蚊頭囉岐王——小説39
以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
——なにをするの?
ふたつの孔は。
その奥に膜は。
糾弾したにちがい珠美の喉の易しい音色を。
あなたはひとりで聞いていた。
すがりつくように伸ばされたふたつの腕に。
先端に掌。
手のひらが頬をつかむまゝ。
ふれてなぜるようにも。
つかまれたまゝに。
あなたは瞬く。
ふれた。
珠美の親指が雙つ俱にも。
ふれた。
瞼に。
あたなの瞼を。
靜かにそっとおしつぶすときにも。
その目を。
押しつぶした時にも。
容赦なく。
のけぞらされた身が頽れる。
容赦なく。
押しつぶす指はあなたの内部を掻きまわした。
容赦なく。
指が掻きまわす内部の組織のさまざまな崩壊。
その壊滅に。
もはや苦痛を感じもせずに。
一瞬だけに痛み迸りあなたはすでにもはや苦痛もなくて。
かくて斗璃伎與娑娑彌氣囉玖
痛ましく
途切れもせずに
痛ましく
散る花を
その悲しみが
盡きもせず
目にうつる
散る花を
すべてのイノチの
白い花
その痛みが
花の散華の夢を見た
痛ましく
冷めた目に
ただ痛ましく
その夢を見た
悲しみをだけ
ひとりでわたしは
わたしは痛む
泣きもしないで
わたしは痛い
淚さえ
かくて斗璃摩娑爾に都儛耶氣良玖爾
散れ。
散る。
花。
散れ。
散る。
花は。
散れ。
散る。
音も無く。
止めどもなくに。
散れ。
散る花は。
樂亂序ノ三蚊頭囉岐王舞第二
啞ン癡anti王瑠我貮翠梦organism Ⅱ
2021.01.07-08.黎マ
0コメント