摩訶般若波羅蜜經(小品般若波羅蜜經)卷第四


小品般若波羅蜜經卷第四

後秦龜茲國三藏鳩摩羅什譯

● 歎淨品第九

● 不可思議品第十



小品般若波羅蜜經卷第四

● 歎淨品第九

爾の時に舍利弗白して佛に言さく、

「世尊。是れ淨ら、甚深なり」と。

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。是れ淨ら、明らかなり。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。是れ淨ら、欲界に生ぜず、色界に生ぜず、色無き界にも生ぜず。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。是れ淨ら、無垢なり、無淨なり。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。是れ淨ら、得無し、果無し。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。是れ淨ら、作さず、起こさず。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。是れ淨ら、知無し。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。是れ淨ら、色を知らず、受想行識を知らず。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。般若波羅蜜、薩婆若に於て增さず、減らず。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

「世尊。般若波羅蜜、淨らなるが故に、法に於て所取無し。」

佛言たまはく、

「淨らなるが故に」と。

爾の時に須菩提白して佛に言さく、

「世尊。我、淨らなるが故に色も淨らなり」と

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。我、淨らなるが故に受想行識も淨らなり。」

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。我淨らなるが故に果も淨らなり。」

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。我、淨らなるが故に薩婆若も淨らなり。」

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。我、淨らなるが故に得無し、果無し。」

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。我無邊なるが故に色も無邊なり。」

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。我無邊なるが故に受想行識も無邊なり。」

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。是の如くして是の如きを菩薩の般若波羅蜜と名づくや」

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。般若波羅蜜、此岸に非ず、彼岸に非ず、中流に非ず。」

佛言たまはく、

「畢竟にして淨らなるが故に」と。

「世尊。

 菩薩、若し是の如くして亦、分別せば即ち般若波羅蜜を失ひ即ち般若波羅蜜に遠ざからん。」

佛言たまはく、

「善哉、善哉、須菩提。

 名相從りする故に著は生ず」と。

「希有なり世尊。

 善く般若波羅蜜を說きてその中に著さず。」

爾の時に舍利弗、須菩提に語らく、

「何の因緣の故に名は著を爲すや」と。

「舍利弗。

 若し善男子、善女人、色、空なりと分別せば即ち名づけて著しきと爲し受想行識、空なりと分別せば即ち名づけて著しきと爲す。

 過去法、未來法、現在法を分別せば即ち名づけて著しきと爲し、初發心の菩薩、若干の福德を得れば即ち名づけて著しきを爲す。」

釋提桓因問ひて須菩提に言さく、

「何の因緣にか、是の事を名づけて著しきと爲すや」と。

「憍尸迦。

 是の人、是の心を分別し是の心を以て阿耨多羅三藐三菩提に廻向したれば。

 憍尸迦。

 心性、廻向す可からず。

 是の故に菩薩、若しは他の化人に阿耨多羅三藐三菩提を敎へんと欲さば應に諸法の實相の如くに利喜を敎へて示すべし。

