多香鳥幸謌、附眞夜羽王轉生——小説52
以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
山羽「自分の子疑ってどうするの?
深雪「わたしの子じゃないよ。
山羽「あなたが生んだんでしょうが?女だったら、馬鹿でもわかる事でしょうが
深雪「でも、今は違うでしょう?
山羽「何が違うもんか云々
愚僧、暫くの間に言の深刻化したことに気付く。
愚僧、眞夜羽に云「気にしなくていいんだよ
眞夜羽「してないよ。
愚僧「本当?
眞夜羽「お母さん、毎晩なく
此の時深雪眞夜羽をしかりつけようとするので山羽諫める。
愚僧「じゃ、心配だね。
眞夜羽「仕方ない。
愚僧「仕方なくないよ。なんで仕方ないの?
眞夜羽「ぼく、お母さんたちの子じゃないから。
和哉「なにを…
眞夜羽「知ってるよ
和哉「何を云いだす。
眞夜羽「僕知ってる。
愚僧「なに知ってるの?
眞夜羽「僕捨てられた子だから。
愚僧「棄てられた?
眞夜羽「捨てられて拾われた。
愚僧「お母さんに?
和哉「こんなこと…こんなことばっかり
と。和哉氏取り乱しはじめ故愚僧やわらかく諫めつつ「子供の云うこと、一回、しっかり聞いてあげましょ。
愚僧「いつ、だれに棄てられたの?
眞夜羽「比呂斗もそうだよ。
愚僧「比呂斗くん?茨の?茨の比呂斗くんも捨てられたの?
眞夜羽「ぼく、捨てられて、お母さんたちに拾われた。
愚僧「何で知ってるの?
眞夜羽「聞いた。
愚僧「誰に?
眞夜羽「お母さんに(此処で深雪喚くうそ、嘘、なにもかもでまかせ、なんでも、ぜんぶ、此の子嘘…)
眞夜羽「嘘じゃないよ。
愚僧「でも、だったら、感謝しないと。
眞夜羽「なんで?
愚僧「だって、拾われっ子の眞夜羽くんを、こうやって大事に育ててくれてるよね?
眞夜羽「そうだよ。すっごい、やさしいよ。
愚僧「じゃ、感謝しないと。
眞夜羽「感謝してるよ?ぼく、…
愚僧「じゃ、お父さんお母さんに言わないと。
眞夜羽「なにを?
愚僧「ありがとうって。
眞夜羽「なんで?
愚僧「感謝してても、いわないと傳わらないでしょう?親子でも、詞でいわないとさびしいよ。
眞夜羽「ありがとう。
手をついて、眞夜羽は父と母にそう云った。
かくてしばし何でもない雑談をし…この話の大半は山羽が毎日の勤務の大変さを笑い話に語り聞かせたのである。後、山羽は眞夜波と会話し始めたのである。
山羽「でもさ。眞夜羽くんも(是は蝶と話をするという入園者の笑い話の流れにふった話である)普通の人に見得ないもの、見得るよね?
眞夜羽「ぼく?
山羽「じゃないの?
眞夜羽「ぼくの話?…だれに聞いたの?
愚僧「見えない?
眞夜羽(山羽に)「だれ?
山羽「こちらの圓位さんに、眞夜羽くんすごい子だね、いろんなもの見えるよって
眞夜羽「嘘だよ。
山羽「嘘なの?
眞夜羽「それは嘘だよ
山羽「眞夜くん、うそ謂っちゃった?
眞夜羽(愚僧に)「顏のこと?
山羽「顏?
眞夜羽「顏…じゃないけど、顏。死んだ人。
山羽「すごい。見得るね…それ、嘘だったの?
眞夜羽「嘘?…この人が?(とわたしを差した。和哉諫めかけ愚僧制す)
山羽「じゃ、圓位さん嘘つき?
眞夜羽「聞きたい。
山羽「聞く?
眞夜羽「聞いていい?
山羽「いいよ。なに?
眞夜羽「ぼく、嘘つきなの?
山羽「眞夜くん、嘘云ったの?
眞夜羽「おばさん(是は山羽)、今、そういったじゃん。
山羽「言ってないよ
眞夜羽「言ったよ。今。嘘つきって。ね?
山羽「なに?
眞夜羽「聞きたいの、與婆飛のこと?
山羽「ヨバヒ?…なに?
眞夜羽「じゃない?
深雪「それ、朝の…
愚僧「朝の?
深雪「ここのところの、…
山羽「眞夜くん、毎朝どこか行っちゃうね。あれ、余婆飛してるの?
眞夜羽「それは嘘じゃないよ。
山羽「與婆飛ってなに?
眞夜羽「おかあさんが見つけてくれる。
山羽「おかあさん?
眞夜羽「與婆波禮弖久登於迦阿沙牟賀美都祁弖久禮流
愚僧「呼ぶ?呼ばうの?呼ばれるの?
眞夜羽「余婆飛の聲、するよ。
愚僧「呼ばれる?
眞夜羽「寢てると。
山羽「誰?
眞夜羽「與婆飛碁惠?
山羽「誰の聲?
眞夜羽「撲。
山羽「眞夜くんが、自分で、眞夜くん、呼ぶの?
眞夜羽「たぶん。
山羽「なんで、たぶん?
眞夜羽「知らないもん。だって。でも、誰も他にいなかったら、そういう時は、それ、自分の聲だよ。
愚僧「なんて呼ぶの?
眞夜羽「聲?
愚僧「その與婆飛碁惠、眞夜羽くんになんて呼びかけるの?
眞夜羽「歸るよって。
山羽「どこに?
眞夜羽「月。
山羽「すごいね。かぐや姫だね。
眞夜羽「あれ、うそじゃん。
山羽「嘘?
眞夜羽「あれ童話じゃない?嘘だよ。白雪姫もうそだよ。
山羽「でも、眞夜羽君はかぐやひめ…かぐやひこ?なんでしょ?
眞夜羽「迦具夜比古?
山羽「女の子お姫さまじゃん。眞夜羽くん、男の子じゃない?
眞夜羽「でも、あれ、空の月じゃん
山羽「かぐや比賣?
眞夜羽「與婆布のは海の月だよ。
山羽「海に月あるの?
眞夜羽「本当はね…でも
山羽「だから、海に言ったの?
眞夜羽「いつ?
深雪「三日前…四日前…三日…
眞夜羽「あれ、嘘だよ。
深雪「嘘じゃない。お母さん嘘謂ってない
眞夜羽「海、瀬戸内海じゃないよ。
愚僧「ちょっとまって。それ月の海?
眞夜羽「海の月だよ。
愚僧「海の月の海?
眞夜羽「それ、瀨戸内海じゃないから。だから帰れない。
山羽「困ったね。
眞夜羽「そっちの方がいいよ。
山羽「帰れないと、困るね…
眞夜羽「困らない。
愚僧「どうやったら歸れる?
眞夜羽「海に?
愚僧「死んだら、歸れるかな?
眞夜羽「無理。
愚僧「じゃ帰れないね?
眞夜羽「歸れるよ。たぶん。でも歸りかたしらない。
山羽「でも、困らないの?
眞夜羽「困らないよ。
山羽「帰りたいのに?
眞夜羽「別に。
山羽「何で?帰りたくなの?
眞夜羽「別に。
山羽「何で?
眞夜羽「與婆禮琉けど
山羽「帰れなくていいの?
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