流波 rūpa ……詩と小説005・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十九偈の伽多


そのほほ笑みに

沙羅。もてあそぶ

白濁を。ひとり

匂いの停滞


のけぞらし

腕。その須臾に

匂う?褐色の

ゆびさき。すくい


流れた。背中

うつぶせの沙羅

埀れた。背筋

震え、落ち、沙羅


融ける白濁、いま

やさしい日差し

褐色の沙羅

窓越しに光り


にじむ白濁

その肌にさえ

映え、沙羅

綺羅。いま


狂暴な

沙羅、やさしい息

沙羅、匂う?

白濁、沙羅、綺羅


のけぞる沙羅に

沙羅の顎

匂う?沙羅

その引き攣りの須臾に


笑む

沙羅、まばたき

昏い目に散る

虹彩、白濁


陽炎は頭上に

見ないで、沙羅

陽炎の色は?

かたちは?ほら


にじむ陽炎は

沙羅。見ないで

頭上。見ないで

にじむ陽炎は


かたちは?沙羅

陽炎の色は?

見ないで、ほら

陽炎は頭上に


虹彩、白濁

昏い目に散る

沙羅、まばたき

笑む


その引き攣りの須臾に

匂う?沙羅

沙羅の顎

のけぞる沙羅に


白濁、沙羅、綺羅

沙羅、匂う?

沙羅、やさしい息

狂暴な


綺羅。いま

映え、沙羅

その肌にさえ

にじむ白濁


窓越しに光り

褐色の沙羅

やさしい日差し

融ける白濁、いま


震え、落ち、沙羅

埀れた。背筋

うつぶせの沙羅

流れた。背中


ゆびさき。すくい

匂う?褐色の

腕。その須臾に

のけぞらし


匂いの停滞

白濁を。ひとり

沙羅。もてあそぶ

そのほほ笑みに



〇1

まばたいた

始めて知ったように

まるで、はじめて


唇にふるえ

始めて感じたように

まるで、はじめて


鼻孔のおびえ

始めて嗅いだように

まるで、はじめて


なんどもふれた

肌は

その白濁


なんどもゆらした

うぶ毛にも

白濁


のけぞって

舐めてもいいよ

その舌に


引き攣りながら

舌を出し

舐めてもいいよ


いま

沙羅

あなたは


あざ笑う

痴呆の沙羅は

あざ笑う


軽蔑以外になにもしらない

化ものだから

屈辱以外になにもしらない


あなたは

沙羅

いま


舐めてもいいよ

舌を出し

引き攣りながら


その舌に

舐めてもいいよ

のけぞって


白濁

うぶ毛にも

なんどもゆらした


その白濁

肌は

なんどもふれた


まるで、はじめて

始めて嗅いだように

鼻孔のおびえ


まるで、はじめて

始めて感じたように

唇にふるえ


まるで、はじめて

始めて知ったように

まばたいた



〇2

目は?

虹彩

どこ?


口は?

昏い孔

どこ?


顏は?

発狂した卵

どこ?


畸形?

だれ?

變異種?


生きてる?

それでも

猶も?


間違い?

無慚な

あやまち?


前例のない

あなたは

例外


万象そのもの

永遠そのもの

あなたはすべて


すべてはすでに生きられた

すべては見られた

未生のものさえ


散沙羅。孤独

燦沙羅。孤立

讚沙羅。孤絶


未生のものさえ

すべては見られた

すべてはすでに生きられた


あなたはすべて

永遠そのもの

万象そのもの


例外

あなたは

前例のない


あやまち?

無慚な

間違い?


猶も?

それでも

生きてる?


變異種?

だれ?

畸形?


どこ?

発狂した卵

顏は?


どこ?

昏い孔

口は?


どこ?

虹彩

目は?