 是の如かれば則ち自ら傷つけず。

 是の佛所の許して是の佛の教ふる所なり。

 善男子、善女人も亦、諸著をは離れず。」

爾の時に佛讚めて須菩提に言さく、

「善哉、善哉、汝、能く諸菩薩の著の法を示す。

 須菩提。

 我當に更に微細に著の法を說くべし。

 汝、今、善く聽け」と。

須菩提言さく、

「唯然、受敎せん」と。

佛言たまはく、

「若し善男子、善女人、取相に諸佛を念ひ、取りたる所の相の隨なれば皆、名づけて著しきと爲す。

 過去未來現在の諸佛らの有らゆる無漏の法に皆、隨喜し隨喜し已りて阿耨多羅三藐三菩提に廻向して即ち亦も、是れ著せり。

 何を以ての故に。

 須菩提。

 諸法性、過去に非ざれば、未來に非ざれば、現在に非ざれば。

 不可取の相なれば、不可緣なれば、不可見なれば、不可聞なれば、不可覺なれば、不可知なりて廻向す可からざれば」と。

「世尊。

 是れら諸法の性、甚深なり。」

佛言たまはく、

「畢竟にして離るるが故に」と。

「世尊、我、般若波羅蜜を敬禮す。」

佛言たまはく、

「佛、是れ作法の無きを得たるが故に」と。

「世尊。

 佛、一切法を是の如くに得たりや。」

「須菩提。

 ≪その如きに來たれり(如來)≫、一切法を得き。

 須菩提。

 法性、唯一なり、無二なり、無三なり。

 是の性亦、性に非ず、作に非ず。

 須菩提。

 菩薩能く是の如く知りて則ち諸著を離れん。」

「世尊。

 般若波羅蜜、甚だ知り難しと爲す。」

「須菩提。

 知有ること無き者なるが故に。」

「世尊。

 般若波羅蜜、不可思議なり。」

「須菩提。

 般若波羅蜜、心を以て知る可からざるが故に。」

「世尊。

 般若波羅蜜、所作無し。」

「須菩提。

 作す者不可得なるが故に。」

「世尊。

 菩薩、當に云何が般若波羅蜜を行ずべき。」

「須菩提。

 若し菩薩、色を行ぜずば即ち般若波羅蜜の行なり。

 受想行識を行ぜずば即ち般若波羅蜜の行なり。

 若し色を行ぜずして滿足せずば即ち般若波羅蜜の行なり。

 受想行識を行ぜずして滿足せずば即ち般若波羅蜜の行なり。

 受想行識を行ぜずして相を滿足せずば即ち般若波羅蜜の行なり。

 何を以ての故に。

 色、滿足せずして則ち色に非ず。

 受想行識、滿足せずして則ち識に非ず。

 若し能く是の如く行し相を滿足せずば即ち般若波羅蜜の行なり。」

須菩提言さく、

「希有なり世尊。

 諸著中に於て著する無きを說く」と。

「須菩提。

 若し菩薩、色を行さず相に著せずば即ち般若波羅蜜の行なり。

 受想行識を行ぜず相に著せずば即ち般若波羅蜜の行なり。

 菩薩、是の如く行じ色に於て著を生ぜずば、受想行識に於て著は生ぜず。

 須陀洹果に、斯陀含果に、阿那含果に、阿羅漢果に、辟支佛道に於ても著を生ぜず乃ち薩婆若にまで至りても亦、著を生ぜず。

 何を以ての故に。

 諸著を過ぎたるが故に。

 礙げ無き薩婆若と名づく。

 須菩提。

 菩薩、諸著を過んとし應に是の如くに般若波羅蜜を思惟すべし。」

須菩提白して佛に言さく、

「希有なり世尊。

 是の法甚深なり。

 若しは說きて減らず、說かずしても亦、減らず。

 若しは說きて增さず、說かずしても亦、增さず。」

佛言たまはく、

「是の如し、是の如し須菩提。

 佛、壽ひを盡くして虛空を稱讚して虛空は不減なりて、稱讚せずして亦も不減なり、稱讚して增さず稱讚せずして亦も增さず。この如くに。

 須菩提。

 譬へば幻の化したるの人、稱讚して亦、喜ばずして稱讚せずして亦、瞋らざるが如し。

 須菩提。

 諸法の性も亦、是の如し。

 若し說きて增えず、說かずしても亦、減らず」と。

「世尊。

 菩薩の所爲甚だ難し。

 般若波羅蜜を修行する時、心、增減無く亦、不退不轉なり。

 世尊。

 般若波羅蜜を修習して虛空を修習するが如かれば。

 世尊。

 菩薩、一切衆生を度するが爲の故に大莊嚴を發さば應に當に敬禮すべし。

 世尊。

 菩薩、衆生が爲の故に大莊嚴發し人、虛空と共に鬪ふが如かれば。

 世尊。

 菩薩、衆生が爲に故に大莊嚴發し人、虛空と諍訟するが如かれば。

 世尊。

 是れ菩薩、名づけて大莊嚴を發すと爲す。

 世尊。

 菩薩、衆生が爲の故に大莊嚴を發したる人、虛空に擧げんと欲するが如し。

 世尊。

 是れ菩薩、名づけて彼岸の精進に度すと爲し、名づけて勇健と爲し、名づけて虛空に同じきと爲し諸法の故に阿耨多羅三藐三菩提を發す。」

