蚊頭囉岐王——小説73


以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



蚊頭囉岐王舞樂

炎は上がり、揺らめき、臭気をはなって燃え墜ちる肉と肌とのうちにも爾に斗璃摩沙そのさわぎたつ意識ら乃至言葉らの群れとぎれもせずて故レそのひとつ彌冴えたる儘に幾度目かにも見いだしたるはその雪。

 ——これなに?

 さゝやいた。

 わたしは。

 聲もなく。

 室内のあたゝかさの中に。

 氣づく。…問いに?

 わたしの。

 だから珠美はなぜた。

 腕に抱きあげた二歳の幼兒の頬。

 ——はじめて?

 さゝやき、

 ——…だよね。

 と。

 窓の向こうに色彩は散った。

 眞っ白のそれら。

 舞う。

 ことごとくにも。

 眞っ白のそれら——由伎。

 と。

 隙もなくにも。

 冴える色。

 埋め尽くすにも。

 珠美はさゝやいた。

 ひとり言散たようにも。

 雪、と。

蚊頭囉岐王舞樂第五

啞ン癡anti王瑠我貮翠梦organism Ⅱ

2021.01.09.黎マ








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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