流波 rūpa ……詩と小説011・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十四偈の伽多//あなたは見ていた/沙羅/その目/昏く、ただ狂暴な


あなたは見ていた

沙羅

その目

昏く、ただ狂暴な


沙羅

それらゆれ

それら光り

ゆらぎの散乱


あなたは見ていた

沙羅

その目

昏く、ただ狂暴な


沙羅

それらゆれ

それら翳り

ゆらぎの散乱


色の飛散

その散乱

その密集

色の拡散


樹木の繁り

投げ落とす翳り

風が。その

風ら


その心の眼で

沙羅

目は

心にしか存在しないから


心にしか存在しないから

目は

沙羅

その心の眼で


風ら

風が。その

投げ落とす翳り

樹木の繁り


色の拡散

その密集

その散乱

色の飛散


ゆらぎの散乱

それら翳り

それらゆれ

沙羅


昏く、ただ狂暴な

その目

沙羅

あなたは見ていた


ゆらぎの散乱

それら光り

それらゆれ

沙羅


昏く、ただ狂暴な

その目

沙羅

あなたは見ていた



〇1

食べちゃえば?

腹くだす

吐き散らす


わたしは口

撒き散らす


わめいちゃえ

皮やぶり

鼓膜裂き


わたしは耳

撒き散らす


毛虫はあした

蝶になる

這いあがり


うわづり

のけぞり

ひきつり


羽搏いた

ほら

喰っちゃえよ



〇2

なにもなく

ささやくべき

言葉など


なぜなら

なにも

かたりかけずに


なにもなく

見い出された

風景など


なぜなら

なにも

ほのめきもなく


ほほ笑む?

なすすべもなく

ほほ笑む?


だから沙羅

昏い目のまま

聲もなく


もう、なにも

うつくしくさえない

すでに、もう



●二聲の伽多

あなたは見ていた

 食べちゃえば?

沙羅

 腹くだす

その目

 吐き散らす

昏く、ただ狂暴な


沙羅

 わたしは口

それらゆれ

 撒き散らす

それら光り

 孔

ゆらぎの散乱


あなたは見ていた

 わめいちゃえ

沙羅

 皮やぶり

その目

 鼓膜裂き

昏く、ただ狂暴な


沙羅

 わたしは耳

それらゆれ

 撒き散らす

それら翳り

 孔

ゆらぎの散乱


色の飛散

 毛虫はあした

その散乱

 蝶になる

その密集

 這いあがり

色の拡散


樹木の繁り

 うわづり

投げ落とす翳り

 のけぞり

風が。その

 ひきつり

風ら


その心の眼で

 羽搏いた

沙羅

 ほら

目は

 喰っちゃえよ

心にしか存在しないから


心にしか存在しなから

 喰っちゃえよ

目は

 ほら

沙羅

 羽搏いた

その心の眼で


風ら

 ひきつり

風が。その

 のけぞり

投げ落とす翳り

 うわづり

樹木の繁り


色の拡散

 這いあがる

その密集

 蝶になる

その散乱

 毛虫はあした

色の飛散


ゆらぎの散乱

 孔

それら翳り

 撒き散らす

それらゆれ

 わたしは耳

沙羅


昏く、ただ狂暴な

 鼓膜裂き

その目

 皮やぶり

沙羅

 わめいちゃえ

あなたは見ていた


ゆらぎの散乱

 孔

それら光り

 撒き散らす

それらゆれ

 わたしは口

沙羅


昏く、ただ狂暴な

 吐き散らす

その目

 腹くだす

沙羅

 食べちゃえば?

あなたは見ていた



●四聲の伽多

あなたは見ていた

   なにもなく

 食べちゃえば?

  言葉など

沙羅

   ささやくべき

 腹くだす

  ささやくべき

その目

   言葉など

 吐き散らす

  なにもなく

昏く、ただ狂暴な


沙羅

   なぜなら

 わたしは口

  かたりかけずに

それらゆれ

   なにも

 撒き散らす

  なにも

それら光り

   かたりかけずに

 孔

  なぜなら

ゆらぎの散乱


あなたは見ていた

   なにもなく

 わめいちゃえ

  風景など

沙羅

   見い出された

 皮やぶり

  見い出された

その目

   風景など

 鼓膜裂き

  なにもなく

昏く、ただ狂暴な


沙羅

   なぜなら

 わたしは耳

  ほのめきもなく

それらゆれ

   なにも

 撒き散らす

  なにも

それら翳り

   ほのめきもなく

 孔

  なぜなら

ゆらぎの散乱


色の飛散

   ほほ笑む?

 毛虫はあした

  ほほ笑む?

その散乱

   なすすべもなく

 蝶になる

  なすすべもなく

その密集

   ほほ笑む?

 這いあがり

  ほほ笑む?

色の拡散


樹木の繁り

   だから沙羅

 うわづり

  聲もなく

投げ落とす翳り

   昏い目のまま

 のけぞり

  昏い目のまま

風が。その

   聲もなく

 ひきつり

  だから沙羅

風ら


その心の眼で

   もう、なにも

 羽搏いた

  すでに、もう

沙羅

   うつくしくさえない

 ほら

  うつくしくさえない

目は

   すでに、もう

 喰っちゃえよ

  もう、なにも

心にしか存在しないから


心にしか存在しなから

   すでに、もう

 喰っちゃえよ

  もう、なにも

目は

   うつくしくさえない

 ほら

  うつくしくさえない

沙羅

   もう、なにも

 羽搏いた

  すでに、もう

その心の眼で


風ら

   聲もなく

 ひきつり

  だから沙羅

風が。その

   昏い目のまま

 のけぞり

  昏い目のまま

投げ落とす翳り

   だから沙羅

 うわづり

  聲もなく

樹木の繁り


色の拡散

   ほほ笑む?

 這いあがる

  ほほ笑む?

その密集

   なすすべもなく

 蝶になる

  なすすべもなく

その散乱

   ほほ笑む?

 毛虫はあした

  ほほ笑む?

色の飛散


ゆらぎの散乱

   ほのめきもなく

 孔

  なぜなら

それら翳り

   なにも

 撒き散らす

  なにも

それらゆれ

   なぜなら

 わたしは耳

  ほのめきもなく

沙羅


昏く、ただ狂暴な

   風景など

 鼓膜裂き

  なにもなく

その目

   見い出された

 皮やぶり

  見い出された

沙羅

   なにもなく

 わめいちゃえ

  風景など

あなたは見ていた


ゆらぎの散乱

   かたりかけずに

 孔

  なぜなら

それら光り

   なにも

 撒き散らす

  なにも

それらゆれ

   なぜなら

 わたしは口

  かたりかけずに

沙羅


昏く、ただ狂暴な

   言葉など

 吐き散らす

  なにもなく

その目

   ささやくべき

 腹くだす

  ささやくべき

沙羅

   なにもなく

 食べちゃえば?

  言葉など

あなたは見ていた









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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