タイトルのない短い小説……#1
以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
狂気というものについての個人的ないくつかの記憶。
狂気と呼ばれるものには比較的に親近があった。最初の親しみは十歳頃のことだった。当時わたしは岡山と広島の県境にあった西蠅原という町に住んでいた。当然家族と一緒である。祖父は六歳の時に死んだ。交通事故だった。だからその祖父の母たる曾祖母と、祖父の妻たる祖母と、彼等の息子たる父、及びその妻たる母と一緒だった。祖母は此処で仮りに椿と名づけて置く。椿は近隣の稻城という町の出身だった。訓は「いなぎ」。そこには妹尾姓が多い。祖父も妹尾姓だった。だから祖母は稻城の妹尾から茨の妹尾に嫁いだのだ。その経緯は知らない。母の名は仮りに藤と名づけて置く。藤は岡山の中心地近く、瀬戸町という町の出身だった。父にとっては年上の女房である。恋愛結婚だった。当時は殊更にそう呼ばれた。若夫婦を見れば、見合い結婚か恋愛結婚かと、男はやさしく且つ下卑てややにやつき、女は口をすぼめ瞳孔を絞って秘密話でも聞き出す様に聞くのがまだ大人の嗜みだった時代である。曾祖母の實家について、その場所等は知らない。家に時折り尋ねるさまざまな姓名の誰れれかの地所がそうなのだろう。曾祖母は、わたしが物心つくころにはすでに痴呆の症状をゆっくりと見せていて、だから誰れも曾祖母の詳細についてわたしに話すものはいなかった。禁忌というほどでもない。単に日本語の通じない無害な化け物がそこにいるという程度の違和にすぎない。或は誰れもが狎れきってもはや違和さえもない。仮りに曾祖母を櫻と名づけておく。
十歳頃のこと、わたしはひとりで留守番をしていた。此処で註しておけば、本当に十歳だったか、それとも十一歳、九歳だったのか、それは定かではない。あやしい記憶でさえなく、消去法に推したにすぎない。ただ慥かなのは晴れていたことだった。おそらく空は青かった。思うに当時、わたしはまだ青空が青いものだとしか知らなかったはずだ。青空のあまりにも捉えどころのない色彩、——沈黙の奔流とも静寂の暴流とも無数の単色とも名づけるべき、青から白にいたる流動の色彩、これらの視覚上の事實をはっきりと知ったのは高校生くらいになって、油絵を描くようになってからのことにすぎなかったように思う。だからその時、青空は青かったのではないか。いずれにせよ、昼間だったに違いない。
温度があった。大気の温度だった。そして湿気もあった。汗の匂いと、肌に感じる触感のようなもの、またはその霑いともべたつきとも名づけ難いかすかで執拗な発熱を記憶しているので、だから夏だったに違いない。それとも異常気象で燃え上がった眞冬だと?