爾の時、會中に有る一比丘、是の念を作さく、

「我、般若波羅蜜に敬禮せん、般若波羅蜜中に法の生ずる有ること無く法の滅する有ることも無くば」と。

爾の時に釋提桓因、須菩提に語らく、

「若し菩薩、深般若波羅蜜を修習し爲に何らの法をか修習せん」と。

「憍尸迦。

 若し菩薩、深般若波羅蜜を修習せんとせば即ち是れ虛空を修習せよ。」

釋提桓因白して佛に言さく、

「世尊。

 若し人、能く般若波羅蜜を受持し讀誦せば我、當に守護すべし。」

須菩提、釋提桓因に語らく、

「汝、是の法を見て守護す可きや」と。

釋提桓因言さく、

「見ざる也」と。

「憍尸迦。

 若し菩薩、般若波羅蜜の所說の如くに行ぜば即ち是れ守護なり。

 若し菩薩、或る時般若波羅蜜を遠離せば人、若しは非人、則ち其の便りのとどくを得ん。

 憍尸迦。

 若し人、欲して般若波羅蜜の行を守護せんとせば則ち爲してに虛空を守護せんと欲したりき。

 憍尸迦。

 その意に於て云何。

 汝能く響きを守護すや不や。」

釋提桓因言さく、

「能はざる也。」

「憍尸迦。

 菩薩亦、是の如く般若波羅蜜を行し一切法空にして響きの如しと知り是の如くして亦、分別せずば當に知るべし是れ、般若波羅蜜の行と爲すと。」

爾の時に佛、神力を以て三千大千世界有らゆる四天王天及び諸釋提桓因、娑婆世界主、諸梵天王らをして皆、佛所に來至さしむ。

頭面に佛足を禮し却りて一面に住し四天王、諸釋提桓因、諸梵天王等、佛の神力を以て千佛を見るを得き。是の如き相、是の如き名、と。

般若波羅蜜品を說く者ら皆、名づけて須菩提とす。

難問する者ら亦、釋提桓因、彌勒菩薩の如き。

當に阿耨多羅三藐三菩提を成すべくして亦、此の土に於て般若波羅蜜を說きき。

爾の時に須菩提白して佛に言さく、

「世尊。

 彌勒菩薩、阿耨多羅三藐三菩提を成じき時、是處に於て云何が般若波羅蜜を說くや」と。

「須菩提。

 彌勒菩薩、阿耨多羅三藐三菩提を成じき時、般若波羅蜜を說きて說かず、色空なりとは。

 說かず、受想行識空なりとも。

 說かず、色縛すとも、說かず、色解すとも。

 說かず、受想行識縛すとも、說かず、受想行識解すとも。」

須菩提言さく、

「世尊。

 般若波羅蜜淸淨なりや」と。

佛言たまはく、

「色淨らなるが故に般若波羅蜜も淸淨なり」と。

「受想行識も淨らなるが故に般若波羅蜜も淸淨なりや。」

佛言たまはく、

「虛空淨らなるが故に般若波羅蜜淸淨なり。

 色、染無きが故に般若波羅蜜淸淨なり。

 受想行識、染無きが故に般若波羅蜜淸淨なり。

 須菩提。

 虛空、染無きるが故に般若波羅蜜淸淨なり」と。

「世尊。

 若し有る善男子、善女人、能く般若波羅蜜を受持し讀誦せば終に橫死せざらん。

 若干百千の諸天皆、共に隨從したれば。

 若しは月八日、十四日、十五日、二十三日、二十九日、三十日、在在處處に般若波羅蜜を說かば其の福甚だ多なり。」

佛言たまはく、

「是の如し、是の如し須菩提。

 是の人般若波羅蜜を說きて得る福甚だ多し。

 須菩提。

 般若波羅蜜多、留ること有り難し。

 何を以ての故に。

 般若波羅蜜、是れ大珍寶なれば。

 法に於て所著無く所取も無かれば。

 所以は何。

 謂はゆる諸法、所有も無くて不可得なるが故に。

 須菩提。

 般若波羅蜜、所得無きが故に能く染汚するは無し。

 何を以ての故に。

 般若波羅蜜、法無を以ての故に。名づけて無染般若波羅蜜と爲す。

 般若波羅蜜、汚れ無きが故に諸法も亦、汚れ無し。

 若し是の如くし亦、分別せざれば名づけて般若波羅蜜の行と爲す。

 須菩提。

 般若波羅蜜、法有ること無し。

 若しは見て若しは見ず。

 法有ること無きをだに。

 若しは取り若しは捨つ。」

是の時に若干百千の諸天子、踊躍歡喜し虛空中に於て同聲に唱言すらく、

「我、閻浮提に於て再び見き、法輪轉ずるを」と。

須菩提、諸天子に語らく、

「初轉に非ず、二轉に非ず。

 何を以ての故に。

 般若波羅蜜法中、轉じたるも無く還りたるも無かれば」と。

佛、須菩提に告げたまはく、

「摩訶波羅蜜、是れ菩薩の般若波羅蜜なり。

 所謂一切法に於て轉ずるも無く著するも無し。

 阿耨多羅三藐三菩提を得て亦、所得無し。

 法輪轉ずる時も亦、轉じたるは無し。

 法無くして還る可からず。

 法無くして示す可からず。

 法無くして見る可からず。

 是の法、不可得なるが故に。

 何を以ての故に。

 須菩提。