●二聲の伽多

そのほほ笑みに

 まばたいた

沙羅。もてあそぶ

 始めて知ったように

白濁を。ひとり

 まるではじめて

匂いの停滞


のけぞらし

 唇にふるえ

腕。その須臾に

 始めて感じたように

匂う?褐色の

 まるで、はじめて

ゆびさき。すくい


流れた。背中

 鼻孔のおびえ

うつぶせの沙羅

 始めて嗅いだように

埀れた。背筋

 まるで、はじめて

震え、落ち、沙羅


融ける白濁、いま

 なんどもふれた

やさしい日差し

 肌は

褐色の沙羅

 その白濁

窓越しに光り


にじむ白濁

 なんどもふれた

その肌にさえ

 うぶ毛にも

映え、沙羅

 白濁

綺羅。いま


狂暴な

 のけぞって

沙羅、やさしい息

 舐めてもいいよ

沙羅、匂う?

 その舌に

白濁、沙羅、綺羅


のけぞる沙羅に

 引き攣りながら

沙羅の顎

 舌を出し

匂う?沙羅

 舐めてもいいよ

その引き攣りの須臾に


笑む

 あなたのもの

沙羅、まばたき

 沙羅

昏い目に散る

 あなたは

虹彩、白濁


陽炎は頭上に

 あざ笑う

見ないで、沙羅

 痴呆の沙羅

陽炎の色は?

 あざ笑う

かたちは?ほら


にじむ陽炎は

 軽蔑以外になにもしらない

沙羅。見ないで

 化ものだから

頭上。見ないで

 屈辱以外になにもしらない

にじむ陽炎は


かたちは?沙羅

 あざ笑う

陽炎の色は?

 痴呆の沙羅は

見ないで、ほら

 あざ笑う

陽炎は頭上に


虹彩、白濁

 あなたは

昏い目に散る

 沙羅

沙羅、まばたき

 いま

笑む


その引き攣りの須臾に

 舐めてもいいよ

匂う?沙羅

 舌を出し

沙羅の顎

 引き攣りながら

のけぞる沙羅に


白濁、沙羅、綺羅

 その舌に

沙羅、匂う?

 舐めてもいいよ

沙羅、やさしい息

 のけぞって

狂暴な


綺羅。いま

 白濁

映え、沙羅

 うぶ毛にも

その肌にさえ

 なんどもゆらした

にじむ白濁


窓越しに光り

 その白濁

褐色の沙羅

 肌は

やさしい日差し

 なんどもふれた

融ける白濁、いま


震え、落ち、沙羅

 まるで、はじめて

埀れた。背筋

 始めて嗅いだように

うつぶせの沙羅

 鼻孔のおびえ

流れた。背中


ゆびさき。すくい

 まるで、はじめて

匂う?褐色の

 始めて感じたように

腕。その須臾に

 唇にふるえ

のけぞらし


匂いの停滞

 まるで、はじめて

白濁を。ひとり

 始めて知ったように

沙羅。もてあそぶ

 まばたいた

そのほほ笑みに



●四聲の伽多

そのほほ笑みに

   目は?

 まばたいた

  どこ?

沙羅。もてあそぶ

   虹彩

 始めて知ったように

  虹彩

白濁を。ひとり

   どこ?

 まるではじめて

  目は?

匂いの停滞


のけぞらし

   口は?

 唇にふるえ

  どこ?

腕。その須臾に

   昏い孔

 始めて感じたように

  昏い孔

匂う?褐色の

   どこ?

 まるで、はじめて

  口は?

ゆびさき。すくい


流れた。背中

   顏は?

 鼻孔のおびえ

  どこ?

うつぶせの沙羅

   発狂した卵

 始めて嗅いだように

  発狂した卵

埀れた。背筋

   どこ?

 まるで、はじめて

  顏は?

震え、落ち、沙羅


融ける白濁、いま

   畸形?

 なんどもふれた

  變異種?

やさしい日差し

   だれ?

 肌は

  だれ?

褐色の沙羅

   變異種?

 その白濁

  畸形?

窓越しに光り


にじむ白濁

   生きてる?