わたしは家にいた。たぶん夏休みかなにかだったのだろう。ひとりだった。これも類推である。父と母は俱に建築会社を自営していたので、いないのは当たり前だ。櫻は無害な化け物だったので、いたには違いないくともものの数には入らない。だからいたかもしれない。彼女はその眼差しで、わたしたちを見つめつづけていたかもしれない。そうに違いない。ところで、ならば椿は?或は近所の誰れかと何処かで話し込んでいたのか。或は買い物にでも出ていたのか。或は家の裏でゴミでも燃やしていたのか。いずれにせよ、わたしの記憶するわたしの周囲に、その瞬間、椿は息吹きすらなかった。
その男が訪ねて來たき、わたしは庭で何かをしていた。何をしていた正確な記憶はない。だから空白にしておこう。推すに、たぶんうつむいているわたしの、その後頭部の上のほうに不意に聲がする。「おい、金貸してくれないか?」
その、極端になめらかな甲高い聲。女?と、そう思ったほどに。
又、いまの此の発話の言表は、此れはまったく正確なものではない。彼れは方言を使っていたはずだから。推すに「おい、かねぇかしてくれんかのう」と?實は、いまやわたしは岡山弁という言語が、聴き取れはしても自由に話すことができなくなっているので、その正確な言葉づかいをここに再現することがどうしてもできない。結局のところ、言語コミュニケーションは言語そのものに依ってなど成立していないと言える。すくなくとも聴き取りに関しては意味了解があるだけであって、その正確な言葉遣いなどまともに聴き取られてさえいない、と、これは経験的な認識である。たった今の会話ですら相手が正確に何と言ったか、まともに再現できないではないか。思うに、この言語コミュニケーションのいいかげんさは、特に臆病で繊細な十代の片思いの恋愛に於いてその暴力性を発揮する。反芻された愛しいあの人の言葉は反芻されるたびにさまざまな色付けに形を変え、原型をなくし、もはや怪物化してしまうのだ。愛されたものの形姿は言葉に依ってまさに無数の他人の形姿を大量に且つバグだらけに生産することになる。
いずれにせよ推すに、不意に降って來た聲にわたしは顔をあげた。
「なに?」…なんじゃあ、と?
本当にわたしはそうつぶやいたのだろうか。それとも、唖然と言葉もないままだったのだろうか。見下ろす彼の、立ったまま首をかすかに傾け、そのくせ顎をだけ突き出した顏は、或は一瞬の逆光の中に昏んだ。昼の光りの散乱に。だからわたしは瞬いた。
「いいから、お前、金貸せよ」
彼れはそう云った。だから、ええから、おめぇ、かねかせぇや、と?
わたしは怯えはしなかった。恐れも感じなかった。怒りも、まして喜び、おかしさ、かなしさ、憐れみ、その他、いかなる感情も。感情はあくまで空白。わたしには彼が理解不能だった。だからそもそも、いま見い出している事象そのものが理解不能だった。感情が生き生きと息吹きはじめる手前、…例えば、津波の前に波が一度一気に引くように?ただ日差しにのみふれた砂濱の静けさがあるにすぎない。
「お前、聞こえてるか?」…おめぇきこえとんかぁ?
「誰れ?」と、わたしは云った。容赦なく唐突に。彼れの聲が響き終わる前にはすでに。何の意志も意図もなく、だからこぼれでた自分の聲に違和感があった。そもそもこの不可解な事象にそのような言葉が投げかけられるべきではなかった。そう思った。なら、何が相応しいのか。如何なる言葉こそかけられるべきだったのか。
懊悩や逡巡や躊躇だ生じる前に、すぐさま彼は云った。
「此の餓鬼、駄目だな…人間の言葉も知らねえよ」…こんがきゃあだめじゃなぁ…ことばもしらんがのぉ…と?
屈辱を感じた。事象のすべてを一方的に混乱させているのは彼れの方だった。わたしは完全に無罪だった。彼れこそ惡しき暴力に他ならなかった。その肩越しに飛んでいた黃色と黑の蝶が、ゆらぎながら彼の頭のちかくを物色した。あやうくふれあう距離に。感じただろうか?彼れは、その羽搏かれた空気の搖れを。彼れの、長く伸ばされ、女のように後ろで縛られた髮の毛の匂いに蝶は、惑わされているのか。
何故?
憤慨と瞋恚のわたしはその時に間髮入れずになにか言った。記憶していない。その須臾、わたしの心はいそがしかったのだ。わたしよりはるかに大柄な逆光の男を、間違っても逆上させないように、且つ彼れが与えた侮辱に抗い、まさに罵ってやるに足りる、そして彼れがいったい何ものなのかを明かす契機にもなるべき、短く正確な言葉をわたしは探そうとしていた。だから、現實に唇がどんな言葉をつぶやいたのかわたしは一切記憶していない。即ち謂はく、
蝶たちの
ゆらめき
光りら
静まり
蝶たち
さわぎ
光りら
散り交い
散乱。さざめくように
色彩の生滅
翳ろうように
色らの明滅
見蕩れるように
言葉もなく
呑まれるように
目を逸らし
足元に翳り
呑まれるように
翳りと照かり
見蕩れるように
色らの明滅
翳ろうように
色彩の生滅
散乱。さざめくように
散り交い
光りら
さわぎ
蝶たち
静まり
光りら
ゆらめき
蝶たちの
かさねて謂はく、
蝶たちの
誰れ?