 空は轉ぜざれば、還らざれば。

 無相なりて無作なれば。

 起こり無くして生ずるも無くば。

 所有無くして轉ぜずして還りもしざれば。

 是の如く說くを名づけて般若波羅蜜を說くと爲し、聽く者は無し。受くる者も無し。

 證する者無く亦、法を以て福田を作す者も無し。」

須菩提白して佛に言さく、

「世尊。

 邊も無きの波羅蜜(完成)是れ般若(叡智)波羅蜜(完成)なり。

 虛空、無邊なるが故に。

 世尊。

 正しきの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、平等なるが故に。

 世尊。

 離るるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法性、離るるが故に。

 世尊。

 不可破なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、不可得なるが故に。

 世尊。

 處無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、形無くして名も無きが故に。

 世尊。

 去るの無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、來るの無きが故に。

 世尊。

 奪ふの無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、取る可からざるが故に。

 世尊。

 盡の波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、盡無が故に。

 世尊。

 生ずる無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、生ずる無きが故に。

 世尊。

 作す無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 作者、不可得なるが故に。

 世尊。

 出でざるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 出者、不可得なるが故に。

 世尊。

 至らざるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 退沒無きが故に。

 世尊。

 無垢なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸煩惱、淸淨なるが故に。

 世尊。

 無汚なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 處、汚れざるが故に。

 世尊。

 不滅なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、前際を離するが故に。

 世尊。

 幻なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、生ぜざるが故に。

 世尊。

 夢なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 意識、平等なるが故に。

 世尊。

 戲れずの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸戲、平等なるが故に。

 世尊。

 念はずの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸念、生ぜざるが故に。

 世尊。

 動じずの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 法性、常住なるが故に。

 世尊。

 欲を離るの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、虛誑ならざるが故に。

 世尊。

 起こらざるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、分別無きが故に。

 世尊。

 寂滅の波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法相、不可得なるが故に。

 世尊。

 煩惱無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、過咎無きが故に。