 なんどもふれた

  猶も

その肌にさえ

   それでも?

 うぶ毛にも

  それでも?

映え、沙羅

   猶も?

 白濁

  生きてる?

綺羅。いま


狂暴な

   間違い?

 のけぞって

  あやまち?

沙羅、やさしい息

   無慚な

 舐めてもいいよ

  無慚な

沙羅、匂う?

   あやまち?

 その舌に

  間違い?

白濁、沙羅、綺羅


のけぞる沙羅に

   前例などない

 引き攣りながら

  例外

沙羅の顎

   あなたは

 舌を出し

  あなたは

匂う?沙羅

   例外

 舐めてもいいよ

  前例などない

その引き攣りの須臾に


笑む

   万象そのもの

 あなたのもの

  無邊なる轉生

沙羅、まばたき

   永遠そのもの

 沙羅

  無盡の轉生

昏い目に散る

   あなたはすべて

 あなたは

  轉生

虹彩、白濁


陽炎は頭上に

   すべてはすでに生きられた

 あざ笑う

  未生のものさえ

見ないで、沙羅

   すべて見られた

 痴呆の沙羅

  すべて見られた

陽炎の色は?

   未生のものさえ

 あざ笑う

  すべてはすでに生きられた

かたちは?ほら


にじむ陽炎は

   散沙羅。孤独

 軽蔑以外になにもしらない

  あふれたよ

沙羅。見ないで

   燦沙羅。孤立

 化ものだから

  とび散った

頭上。見ないで

   讚沙羅。孤絶

 屈辱以外になにもしらない

  こぼれたよ

にじむ陽炎は


かたちは?沙羅

   未生のものさえ

 あざ笑う

  すべてはすでに生きられた

陽炎の色は?

   すべて見られた

 痴呆の沙羅は

  すべて見られた

見ないで、ほら

   すべてはすでに生きられた

 あざ笑う

  未生のものさえ

陽炎は頭上に


虹彩、白濁

   あなたはすべて

 あなたは

  轉生

昏い目に散る

   永遠そのもの

 沙羅

  無盡の轉生

沙羅、まばたき

   万象そのもの

 いま

  無邊なる轉生

笑む


その引き攣りの須臾に

   例外

 舐めてもいいよ

  前例のない

匂う?沙羅

   あなたは

 舌を出し

  あなたは

沙羅の顎

   前例のない

 引き攣りながら

  例外

のけぞる沙羅に


白濁、沙羅、綺羅

   あやまち?

 その舌に

  間違い?

沙羅、匂う?

   無慚な

 舐めてもいいよ

  無慚な

沙羅、やさしい息

   間違い?

 のけぞって

  あやまち?

狂暴な


綺羅。いま

   猶も?

 白濁

  生きてる?

映え、沙羅

   それでも

 うぶ毛にも

  それでも

その肌にさえ

   生きてる?

 なんどもゆらした

  猶も?

にじむ白濁


窓越しに光り

   變異種?

 その白濁

  畸形?

褐色の沙羅

   だれ?

 肌は

  だれ?

やさしい日差し

   畸形?

 なんどもふれた

  變異種?

融ける白濁、いま


震え、落ち、沙羅

   どこ?

 まるで、はじめて

  顏は?

埀れた。背筋

   発狂した卵

 始めて嗅いだように

  発狂した卵

うつぶせの沙羅

   顏は?

 鼻孔のおびえ

  どこ?

流れた。背中


ゆびさき。すくい

   どこ?

 まるで、はじめて

  口は?

匂う?褐色の

   昏い孔

 始めて感じたように

  昏い孔

腕。その須臾に

   口は?

 唇にふるえ

  どこ?

のけぞらし


匂いの停滞

   どこ?

 まるで、はじめて

  目は?

白濁を。ひとり

   虹彩

 始めて知ったように

  虹彩

沙羅。もてあそぶ

   目は?

 まばたいた

  どこ?

そのほほ笑みに










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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