ほら、いま
ほほ笑んで
ゆらめき
あなたは
その肩越しに
あなたは
光りら
ほほ笑んで
ささやきのせいで
誰れ?
静まり
蝶たち
なぜ?
いま、あなたの不意の
軽蔑の笑み
さわぎ
ひとり
沈黙は
ひとり
光りら
軽蔑の笑み
それは失神
なぜ?
散り交い
散乱。さざめくように
そこはどこ?
それは失神
どこ?
色彩の生滅
どこに?
沈黙は
どこに?
翳ろうように
どこ?
ほら、あなたの不意の
そこはどこ?
色らの明滅
見蕩れるように
どこ?
まばたきのせいで
そこはどこ?
言葉もなく
どこに?
その肩越しに
どこに?
呑まれるように
そこはどこ?
ほら、いま
どこ?
目を逸らし
足元に翳り
軽蔑の笑み
飛び去った
なぜ?
呑まれるように
ひとり
どこへ?
ひとり
翳りと照かり
なぜ?
ささやきのせいで
軽蔑の笑み
見蕩れるように
色らの明滅
ほほ笑んで
まばたきのせいで
誰れ?
翳ろうように
あなたは
どこへ?
あなたは
色彩の生滅
誰れ?
飛び去った
ほほ笑んで
散乱。さざめくように
散り交い
誰れ?
ほら、いま
ほほ笑みつづけて
光りら
あなたは
その肩越しに
あなたも
さわぎ
ほほ笑みつづけて
ささやきのせいで
誰れ?
蝶たち
静まり
なぜ?
ほら、あなたの不意の
軽蔑の笑みを
光りら
そこで
沈黙は
そこで
ゆらめき
軽蔑の笑みを
それは失神
なぜ?
蝶たちの
わたしの記憶のとおりなら、わたしは不意の侵入者に非議を訴え彼れを非難した。いま思うに、彼れはわたしたちの平穏な地所から排斥されるべきだったからだ。ここでわたしたちとは要するにわたしの親和する人々である。例えば父、母、家族。或は近所の人間迄ふくめ?或は、数百メートル先の友人をも含め?その範囲は定かでなくも、ただ、わたしたちの。
結局のところ、此の彼れがその狂気の人なのだが、此処ですこし註しておかなければならない。若しも彼れが目をギョロつかせていたとか、瞼が痙攣していたとか、顏中の筋肉が引き攣けを起こしていたとか、まして涎れを埀れていたとか、醜かったとか、くさかったとか、無様だったとか、そういった形姿を以てあなたに想像されるなら、それはもはや彼れに対するいわれなき暴力以外のなにものでない。彼れはむしろ、たぶんあなたよりも遙かに美しかった。
此の美しいという屈辱的で破滅的で無慈悲な言葉を、わたしはいつでも嫌惡した。此の言葉は、そう呼ばれたものの、實に目に見えているさまざまなうつくしさを悉く、「美しい」というからっぽで理不盡な一言の中に閉じ込めて仕舞う破壞以外のないものでもないからだ。例えばレオナルドのデッサンと、蘭陵王亂序と、マーク・ロスコの壁画と、ドストエフスキーの小説と、グスタフ・クリムトの消滅した壁画と、モートン・フェルドマンの饒舌な響きと、定家の歌と、ジョニー・サンダースの女聲的な高音と、これらをただ「美しい」と呼び捨てる暴力は許されて良かったのだろうか?いずれにせよ、彼れは美しかった。
まずは、逆光に昏む目が彼れのかたちを目止める前にはすでに嗅ぎとられていたその全身の芳香。例えば、月並みだが蜜のような、と。此のあまりにも陳腐な比喩に、絶対的に陳腐でも月並みでもあり得ないすさまじく理不盡な例外性を与えた、そのかぎりでだけ「かぐわしい蜜のような」芳香。…ただし、鼻孔が焦がれるほどに知っていた此の香りのあったことに気付いたのは、眼差しが彼れのうつくさを知った後のことである。
