ってる?

花さえ擬態


咲くさえ擬態

   この世界の恥辱

 笑えばいいよ

  知ってる?

散るさえ擬態

   あなただけが

 沙羅、壞れもの

  あなただけが

沙羅さえ擬態

   知ってる?

 彼女は屑

  この世界の恥辱

擬態の沙羅の


沙羅の擬態の

   この世界の恥辱

 糞まみれの豚

  知ってる?

沙羅さえ擬態

   あなただけが

 沙羅、壞れもの

  あなただけが

散るさえ擬態

   知ってる?

 屠殺しちゃう?

  この世界の恥辱

咲くさえ擬態


花さえ擬態

   ただの間違い

 奪いに來たろ?

  知ってる?

イノチを擬態

   あなたこそ

 もう奪われたよ

  あなたこそ

わたしが擬態

   知ってる?

 奪いに來たろ?

  ただの間違い

わたしは擬態


擬態ら。沙羅

   なすすべもない

 肉のぶよつきを

  存在価値なし

色づいた葉ら

   生きる価値なし

 ゆらした

  生きる価値なし

花のように

   存在価値なし

 褐色の女は

  なすすべもない

沙羅。色づく葉


沙羅、その

   舌抜けば?

 女

  小指折り

花の色の下

   爪はぎ

 でぶで、狂った

  爪はぎ

ブーゲンビリアの

   小指折り

 莫迦?

  舌抜けば?

沙羅。ほほ笑み


沙羅、その

   吊るしたら?

 女の聲

  目つぶし

花の火照りに

   猿轡咬ませ

 ひびいていた

  猿轡咬ませ

ブーゲンビリアの

   目つぶし

 なに?

  吊るしたら?

沙羅。ほほ笑み


沙羅、その

   燃やしたら?

 聲を

  しばって

花の翳りに

   火をつけ

 聞いていた

  火をつけ

ブーゲンビリアの

   しばって

 誰?

  燃やしたら?

沙羅。ほほ笑み






Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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