流波 rūpa ……詩と小説013・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十四偈の伽多


もうすぐ空は

沙羅

破れるだろう

明日には、ほら


鳥たちがもう

飛ばないから

沙羅

捨てられた鳥ら


もうすぐ海は

沙羅

燃えるだろう

いまにも、ほら


魚たちがもう

空へ逃げたから

沙羅

鰓のない魚ら


もうすぐ土は

沙羅

飛沫をあげるだろう

すでに、ほら


獸は自分で

墓をつくった

沙羅

だから足場もない殻


殻もない

拔け殻

なにもない

なにもないから


なにもないから

なにもない

拔け殻

殻もない


だから足場もない殻

沙羅

墓をつくった

獸は自分で


すでに、ほら

飛沫をあげるだろう

沙羅

もうすぐ土は


鰓のない魚ら

沙羅

空へ逃げたから

魚たちがもう


いまにも、ほら

燃えるだろう

沙羅

もうすぐ海は


捨てられた鳥ら

沙羅

飛ばないから

鳥たちがもう


明日には、ほら

破れるだろう

沙羅

もうすぐ空は



〇1

感じたのだった

あなたは

灼かれる気配を


中庭に

日差し

あかるくそそぐ


感じたのだった

そのうぶ毛も

あたたかな光り


さわいでいた。そっと

耳に沁むように

こすれあう葉々


やさしくなるのだった

何故?

心が


ほほ笑むのだ

ひとりで

あなたは


さらさらゆれる

風に

ほら、木漏れ日


ほら、木漏れ日

風に

さらさらゆれる


あなたは

ひとりで

ほほ笑むのだ


心が

何故?

やさしくなるのだった


こすれあう葉々

耳に沁むように

さわいでいた。そっと


あたたかな光り

そのうぶ毛も

感じたのだった


あかるくそそぐ

日差し

中庭に


灼かれる気配を

あなたは

感じたのだった



〇2

くすぐったい?

なんで?

まじ?


笑っちゃいそう?

…ね?

なんかね


うざくない?

なんかさ

若干ね


いいかんじ?

もう、さ

なんかね


まあまあ?なんか

なんとなく、さ

それなりだよね


いいんじゃん?

べつに

問題なくない?


やべぇーから

まじかよ?

やばすぎじゃん?


やばすぎじゃん?

まじかよ?

やべぇーから


問題なくない?

べつに

いいんじゃん?


それなりだよね

なんとなく

まあまあ?なんか


なんかね

まじ、さ

いいかんじ?


若干ね

なんかね

うざくない?


なんかね

…ね?

笑っちゃいそう?


まじ?

なんで?

くすぐったい?



●二聲の伽多

もうすぐ空は

 感じたのだった

沙羅

 あなたは

破れるだろう

 灼かれる気配を

明日には、ほら


鳥たちがもう

 中庭に

飛ばないから

 日差し

沙羅

 あかるくそそぐ

捨てられた鳥ら


もうすぐ海は

 感じたのだった

沙羅

 そのうぶ毛も

燃えるだろう

 あたたかな光り

いまにも、ほら


魚たちがもう

 さわいでいた。そっと

空へ逃げたから

 耳に沁むように

沙羅

 こすれあう葉々

鰓のない魚ら


もうすぐ土は

 やさしくなるのだった

沙羅

 何故?

飛沫をあげるだろう

 心が

すでに、ほら


獸は自分で

 ほほ笑むのだ

墓をつくった

 ひとりで

沙羅

 あなたは

だから足場もない殻


殻もない

 さらさらゆれる

拔け殻

 風に

なにもない

 ほら、木漏れ日

なにもないから


なにもないから

 ほら、木漏れ日

なにもない

 風に

拔け殻

 さらさらゆれる

殻もない


だから足場もない殻

 あなたは

沙羅

 ひとりで

墓をつくった

 ほほ笑むのだ

獸は自分で


すでに、ほら

 心が

飛沫をあげるだろう

 何故?