即ち、逆光に慣れ始めたまなざしはようやくに彼れの姿を捉え始めるのだが、その形姿とたたずまいと息吹きのどうしようもない美しさはもはや、幼いわたしにさえも絶望的だった。醜い殘骸の名にも値いしない言葉を以てほのめかせば、まず、彼れを罵りつづけながらわたしの目は惑うた。その性別にである。後に確認すればうしろで背中にふれる程に伸ばされていたやわらかな髮の毛は光沢を放ち、うなじのおくれ毛はそのふれていない空気にまで、こころの震えのようなものを映した。女性的な顏立ちではあった。ただし女じみた顏ではない。明らかに男の、やや暴力的であやうく危ない気配をさらし、眼差しに容赦ない痛みへの容赦ない怯えを与えながらも、それで猶も少女じみた繊細さをすべてのかたちが描いていた。そういう意味に於いて女性的だった。彼れの、鋭さのある、それでも終にはやさしさににじむ眼差し。水に水彩絵の具がそっとなじんでひろがって行くような。だからいつか裏切られる違いないと、わたしには疑われたそれ。だからそのほほ笑み。
薄い唇。又は薄くありながら、不思議に淫蕩な、猥褻な気配をさらす。…何故なのだろう?いずれにせよ例えば、その唇に肌をいたぶられるその息遣いさえも、常に幻見せないではおかないのだった。舐められ、且つは咬みつき、いたわられ、且つはすすりあげられる、と?
切れ長でありながらむしろ唯ぱっちりした印象を殘す目、そして取り立てて何が違うという譯でもなく深い印象を、掻き毟しるように与えないでおかない瑠璃色の虹彩。そして散る綺羅だちの殘酷。…この殘酷という印象の意味は、わたしにはわからない。なんど考えても、何故彼れの白濁の散乱する虹彩が、そのひたすらな特異性として殘酷をのみ兆したのか、それがわたしにはわからない。
又は痛みをこそ網膜に吹き込む顎。繊細な、そして大胆な、空間に切り込むそのかたち。そのくせ如何なる押しつけがましさもない。
又は瘠せた、細く削られた、やつれて?…やつれてさえ見えた、そのくせに精悍に力を張らせた頬のくぼみ。
又は長い首。まるで見えない強烈な腕に一気に引っ張り上げたように、そしてかすかな、その相反する傾斜。
もしくは傷に似た鎖骨の突起。眼差しに容赦なくなげつけた、無性に甘く自虐的な苦痛。
或は透けたあばら、且つ、その華奢を裏切って返り見ない筋肉の生き生きした息吹き。
彼れは、それ以後、ほんの数度だけ見た彼れは、常に黒い長袖の、褪せたTシャツと黒いスラックスで、だからその匂い立つ全身を黒ずくめに、謂わばみずから埋葬したかにも包み込んだ。或は、わたしが思春期以降何かと黒ずくめのスタイルを好んだのは彼れの模倣だったのだろう。必ずしも、レニ・リーフェンシュタールとジム・モリソンの影響だけではない筈だ。映像あるいは詩に、セクシーで蠱惑的な気配を持ち込んだいびつな巨人たち。だから思うに、回想のなかでわたしが彼れの周囲にその意図されない無防備な煽情煽るように、至近に惑い舞う蝶を添えたのは或は、わたしのそうでなければならないという妄想だったかのもしれない。そこに蝶など存在していなかったのだろう。ただ、わたしの、彼へのせめてもの捧げものだったのだろう。わたしは蝶をのゆらぐ色彩を彼にささげた。即ち謂はく、
蝶の色彩を