 世尊。

 衆生無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 衆生の際、不可得なるが故に。

 世尊。

 斷たざるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、起こらざるが故に。

 世尊。

 無二なる邊の波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、著する無きが故に。

 世尊。

 異ならざるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、和合せざるが故に。

 世尊。

 著さざるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 聲聞、辟支佛地をも分別せざるが故に。

 世尊。

 分別せざるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸分別、平等なるが故に。

 世尊。

 無量なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 量法、不生なるが故に。

 世尊。

 虛空の波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法。無障礙なるが故に。

 世尊。

 生ぜざるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、起こらざるが故に。

 世尊。

 無常なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、不失なるが故に。

 世尊。

 苦なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、苦惱無きが故に。

 世尊。

 我無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、貪著する所無きが故に。

 世尊。

 空なるの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、無所得なるが故に。

 世尊。

 相無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法相、不可得なるが故に。

 世尊。

 作無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、所成無きが故に。

 世尊。

 力の波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、不可破なるが故に。

 世尊。

 無量佛法の波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 算數法を過ぐるが故に。

 世尊。

 畏るる無きの波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 心、沒せざるが故に。

 世尊。

 ≪その如き(如)≫の波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、異ならざるが故に。

 世尊。

 自然の波羅蜜是れ般若波羅蜜なり。

 諸法、性無きるが故に。」

● 不可思議品第十

爾の時に釋提桓因、是の念を作さく、

「若し人、般若波羅蜜を聞き得れば當に知るべし是の人、已に曾に諸佛を供養せりと。

 何を況んや受持し讀誦し所說が如くに學し所說が如くに行ずるを。

 若し人深般若波羅蜜を說くを聞き、受持し讀誦し所說が如く行ぜば當に知るべし是の人、已に曾に多た佛を供養せりと。

 廣く其の義を問ひ、過去に於く諸佛に深般若波羅蜜を聞きて驚かずまた怖れず、と。」

爾の時に舍利弗白して佛に言さく、

「世尊。

 若し菩薩摩訶薩、能く深般若波羅蜜を信解せば當に知るべし是の菩薩、阿毗跋致(不退轉)に如くと。

 何を以ての故に。

 世尊。

 若し人、過去世に於て久しく深般若波羅蜜を行ぜずして則ち信解す能はざれば。

 世尊。

 若し般若波羅蜜を誹謗し拒逆する有れば當に知るべし是の人、久しく已に般若波羅蜜を誹謗し拒逆したりと。

 何を以ての故に。

