蚊頭囉岐王——小説73
以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
蚊頭囉岐王舞樂
炎は上がり、揺らめき、臭気をはなって燃え墜ちる肉と肌とのうちにも爾に斗璃摩沙そのさわぎたつ意識ら乃至言葉らの群れとぎれもせずて故レそのひとつ彌冴えたる儘に幾度目かにも見いだしたるはその雪。
——これなに?
さゝやいた。
わたしは。
聲もなく。
室内のあたゝかさの中に。
氣づく。…問いに?
わたしの。
だから珠美はなぜた。
腕に抱きあげた二歳の幼兒の頬。
——はじめて?
さゝやき、
——…だよね。
と。
窓の向こうに色彩は散った。
眞っ白のそれら。
舞う。
ことごとくにも。
眞っ白のそれら——由伎。
と。
隙もなくにも。
冴える色。
埋め尽くすにも。
珠美はさゝやいた。
ひとり言散たようにも。
雪、と。
蚊頭囉岐王舞樂第五
啞ン癡anti王瑠我貮翠梦organism Ⅱ
2021.01.09.黎マ
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