多香鳥幸謌、附眞夜羽王轉生——小説42

以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

——友達？

——ともだち…同い年。彼、

——仲いい？

——云ったの。

——なに？

——ちかくの神社に…

——神社？

——わかる？

——神社？

——神社。

——わかる、よ。知ってる。日本の、神社？

——近くの…

——有名だから、ね？

——あんまり近くないけど

——知ってる、よ。

——氷川神社

——名前？

——赤坂の…

——知らない…

——そこに、空から天人がくるって

——底ン邇ん？

——天国の人。…宇宙人？

——宇宙なの？

——来るの見たって。

——いつ？

——先週の週末。叔父さんの家に止まった時に…て。

——いつ見たの？

——嘘だろって、俺。

——友だち？

——違うよって。あいつ、…から。

——ひとりで、

——だからね、あいつ、言い張って。

——見たの？ひとりで、

——行こう。来るから。毎晩来るからって。

——見たの？

——行ったの。

——二人で？

——拔け出して

——あぶないよ

——六本木の、家

——どこ？

——六本木。

——知らない

——拔け出して。

——夜、なのに？

——行った。

——会えた？

——日出登と、親、寝たあと。

——会えたね、きっと。

——自転車で。

——綺與宇は会えるよ。

——坂がいっぱい。

——綺夜宇さんなら、逢えるね。

——苦しいくらい、坂坂坂…

——誰とでも、

——夜の一時すぎ。

——会えるね。

——神社の木の根っこのところ

——行ったよ。

——端っこの

——わたしも、ね

——座って。

——日本、いるとき

——待ってた。

——行ったよ。

——でも、子供だから。

——兵庫（ひょご）のね

——眠いでしょ？

——神社。

——だから、寝ちゃったんじゃない？

——ねちゃったの？

——そうしたら

——寝たら、逢えないよ。

——匂う…

——残念、だよ。

——花の匂い。で、

——可哀想、だよ

——見えた。いっぱい

——会えなかったら

——蓮の花、浮かんでるの。

——綺麗？

——匂う。

——綺麗だった、ね。

——いやになるくらい。

——きっと、ね。

——鼻に搗く

——綺麗だった、ね。

——光ってるの。

——なにが？

——花が。

——光の？

——だから、

——きっと、ね

——日出登、逃げちゃった。俺

——それ、ね

——逃げなかった。

——綺夜宇さんが、ね

——迯げるって、そういう…

——綺麗だから、ね

——それ、忘れてて

——綺與宇さんの、ね

——上から、光。

——心が、ね

——月から、ね。

——綺麗だから、ね

——光が落ちてきて。

——きれいなんだよ

——音立てて。

——どんな？

——光が、で、まわり、明るいじゃない？

——うるさいの？

——だから。光で

——きこえちゃうね

——明るいじゃない？だから

——みんなに

——まぶしいの。

——聞こえちゃうね

——目の前に、見たことない女の人いて。

——誰？

——顏、なくて。

——綺麗？

——あるけど、見得無くて。

——綺麗、だった？

——見たこと無い顏だから。…見得無くて

——綺夜宇さん、みたいに、

——ないんじゃないよ。…あるけど。

——綺麗、だった？

——で。

——逢えたね

——話してくれるけど、なにも

——宇宙の人だね

——わからない。外国語？…

——よかったね

——だから。

——会えたね

——匂うの。

——もう、ね

——いい匂い。

——可哀想じゃない、ね

——だから。

——会えたら

——ぼうっとしてた。

——可哀想じゃない、ね

——朝、神社の人に

——だれ？

——神主。

——誰の人？

——神社の人

——迦牟奴志？

——そのひとに、起こされて。