 是の人、深般若波羅蜜に於て信心有ること無く、淸淨心無く亦、諸佛及び諸佛弟子らに疑はしきをも問はざりければ。」

爾の時に釋提桓因、舍利弗に語らく、

「是れ般若波羅蜜、甚深なり。

 若し久しく菩薩道を行ぜずば信解す能はず、何か怪しむ可き有りや。

 若し人、般若波羅蜜を敬禮せば即ち是れ薩婆若の智を敬禮したりき。」

舍利弗言さく、

「是の如し、是の如し憍尸迦。

 若し人、般若波羅蜜を敬禮せば即ち是れ薩婆若の智をも敬禮したり。

 般若波羅蜜從り諸佛の薩婆若の智は生じ、薩婆若の智從り還りて般若波羅蜜は生ず。

 菩薩、應に是の如くに般若波羅蜜に住すべし。

 應に是の如くに般若波羅蜜を習ふべし。」

釋提桓因白して佛に言さく、

「世尊。

 云何が菩薩、般若波羅蜜を行じて名づけて般若波羅蜜に住すと爲し、名づけて般若波羅蜜を習すと爲す」と。

佛告げて釋提桓因に言たまはく、

「善哉、善哉、憍尸迦。

 汝能く佛に是の義を問ひき。

 汝、所問の者らは皆、是れ佛力なり。

 憍尸迦。

 若し菩薩、般若波羅蜜を行じて色に住せずして若し、色に住せざれば即ち是れ色を習せり。

 受想行識に住せずして若し、識に住せざれば即ち是れ識を習せり。

 復、次に憍尸迦。

 若し菩薩、色を習はずして若し、色を習はざれば即ち色に住せず。

 受想行識を習はずして若し、識に習はざれば即ち識に住せず。

 是の如しき、憍尸迦。

 是れ菩薩、般若波羅蜜を習ひ般若波羅蜜に住すと名づく。」

舍利弗白して佛に言さく、

「世尊。

 般若波羅蜜、甚深なり、無量なり、無底なり」と。

佛、舍利弗に告げたまはく、

「若し菩薩摩訶薩、色に住せざること甚深なりて是れ、爲に色を習せざること甚深なり。

 受想行識に住せざること甚深なりて是れ、爲に識を習せざること甚深なり。

 復、次に舍利弗。

 若し菩薩摩訶薩、色を習せざること甚深なりて是れ、爲に色に住せざること甚深なり。

 受想行識を習せざること甚深なりて是れ、爲に識に住せざること甚深なり」と。

「世尊。

 深般若波羅蜜、應に阿毗跋致に於ける菩薩の前に說くべし。是の人、是れを聞きても疑はざらん、悔いざらん。」

爾の時に釋提桓因、舍利弗に語らく、

「若し未だ菩薩の受記なきを前に說かば、當に何か咎有るべきや」と。

「憍尸迦。

 若し未受記なる菩薩、深般若波羅蜜を聞き得ば當に知るべし是の菩薩、久しき大乘心を發してその受記に於て近づかんと。

 久しからずして必ず受記を得んと。

 若しは一佛二佛を過ぎて當に阿耨多羅三藐三菩提の受記を得べしと。」

佛言たまはく、

「是の如し、是の如し舍利弗。

 若し未受記なる菩薩、深般若波羅蜜を聞き得ば當に知るべし是の菩薩、久しき大乘心を發こさん。」

舍利弗白して佛に言さく、

「世尊。

 我、今當に譬喩を說くべし」と。

佛言たまはく、

「樂ふ說便ち說け」と。

「世尊。

 譬へば菩薩道を求むる者、夢に道場に坐し、是の菩薩を知りて當に阿耨多羅三藐三菩提に近づくが如し。

 若し菩薩道を求むる者、深般若波羅蜜を聞き得ば當に是の菩薩を知り久しき大乘心を發し、善根成就し受記に於て近づかん。

 久しからずして必ずにその受記を得ん。」

佛言たまはく、

「善哉、善哉、舍利弗。

 汝、佛の神力を承けて復、更に之れを說きき」と。

「世尊。

 譬へて如くは、有る人、險道を過ぎんと欲す。

 若しは百由旬、若しは二百、若しは三百、若しは四百、若しは五百由旬、難を出でんと欲する時に、先に諸相を見き。

 若しは放牛羊の者を見、若しは疆(境)界を見、若しは園林を見、是の如き相を見きが故に當に知るべし此の中に、必ず城邑聚落や有らんと。

 是れらの相を見已りて是の念を作さく、『我が見たるが如き相に城邑聚落、此より去ること遠からじ』と。

 其の心安隱なりて復、怨家賊害の有るをも畏れざりき。

 世尊。

 菩薩も亦、是の如し。

 若し深般若波羅蜜を聞き得ば當に知るべし是の菩薩、受記に於て近づき久しからずして必ず受記を得んと。

 爾の時に墮聲聞、辟支佛地をは畏れず。

 何を以ての故に。

 是れ菩薩、是れ本相を得たれば。

 所謂、深般若波羅蜜を見得たえば。深般若波羅蜜を聞き得たれば。

 世尊。

 譬へて如くは有る人、大海を見んと欲したり。

 稍稍として前に行き、若しは樹、若しは樹の相を見き、若しは山、若しは山の相を見たれば當に知るべし是の中、海より去りて尚、遠しと。