沙羅

 やさしくなるのだった

もうすぐ土は


鰓のない魚ら

 こすれあう葉々

沙羅

 耳に沁むように

空へ逃げたから

 さわいでいた。そっと

魚たちがもう


いまにも、ほら

 あたたかな光り

燃えるだろう

 そのうぶ毛も

沙羅

 感じたのだった

もうすぐ海は


捨てられた鳥ら

 あかるくそそぐ

沙羅

 日差し

飛ばないから

 中庭に

鳥たちがもう


明日には、ほら

 灼かれる気配を

破れるだろう

 あなたは

沙羅

 感じたのだった

もうすぐ空は



●四聲の伽多

もうすぐ空は

   くすぐったい?

 感じたのだった

  まじ?

沙羅

   なんで?

 あなたは

  なんで?

破れるだろう

   まじ?

 灼かれる気配を

  くすぐったい?

明日には、ほら


鳥たちがもう

   笑っちゃいそう?

 中庭に

  なんかね

飛ばないから

   …ね?

 日差し

  …ね?

沙羅

   なんかね

 あかるくそそぐ

  笑っちゃいそう?

捨てられた鳥ら


もうすぐ海は

   うざくない?

 感じたのだった

  若干ね

沙羅

   なんかさ

 そのうぶ毛も

  なんかね

燃えるだろう

   若干ね

 あたたかな光り

  うざくない?

いまにも、ほら


魚たちがもう

   いいかんじ?

 さわいでいた。そっと

  なんかね

空へ逃げたから

   もう、さ

 耳に沁むように

  まじ、さ

沙羅

   なんかね

 こすれあう葉々

  いいかんじ?

鰓のない魚ら


もうすぐ土は

   まあまあ?なんか

 やさしくなるのだった

沙羅

   なんとなく、さ

 何故?

  なんとなく

飛沫をあげるだろう

   それなりだよね

 心が

  まあまあ?なんか

すでに、ほら


獸は自分で

   いいんじゃん?

 ほほ笑むのだ

  問題なくない?

墓をつくった

   べつに

 ひとりで

  べつに

沙羅

   問題なくない?

 あなたは

  いいんじゃん?

だから足場もない殻


殻もない

   やべぇーから

 さらさらゆれる

  やばすぎじゃん?

拔け殻

   まじかよ?

 風に

  まじかよ?

なにもない

   やばすぎじゃん?

 ほら、木漏れ日

  やべぇーから

なにもないから


なにもないから

   やばすぎじゃん?

 ほら、木漏れ日

  やべぇーから

なにもない

   まじかよ?

 風に

  まじかよ?

拔け殻

   やべぇーから

 さらさらゆれる

  やばすぎじゃん?

殻もない


だから足場もない殻

   問題なくない?

 あなたは

  いいんじゃん?

沙羅

   べつに

 ひとりで

  べつに

墓をつくった

   いいんじゃん?

 ほほ笑むのだ

  問題なくない?

獸は自分で


すでに、ほら

   それなりだよね

 心が

  まあまあ?なんか

飛沫をあげるだろう

   なんとなく

 何故?

  なんとなく、さ

沙羅

   まあまあ?なんか

 やさしくなるのだった

  それなりじゃん?

もうすぐ土は


鰓のない魚ら

   なんかね

 こすれあう葉々

  いいかんじ?

沙羅

   まじ、さ

 耳に沁むように

  もう、さ

空へ逃げたから

   いいかんじ?

 さわいでいた。そっと

  なんかね

魚たちがもう


いまにも、ほら

   若干ね

 あたたかな光り

  うざくない?

燃えるだろう

   なんかね

 そのうぶ毛も

  なんかさ

沙羅

   うざくない?

 感じたのだった

  若干ね

もうすぐ海は


捨てられた鳥ら

   なんかね

 あかるくそそぐ

  笑っちゃいそう?

沙羅

   …ね?

 日差し

  …ね?

飛ばないから

   笑っちゃいそう?

 中庭に

  なんかね

鳥たちがもう


明日には、ほら

   まじ?

 灼かれる気配を

  くすぐったい?

破れるだろう

   なんで?

 あなたは

  なんで?

沙羅

   くすぐったい?

 感じたのだった

  まじ?

もうすぐ空は







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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