流波 rūpa ……詩と小説007・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十四偈の伽多


それは陽炎

陽炎、沙羅

綺羅と綺羅

あわい散乱


傾くそれ

色彩もなく

ゆらぐそれ

かたちもなく


それは陽炎

陽炎、沙羅

すでになく

ないことさえなく


見つめた

沙羅、綺羅

まばたきもせず

綺羅めき。虹彩


何を?

沙羅、綺羅

何を見た?

綺羅めき。虹彩


生きてる?

まだ、沙羅

沙羅、死んだ?

もう


散る綺羅

虹彩

沙羅の

綺羅散り


散る綺羅

沙羅の

虹彩

綺羅散り


もう

沙羅、死んだ?

まだ、沙羅

生きてる?


綺羅めき。虹彩

何を見た?

沙羅、綺羅

何を?


綺羅めき。虹彩

まばたきもせず

沙羅、綺羅

見つめた


ないことさえなく

すでになく

陽炎、沙羅

それは陽炎


かたちもなく

ゆらぐそれ

色彩もなく

傾くそれ


あわい散乱

綺羅と綺羅

陽炎、沙羅

それは陽炎



〇1

夢を見た

肉体の

息吹く夢


あざやかな

痛みと

色彩


夢を見た

慥かに生まれ

滅びた夢


あざやかな

色彩ら

横溢


あふれかえる

痛みら

沙羅


燃え上がる

色彩ら

沙羅


肉体は夢

すでに見た夢

遠い未生の


はるかな過去の

軈て見る夢

夢は肉体


沙羅

色彩ら

燃え上がる


沙羅

痛みら

あふれかえる


横溢

色彩ら

あざやかな


滅びた夢

慥かに生まれ

夢を見た


色彩

痛みと

あざやかな


息吹く夢

肉体の

夢を見た



〇2

いつも目は

見る

見えないものをだけ


見える?

なに?

見える?


いつも目は

見る

燃え盡きたあとに


見える?

なに?

見える?


どこに?

わたしの

目は


どこに?

あなたの

目は


見つめあう

ささやきあって

いつまでも



●二聲の伽多

それは陽炎

 夢を見た

陽炎、沙羅

 肉体の

綺羅と綺羅

 息吹く夢

あわい散乱


傾くそれ

 あざやかな

色彩もなく

 痛みと

ゆらぐそれ

 色彩

かたちもなく


それは陽炎

 夢を見た

陽炎、沙羅

 慥かに生まれ

すでになく

 滅びた夢

ないことさえなく


見つめた

 あざやかな

沙羅、綺羅

 色彩ら

まばたきもせず

 横溢

綺羅めき。虹彩


何を?

 あふれかえる

沙羅、綺羅

 痛みら

何を見た?

 沙羅

綺羅めき。虹彩


生きてる?

 燃え上がる

まだ、沙羅

 色彩ら

沙羅、死んだ?

 沙羅

もう


散る綺羅

 肉体は夢

虹彩

 すでに見た夢

沙羅の

 遠い未生の

綺羅散り


散る綺羅

 はるかな過去の

沙羅の

 軈て見る夢

虹彩

 夢は肉体

綺羅散り


もう

 沙羅

沙羅、死んだ?

 色彩ら

まだ、沙羅

 燃え上がる

生きてる?


綺羅めき。虹彩

 沙羅

何を見た?

 痛みら

沙羅、綺羅

 あふれかえる

何を?


綺羅めき。虹彩

 横溢

まばたきもせず

 色彩ら

沙羅、綺羅

 あざやかな

見つめた


ないことさえなく

 滅びた夢

すでになく

 慥かに生まれ

陽炎、沙羅

 夢を見た

それは陽炎


かたちもなく

 色彩

ゆらぐそれ

 痛みと

色彩もなく

 あざやかな

傾くそれ


あわい散乱

 息吹く夢

綺羅と綺羅

 肉体の

陽炎、沙羅

 夢を見た

それは陽炎



●四聲の伽多

それは陽炎

   いつも目は

 夢を見た

  見えないもをだけ

陽炎、沙羅

   見る

 肉体の

  見る

綺羅と綺羅

   見えないものをだけ

 息吹く夢

  いつも目は

あわい散乱


傾くそれ

   見える?

 あざやかな

  見える?

色彩もなく

   なに?

 痛みと

  なに?

ゆらぐそれ

   見える?

 色彩

  見える?

かたちもなく


それは陽炎

   いつも目は

 夢を見た

  燃え盡きたあとに

陽炎、沙羅

   見る

 慥かに生まれ

  見る

すでになく

   燃え盡きたあとに

 滅びた夢

  いつも目は

ないことさえなく


見つめた

   見える?

 あざやかな

  見える?

沙羅、綺羅

   なに?

 色彩ら

  なに?

まばたきもせず

   見える?

 横溢

  見える?

綺羅めき。虹彩


何を?

   どこに?

 あふれかえる

  目は

沙羅、綺羅

   わたしの

 痛みら

  わたしの

何を見た?

   目は

 沙羅

  どこに?

綺羅めき。虹彩


生きてる?

   どこに?

 燃え上がる

  目は

まだ、沙羅

   あなたの

 色彩ら

  あなたの

沙羅、死んだ?

   目は

 沙羅

  どこに?

もう


散る綺羅

   見つめあう

 肉体は夢

  見つめた

虹彩

   ささやきあって

 すでに見た夢

  いつまでも

沙羅の

   いつまでも

 遠い未生の

  ささやきつづけ

綺羅散り


散る綺羅

   ささやきつづけ

 はるかな過去の

  いつまでも

沙羅の

   いつまでも

 軈て見る夢

  ささやきあって

虹彩

   見つめた

 夢は肉体

  見つめあう

綺羅散り


もう

   目は

 沙羅

  どこに?

沙羅、死んだ?

   あなたの

 色彩ら

  あなたの

まだ、沙羅

   どこに?

 燃え上がる

  目は

生きてる?


綺羅めき。虹彩

   目は

 沙羅

  どこに?

何を見た?

   わたしの

 痛みら

  わたしの

沙羅、綺羅

   どこに?

 あふれかえる

  目は

何を?


綺羅めき。虹彩

   見える?

 横溢

  見える

まばたきもせず

   なに?

 色彩ら

  なに?

沙羅、綺羅

   見える?

 あざやかな

  見える?

見つめた


ないことさえなく

   燃え盡きたあとに

 滅びた夢

  いつも目は

すでになく

   見る

 慥かに生まれ

  見る

陽炎、沙羅

   いつも目は

 夢を見た

  燃え盡きたあとに

それは陽炎


かたちもなく

   見える?

 色彩

  見える?

ゆらぐそれ

   なに?

 痛みと

  なに?

色彩もなく

   見える?

 あざやかな

  見える?

傾くそれ


あわい散乱

   見えないものをだけ

 息吹く夢

  いつも目は

綺羅と綺羅

   見る

 肉体の

  見る

陽炎、沙羅

   いつも目は

 夢を見た

  見えないものをだけ

それは陽炎






Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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