 若しは樹をは見ずして樹の相も無かりき、山をは見ずして山の相も無かれば當に知るべし、大海、是れを去りて遠からじと。

 大海深なるが故に山樹の有ること無し。

 是の人、海を見ざると雖も必ず之れに近きを知らん。

 世尊。

 菩薩も亦、是の如し。

 深般若波羅蜜を聞き得て未だ現在諸佛らが前に於て受記なきと雖も自らに知れり、必ず阿耨多羅三藐三菩提は近しと。

 何を以ての故に。

 我、見聞し得て深般若波羅蜜を供養したるが故に。

 世尊。

 譬へて如くは春時に樹葉零落したりき。

 當に知るべし此の樹、華葉、果實、將に久しからずして生ずべしと。

 何を以ての故に。

 その本、相に現じきが故に。

 閻浮提人、樹の本相を見て皆悉くに歡喜し是の念を作さん、『是の樹久しからずして當に華葉果實を生ずべし』と。

 世尊。

 菩薩も亦是の如き。

 若し深般若波羅蜜を見聞き得ば當に知るべし是の菩薩、善根成就し宿世善根因緣の故に今に深般若波羅蜜得んと。

 會中に曾ひて佛を見る有り、諸天皆大歡喜し是の念を作さく、『先の諸菩薩らも亦、是の如き本相の受記有り』と。

 是の菩薩久しからずして當に阿耨多羅三藐三菩提の受記を得ん。

 世尊。

 譬へて如くは女人、懷妊したりき。

 輾轉し不便なり。身體疲れて極まり事務も樂しからず。

 眠臥安からずして食飲轉た少し。

 苦惱身に在り、語言だにも欲せず。

 本の習ひをも厭ひて復、樂しきをも憶はざれど本相現じたるが故に當に知るべし是の女、將に久しからずして產すべしと。

 菩薩の善根成就も亦復、是の如し。

 若し見聞きを得、深般若波羅蜜を思惟せば當に知るべし是の菩薩、久しからずして阿耨多羅三藐三菩提の受記を得んと。」

佛言たまはく、

「善哉、善哉、舍利弗。

 汝が樂說する所の者皆、佛の神力なり」と。

爾の時に須菩提白して佛に言さく、

「希有なり世尊。

 如來善く諸菩薩の事を說きき。

 須菩提。

 是れ諸菩薩摩訶薩ら長夜に利益する多からん。

 安隱する多からん、安樂する多からん。

 世間を憐愍し阿耨多羅三藐三菩提を得、諸天人らが爲に法要を演說せん。」

須菩提白して佛に言さく、

「世尊。

 菩薩摩訶薩、云何が修習の具足を得て般若波羅蜜を行じん」と。

「須菩提。

 若し菩薩摩訶薩、般若波羅蜜を行じて色の增すを見ざれば是れ般若波羅蜜の行を爲しき。

 受想行識の增すを見ざれば是れ般若波羅蜜の行を爲しき。

 色の減るを見ざれば是れ般若波羅蜜の行を爲しき。

 受想行識の減るを見ざれば是れ般若波羅蜜の行を爲しき。

 乃ち不見法に至りて法に非ざるをも見ざれば是れ般若波羅蜜の行を爲しき」と。

「世尊。

 佛の所說の如きは不可思議なり。」

「須菩提。

 色、不可思議なれば。

 受想行識、不可思議なれば。

 若しは菩薩、色を分別せずば不可思議なり。

 受想行識を分別せざれば不可思議なりて是れ、般若波羅蜜の行を爲したるなれば。」

「世尊。

 般若波羅蜜、是の如き、誰か能く信解すや。」

「須菩提。

 若し久しく菩薩道を行せば。」

「世尊。

 云何が菩薩、久しく行ずと名づけ得。」

「須菩提。

 若し菩薩、般若波羅蜜を行じて佛十力、四無所畏を分別せずて乃ち薩婆若に至るをまでも分別せざれば是れ久しく行じきと名づく。

 何を以ての故に。

 佛の十力、不可思議なれば。四無所畏、十八不共法も不可思議なれば。乃ち薩婆若に至るまでも不可思議なれば。

 色、不可思議なりて受想行識、不可思議なりて一切法も亦、不可思議なれば。

 菩薩、是の如く行ずれば是れ處所無く行ずと名づき而して般若波羅蜜を行じ是の故に名づけて久しく行じきと爲す。」

「世尊。

 般若波羅蜜、甚深なり。

 般若波羅蜜、是れ珍寶聚なり。

 虛空の如くに淸淨にしてこれ希有なり。」

「世尊。

 般若波羅蜜、多く起こり留ること難し。

 若し書寫せんと欲する者乃ち一歲に至るまで當に疾く書き成すべし。」

佛言たまはく、

「是の如し、是の如し須菩提。

 若し善男子、善女人、欲して書寫し讀誦し所說の如く般若波羅蜜を行じて乃ち一歲に至れば當に疾く疾く之れを爲すべし。

 須菩提。

 珍寶法なり、多なる怨賊有り。

 世尊。

 般若波羅蜜、惡魔常にその伺求を斷絕せんと欲す。

 須菩提。

 惡魔、伺求を斷絕せんと欲すと雖も亦、得る能はじ。」

舍利弗白して佛に言さく、

「世尊。

 誰が神力の故に惡魔、般若波羅蜜に難を留む能はざりや」と。

「舍利弗。

 佛の神力の故に惡魔、難を留む能はず。