誰れも見なかった
その生滅をなど
誰れも知らなかった
言葉はもはや
すでに盡き果てた
あきらかに
あざやかに且つは
朧ろげに
羽搏きの翳りを
あなたはほのめかし
その蝶の幻を
だから美しさは
それは殘忍
咬みつくように
裂くように
失語のままに
朽ちる唇
見つめた…られた?ままに
突然に失神
やさしい糜爛
見つめた…られた?ままに
朽ちる唇
失語のままに
裂くように
咬みつくように
完璧な殘忍
だから美しさは
その蝶の幻
あなたはほのめかし
羽搏きの翳りを
朧ろげに
あざやかに且つは
あきらかに
すでに盡き果てた
言葉はすでに
誰れも知らなかった
その生滅をなど
誰れも見なかった
蝶の色彩など
かさねて謂はく、
蝶の色彩を
聞かなかった?
知った。後に
ちらちらちらら
誰れも見なかった
細胞の音
知るだろうと、そう思っていたと後に
細胞の音
その生滅をなど
ちらちらちらら
後に知った
聞かなかった?
誰れも知らなかった
言葉はもはや
聞かなかった?
うつくしいもの
ざらざらざらら
すでに盡き果てた
血の音
容赦ない破壞。それらは
血の音
あきらかに
ざらざらざらら
血まみれの牙。ことごとくに
聞かなかった?
あざやかに且つは
朧ろげに
さらさらさらら
わたしは失望するだろう
聞かなかった?
羽搏きの翳りを
風の音
そう思っていた。いまだ
風の音
あなたはほのめかし
聞かなかった?
見蕩れるしかないまま
さらさらさらら
その蝶の幻を
だから美しさは
ざらざらざらら
見飽きないまま
聞かなかった?
それは殘忍
血の音
そう思っていた。いまだ
血の音
咬みつくように
聞かなかった?
わたしは失望するだろう
ざらざらざらら
裂くように
失語のままに
ちらちらちらら
血まみれの牙。ことごくに
聞かなかった?
朽ちる唇
細胞の音
容赦ない破壞。それらは
細胞の音
見つめた…られた?まま
聞かなかった?
うつくしいもの
ちらちらちらら
突然に失神
やさしい糜爛
聞かなかった?
後に知った
ざらざらざらら
見つめた…られた?まま
血の音
知るだろうと、そう思っていた後に
血の音
朽ちる唇
ざらざらざらら
知った。後に
聞かなかった?
失語のままに
裂くように
聞かなかった?
後に。知った
さらさらさらら
咬みつくように
風の音
知るだろうと、そう思ってたと後に
風の音
完璧な殘忍
さらさらさらら
後に知った
聞かなかった?
だから美しさは
その蝶の幻
ざらざらざらら
うつくしいもの
聞かなかった?
あなたはほのめかし
血の音
容赦ない破壞。それらは
血の音
羽搏きの翳りを
聞かなかった?
血まみれの牙。ことごとくに
ざらざらざらら
朧ろげに
あざやかに且つは
ちらちらちらら
わたしは失望するだろう
聞かなかった?
あきらかに
細胞の音
そう思っていた。いまだ
細胞の音
すでに盡き果てた
聞かなかった?
見蕩れるしかないまま
ちらちらちらら
言葉はすでに
誰れも知らなかった
聞かなかった?
見飽きないまま
ざらざらざらら
その生滅をなど
血の音
そう思っていた。ふたたび
血の音
誰れも見なかった
ざらざらざらら
失望するに違いない
聞かなかった?
蝶の色彩など
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