流波 rūpa ……詩と小説002・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



九偈の伽多


ブーゲンビリア

花、色葉、あふれ

散乱し、それら

色彩のかおり


翳り。庭に

光り。庭に

横溢し、その

それは何?


眞夏。光り

正午。光り

あふれ翳り、その

それは何?


いちどもなかった

わたしがわたしであったことなど

いちども

すでに


なにも生まれも滅びもなにも

さらすべきなにも、かたちもなにも

隱すべきなにも、秘密もなにも

なにも在りも消え去りもなにも


すでに

いちども

あなたがあなたであったことなど

いちどもなかった


それは何?

あふれ翳り、その

正午。光り

真夏。光り


それは何?

横溢し、その

光り。庭に

翳り。庭に


色彩のかおり

散乱し、それら

花、色葉、あふれ

ブーゲンビリア



〇1

すでにひろがり

燃え盡き

すでに


焰。その

彩色。不可視

ゆらぎ


焰。その

かたち。不可視

ゆらぎ


陽炎のよう

蝶らのように

陽炎のように


なんら差異など

焰と蝶に

なんら差異など


陽炎のように

蝶らのように

陽炎のよう


ゆらぎ

かたち。不可視

焰。その


ゆらぎ

彩色。不可視

焰。その


すでに

燃え盡き

すでにひろがり



〇2

ゆらぐ

色彩。それら

ゆらぎ


捕らわれ

何に?

蝶ら


ちぎられ

何に?

蝶ら


ゆらぎ

蝶ら

散り交う


瀑布。もはや

ゆらぐ色ら

暴流。もはや


散り交う

蝶ら

ゆらぐ


ちぎられ

何に?

蝶ら


捕らわれ

何に?

蝶ら


ゆらぎ

色彩。それは

ゆらぐ



●二聲の伽多

ブーゲンビリア

 すでにひろがり

花、色葉、あふれ

 燃え盡き

散乱し、それら

 すでに

色彩のかおり


翳り。庭に

 焰。その

光り。庭に

 彩色。不可視

横溢し、その

 ゆらぎ

それは何?


眞夏。光り

 焰。その

正午。光り

 かたち。不可視

あふれ翳り、その

 ゆらぎ

それは何?


いちどもなかった

 陽炎のよう

わたしがわたしであったことなど

 蝶らのように

いちども

 陽炎のように

すでに


なにも生まれも滅びもなにも

 なんら差異など

さらすべきなにも、かたちもなにも

 焰と蝶に

隱すべきなにも、秘密もなにも

 なんら差異など

なにも在りも消え去りもなにも


すでに

 陽炎のように

いちども

 蝶らのように

あなたがあなたであったことさえ

 陽炎のよう

いちどもなかった


それは何?

 ゆらぎ

あふれ翳り、その

 かたち。不可視

正午。光り

 焰。その

真夏。光り


それは何?

 ゆらぎ

横溢し、その

 彩色。不可視

光り。庭に

 焰。その

翳り。庭に


色彩のかおり

 すでに

散乱し、それら

 燃え盡き

花、色葉、あふれ

 すでにひろがり

ブーゲンビリア



●四聲の伽多


ブーゲンビリア

   ゆらぐ

 すでにひろがり

  ゆらぎ

花、色葉、あふれ

   色彩。それら

 燃え盡き

  色彩。それら

散乱し、それら

   ゆらぎ

 すでに

  ゆらぐ

色彩のかおり


翳り。庭に

   捕らわれ

 焰。それら

  蝶ら

光り。庭に

   何に?

 彩色。不可視

  何に?

横溢し、その

   蝶ら

 ゆらぎ

  捕らわれ

それは何?


眞夏。光り

  ちぎられ

 焰。それら

  蝶ら

正午。光り

   何に?

 かたち。不可視

  何に?

あふれ翳り、その

   蝶ら

 ゆらぎ

  ちぎられ

それは何?


いちどもなかった

   ゆらぎ

 陽炎のよう

  散り交う

わたしがわたしであったことなど

   蝶ら

 蝶らのように

  蝶ら

いちども

   散り交う

 陽炎のように

  ゆらぎ

すでに


なにも生まれも滅びもなにも

   瀑布。もはや

 なんら差異など

  暴流。もはや

さらすべきなにも、かたちもなにも

   ゆらぐ色ら

 焰と蝶に

  ゆらぐ色ら

隱すべきなにも、秘密もなにも

   暴流。もはや

 なんら差異など

  瀑布。もはや

なにも在りも消え去りもなにも


すでに

   散り交う

 陽炎のように

  ゆらぐ

いちども

   蝶ら

 蝶らのように

  蝶ら

あなたがあなたであったことさえ

   ゆらぐ

 陽炎のよう

  散り交う

いちどもなかった


それは何?

   ちぎられ

 ゆらぎ

  蝶ら

あふれ翳り、その

   何に?

 かたち。不可視

  何に?

正午。光り

   蝶ら

 焰。それら

  ちぎられ

真夏。光り


それは何?

   捕らわれ

 ゆらぎ

  蝶ら

横溢し、その

   何に?

 彩色。不可視

  何に?

光り。庭に

   蝶ら

 焰。それら

  捕らわれ

翳り。庭に


色彩のかおり

   ゆらぎ

 すでに

  ゆらぐ

散乱し、それら

   色彩。それは

 燃え盡き

  それは色彩

花、色葉、あふれ

   ゆらぐ

 すでにひろがり

  ゆらぎ

ブーゲンビリア







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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