 舍利弗。

 亦、是れ十方無量世界の現在諸佛の神力故に惡魔、難を留む能はず。

 諸佛皆、共に是の菩薩を護念すが故に惡魔、便り得る能はず。

 何を以ての故に。

 舍利弗。

 菩薩、諸佛の所護する者の法が爲に應に難を留む能はざるべし。

 何を以ての故に。

 舍利弗。

 若し人、書寫し讀誦し般若波羅蜜を說けば十方無量阿僧祇の現在諸佛、法に應に護念すべし。

 若し般若波羅蜜を誦する有らば當に知るべし是れ菩薩を佛の護念するが故に能く誦し通利すなりと。」

「世尊。

 善男子、善女人、能く般若波羅蜜を受持し讀誦せば當に知るべし是の人、佛眼の所見ならん。

「舍利弗。

 若し善男子、善女人、能く般若波羅蜜を受持し讀誦し乃ち書寫すにも至らば當に知るべし是の人、佛眼の所見ならんと。

 舍利弗。

 若し佛道を求めて善男子、善女人、般若波羅蜜を受持し讀誦せば則ち阿耨多羅三藐三菩提に近づき乃ち自ら書くに至る。

 若しは人をして書かさし書き已りて受持し讀誦せば是の因緣を以て其の福、甚だ多し。

 舍利弗。

≪その如きに來たる(如來)≫の滅後に般若波羅蜜、當に流布すべし、南方に。南方從り流布すべし、西方に。西方從り流布すべし、北方に。

 舍利弗。

 我が法盛なる時に滅相有ることは無し。

 北方若しは乃ち般若波羅蜜を書寫し受持し供養するに至れる者有らば、是の人亦、佛眼の所見、所知、所念と爲らん。」

舍利弗白して佛に言さく、

「世尊。

 後の五百歲時に般若波羅蜜、當に廣く北方に流布すべきや」と。

「舍利弗。

 後の五百歲、當に廣く流布すべし、北方に。其の中の善男子、善女人、般若波羅蜜を聞き、受持し讀誦し修習せば當に知るべし久しき阿耨多羅三藐三菩提の心を發せりと。」

「世尊。

 北方當に幾らの菩薩有りて能く般若波羅蜜を受持し讀誦し修習せんや。」

「舍利弗。

 北方、多た菩薩有りと雖も能く讀聽し般若波羅蜜を受くるは少し。

 能く誦利し修習し行ぜば、是の人、聞き得て亦、驚かず怖れもせず。

 是の人曾に已に佛を見き。

 諮するを請ひ難きを問ひたりて當に知るべし是の人、能く菩薩道を具足し得たりと。

 阿耨多羅三藐三菩提の爲の故に能く無量の衆生を利益せんと。

 何を以ての故に。

 舍利弗。

 我、是の善男子、善女人が爲に應に薩婆若の法を說くべし。

 是の人身を轉じて亦復、阿耨多羅三藐三菩提を說かんと樂はん。

 一心に和同し乃ち魔王の壞す能はざる其の阿耨多羅三藐三菩提心にまで至らん。

 是の人般若波羅蜜を聞き心大歡喜し心淸淨を得、多た衆生をして阿耨多羅三藐三菩提の善根を種ゑさしむ。

 是の善男子、善女人、我が前に於て是の言を作さく、我等、菩薩道を行じ常に當に法を以て敎へ利を示すべしと、無量百千萬の衆生を喜ばすべしと、阿耨多羅三藐三菩提に住さしめん、と。

 舍利弗。

 我が觀ずるに其の心則ち隨喜を生じて是の人、菩薩道を行じて當に法を以て教利を示し無量百千萬の衆生を喜ばし、阿耨多羅三藐三菩提に住せしべけん。

 是の如き善男子、善女人、心に大乘を樂ひ他方の願生じ現在佛の說法の處に前せん。

 彼に於て續き復、廣く般若波羅蜜を說くを聞かん。

 彼の佛土に於て亦復、法を以て敎へ利を示し無量百千萬衆生を喜ばし、阿耨多羅三藐三菩提に住せしめん。」

舍利弗白して佛に言さく、

「希有なり世尊。

 如來、過去未來現在の諸法に於て無法なるを知らず、無法なるを識らず。

 如來、未來世に於て諸菩薩ら、多欲多精進を以て般若波羅蜜を勤求す。

 是の善男子、善女人、求む有りて而も得、求めざる有りて而も得。

 如來悉く知りたまへり」と。

「舍利弗。

 多た有る善男子、善女人、精進し不懈なれば故に般若波羅蜜、求めずして而も得ん。」

「世尊。

 是の善男子、善女人、餘經の六波羅蜜に應ずる者も亦、求めずして而も得るや。」

「舍利弗。

 若し餘の諸波羅蜜に應ずる深經有らば是の善男子、善女人亦、求めずして而も得ん。

 何を以ての故に。

 舍利弗。

 法は應に爾れり。

 若し有る菩薩、諸衆生が爲に敎へ利を示し阿耨多羅三藐三菩提に喜ばして亦、自らもその中に於て學ばば是の人、轉身し諸波羅蜜に應ずる深經亦、求めずして而も得ん。」

小品般若波羅蜜經卷第四








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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